わずか6年という短い活動だったにも関わらず、いまなお多くのファンに愛され続け、日本のロックシーンに多大な影響を及ぼしているBOΦWY。そのデビュー30周年記念イヤーの最後を飾る、ファン投票を反映させた初のリクエスト・ベストアルバム『BOΦWY THE BEST “STORY”』が3月21日にリリースされた。そこで、BOΦWYのドラマー高橋まこと、そしてBOΦWYのホームグラウンドであったライブハウス、新宿ロフトのPAスタッフとして彼らに出会って以来、BOΦWYのライブサウンドを支えてきた森山朝雄氏とともに、BOΦWYの足跡をたどりながら“いまだから話せる”当時のエピソードを聞いた。

◆「“歌詞が汚いからダメだ”って断られて。
「IMAGE DOWN」を書き直したりしたんだけど、結局ダメで」(高橋)


――まず、高橋さんと森山さんが出会ったきっかけから教えていただけますか?

高橋:森やんは(新宿)ロフトのPAだったの。BOΦWYが売れてないときからいたの?

森山:そうですね。BOΦWYが6人組の頃からですね。

高橋:森やんも俺たちのことを気に入ってくれて、俺らも森やんが出す音は他の人と違うって。BOΦWYがロフトを卒業しても、ロフトに直談判して森やんを借りて。

森山:ロフトで終わる訳にはいかないんでね。

高橋:そこからずっと付き合いが始まって。俺たちが東芝EMIと契約したとき、この先も森やんにPAやってもらおうってことで、そのときロフトから引き抜いたの。

森山:BOΦWYと同じ事務所のなかに音響部門があったんで、そこに就職したんです。

高橋:それからは最後の東京ドームまでずっとPAやってもらった。表にはあまり名前は出ないけど、すごく大事な人なの。森やんがいないとライブはあの音にはなってないから。

――森山さんはなぜBOΦWYをやろうと思ったんですか?

森山:カッコいいじゃないですか。やってる音楽もすばらしいし。

――出会ったときにピンときたんですか?

森山:出会った頃はまだまこっちゃんがドラムを叩く前で、6人編成だったんだけど。音はパンキッシュで速い曲ばっかだったんですよ。

――高橋さんも6人の頃のBOΦWYを、お客さんとしてロフトで見てるんですよね? そのときの印象は?

高橋:おっかねぇなって。

森山:恐いにきまってんじゃん(笑)。

高橋:布袋(寅泰/G)はあんな背ぇデカいし、“何じゃコイツら”って。それから1ヵ月後ぐらいかな。“ドラムがいないからちょっとドラム叩きにきてくんない?”ってヒムロック(氷室京介/Vo)から電話がかかってきて行ったら、それが半分オーディションみたいなもんで。そのときに“これ叩いて”っていわれたのが「IMAGE DOWN」。それで“ワン、ツー”って叩いたら、俺の“ワン、ツー”の声がデカかったらしくて、松井(常松/B)がククククってツボに入っちゃって(笑)。

森山:その話知らない(笑)。

高橋:それで“高橋さんお願いします”って(笑)。当時はみんな下手っぴーだったよ(笑)。でもヒムロックの歌は上手かった。それで“なんで上手いんだ?”って聞いたら“俺は生まれたときから歌は上手いんだ“っていってた。

――高橋さんが加入した頃のライブはどんな感じだったんですか?

高橋:イケイケだったよ。俺らは速い曲をガーッと演奏するだけ。俺は両手両足つりながら叩いてたよ(笑)。ステージに上がってくるヤツらに“上がってくんじゃねぇよ!”って怒ったり、後ろのほうで腕組んで見てる客には“ぼーっとつっ立ってんじゃねぇよ!”とか。MCも喧嘩ごしだったね。

――当時から『MORAL』に収録されていた「IMAGE DOWN」、「NO.NEW YORK」は人気だったんですか?

高橋:両方うけてた。だから、初期からこの2曲は絶対ライブで外さなかったからね。

森山:ずっと最後、解散するまでやってたね。

高橋:『MORAL』はさ、実はレコード会社も決まらないままレコーディングしてたんだよ。

森山:そうなの?

高橋:その頃Beingに所属してて、事務所の人が各レコード会社にその音を持っていくんだけど、“歌詞が汚いからダメだ”って断られて。歌詞を書き直したら出してもいいっていわれて「IMAGE DOWN」を書き直したりしたんだけど、結局ダメで。最後に拾ってくれたのがビクターインビテーションだった。それで、後のほうに「DAKARA」を入れた『MORAL+3』っていうのを出したでしょ? あれはビクターのほうから『MORAL』を出した後“次のアルバム、どうしましょう?”という話があって、次のアルバムのデモを録ってたの。「DAKARA」はそのとき録ったものなんだよ。

――今回のベストにも選出されてましたよね。

高橋:そう。「DAKARA」も含めて、当時は2作目もパンクっぽいものを作る予定だったんだ。だけど頓挫しちゃったんだよ。

――それで、2ndアルバムが『INSTANT LOVE』になったんですね。

森山:2枚目のこのアルバムがメチャクチャよかったんだよね。

高橋:いきなりコロッと変わったからね。

森山:メンバーが2人抜けて、音も変わらざるを得なかった。

高橋:アルバムを出してライブも変わったのよ。それで「IMAGE DOWN」とかやらなくなったら客が怒りだしたね(笑)。パンクだと思ってたのにいきなりここからニューロマ(ンティック)になっちゃって、ヒラヒラした衣装着たりメイクして。

森山:ニューウェーブになっちゃったから。

高橋:客層が変わったよね?

森山:入れ替わったね。

――そんな変革期を経て、次は東芝EMIと契約し、事務所もユイに移籍してアルバム『BOΦWY』が誕生する訳ですね。

高橋:ここからレコーディングががらっと変わるの。いままでの2枚のアルバムは何もかもが中途半端なんだよ。でも、ここからは事務所とレコード会社ががっちり線路を引いてくれるようになったから。そこでまずプロデューサーは誰にするって話になったときに、布袋が佐久間(正英)さんに頼みたいっていって声をかけたの。佐久間さんは、最初断ろうと思ってたらしくて、EMIが諦めるのを見越して“じゃあベルリンでレコーディングどうですか?”ってふっかけたら、EMIからまさかのOKが出て(一同笑)。佐久間さんも言った手前引けなくなて『BOΦWY』はベルリンでレコーディングしたというね。

――今回のベスト盤に7曲も選ばれている『BOΦWY』に、そんな逸話があったとは驚きですよ。

森山:ふはははは(笑)。面白いよね。

高橋:レコード会社も当時はお金があったんだよ(笑)。

森山:でも、このアルバムからやっとプロの作り込んだサウンドになったよね?

高橋:やっとね。

森山:これに入ってる曲って、タイトルも違うし、構成も変わってるんだけど、原型の曲はほとんどライブでやってた曲なんですよね。

◆「『PSYCHOPATH』を作ってる頃から俺たちのなかには
“これが最後のレコーディングだ”っていう気持ちがどこかにあった」(高橋)


――ではその後に出した『JUST A HERO』ですが。

高橋:このアルバムでは、まだ初登場1位にはならなかったけど。

森山:地方でもライブは中ホールになっていて。

高橋:その締めくくりで“ライブハウス武道館へようこそ”の日本武道館でやったんだよ。武道館はお客さんが入ると。

森山:意外と狭く感じるね。初めてやったときは、客の声がデカくてびっくりした。

高橋:キャーキャーいってたもん。

森山:布袋君が下手のソデに行って煽ると、下手のお客さん2000人が一斉に悲鳴上げるんですよ。音はしっかり外には出てるんだけど、その音までかき消されて。それぐらい人の生声って凄いんだと思いましたね。

高橋:あの声援の凄さはビートルズかBOΦWYかってぐらいに凄かったから(笑)。あと『JUST A HERO』といえば、今回のベストでも選ばれた「わがままジュリエット」っていう曲があるでしょ? 俺はこれ、ライブでは同期があるからクリック聴きながらやってんだけど。ツアーで行った宮崎かな? ライブの本番で勢い余ってヘッドフォンがぽろっと取れちゃったんだよ。そうしたら森やんがすぐさま…。

森山:“同期の音を切って!”ってスタッフに指示を出したっていうのがあったね。

高橋:当時はイヤモ二とかなかったからさ。

森山:片耳のヘッドフォンをわざわざ作ったり。

――続いて出したのが『BEAT EMOTION』。

高橋:当時のエピソードといえば、このアルバム制作のとき一番最初にやったのは、あの有名なアルバムジャケットの撮影だからね。

森山:へー、それが先なんだ。

高橋:それで、今日はこれで終わりだろうと思ってヒムロックと一緒にヒムロックの家に戻ったんだよ。そうしたら、これからレコーディング始めるからって連絡がきて。しょうがないからヒムロックの家でシャワーしてレコーディングスタジオに行ったよ。この頃になると演奏力も上がってるから、アルバムのなかでは一番曲数多いんだけど、レコーディングはすごい速かった。俺と松井なんて4日ぐらいで録り終わったからね。

森山:すごいね。

高橋:それで、ヒムロックはいきなりこんなに詞書けそうもねぇよっていって、レコーディング終わってスタジオの隅で麻雀やってた俺と松井に“お前ら暇だろ? この曲の歌詞書けよ”って怒られて(笑)。

森山:なるほど(笑)。

――そんな経緯から、本作にも収録されている松井さんが歌詞を書いた「WORKING MAN」、高橋さんが書いた「DRAMATIC? DRASTIC!」が生まれた訳ですね。

高橋:そうだよ~。

森山:ライブも含めて、バンドとしてこの頃が一番アブラが乗ってたね。

――そしてその後に作ったのが、ラストアルバム『PSYCHOPATH』。

高橋:これを作ってる頃から俺たちのなかには“これが最後のレコーディングだ”っていう気持ちがどこかにあったから、松井と2人、割と淡々とやってたね。ツアーが始まるときから俺らは終わるのが分かってたから、若干ね…気持ち的には落ちてる感はあった。ちゃんとやってるんだけど。

森山:そうだね。

◆「ポップスの要素もきちんと持ってるし、ロックの要素も持ってるし。
よく練られた曲が多くて、実に上手く作ってると思います」(森山)


――活動期間はわずか6年、その間にこれら6枚のアルバムを作ってBOΦWYは解散を迎える訳ですが。その解散から今年(2013年)で25年。

高橋:普通さ、25年も経つと“あの人はいま”って話になるじゃん? いまの若い子はさ、氷室と布袋が一緒にバンドやってたことも知らないだろうし。でも、氷室も布袋も松ちゃんも俺も、いまでも音楽はやってる。そういうのがあるからなのかもしれないけど。それでも……こんなに想い続けてもらえるって不思議。変なバンドだね(微笑)。

森山:BOΦWYは楽曲がいいから。ポップスの要素もきちんと持ってるし、ロックの要素も持ってるし。よく練られた曲が多くて、実に上手く作ってると思いますよ。例えば、パンクの時代を振り返っても『MORAL』のなかに「NO.NEW YORK」なんて曲が同居してる。あのなかにこれが入るとめちゃくちゃオシャレな曲に聴こえる訳ですよ。

高橋:そういうのあるよね。全部同じだと聴いてるほうも飽きるでしょ?

森山:『MORAL』を作った頃からそういうことやってるんですよ。このバンドは。

高橋:いろんな曲やってるよね。

――そのなかから選ばれた楽曲が収録された今回のベスト。ファン投票の結果を見て、意外だなと思ったことってありました?

高橋:BOΦWYはロックンロールバンドだから、俺は「ONLY YOU」とか「MARIONETTE」が1位にくんのかなと思ってたの。そうしたら「CLOUDY HEART」だったから、それは意外だなと思いつつも、なるほどなと。

森山:「CLOUDY HEART」は唯一バラードバラードした曲だからね。でも大体予想した通りの感じでした。僕は『MORAL』から4曲も入ってたのは意外でしたけど。

――それでは最後に、BOΦWYファンに一言メッセージをお願いします。

高橋:BOΦWYのファンは濃いというか、諦めない、飽きない人たちなんだよね(笑)。でも、それぐらいこのバンドには何かあるんだろうし。こういう人たちがいるからこそ、今回こういうものが出せたんだから。ありがたいことですよ。これからも宜しくお願いします!

取材・文●東條祥恵

BEST ALBUM
『BOΦWY THE BEST “STORY”』
2013年3月21日発売
30周年30曲3,000円(2枚組)
高音質Blu-spec CD2

[ディスク1]
1. IMAGE DOWN
2. NO.NEW YORK
3. ON MY BEAT
4. DAKARA
5. FUNNY-BOY
6. DREAMIN’
7. BABY ACTION
8. ホンキー・トンキー・クレイジー
9. BAD FEELING
10. CHU- RU- LU
11. ハイウェイに乗る前に
12. CLOUDY HEART
13. “16”
14. わがままジュリエット
15. JUSTY
16. ミス・ミステリー・レディ(VISUAL VISION)
17. LIKE A CHILD
[ディスク2]
1. B-BLUE
2. ONLY YOU
3. WORKING MAN
4. RAIN IN MY HEART
5. DRAMATICDRASTIC!
6. SENSITIVE LOVE
7. LIAR GIRL
8. LONGER THAN FOREVER
9. MARIONETTE
10. PLASTIC BOMB
11. FANTASTIC STORY
12. MEMORY
13. 季節が君だけを変える
BONUS TRACK
14. NO.NEW YORK<12インチversion>
15. CLOUDY HEART<Single Version>
※ディスク1
1~4「MORAL」(1st ALBUM )より
5「INSTANT LOVE」(2nd ALBUM)より
6~12「BOφWY」(3rd ALBUM)より
14~17「JUST A HERO」(4thALBUM)より
※ディスク2
1~6 「BEAT EMOTION」(5th ALBUM)より
7~13 「PSYCHOPATH」(6th ALBUM)より
※ディスク1 13&BONUS TRACK 2曲 「SINGLES」より

◆高橋まこと情報
<福島復興支援 チャリティーLIVE SPIN OUT
TAKAHASHI MAKOTO VS BOOWY 60×60~ CROSS OVER JAPAN CHARTY GIGS ~>
※60歳を迎える50代最後の年に、BOΦWYの6枚のアルバム、60曲を二日間に渡りコンプリートする。
4月6日(土)MORAL、INSTANT LOVE、BOΦWY
4月7日(日)JUST A HERO、BEAT EMOTION、PSYCHOPATH
会場:Zher The ZOO YOYOGI
http://www.ukproject.com/zherthezoo/
OPEN PM 17:00 / START PM 18:00

◆BOΦWY オフィシャルサイト