【月刊BARKS 浜崎貴司 vs 安藤広一 特別対談 Vol.3】
FLYING KIDS解散、再結成、そしてソロ最新作『ガチダチ』へ

一人のアーティストを深く掘り下げて、その音楽性、個性、与えた影響などを紹介していくこの企画。1990年代に登場し時代の寵児的な存在として音楽界を賑わしたFLYING KIDSの浜崎貴司が登場。そしてその時代を二人三脚で歩んだ元The Roosters(※)のキーボーディストであり、ビクターエンタテインメントのディレクターであった安藤広一に当時の模様を語ってもらった。この組み合わせがどのようなケミストリーを生み出し、そのロック魂を爆発させていったのか。4回連載の第三回目をお届けする。

■PART3:解散、再結成、そしてソロ最新作『ガチダチ』へ■

1998年、FLYING KIDS解散。浜崎はソロに転じるが、安藤との絆は変わらず続く。やがて安藤の立ち上げたマネージメント会社に浜崎が合流し、二人が再びタッグを組むことになったあと、2007年にはFLYING KIDS再結成が発表された。現在は別の立場から浜崎とFLYING KIDSを見守る安藤から見た、今のバンドの状況、浜崎のソロ活動、そして最新作『ガチダチ』の素晴らしさへと話は続く──。

──安藤さん、2007年のFLYING KIDS再結成は、やっぱりうれしかったですか。

安藤:うん。あのね、FLYING KIDSが解散する時、僕が知るのは遅かったんです。それがずっと悔しかった。それはマネージメントが、メンバーを守らなきゃいけないということも含めて、マネージメントの中で決めた上で、それを前提にレコード会社と話をして、どう決着させるか?という話だったから。当時の制作のトップにまず話が行って、そこから下りてくる順番になるという、仕組みはわかっていてもやっぱり悔しかった。ある日突然熊本で知らされて、ビックリしたんです。そういうことがあったんで、またFLYING KIDSが始まる時に、初めから一緒にいられたことがうれしい。というか、いち早く知りたかったんですよ。

──何か変化は感じますか? 昔と比べて。

安藤:一番大きいのは、女の子がいなくなって見た目が変わったこと。でも野郎ばかりのFLYING KIDSは、それなりにカッコいいと僕は思ってるんで。しかもみんないいオッサンだし、一番カッコいい状況を作れるんですよ。70歳、80歳になればまた違うだろうけど、40歳や50歳だったら、しばらく楽器を触ってなかったとしても、あっという間に手癖を思い出すだろうと思ってたし、全然不安はなかった。なので、自信を持って復活宣言を、僕もいろんなところに言いに行けた。じゃなかったら、いきなり「イベントに出せ」なんて言えないですよ。

──ですよね。

安藤:あとね、僕だけじゃなく、FLYING KIDS応援団のような人たちが、気持ちを収めたままずっと待ってたんですよ。で、いざという時には「OK!」ってなる。日本中北から南までいるんです、そういう連中が。そこに僕がポンと投げるだけで、すぐに反応するから。そういうことだと思いますよ。

──幸せなバンドです。

浜崎:そうですね、本当に。みんなに良くしてもらって、未だにこうやって音楽を続けられるのは幸福なことだなって、この期に及んでつくづく思います。

──安藤さんは、最近の、弾き語りメインの浜崎さんのソロ活動はどうですか?

安藤:自分でギターを弾いて歌うというスタイルは、早くやってほしかった。言ってたよね?

浜崎:うん。

安藤:とにかく弾き語りをやってくれよって。そうすると本当の力が全部出てくるんじゃないかな?と思っていたので。僕は大好きだし、それがまたFLYING KIDSに返ってくればいいし、FLYING KIDSをまたソロに戻せばいい。ぐるぐる回していけば、どんどん面白くなるんじゃないかな。どちらか一方だけをやってほしいとは思わない。今は僕は違う仕事をやってるから、直接の関係性はないわけだけど、本当に頼もしいですよ。今回のニューアルバムを聴いても、それぞれいろんなぶつかりあいをしてるなと思うし、生で「GACHI」のライヴも見てきたわけだから。早くパッケージにならないかなと思っていたし、それがこういう形になってくれたのですごくうれしいでです。

浜崎:おかしいのは、ライヴ中に「イエーイ!」とかってすごい声が聞こえて、「今日はノリのいい客がいるな」と思って。その声が引っ張ってみんなを盛り上げていくという感じになった時に、あとで聞いたらそれがアンディだった。「サクラかよ!」って。

安藤:違う違う(笑)。あれだよ、歌舞伎で「○○屋!」みたいなさ、ぐっと来る時にパッと言いたくなるじゃない? いい演奏だったら、ピュー!って指笛を鳴らしたりとかさ。それを素直にやってるだけ。昔は照れてできなかったけど、今は自分の気持ちで何でもやっちゃうから。ぐっと来た時にはやりますよ。ぐっと来ない時にはやりません。

──安藤さん、『ガチダチ』はどんなふうに聴きました?

安藤:本当に面白いものができたと思うけど、曲として一番しっくり聴けたのが、おおはた雄一くんとの「ウィスキー」。これは本当にいいなと思った。あとは、一個一個の曲の解説は僕はできないけど、(奥田)民生くんと浜ちゃんとのぶつかりあいは、両方がうまい感じで出ている気がして良かったな。混じりあってないけど混じってるという、民生節があって、浜崎節があるみたいな感じ。僕が二人のバックボーンを知ってるからかもしれないけど。(斉藤)和義くんとの「デタラメ」に関しては、あうんの呼吸で、本当にわかってやってる感じがする。でも民生くんとは、「浜ちゃん、こう来たか」「民生、こう来たか」って、やりあってる感じに聴こえて、面白いと思った。

──相手によって混ざり具合が自然に変わるんですね。

浜崎:うん。まぁいろんなバンドも、ソロも、コラボレーションも含めて、いろんな形で音楽と向き合ってきたことの、一つの集大成みたいな感じになりましたね。最終的には、一番重要なことは何かというと、曲と演奏であって、理屈じゃないところにたどりつくという意識はすごく大きかったと思います。それは経験という時間があったからで、この間もSPEEDATAR20周年ということがあって、インタビューに答えたんですけども、アンディも含めていろんな方々にたくさんの力を借りたことに、この期に及んでつくづく感謝してます。僕らの世代は本当にラッキーだったなと思うのは、いろんな人たちがこういう一つの素材というか、若い力に向かって、大事に育てていくという目線がすごくあったし、その恩恵をたくさん受けて今に至るという気がしてますね。セールス的に売れなくても、やっていることに対しての評価が良ければ「どんどんやろうぜ」というような風潮があったから。「金じゃないんだよ。でも金も稼がなきゃな」みたいな、両方あったんだけど、まずはビジネスよりも音楽が大事なんだということで、時間をたくさんもらったし、環境ももらったし。その時間の中で今の自分があるなと思います。

司会進行・構成●宮本英夫

(※)The Roosters  1979年、北九州市で結成されたブルース色の強いロックバンド。

連載第四回は、【PART4:真実のない時代に向けて放つ音楽~未来へ】を後日お届けする。2013年、浜崎貴司ソロデビュー15年、FLYING KIDS結成25年。その長く濃厚な経験を生かしつつ、ノスタルジーに引きずられず今を生きる実感を求める浜崎の生活と音楽は、ニューアルバム『ガチダチ』で一つの理想形を見出した。そしてその向こうにある未来について、安藤は日本の音楽シーンの良き成長を願い、浜崎は「小さな商店でいいものをちゃんと売る」ことに方向性を見出す。それぞれの歩みは止まることなく未来を目指す話が展開する。

『ガチダチ』
2013年1月30日(水)リリース
VICL-63989 \2,400(tax in)
1.君と僕 / 浜崎貴司×奥田民生
2.デタラメ / 浜崎貴司×斉藤和義
3.セナカアワセ / 浜崎貴司×中村中
4.グローバ・リズム / 浜崎貴司×佐藤タイジ
5.ウィスキー / 浜崎貴司×おおはた雄一
6.ぼくらのX'mas-Song / 浜崎貴司×仲井戸“CHABO”麗市
7.ヒバナ / 浜崎貴司×高木完
8.ゆくえ / 浜崎貴司×曽我部恵一

浜崎貴司 弾き語りツアー<LIFE WORKS LIVE ~Since2011/終わりなきひとり旅>
2013.04.05 (金) 福井県 福井CHOP
[問]福井CHOP TEL 0776-34-3558
[問]FOB TEL 076-232-2424
2013.04.06 (土) 富山県 総曲輪かふぇ 橙
[問]総曲輪かふぇ 橙 TEL 076-482-5986
[問]FOB TEL 076-232-2424
2013.04.07 (日) 石川県 金沢もっきりや
[問]もっきりや TEL 076-231-0096
[問]FOB TEL 076-232-2424



■FLYING KIDSの歴史

1989年3月「平成名物TV・三宅裕司のいかすバンド天国」に出場、5週勝ち抜き初代グランドキングとる。1990年、シングル「幸せであるように」でメジャーデビュー。

ファンクミュージックからポップ路線まで幅広い振れ幅でスマッシュヒットを連発。1990年「幸せであるように」から1997年の「君にシャラララ」まで19枚のシングルと12枚のアルバムをリリース。

1998年2月12日解散。浜崎はソロとして活動を続ける。

2007年8月18日、<RISING SUN ROCK FESTIVAL 2007 in EZO>でオリジナルメンバー6人で再結成。

2009年9月23日、約12年振りのニューアルバム『エヴォリュ-ション』を発売。2011年9月21日、2年振りのアルバム『LIFE WORKS JOURNEY』をリリース。

【FLYING KIDS 作品年表】
●シングル
「幸せであるように」1990年4月4日
「我想うゆえに我あり」1990年8月21日
「心は言葉につつまれて」1990年11月21日
「新しい方々」1991年3月21日
「君だけに愛を」1991年10月21日
「TELEPHONE」1992年8月26日
「君とサザンとポートレート」1992年11月21日
「大きくなったら/虹を輝かせて」1993年8月21日
「恋の瞬間」1993年10月27日
「風の吹き抜ける場所へ」1994年6月22日
「君に告げよう」1994年11月9日
「とまどいの時を越えて」1995年4月24日
「暗闇でキッス ~Kiss in the darkness~」1995年8月23日
「Christmas Lovers/バンバンバン」1995年11月22日
「真夏のブリザード」1996年5月22日
「ディスカバリー」1996年10月28日
「僕であるために」1996年11月25日
「Love & Peanuts」1997年4月23日
「君にシャラララ」1997年9月4日

●アルバム
『続いてゆくのかな』1990年4月21日
『新しき魂の光と道』1990年12月16日
『青春は欲望のカタマリだ!』1991年10月21日
『GOSPEL HOUR』1992年5月21日
『DANCE NUMBER ONE』1992年8月26日
『レモネード』1992年12月16日
『ザ・バイブル』1993年12月16日
『FLYING KIDS』1993年9月22日
『Communication』1994年12月5日
『HOME TOWN』1995年11月1日
『真夜中の革命』1996年11月25日
『Down to Earth』1997年10月22日
『BESTOFTHEFLYINGKIDS』1998年2月11日
『FLYING KIDS NOW! ~THE NEW BEST OF FLYING KIDS~』2004年2月25日
『エヴォリュ-ション』2009年9月23日
『LIFE WORKS JOURNEY』2011年9月21日

【浜崎貴司 作品年表】
●シングル
「ココロの底」1998年12月2日
「どんな気持ちだい?」1999年6月23日
「誰かが誰かに」1999年10月6日
「ダンス☆ナンバー」2004年1月28日
「オリオン通り」2004年8月7日
「スーパーサマー・バイブレーション!!」2005年7月20日
「ラブ・リルカ」2005年9月28日
「Beautiful!!」2007年7月14日
「MERRY~ぬくもりだけを届けて」2007年10月24日
「モノクローム/オリオン通り」2008年2月20日

●アルバム
『新呼吸』1999年11月20日
『俺はまたいつかいなくなるから』2001年6月2日
『AIと身体のSWING』2002年3月27日
『2002』2002年12月8日
『トワイライト』2003年9月29日
『発情』2004年2月25日
『1』2008年3月26日
『NAKED』2010年9月29日
『ガチダチ』2013年1月30日

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