【インタビュー】さめざめ、女たちの隠された日常とそこに秘められた情念・純情について語る

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2012年12月にシングル「愛とか夢とか恋とかSEXとか」でデビューした、さめざめの入門ベストアルバム『さめざめ問題集』には、“言いたくても言えない”女性の本音があふれている。哀しみも怒りも罵りも、痛々しいほど赤裸々にさらけ出したリリックに、ミスマッチなほどキュートなヴォーカル。そしてロックからポップ、バラードと幅広いながら、80~90年代の歌謡曲を思わせるキャッチーなサウンドが誘う、女たちの隠された日常。プロジェクトの主たる笛田さおりが、そこに秘められた情念と純情について語る。

■決して“コンドームをつけないでやりたい”なんていう歌ではないんです(笑)。■

――タイトルからして、かなり衝撃的な楽曲が並んでいますが、まず確認させてください。2曲目に「コンドームをつけないこの勇気を愛してよ」という曲がありますけれど、なぜコンドームをつけないこと=勇気なんでしょう? ちょっと、そこがピンと来なくて。

笛田さおり(以下、笛田):あ、生がお好きなんですか?

――そういうことじゃなくて(笑)。これって、そんなリスクを冒してまで彼のことを引き留めておきたいっていうことですよね。

笛田:そうです、そうです。

――でも、そうしなければ引き留めておけない程度の信頼関係しかない相手だったら、本当に生理が来なかったときに捨てられるのは明白で、自分が傷つくだけじゃないですか。そんなの傍から見ると勇気でもなんでもないですし、そもそも結婚する意志のない相手とSEXするときにコンドームをつけないような、女性を快楽の道具としてしか見ていないロクでもない男に執着するなんて、“バカなの?”としか思えないんです。

笛田:そこは人ぞれぞれで、要するにこの曲の主人公は、男性をそういうところでしか引き留められない弱さを持っているんですね。男に縋りつくというか依存してしまうタイプの女性で、1ヶ月後の生理のことを考える前に、その人が好きで好きでたまらなくて、とにかく今、どうにかしたい。で、実際そこにつけ込むヒドい男も、私の周りには多いんですよ。“俺と遊ぶ女の子は、みんな暗黙の了解でつけないよ”とかって粋がったり。

――最低ですね。罪悪感を持たないなんて。

笛田:もちろん、男性の中にも“そんな男がいるのか!?”って言うような真面目な人もいますよ! ただ、他人に打ち明けるのには勇気がいることだから隠しているけれど、私の周りでは日常的に存在している出来事なのも事実で。そうやって“無い”ように見えても、実は身の回りに“ある”ってことが、世の中には多いんじゃないかなぁ……っていうのが、この曲で一番伝えたかったことなんです。決して“コンドームをつけないでやりたい”なんていう歌ではない(笑)。

――裏返すと、普通は打ち明けられないようなことまで、笛田さんは周りの方々から聞いているということ?

笛田:残念ながら“類は友を呼ぶ”というか(笑)。こういう歌を歌っているせいか、恋愛相談をされることがすごく多いんです。結局みんな友達に相談すると“そんな男やめたほうがいいよ”って否定されるのがわかってるから、私のところに来るんですよ。で、そこから、また曲が生まれたりもして、1曲目の「みんなおバカさん」も、そう。

――どんな恋愛相談をされたんですか?

笛田:向こうからのアプローチでつき合ったのに、1ヶ月後に“やっぱり自分のことで精一杯だから別れたい”と言われたって。そしたら後日、実はその男が私の知り合いに手を出そうとしているのがわかったんですよ! 要するに、興味本位で近づいたのにすぐ飽きて、別の女に行こうとしてたんですよね。特典音源の「あの女」も、女子会をしてたときにある子が“あの女が……!”って言った瞬間、インスピレーションを受けたんです。そこまで恨まれる“あの女”って、いったいどんな女なんだろう?ってところから、私なりの“あの女”像を創り上げていった感じですね。

――ただ、歌詞を見ると本当に悪いのは男のほうであって、それなのに相手の女に対する怒りのほうが大きいんですよね。そこに女のダメな部分を突きつけられた気がして、ちょっと嫌な気持ちになりました。

笛田:まさに、そこを書きたかったんですよ! 責めるべきは自分の男なのに“あの女が引っかけたたんだ、私の男は悪くない!”って主張する女の醜さを、あえて歌いたかったんです。

――「ぶりっこぶりっこ」にしても、誰かに嫌悪感を抱くのは同じ要素を自分自身も持っているからだ、ってことを浮き彫りにしてますし。なんだか隠しているものを抉り出すような曲が多くて、つくづく“さめざめはドS”だなと。

笛田:そうかもしれません(笑)。実際、さめざめの曲で癒したり、慰めたりするつもりは全然なくて。ただ、泣きたいときに泣けたり、イライラしてるときにもっとイライラできたり、感情の起伏を豊かにはしてくれると思うんですよ。なので、落ち込んでるときとか怒っているときに聴いて、感情を振り切ってスッキリしてもらえたらいいなと。

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