【インタビュー】ケツメイシ、「月と太陽」を聴いて「単純な世界に自分がいることを実感してほしい」

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ニューシングル「月と太陽」を5月22日にリリースするケツメイシ。テレビ朝日系木曜ドラマ『ダブルス~二人の刑事』エンディングテーマにも起用されているこの曲は、ケツメイシの2013年第1弾シングルであり、月と太陽のように寄り添いながら生きていく、二人の人間愛を歌った、切なくも美しい楽曲となっている。

そこで、ケツメイシに本シングルに込めた想いについて訊いた。

  ◆  ◆  ◆

── 2012年末にアルバム『KETSUNOPOLIS 8』をリリースしてからのことを教えて下さい。

DJ KOHNO:アルバムはいろんなリアクションをいただきましたね。いいと言ってくれる人もいれば、そうでない人もいて。今年はさまざまな反響を受け止める時間でしたね。

RYOJI:まさしくだね。

大蔵:どこに向おうとしているんだ?という人と、ケツメイシは進化しようとしているんだよと理解してくれる人がいて、いい意味で反響が大きかったアルバムだったなと思いました。

── そして、2013年最初のシングルリリース。収録3曲すべてがタイアップですが、そのことにより作り方に変化は?

RYOJI:要望に応えるカタチで作る曲だったりするので、多少とまどう部分もあるんですけど。まぁ何せ『KETSUNOPOLIS 8』で一度向こう側を見て来ているので、間をとれたというか。先端もありつつ、わかりやすさもある仕上がりになっているのかなって。曲作り自体に苦労とかはないですけど。

── 「月と太陽」は、ドラマ『ダブルス~二人の刑事』(毎週木曜21時)のエンディングテーマのために書き下ろしですが。

DJ KOHNO:ツアーの打ち合わせをやっている時に、このお話をいただいて。

RYOJI:今までは、ツアー前はツアーに集中させてもらっていたんですけど、今回はその前にも制作がワーッと入ってきたという。新しいことをやりました。他のアーティストでは当たり前のことなんでしょうけど(笑)

RYO:いつも3勤4休みたいな感じだったんですけど、ツアー前は。今回は週1日くらいしか休みがなかったですね。

大蔵:作り方としては最初にドラマのあらすじをいただいたんです。

RYOJI:特に指定とかはなかったので、(ストーリーを元に)自由に作らせてもらいましたね。

── みなさんは、これまでもドラマ主題歌を手がけていますが、それらとの違いは?

RYOJI:せっかくこの間のアルバムで冒険させてもらったので、自分達の色を出さなくてはいけないというところにこだわりましたね。ドラマの内容に寄せるというよりは、自分達の歌いたいことをしっかり表現する。そこで、うまくドラマとリンクしていけばいいんじゃないかって。」

── 結果、この曲は「月と太陽」「影と光」のような対峙するものを題材にしていますが。

大蔵:最初はRYOJIくんから、陰と陽のような対極にあるもの。ドラマでいうと捕まえる側と、追いかける側(の心理を表現しよう)というのがあって、そこから膨らんでいった感じですね。

RYOJI:本当は捕まえられるというのは、犯罪者にとってマイナス面が大きいように思えるじゃないですか。でも、よくよく考えると捕まえられることにより、解放される部分もあるんじゃないかって思うんですよ。だから、刑事がそういう気持ちを持って追いかけているなら、素敵だなって思いまして。悪いヤツを捕まえるというよりは、救ってやるという感覚で、刑事ってのはいてほしいなというのが、曲に反映されている部分はありますね。

RYO:時効前の犯罪者って、このまま逃げてしまいたいという気持ちがある反面、実は捕まえてほしいという思いもあるみたいですしね。

── また、ドラマのストーリーにリンクしていると同時に、「大切な人を守りたい」という思いの伝わる内容にもなっていますね。

RYOJI:そうですね。友情、愛情(というとらえ方)もありますし。なかなか全員が元気な時ってないじゃないですか。平凡な日々でありながらも、どちらかに何かが起きて、それを相手が支えるということが、日常にあふれていると思うんですよね。なので、この曲を聴いて自分達の日常に照らし合わせてもらえたらいいなって思いました。

── RYOさん、大蔵さんはこの曲に対するこだわりは?

RYO:今回書き直しとかして。しんどかった部分はありますが、いろんなラップの仕方などを追求できたのがよかったですね。僕は、字数とか分析するのが好きでラップを20年近くやっているんですけど。まだまだ面白い方法があるんだなというのが発見できた制作でしたね」
大蔵:今回は耳に残るものだとか、ラップの切り口など、これまでにはないやり方に挑戦しようという流れになったので、そのあたりは意識して制作した部分はあります。

── トラックに関しては?

DJ KOHNO:僕は、今回はトラックというより、ラップのディレクションをする立場のほうが大きかった。この曲に関しては、さっきからみんなが話しているように、今までにない切り口からラップを探していこうよというところからスタートして、この曲が完成して、その流れにのって他の2曲においても新しいことに挑戦できたのがよかったですね。『KETSUNOPOLIS 8』で新しいことに挑戦して受け入れて、そこからさらに進化しようという姿勢を作るきっかけになった曲だと思う。

── RYOJIさんは、ラッパー/シンガーとして「月と太陽」に対するこだわりは?

RYOJI:個人的には、自分の頭のなかにあったものを、他のメンバーにも協力してもらって表現できたのかなって感じですね。

── ビデオクリップについて。今回はケント・モリさんが参加。とても神秘的でドラマティックな仕上がりに。彼に登場してもらったいきさつ。仕上がりについては?

RYOJI:僕的にクセになるダンス、吸い込まれるようなダンスをしてくれる人を求めていた。と同時に「陰と陽」極端を表現しつつも、その中間をうまく表現してくれる人を探していた。中間が伝えられないと本当の「陰と陽」は伝わらないと思ったので。そこで思い浮かんだのが、ケントさんでした。実際撮影現場を拝見したのですが、素晴らしかったですね。プロ意識がすごく高く、例えるなら同じ材料でホットケーキを作っているはずなのに、味が全然違うみたいな。想像を超えるようなパフォーマンスを披露してくれましたね。

RYO:彼のなかには、思い描いている映像がしっかりあって。そういうのを持っているってすげえな、若いのにって(笑)。

RYOJI:若いから(いろんなアイデアがある)って部分もあるんじゃないの!?(笑)。

RYO:かも。ただ、本当にケントさんの持っている世界観はすご過ぎ。自分達には決して真似できない領域だなって。自分達なりのやり方で。やっていこうと思いましたね。

RYOJI:でも、僕はやろうと思っている根本って変わらないなって、逆に思いましたけどね。

大蔵:僕ら、ケントさんのパフォーマンスの後に撮影したんですけど、必要かな?って思いましたね。

RYO:最後にはディレクターさんに極力、僕らの出演シーンは減らしてほしいとお願いしました(笑)。

── ところで「月と太陽」にかけて。ご自身は「月」と「太陽」どちらのタイプだと思いますか?

RYOJI:僕は月だと思いますね。基本、家でひとり過ごすのが好きなんで。特に賑やかな場所に出た後は、そういう傾向になってしまう。満月の時くらいじゃないですか。大騒ぎしたくなるのは(笑)。

DJ KOHNO:僕は以前占い師から、太陽のオーラを持っていると言われたことがあります。人を集める魅力があるけど、近づき過ぎるとその熱さでみんな遠のいてしまうって。本当は孤独な人間って言われました(苦笑)。

RYOJI:リアルな太陽嫌いなんですよ。彼は。ハワイに行った時も日中外出せず、ホテルでゲームしていたという(笑)。

DJ KOHNO:太陽と太陽なんで、衝突しちゃうんですよ(笑)。だからすっかり日が暮れてから、外に出かけるという。

大蔵:僕はリアル太陽や、賑やかな場所にいるのが好きなんで太陽タイプなんでしょうね。

RYO:僕は完全に闇(笑)。初対面の人には、いろいろ気を使って会話を神経すり減らしてするんですけど、仲良くなっていくたびに、会話をしなくなっていく。思いっきり解放的になるのは、ライヴ中か風俗に行っている時くらい(笑)。
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