6月29日、名古屋の東海中学校・高等学校にて開催された市民公開講座「サタデープログラム」に、吉川友が登場。中学生を前に、特別講師として初めて教壇に立った。

◆吉川 友 土曜公開講座「サタデープログラム」画像

「サタデープログラム」は、2002年から東海中学・高校が行なっている公開講座。これまで同校出身の政治家をはじめ、各界の著名人が講演を行なっている。23回目となった今回も、同校出身であり、「今でしょ!」でおなじみ林修 東進ハイスクール講師や、河村たかし名古屋市長、NHKの気象予報士やロボットクリエイター、漫画家、ゲーム音楽作曲者などなどバラエティーに富んだ講師陣が、数多くの興味深い講演を行なった。

吉川友が、東海ラジオの源石和輝アナウンサー(東海ラジオ 月~金曜 あさ6:00~ 『源石和輝モルゲン!!』パーソナリティ)とともに担当した講義は「今こそ、自分の「声」で伝えよう」。アナウンサーと歌手。どちらも声のプロフェッショナルが受け持つにふさわしいテーマだ。

数多くアイドルのイベントがあった土曜日、“ある一面で比較した場合、その大本命イベント”と、アイドル好きの間で囁かれていたのが、きっか先生の講義。なお、今回、中学生対象ということで、教室では、東海中学の生徒を中心とした中学生たちが席につき、そして後方には多くの“父兄”たちが“授業参観”として詰めかけた(もっとも、この父兄が、“誰の保護者(的立ち位置)”なのかは言うまでもない)。

11:50の講義スタートを前に、東海ラジオでオンエアされている吉川友のレギュラー番組『吉川友のラジオやってみっか!』(毎週月曜日夜8:30~)の担当ディレクターで、ブログ等々でもおなじみ“みっちゃん”が前説をスタートする。

さて、講師初体験のきっか。楽屋では、いつも通りの強引さとハチャメチャぶりを記者を含む周りのスタッフに存分に発揮していた。

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── きっか先生、今回、初講義ということで、教壇に立たれる直前の心境を一言お願いします。

きっか先生:「(やさしく)いいですよ!」「(両手を前に出して振りながら)いっ、いいですよ!」

── ……あ、はい。ありがとうございました。

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ところが、きっか先生として本番スタンバイのために移動すると、緊張の度合いがグッと深まっていく。それは彼女にしては珍しく、緊張しているのが思わず顔に出てしまうほど。もちろん本人もそれに気づいているようで、カメラを向けると台本で顔を隠して撮影NGと言わんばかりのアピール。そして、持ち前のサービス精神で、カメラを前に様々な表情をしてみせる。しかし、その表情すら、どこかぎこちない。

まずは源石アナウンサーが教室へ。本講義の概要を説明し、そして声がテーマなので、中学生と父兄も参加しての発声練習。「お綾や親にお謝り」といった定番の早口言葉は難なくこなしていく参加者たちだったが、昨今、多くの司会者や芸能人たちが苦戦している「きゃりーぱみゅぱみゅ」×3回は、やっぱり難しかったようだ。

「あー。」という長音の発声を教室前の廊下で生徒とともに実践していたきっか先生。そしていよいよ入室。源石和輝(元気な東海ラジオアナウンサー)×吉川友(元気なアイドル)による特別講義がスタートだ。

生徒と父兄から名前を呼ばれて、少し照れ気味に笑い声をあげながら小走りでやってくるきっか先生。教壇に立ってみて、その見通しの良さに驚きながら、「きっかも学生の頃は、(先生から)こう見られていたんですね。一番バレやすいのは端っこの方なんですね。一番後ろの端っこの子は、だいたい隠れて寝てたりとか。……まあ、きっかがたまにそうだった時があったので。」と、コメント。もっとも、東大や京大をはじめ日本有数の難関大学への進学者を数多く輩出する同校だけに、そんな生徒はいないのかもしれない。

まずは源石アナが、元気なアイドル・吉川友にインタビューする。プロフィールに書かれていた必殺の“足ぐにゃ”を久しぶりに披露したり、“特技:キャベツの千切り”を「あ、もう飽きました。」とバッサリ切り捨てて笑いを取るなど、まず、中学生たちの興味関心を引くことには成功した様子だ。

きっか先生へのインタビューは続く。自己紹介をする時に気をつけていることについて、「声を張ること。張り方にも寄るんですけど、元気に聞こえるじゃないですか。だから気をつけていますね。」と、元気なアイドルとしてのポイントを指南する。しかし、小さい時は「声は小さかったです。教室でも後ろのほうに座ってて、目立たないようにしてましたね。手を挙げたりとかもできなかったです。」と、今とはまったく違う、意外な幼少期を過ごしていたと告白。そんな先生が今のように声を出すようになったのは、バスケットを始めたのがきっかけ。キャプテンになり、声を出す必要があったからだという。そして講義中に声の小さい生徒を見つけた先生は、「(大きな声を出すのに必要なのは)きっかけじゃないですかね。……バスケ、今日から始めてください。ね? よし、バスケ部の人、この(教室の)中にいますか? ……いないですね。じゃあ、今日からみんな入ろっか!」と、なぜか強引に受講した中学生全員をバスケ部へ勧誘するのであった。

ラジカセに録音したり、カラオケで歌いながら自分の声を聞いてショックを受けたという生徒たちからの発言が次々に飛び出した「自分の声」についてのトークセッション。源石アナから、声を褒められた経験を訊ねられたきっか先生は、「よく『ハスキーですね。』って褒められることはありますね。でも、そういう時って喉の調子が悪いんですけど……。」と、求められてもいないのに自虐的なネタで笑いを取っていく。さらに、「人によっても声を使い分けることがある」という話でも、「お仕事では声を張るけど、家族とかにはそこまで声は張らないですね。『ただいまー……』って。家に帰れば“暗いアイドル”です。」と、元気なアイドルの肩書きとの対比で笑いを起こす(ただし、家に帰っても“アイドル”であることは忘れないそうだ)。

講義は、声以外=文字を使ったコミュニケーションに関するものへと入っていく。文字だけでは、捉え方が人それぞれ違うということ、また、文字を声に出して言う場合も声の使い方で意味合いや伝わり方がわかってくるということを、源石アナ、そしてきっか先生と受講者が確認する。

しかし、このパートで、きっか先生が思わず顔を真っ赤にしてマジ照れしてしまう展開が発生することになる。

文字を言葉にする際には、ただ読み上げるだけではなく、声のトーンやスピード、強さ、表情、息づかいを変えることで、より相手に伝えることができる。東日本大震災発生時に、緊迫感をもって避難を呼びかけたアナウンサーの姿を思い浮かべる人もいることだろう。これを確認するために、例として、源石アナがきっか先生に「僕と付き合ってください!」と問いかけ、きっか先生はこれを2パターンの「いいですよ!」で返す、というのを披露してみせる。

最初は、やさしさを含んだ声で、誰が聞いても「OK」だとわかる演技を披露するきっか先生。父兄も思わず頬が緩む。ところが次、「NO」の意味の「いいですよ!」で、きっか先生、なんだかちょっとぎこちない演技。会場が失笑する中で、きっか先生もあまりの自分の演技に、思わず顔を隠し「ちょっと待って。恥ずかしい……」と、耳まで赤くしながら大照れ。源石アナから「もう一回、パターン2をやってみましょうか?」と、言われると「ややや、いいです! いいですよ!」と、今度は迫真の演技(?)で、再度の爆笑と万雷の拍手を誘っていた。

しかし、きっか先生の赤面事件はこれだけでは終わらない。

次の行なわれたのは、先頭の生徒にきっか先生が同じ言葉を耳打ちして、言葉を伝える伝達ゲーム。伝えたフレーズは「これ、あついね。」。たったこれだけの言葉なのに、なぜか2列あるうちの一方の列だけ、きっか先生の耳打ちが長い。誰もが不思議に思いながらも、そんなきっか先生から発せられた言葉は、無事に最後列の父兄にまで伝わっていく。

まず、早く伝わったほうの列の父兄が、伝わってきた言葉を発表する。「これ、あついね。」。フレーズを「熱いね」の意味に受け取った様子だ。

そして、きっか先生の耳打ちが長かったほうの列の一番後ろの父兄が、回ってきた言葉を発表する。教室内の誰もが、同じ「これ、あついね。」だと考えた(もちろん、台本にもそう書いてある)。ところが、発表されたフレーズはその想像を超えていた。

「これ、あついね、あついね、あついね。」

淀川長治の姿が脳裏に浮かぶ空白の1秒。そして「きっか先生、3回耳打ちしたでしょ! そのまんま伝わりましたよ!」と、源石アナ。再度の爆笑の中で、きっか先生は「ごめんなさーい。」と、顔が真っ赤だ。

本来、この伝達ゲームでは、きっか先生が「厚いね」と「熱いね」を使い分けてそれぞれの列に伝えて、最後までその意味のまま伝わっていくかを見る、というものだった。ところがきっか先生、「厚いね」と伝えるところで、言い方に納得がいかずに何度も言い直してしまった。そしてそれがそのまま伝わってしまったというわけだ。

「“あついね”。難しいですね、日本語って。言い方が……迷っちゃった。」

教室の誰よりも、日本語の難しさを再認識したきっか先生だった。