【ライブレポート】Alice Nine、9周年攻めモード全開 「嫌なものすべてをさらけ出してかかってこい!」

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「今回のツアーが始まるまでが長くてね。レコード会社を移籍したり、いろいろとあって。でも、今はこうしてみんなとの熱いやり取りができて幸せを噛み締めてます。みんなとのこういう空間がないと、俺らって“空っぽ”なんだよね。俺たちはこの空間こそが生きる場所。万感の思いでここに立ってます」

◆<Alice Nine 9th Anniversary#1「World`s End Daybreak」> Zepp Tokyo 画像

コンサートの終盤、将(Vo)はこの日のライブの感動をそう観客に伝えた。

現状をなんとかキープできればいい、という生ぬるい選択はそこにはなかった。2013年、新天地を求めてユニバーサルミュージックへ移籍。そして「Daybreak」、「SHADOWPLAY」、「shooting star」という、今までシングルにしなかったタイプの曲を立て続けに3ヵ月連続で発売するなど、9周年という大事なアニバーサリーイヤーをとことん攻めの体制でスタートさせたAlice Nine。そんな決意から生まれた新しいAlice Nineの楽曲と既存の曲たちを勢いよくぶつけ合わせ、混在させることでネクストステージに向かう何かをみんなと掴み取りたい――。そんなチャレンジ精神溢れるライブを全国で展開してきた今回のツアー<Alice Nine 9th Anniversary#1「World`s End Daybreak」>が7月15日、Zepp Tokyoで最終公演を迎えた。

ライブは頭から攻めの一撃を放つ。開演前、さっきまで小さな音で流れていたBGMがいきなり重厚感たっぷりのクラシカルな交響曲に変わり、大ボリュームで場内に響き渡るとフロアは暗転。只ならぬ緊張感がオーディエンスに走るなか、将が声量感たっぷりの声で歌い出す。そこに沙我(B)が弾くキーボードが重なり、幕が開いて「SHADOWPLAY」のバンドパートへなだれ込む。

激しさと静かなパートをロックオペラのように繊細に、ドラマチックに行き来する複雑なこの曲のパフォーマンスにはただただ圧巻。9年目を迎えた彼らのいまの歌唱力、演奏力、バンド力をまざまざと見せつけられた。その後は「Le Grand Blue」から「TSUBASA.」でさっきまでの緊張感から観客を徐々に解き放ち「ブループラネット」では会場中がとびきりの笑顔となった。男気溢れるギターパフォーマンスを繰り広げる虎(G)に将がハイタッチを求めた後は、バンド初のタオル回しソングともいえる「Affection」でさらにテンションを上げる。サーチライトが勢いよく回転するなか、将の“C’mon, C’mon, C’mon, C’mon,”の歌に合わせてみんなが一斉にタオルを回す景色はこれまでの彼らにはなかった激ロックな盛り上がりを生み、視覚的にも新しい彼らのキラーチューンとなった。

その後は「RAINBOWS」から「Scarlet」を並べて、“昔も今も俺たちの基盤はここだ”といわんばかりに激しくヴィジュアル系然とした楽曲を披露。ヘドバンにジャンプにモッシュ、ギター・ソロでは咲き乱れ、「ハイカラなる輪舞曲」では昔と同じように“Nao(Dr)、沙我、虎、ヒロト(G)、将”の順番でメンバーコールで高揚していく観客すべてを笑顔で受け止めていくメンバーたち。Alice Nineとして何ひとつ過去を捨てることなくここまできたことに、彼らは誇りを持ち、今このステージに立っている。それを彼らのパフォーマンスが証明していた。

そして、今の彼らだからこそできる将のラップをフィーチャーしたR&Bソング「秘密」では、虎の前にアコギがセットされると、沙我がサングラスをかけ、曲に入り込む。セクシーなローヴォイスを使った将の歌い出しが、とたんに大人っぽいムーディーな空気を場内に呼び込む。

そこから「風凛」から「H.A.N.A.B.I.」という夏にピッタリな曲をたて続けに演奏して、「shooting star」へ。ミラーボールが煌めくなかで聴く彼らの最新型バラードは、音源以上にキラキラした存在感を放ち、練り上げられたアンサンブルがハンドクラップしている観客を心地よい音で優しく包む。そうして温かい気持ちになったところで、Naoのマーチングドラムが場内のテンションを炸裂させる「すべてへ」。将のエモーショナルな歌、歌詞が胸に突き刺さり、気持ちがどんどん高まったところで、さらにそこに新しいバンドの始まりを告げる「Daybreak」を響かせると、これ以上にない感動で沸いた。クールに制御されたAメロ、Bメロのアンサンブル。それが希望に満ちた開放感たっぷりのサビメロで豪快に爆発する。ヒートアップした高揚感のあと、将が“ずっと、そばにいるよ”と告げるエンディングが心に染み込んできた。この時点で、クライマックスがやってくる。

だが、ライヴはまだ終わらない。本当のクライマックスは、この後に用意されていたのだ。

「嫌なものすべてをさらけ出してかかってこい! 全部受け止めてやるから」

そんな将の力強い言葉でスタートした「Q.」以降、彼らはこの日もっとも激しい曲を4連発。最後はオープニング同様、重厚感たっぷりの「the Arc」で、しびれるようなハードなパフォーマンスを見せつけて、観客を最後の最後に本当のクライマックスに誘って本編は終了した。

アンコールはMCからスタート。本編のバンド然とした佇まいから一転。虎&将コンビが最初に姿を現し、そこにメンバーがひとりずつ加わっていくというトーク回しでテンポよく会場の笑いを誘った後、3曲を演奏。最後は「the beautiful name」。沙我のキーボードに合わせて大合唱するフロアの声とステージがひとつになって、本編で味わったクライマックスを超えるような熱い感動が場内を包みこみ、この日のライヴは終了。

将は胸の前で手を合わせ、ヒロトは誰よりも長い時間深々と頭を下げ、この感動を共に生み出してくれたオーディエンスに感謝を告げてその場を後にした。

こんなにも自信を持ってステージに立っている5人。こんなにも肩肘張らず、余裕で、楽しそうに自由にロックしているAlice Nine。そんな彼らを初めて見た気がする。攻めモード全開のまま、まだまだ新しいステージに向かって進化しそうな彼らは、今後<Alice Nine 9th Anniversary#2「World’s End Daybreak-OKYAKUSAMA DAIICHI SHUGI-」>と題したライブを(ファンクラブ会員はチケット無料!)8月25日に渋谷公会堂で開催する。8月21日にはベスト盤『Alice Nine Complete Collection Ⅱ 2010-2012』も発売されるので、2013年発売されたシングル3枚とともにベスト盤もチェックして、9年目のアニバーサリーイヤー、Alice Nineの進化の過程をぜひ目撃していただきたい。

文◎東條祥恵

<Alice Nine 9th Anniversary ♯1「World`s End Daybreak」>
2013年7月15日(月) Zepp Tokyo
SETLIST
-SE-
1.SHADOWPLAY
2.Le Grand Bleu
3.TSUBASA.
-SMC-
4.ブループラネット
5.Affection
6.RAINBOWS
7.Scarlet
8.ハイカラなる輪舞曲
9.秘密
10.風凛
11.H.A.N.A.B.I.
12.shooting star
13.すべてへ
14.Daybreak
15.Q.
16.九龍-NINE HEADS RODEO SHOW-
17.DEAD SCHOOL SCREAMING
18.the Arc
EN1.RED CARPET GOING ON
EN2.Heart of Gold
EN3.the beautiful name
 

<Alice Nine 9th Anniversary ♯2「World`s End Daybreak-OKYAKUSAMA DAIICHI SHUGI-」>
2013年8月25日(日) 渋谷公会堂
OPEN 17:00/START 17:30
一般発売:2013年8月10日(土)
[問]:DISK GARAGE 050-5533-0888

[ニコニコ生放送]
8月25日(日)12:30~
<Alice Nine 9th Anniversary #2『World`s End Daybreak-OKYAKUSAMA DAIICHI SHUGI-』>ライブ生中継
※12:30~MUSIC CLIP、LIVE映像等OA後、渋谷公会堂ライブ生中継になります。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv146402412

8月25日(日)23:00~(予定)
『超Alice9ちゃんねる』
http://live.nicovideo.jp/watch/lv146989276

BEST ALBUM
『Alice Nine Complete Collection II 2010-2012』
2013年8月21日発売
TKCA-73951 ¥2,800
収録曲
1.閃光
2.Le Grand Bleu
3.Stargazer:
4.蜃気楼
5.カルマ
6.GEMINI-0-eternal
7.GEMINI-I-the void
8.GEMINI-II-the luv
9.BLUE FLAME
10.残響ホワイトアウト
11.Heart of Gold
12.Ray
13.虹の雪
14.NEMESIS
15.すべてへ
※ブックレットに音楽ライター増田勇一氏によるメンバーインタビューライナーノーツ掲載

LIVE DVD
『Alice Nine Live 2012 Court of “9”#4 Grand Finale COUNTDOWN LIVE 12.31』
UPBH-29041 ¥4,980(税込)
■Disc 1: LIVE本編収録楽曲(本編16曲+アンコール5曲)
1.Heavenly Tale
2.閃光
3.GALLOWS
4.Q.
5.九龍-NINE HEADS RODEO SHOW-
6.BLUE FLAME
7.Kiss twice, Kiss me deadly
8.朱い風車
9.ハイカラなる輪舞曲
10.Scarlet
11.花霞
12.ハロー、ワールド
13.RAINBOWS
14.the Arc
15.DEAD SCHOOL SCREAMING
16.RED CARPET GOING ON
ENCORE
1.一月一日~the beautiful name
2.TSUBASA.
3.暁
4.Heart of Gold
5.すべてへ
■Disc2 “Special Stage Movie Collections”
Heavenly Tale
花霞
ハロー、ワールド

◆Alice Nineオフィシャルサイト
◆BARKS ヴィジュアル系・V-ROCKチャンネル「VARKS」
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