洋楽ファン必見の電子書籍『BOTH SIDES NOW~あの全米大ヒット曲、その光と影を巡る物語~』、登場

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1970年代から1990年代の洋楽ヒットにまつわる貴重なエピソードが集結した電子書籍『BOTH SIDES NOW~あの全米大ヒット曲、その光と影を巡る物語~』が発売となった。

著者の故村上太一氏は1980年代にCBSソニー(現ソニー・ミュージック)の洋楽ディレクターとして手腕をふるい、その後、雑誌やラジオで洋楽を精力的に紹介してきた人物だ。レコード制作やラジオの現場で実際に見てきた彼だからこそ書けたリアルな内容は、貴重かつ驚きの連続だ。本書は1998年から2002年までSo-net「Music Club On Line」に連載された「BOTH SIDES NOW」を加筆修正し、再構成され電子書籍化されたものだ。

本書籍で取り上げているヒット曲は、以下の様な名曲&代表曲ばかり。

1.ビリー・ジョエル「素顔のままで」(78年)
2.ELO「ホールド・オン・タイト」(81年)
3.バーティ・ヒギンズ「カサブランカ」(82年)
4.ビリー・ジョエル「アップタウン・ガール」(83年)
5.TOTO「アフリカ」(83年)
6.マイク・レノ&アン・ウィルソン
「パラダイス~フットルース愛のテーマ」(84年)
7.ガゼボ「アイ・ライク・ショパン」(84年)
8.ブルース・スプリングスティーン「ブリリアント・ディスガイズ」(87年)
9.インフォメーション・ソサイエティ「ピュア・エナジー」(88年)
10.バングルス「胸いっぱいの愛」(89年)
11.リチャード・マークス「ライト・ヒア・ウェイティング」(89年)
12.マイケル・ボルトン「ウィズアウト・ユー」(89年)
13.マライア・キャリー「ヴィジョン・オブ・ラヴ」(90年)
14.ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック「ステップ・バイ・ステップ」(90年)
15.ポール・サイモン「ボーン・アット・ザ・ライト・タイム」(90年)
16.マイケル・ジャクソン「ブラック・オア・ホワイト」(91年)
17.リチャード・マークス「瞳の誘惑」(91年)
18.グロリア・エステファン「カミング・アウト・オブ・ザ・ダーク」(91年)
19.ホイットニー・ヒューストン「オールウェイズ・ラヴ・ユー」(92年)
20.ビリー・ジョエル「リヴァー・オブ・ドリームス」(93年)

どんなエピソードが書かれているのか、少しだけ紹介しよう。

   ◆   ◆   ◆

1.ビリー・ジョエル「素顔のままで」(78年)

ビリー・ジョエルが20世紀を代表するソングライターのひとりであることに異論をはさむ人はほとんどいないだろう。なかでも、1978年度のグラミー賞“レコード・オブ・ザ・イヤー”と“ソング・オブ・ザ・イヤー”の2部門に輝いた「素顔のままで:Just The Way You Are」は彼の代表曲として世界中でヒット、いまでも繰り返し聴かれている名曲中の名曲だ。

♪流行の服なんて着ないでおくれ/髪の色も変えちゃだめよ/今のままの君が欲しいんだよ♪(訳:山本安見)と歌われるこの曲は、ビリーの最初の奥さん、エリザベスへのデディケイト・ソングだ。
(中略)
ところが、この代表曲はいつの頃からかビリーのステージで演奏されなくなってしまった。2番目の奥さんクリスティー・ブリンクリーの嫉妬が原因だ。ビリーはエリザベスと1982年に離婚。同じ年バカンスで立ち寄ったカリブ海の島で、スーパー・モデルのクリスティーにひと目惚れし、「イノセント・マン」「あの娘にアタック:TELL HER ABOUT IT」「アップタウン・ガール」と次々に歌で口説いて1984年に結婚した(1994年、離婚)。このクリスティーが「エリザベスに捧げた曲なんて聴きたくない!!」と封印してしまったのだ。以来、グラミー2冠達成曲は、ビリーのステージのソング・リストから外されてしまった、というわけだ。

実生活に則したビリーのソングライティングが生み出した“珍事”だが、この話、ここで終わらない。じつは、ヒット曲を封印してしまったクリスティーとの離婚が決まると、「素顔のままで」は生き返り、ステージでも披露されるようになったが、今度は「アップタウン・ガール」が封印されてしまったのだ。理由はいたって簡単。独り身になったビリーが新しく恋をした相手に気遣って、ビリーが自主的にクリスティーの思い出につながる曲を、お蔵に入れてしまったのだ。やれやれ。

3.バーティ・ヒギンズ「カサブランカ」(82年)

バーティ・ヒギンズが歌う「カサブランカ」が大ヒットしたのは1982年のこと。大ヒット、とは言ってもアメリカ本国ではヒットしていない、いわゆる日本型ヒットの典型であった。
(中略)
この曲が日本でシングル・カットされた頃、バーティの文学的表現に話題が集まった。映画「カサブランカ」のキーワードである“a kiss is still a kiss”、そして“As time goes by”をうまく歌詞のなかに折り込んでいるからなのだが、初めての来日プロモーション・ツアーを前に意外な事実が判明した。バーティ・ヒギンズはかの偉大な文豪ゲーテの遠い子孫であるというのだ。

ヒゲをたくわえたヨーロッパ的なルックスは“ウ~ム、さすがゲーテの血筋”と納得され、フロリダの明るいカントリー・シンガーは一転して気難しい文豪の末裔に変身したのだった。もちろん、バーティ自身は何も変わっていないのだが、日本のメディアの扱い方は一変。特に新聞や一般週刊誌、写真誌はこぞって“ゲーテの末裔”と報じ、来日インタビューではあまりにもそれに関する質問が多く、バーティが辟易するという場面もみられた。何はともあれ、「カサブランカ」は文芸大作として受け入れられたという側面もあったのだ。

もうひとつ、日本での大ヒットの要因になったのは、言うまでもなく郷ひろみによるカバー「哀愁のカサブランカ」のヒットとの相乗効果である。

   ◆   ◆   ◆

TOTOのバンド名は日本のトイレが発祥?愛妻家だったB.スプリングスティーンの離婚の真相…などなど、へぇと感心するエピソードから、マジか?と目を疑う実話まで、興味深いエピソードが満載だ。電子書籍『BOTH SIDES NOW~あの全米大ヒット曲、その光と影を巡る物語~』は500円、READER STORE BOOKLIVEブックパスで購入可能だ。この秋には続編の出版も予定されている。

●『BOTH SIDES NOW~あの全米大ヒット曲、その光と影を巡る物語~』
著者:村上太一
発行所:UP BOOKS & MAGAZINES
定価:500円
取り扱い電子書店:READER STORE BOOKLIVEブックパス

※UP BOOKS & MAGAZINESとは?
UP BOOK & MAGAZINESは主に電子書籍を編集・制作・販売する出版社です。UP(ユーピー)は社名のUNITED PROJECTSの頭文字を取ってUPとしました。UP BOOKS & MAGAZINESは読者のみなさまに「しあわせ」を届ける出版社でありたいと思っています。「この本、いいね!」「写真がきれい!」「なるほど!」「これは勉強になった!」…心が動いたときに出る言葉、それはすべて「しあわせ」につながっています。“読者の心を動かすこと”、それこそが私たちの目指すところです。UP BOOKS & MAGAZINESは作家、写真家、デザイナー、クリエイター、編集者、そして出版社がみんな「しあわせ」な関係になれるようにしたいと思っています。

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