【インタビュー】かけらライオ、リア充にもオタクにもなれない人々に寄り添える音楽を目指す仙台在住の男女ユニット

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三軒隣で育った佐藤恵深(Vo)と佐々木伸広(G)による仙台在住の男女ユニット・かけらライオ。多重アルペジオ等、UKロックを彷彿させる柔らかなサウンドに、聴く者をフワリと包む透明感の高いボーカルで紡ぐ世界が目指すものは“リア充にもオタクにもなれない人々に寄り添える音楽”だという。結成から1年、自称“ダメ人間”の二人が贈る1stミニ・アルバム『Shooting Star』が示す一筋の光が、貴方の欠けたピースを埋める手助けをしてくれるはずだ。

■“ライオ”ってもともとライオンなんですが、強いのに弱いみたいな響きが気に入ったんです(佐々木)
■仲間はずれにされてるライオンみたいなイメージがあって、その不確かな感じがいいなぁって(佐藤)

――三軒隣に住んでいたということは、じゃあ、子供の頃から一緒に遊んでいたんですか?

佐藤恵深(以下、佐藤):それが違うんです。母親同士は知り合いなんですが、歳が9つ離れてるんで、当時は喋ったことがあるかも曖昧で。

佐々木伸広(以下、佐々木):僕は彼女のお姉ちゃんと遊んでたから、存在は知ってましたけどね。で、僕のほうがパンクだとかクラブ系のエレクトロックだとか、いろいろと音楽活動をやり始めて。自分の作った曲を歌ってくれる人を探してたとき、共通の知人が彼女を紹介してくれたんです。それで歌を聴かせてもらったところ“これはイケるんじゃないかな?”って思ったのが、ちょうど1年前。

――偶然にも、佐藤さんのほうは歌手を志していたとか?

佐藤:いえ、全然そんなことはなく。ただ、カラオケとかで歌うのはすごく好きで、一時期アニメばっかり観てたから、「(涼宮)ハルヒ(の憂鬱)」とか「らき☆すた」の歌を歌ってましたね。

佐々木:「北斗の拳」も歌ってて、ビックリした(笑)。

佐藤:あとは昔の歌謡曲も好きなんです。例えば中島みゆきさんとか、今の音楽より日本語が綺麗で、表現力も高い感じがして。私、平成生まれなんで昭和はよくわかんないんですけど、それでも昭和の匂いに懐かしさだったり、憧れを感じるんです。

――昭和の歌謡曲って、歌詞が明確で言葉の一つひとつに力がありますものね。そこはアニソンと通じるところかも。

佐藤:そうなんですよね。わかりやすいっていうか、世界が伝わってくる。

佐々木:僕は一番影響を受けたのがレディオヘッドとかオアシスとかのUKロックだったんで、そういった要素を日本語の歌詞と馴染みやすいメロディに入れ込みたいなぁと考えてたんですよ。切ないとか、寂しいとか、悲しいとか、そういう単語一つで言い表せない感情みたいなものを音楽で表現したかった。それでユニット名の候補に“かけらライオ”が出てきたとき――この“ライオ”ってもともとライオンなんですけど、強いのに弱いみたいな、真逆の要素を併せ持った響きが気に入ったんです。

佐藤:なんか、仲間はずれにされてるライオンみたいなイメージがあって、その不確かな感じがいいなぁって。

――ユニット名の由来は、先程お話に出た佐藤さんのお姉さんのあだ名だそうですね。しかし、そのあだ名の正式名称が“オレの願いを聞いてくれ流れ星の梅干しのサッカーゴールの中でウジ虫ベンジョンソンかけらライオン”って、ツッコミどころ満載なんですけど!

佐藤:ちょっと変わったセンスを持った姉でして(笑)。姉が5、6年生で私が幼稚園くらいのときに、急に“私のことをこう呼ばないと一切返事しない”って通達されたんです。で、ユニット名を相談してるときに“そういえば”って姉のあだ名の話をしたら、“かけらライオンっていいね”ってことになり、最終的に“ン”を外して“かけらライオ”にしました。まぁ、当の姉は“かけらライオンのほうが良かったのに!”って言ってましたけど(笑)。それが今年に入ってすぐくらい。

――そして7月7日に1stミニ・アルバム『Shooting Star』をリリースしたわけですから、佐藤さんにとっては怒涛の日々だったのでは?

佐藤:そうですね。ずっと怠けて生きてきたので、今、人生で一番活発に生きてます!

――怠けてたって(笑)。

佐藤:いや、“めんどくさい”と“あきらめる”ばかりの人生だったんですよ。別に友達いなくていい、みんなの輪に入んなくていい。そんなダメ人間で、実は二人で話したときに、そういう部分もリンクしてる気がしたんです。お互いちょっとイジケてるというか(笑)。

佐々木:僕、すごく中途半端な人間なんですよ。集中力もなくて、音楽以外のことは仕事にせよ何にせよ続かない。そのたびに“自分ダメだなぁ”と思うし、たぶん積極性に欠けるんですよね。そういう意味でも“かけらライオ”っていうユニット名はピッタリ。

佐藤:でも、欠けてるほうが前に進む力があるというか、欠けてるからこそ、いろんなものを加えて進化できる余地があるとも言えるわけで。全てが完成していたら、それで終わりじゃないですか? 私自身、音楽をやり始めたことで、今までには無かった人との出会いがあったり、人前で歌うことの喜びを知ったり。少しずつでも何かが変わっていくのを実感できたから、自分たちと同じようなタイプの方々の傍に寄り添って、辛さや寂しさが紛れるような優しい気持ちになれる歌を歌いたんですよね。

佐々木:最近ネットで“リア充にもオタクにもなれない人の特徴”みたいな項目が挙がっていて、見ていたら自分、そのほとんどに当てはまってたんですよ! そういう人たちに伝わる音楽がやれたらいいなぁって。

――なるほど! とかくリア充の反対はオタクと思われがちですけど、オタクの人だって内面的には充実してますし。どちらのコミュニティにも安住できない人こそが、一番不安定なのかもしれませんね。

佐々木:うん。だから、音楽も歌詞も“頑張れ!”とかっていう感じじゃないんです。自分と同じようにダメな人間でも頑張れる、陽の当たんない人間でも大丈夫だよ!ってことを伝えたいんじゃないかな。

◆インタビュー続きへ
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