【インタビュー】河村隆一、「僕の人生は音楽だしロックだし、僕の生まれ育った場所はLUNA SEAだからね」
■若い人が人生を諦めてるマインドを何とか切り崩したい
■いま僕達が使命感を持ってやらなきゃいけないと思ってる
◆河村隆一~拡大画像~
──なるほど。では「Life」の歌詞、ここには隆一さんのどんなメッセージが刻み込まれているんでしょうか。
河村:いまの時代って不安定でしょ? でも僕が生まれ育った80年代って希望に満ちてたんですよ。僕がロックミュージシャンを目指したのも、女の子にモテたいとか男にカッコいいと思われたいとかいい車乗りたいとか、物質的な欲望も含めてすごく分かりやすい目標に向かって突っ走ってた気がするんです。僕の人生、逆転ホームラン打つには、こんなところで埋もれてる場合じゃないって気持ちで。でもいまの若い人たちはそういうものを最初から諦めてる。これは「the earth~未来の風~」でも歌ってるんだけど、僕らにもその責任はあるんですよ。僕ら大人が変えていかないといけない。若い子たちがロックバンドをやろうっていうときに、僕らが頑張らないと夢が半分になっていってしまう。だから、本当にいま使命感を持ってやらなきゃいけないなとすごく思ってる。ロックバンドやっても、どうせいまの時代に金持ちなんてなれない、愛車は山手線で十分、贅沢して生きることってそんなにカッコいいことじゃないよねみたいに、最初からどこか人生諦めてるマインドを何とか切り崩したいんです。それで、アルバムのタイトルチューンでもあるこの曲で“そんなことないんだよ。まだまだ楽しいことあるし、大人が考えてる以上に君らは奇跡を起こせるんだよ”と。そういうことをアルバムを通して僕はすごく伝えたいんですよね。
──それでこの曲では“ありふれた 結末じゃなく 誰も知らない 夢を描こう”と若者たちに向けエールを送っている。
河村:なぜなら、僕自身音楽を通して、音楽をやってなかったときの人生と、いまやってる人生ではまるっきり違う道を歩いてると思いますからね。音楽と出会ったことで、逆転ホームランを打ったような人生になった。そういう事実がこうして目の前に存在している訳だから、僕なんかがこういうことを訴えていくことが、すごく大事なことなんじゃないかなと思ってます。
──「My Love」も本作のハイライトを飾る重要な楽曲という気がしましたが。
河村:これは最初にギターのアルペジオを僕が作って、葉山君と変拍子とか入れながら構築していったんです。これは、どこがAメロとかサビとか何も決めずに、作り上げたオケにインプロでメロディつけてみようって歌ったのがこのメロディだった。で、僕自身もすげぇいい感じと思って。歌もほぼ一発録りです。
──しかも、これはいままでのソロの河村隆一では聴けなかったヴォーカリングなんです。
河村:そうなんだよね。もしかしたらLUNA SEAのメンバーがアレンジを変えてやっててもありかなというような曲だからね。歌詞は、人は絶対どんな立場の人も何かと戦ってて。自分の状況に満足している人って少ないと思うんです。いろんなものと戦ってて、ときには生きるのが辛くなったりもする。そういうときは、延命を考えるよりも「もう死んじゃってもいいじゃん」と思ってケツをまくるというか。僕だったら歌なんだけど、もうどうなってもいいじゃん、やるだけのことやっちゃえば、というのも生き方の一つの選択肢かなと思って歌いました。
──では最後に本作に刻みこまれてる隆一さんの“ロック観”というものを改めて聞いてみたいんですが。
河村:僕が好きだったロックというのは、たぶん80年代~90年代前半に好きなロック・アーティストがいっぱいいて。特にDAVIDBOIEやブBRYAN FERRYは、けだるさというかアンニュイさというか。頑張ってないけど頑張ってるという、何ともいえない景色があって。今回の『Life』にもそういうところがあると思う。
──なるほど。
河村:僕のロックって、アメリカンロックでもないし、ブリテッシュでもないし、ヘヴィメタルでもハードロックでもない。パンクかって言われたらパンクでもないし。頑張ってるぞっていう熱量をちらちら見せながら、涼しい顔してやってる感じのオシャレさある。そういうものがすごく好きだから。音は生でやってるんだけど温度感が絶妙な感じ?
──本作もそうですけど、ロックといっても隆一さんのロックは熱いだけではないですもんね。
河村:そう。だから(僕は)LUNA SEA(をやってるん)だと思う。シュールなものを追いかけないとああはならない。“拳を上げろ!”だけだと、それは他の世界にも十分ある。泥臭さのなかにある緻密さだったり、歌詞の世界観にイデオロギーやシュールなものが出てくること自体が、LUNA SEAの要素を作ってるんじゃないかなと思うからね。(LUNA SEAの)「MOTHER」も「LOVELESS」も普通のバラードじゃないでしょ? 歌詞もこれは一人の女性に歌ってるのか地球に歌ってるのか。ああいう世界観の歌詞はきっと(僕が)ROXY MUSICやDAVID BOWIE、BOUHOUSのロックが好きじゃないと生まれてないと思う。だからロックといっても“カモン、ベイベー,ROCK’N’ROLL!”っていう感じではなかったんだと思う。自分が好きになったロックはね。
──全国ツアーも控えている訳ですが。その前に<No Mic,No Speakers>のコンサートをやられるんですよね?
河村:はい。No Micはヴォーカリストとして過酷な条件ではあるんですが、得るものも大きいステージなんです。LUNA SEAのファンの人たち、河村隆一のファンの人たちに対して、裸で歌う僕の生の声を持って帰ってもらえる場所はここだけなんで、そういう場所はライフワーク的に提示していきたいと思っています。
──そして、アルバムのツアーのほうはバンドを従え、ロックな河村隆一が見られるライヴになるんでしょうか。
河村:そうですね。大人になったロッカー・河村隆一が歌ってる感じなのかな。それで、みんなに元気を持って帰ってもらうツアーにしたいと思います。
──さらにこのツアーの合間には<Ballad Man>という特別なコンサートも用意されているそうですが。
河村:アップテンポの曲をアコースティックアレンジにして交えながらバラードもというのはあるけど、全曲バラードというのは初。いまFCのみなさんに曲を投票してもらってるので、それをできるだけ歌いたいと思っています。
取材・文●東條祥恵
NEW ALBUM『Life』
CD+DVD:AVCD-38742/B \3,990(tax in)
CDのみ:AVCD-38743 \3,150(tax in)
[CD]
1.Holy Song
2.Life
3.星と翼とシグナル
4.Sea of Love
5.七色
6.トパーズの丘
7.Love & Peace
8.永遠の詩
9.My Love
10.Miss you
11.the earth ~未来の風~
12.女優 ~枯葉に落ちる優しい雨のように~
[DVD]
Miss you(Music Video)
<Ryuichi Kawamura Live 2013 「Life」>
9月29日(日)一宮市民会館
[問]一宮市市民会館 0586-71-2021
10月18日(金)渋谷公会堂
[問]ちけっとぽーと 03-5561-9001
10月26日(土)森ノ宮ピロティホール
[問]キョードーインフォメーション 06-7732-8888
<Ryuichi Kawamura Special Night 「Ballad Man」>
10月17日(木)渋谷公会堂
[問]ちけっとぽーと 03-5561-9001
<Ryuichi Kawamura presents No Mic,No Speakers Concert #005>
9月20日(金)東京オペラシティ コンサートホール
[問]キョードー東京 0570-550-799
◆河村隆一 オフィシャルサイト
◆avex
■いま僕達が使命感を持ってやらなきゃいけないと思ってる
◆河村隆一~拡大画像~
──なるほど。では「Life」の歌詞、ここには隆一さんのどんなメッセージが刻み込まれているんでしょうか。
河村:いまの時代って不安定でしょ? でも僕が生まれ育った80年代って希望に満ちてたんですよ。僕がロックミュージシャンを目指したのも、女の子にモテたいとか男にカッコいいと思われたいとかいい車乗りたいとか、物質的な欲望も含めてすごく分かりやすい目標に向かって突っ走ってた気がするんです。僕の人生、逆転ホームラン打つには、こんなところで埋もれてる場合じゃないって気持ちで。でもいまの若い人たちはそういうものを最初から諦めてる。これは「the earth~未来の風~」でも歌ってるんだけど、僕らにもその責任はあるんですよ。僕ら大人が変えていかないといけない。若い子たちがロックバンドをやろうっていうときに、僕らが頑張らないと夢が半分になっていってしまう。だから、本当にいま使命感を持ってやらなきゃいけないなとすごく思ってる。ロックバンドやっても、どうせいまの時代に金持ちなんてなれない、愛車は山手線で十分、贅沢して生きることってそんなにカッコいいことじゃないよねみたいに、最初からどこか人生諦めてるマインドを何とか切り崩したいんです。それで、アルバムのタイトルチューンでもあるこの曲で“そんなことないんだよ。まだまだ楽しいことあるし、大人が考えてる以上に君らは奇跡を起こせるんだよ”と。そういうことをアルバムを通して僕はすごく伝えたいんですよね。
──それでこの曲では“ありふれた 結末じゃなく 誰も知らない 夢を描こう”と若者たちに向けエールを送っている。
河村:なぜなら、僕自身音楽を通して、音楽をやってなかったときの人生と、いまやってる人生ではまるっきり違う道を歩いてると思いますからね。音楽と出会ったことで、逆転ホームランを打ったような人生になった。そういう事実がこうして目の前に存在している訳だから、僕なんかがこういうことを訴えていくことが、すごく大事なことなんじゃないかなと思ってます。
──「My Love」も本作のハイライトを飾る重要な楽曲という気がしましたが。
河村:これは最初にギターのアルペジオを僕が作って、葉山君と変拍子とか入れながら構築していったんです。これは、どこがAメロとかサビとか何も決めずに、作り上げたオケにインプロでメロディつけてみようって歌ったのがこのメロディだった。で、僕自身もすげぇいい感じと思って。歌もほぼ一発録りです。
──しかも、これはいままでのソロの河村隆一では聴けなかったヴォーカリングなんです。
河村:そうなんだよね。もしかしたらLUNA SEAのメンバーがアレンジを変えてやっててもありかなというような曲だからね。歌詞は、人は絶対どんな立場の人も何かと戦ってて。自分の状況に満足している人って少ないと思うんです。いろんなものと戦ってて、ときには生きるのが辛くなったりもする。そういうときは、延命を考えるよりも「もう死んじゃってもいいじゃん」と思ってケツをまくるというか。僕だったら歌なんだけど、もうどうなってもいいじゃん、やるだけのことやっちゃえば、というのも生き方の一つの選択肢かなと思って歌いました。
──では最後に本作に刻みこまれてる隆一さんの“ロック観”というものを改めて聞いてみたいんですが。
河村:僕が好きだったロックというのは、たぶん80年代~90年代前半に好きなロック・アーティストがいっぱいいて。特にDAVIDBOIEやブBRYAN FERRYは、けだるさというかアンニュイさというか。頑張ってないけど頑張ってるという、何ともいえない景色があって。今回の『Life』にもそういうところがあると思う。
河村:僕のロックって、アメリカンロックでもないし、ブリテッシュでもないし、ヘヴィメタルでもハードロックでもない。パンクかって言われたらパンクでもないし。頑張ってるぞっていう熱量をちらちら見せながら、涼しい顔してやってる感じのオシャレさある。そういうものがすごく好きだから。音は生でやってるんだけど温度感が絶妙な感じ?
──本作もそうですけど、ロックといっても隆一さんのロックは熱いだけではないですもんね。
河村:そう。だから(僕は)LUNA SEA(をやってるん)だと思う。シュールなものを追いかけないとああはならない。“拳を上げろ!”だけだと、それは他の世界にも十分ある。泥臭さのなかにある緻密さだったり、歌詞の世界観にイデオロギーやシュールなものが出てくること自体が、LUNA SEAの要素を作ってるんじゃないかなと思うからね。(LUNA SEAの)「MOTHER」も「LOVELESS」も普通のバラードじゃないでしょ? 歌詞もこれは一人の女性に歌ってるのか地球に歌ってるのか。ああいう世界観の歌詞はきっと(僕が)ROXY MUSICやDAVID BOWIE、BOUHOUSのロックが好きじゃないと生まれてないと思う。だからロックといっても“カモン、ベイベー,ROCK’N’ROLL!”っていう感じではなかったんだと思う。自分が好きになったロックはね。
──全国ツアーも控えている訳ですが。その前に<No Mic,No Speakers>のコンサートをやられるんですよね?
河村:はい。No Micはヴォーカリストとして過酷な条件ではあるんですが、得るものも大きいステージなんです。LUNA SEAのファンの人たち、河村隆一のファンの人たちに対して、裸で歌う僕の生の声を持って帰ってもらえる場所はここだけなんで、そういう場所はライフワーク的に提示していきたいと思っています。
──そして、アルバムのツアーのほうはバンドを従え、ロックな河村隆一が見られるライヴになるんでしょうか。
河村:そうですね。大人になったロッカー・河村隆一が歌ってる感じなのかな。それで、みんなに元気を持って帰ってもらうツアーにしたいと思います。
──さらにこのツアーの合間には<Ballad Man>という特別なコンサートも用意されているそうですが。
河村:アップテンポの曲をアコースティックアレンジにして交えながらバラードもというのはあるけど、全曲バラードというのは初。いまFCのみなさんに曲を投票してもらってるので、それをできるだけ歌いたいと思っています。
取材・文●東條祥恵
NEW ALBUM『Life』
CD+DVD:AVCD-38742/B \3,990(tax in)
CDのみ:AVCD-38743 \3,150(tax in)
[CD]
1.Holy Song
2.Life
3.星と翼とシグナル
4.Sea of Love
5.七色
6.トパーズの丘
7.Love & Peace
8.永遠の詩
9.My Love
10.Miss you
11.the earth ~未来の風~
12.女優 ~枯葉に落ちる優しい雨のように~
[DVD]
Miss you(Music Video)
<Ryuichi Kawamura Live 2013 「Life」>
9月29日(日)一宮市民会館
[問]一宮市市民会館 0586-71-2021
10月18日(金)渋谷公会堂
[問]ちけっとぽーと 03-5561-9001
10月26日(土)森ノ宮ピロティホール
[問]キョードーインフォメーション 06-7732-8888
<Ryuichi Kawamura Special Night 「Ballad Man」>
10月17日(木)渋谷公会堂
[問]ちけっとぽーと 03-5561-9001
<Ryuichi Kawamura presents No Mic,No Speakers Concert #005>
9月20日(金)東京オペラシティ コンサートホール
[問]キョードー東京 0570-550-799
◆河村隆一 オフィシャルサイト
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