【ライヴレポート】VAMPS、ZEPP FUKUOKA公演2日目はのっけから全力全開「音楽を体に通して感じてくれよ」

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吸血鬼たちの襲来に恐れをなしたのか、心配された台風15号は福岡ライヴの初日となった8月31日未明、なんと温帯低気圧に変わった。ただし秋雨前線の影響でぐずつき気味の空模様。しっとりと濡れそぼる福岡の街に漂う秋の気配に少々寂しさを覚えるが、会場に一歩、足を踏み入れればそんな感傷など、たちまちのうちに霧散した。

◆VAMPS 拡大画像

8月から9月へ、季節の境界線をまたぐようにしてスタートしたツアー<VAMPS LIVE 2013>後半戦。その幕開けを飾ったZEPP FUKUOKA公演の2日目にして最終日だ。一般的な感覚ではツアーといえば各地1日限り、あるいは2days公演はごく普通であるはずなのだが、籠城型を基本のツアースタイルとするVAMPSでは2daysがやけに短く感じられてしまう。ゆえにだろうか、限られた逢瀬を一瞬たりとも逃すものかという気迫がフロアに充満して、ただならない。これまでのどの会場も満員御礼状態で、そこに違いはないはずなのだが、熱の密度が実に高いのだ。

6時66分。砕け散る“6:66”のデジタル表示とともに歓喜のタガが一瞬にして外れた。紗幕に浮かび上がる逆五芒星、重なるHYDEのシルエット。オーディエンスの興奮は早くも沸点に達し、それでも留まる気配を見せない。その意気に応えるがごとくステージの5人ものっけから全力全開、オープニングの「DEVIL SIDE」から場内はいきなりサバト(土曜夜の魔女の夜宴)の様相を呈した。“♪Reckless!”、胸元をはだけてそう力強くシャウトするHYDEの傍らでK.A.Zの指先が天を突く。揃って深くフードをかぶったK.A.ZとARIMATSUの縦のラインが目に新鮮だ。Ju-kenのベースが激しくうねり、JINはクールにサウンドを支える、その好対照な佇まい。五人五様の存在感が化学反応を起こして巨大なエネルギーを生む。客席から押し寄せる期待、愛情、欲望をも取り込みながら、熱はどこまでも膨らんだ。

「ヘーイ、首洗ってきたか? 最後にやりまくろうぜ。リラックスして、俺たちに任せればいいから。音楽を体に通して感じてくれよ。一緒に行こうぜ、HERE WE GO!」

イントロのシーケンスがループして鳴り渡る。「THE PAST」の飄々としたアンサンブル、メランコリックなメロディに切々と揺れるフロア。なぜだろう、この端正な曲はいつも人を踊らずにはいられなくさせてしまう。「SECRET IN MY HEART」の清冽なるエモーション、闇の深淵へと誘う「REPLAY」。「COUNTDOWN」から「MADE IN HEAVEN」へと増幅の一途を辿った熱狂が甘やかにして切ない「SWEET DREAMS」の調べに凪ぎ、壮大なスケールで迫る「Life On Mars?」にリレーされた一連の軌跡は、いつにもまして起伏に富んでいて、まるでジェットコースターのごとくオーデェンスを激しく揺さぶった。

おそらく彼らが福岡にやってくるのは今年はこれが最後となろう。だからこそ自身にも、もちろん今、目の前でステージへとまっすぐに手を伸ばしてくれるオーディエンスのひとり一人にも微塵の悔いも残したくない。そうした鬼気迫る想いがステージからもほとばしる。なかでも今日のHYDEは何かが憑依しているとさえ思えるほどに遮二無二だった。楽曲と同化し、それこそ彼がMCで口にした“音楽を体に通す”作業を率先して体現しようとしているような、そうして曲のコアにある魂を手掴みで引きずり出し聴く者に手渡そうとするかのような、むき出しの生々しさに息を呑む。

「興奮してんの? ……ちょっと暗いかな。お客さんのところ、10%ぐらい上げてくれないかな」

HYDEの要望に即応してライトが客席を明るく照らす。せっかくの逢瀬、顔を合わせなければ始まらない。「恥ずかしいと?」、福岡弁のHYDEに嬌声が渦巻く。

「ちょっと恥ずかしいぐらいがちょうどいいでしょ。この場は自由な場なんで体を開放するように。でも前には押さないようにね。あんまりギュウギュウだと手も挙げられないから……ふふっ、挙げられるよ~って見せてくれてんの? ニョロニョロみたい」

客席を気遣いながら、やさしく語りかけるHYDE。“今日から9月になってしまったけれど、イベント出演含め今月のライヴは16本、まだまだ終わらない夏を一緒に楽しんでくれたらうれしい”と言葉を続ける。そう、カレンダーが秋を告げようとも、このツアーのゴールまでVAMPSの夏は続くのだ。それを証明するかのごとく「HUNTING」で再び唸りを上げるステージ。HYDEもギターを肩に掛け、弦を掻き鳴らしながら右へ左へと奔放自在に練り歩き、盛んにフロアを煽り倒す。入れ替わり立ち替わりステージを行き交うフロント3人。K.A.Zのマイクスタンドの前に立ち“BITE! BITE!”と野太く叫びながらホルダーのピックを勝手にフロアに巻いたJu-kenが、次のタームの“BITE! BITE!”でまんまとK.A.Zに10倍返しされるという茶目っ気たっぷりな光景にオーディエンスも大喜びだ。音で、演奏で、じゃれ合うような、そんな感じがすこぶるいい。

「こんばんは~、元気ですか? 今日はちょっと押しがキツいみたいで……前のほう、目が飛び出しちゃってる人とかいっぱいいるから、あんまり押さないようにね」

「REVOLUTION II」からライヴは終盤戦に突入、ますますヒートアップする客席にK.A.Zもフレンドリーに注意を促す。VAMPSライヴでは珍しいことだが、それぐらいオーディエンスの情熱がすさまじいのだ。

「今回は2日間しかライヴがなくて……すみません。もう少し福岡にいたかったんだけどね。でも、俺らがずっとこっちにいたら、東京のライヴはHYDEのそっくりさんとか俺の等身大パネルとか、アーリーなんか写真になってるかもしれないよ? なので今回はおとなしく帰ります。そのぶん今日は思いっきり暴れてください」

K.A.Zの言葉を噛み締め、今日を反すうしながら「MEMORIES」に身を浸す。ツアーはまた次の段階に入ったのだろう。熱狂とともに、ここから先を予感させる何かがこのステージにはたしかにあった。9月23日をもって<VAMPS LIVE 2013>は終了する。彼らが全身全霊を尽くして作り上げたベストにして世界デビューアルバム『SEX BLOOD ROCK N' ROLL』がほどなくリリースされ、今度はヨーロッパツアーのスタートだ。いや、きっとヨーロッパだけに留まらず、さらなる広がりを見せるに違いない。近づく終わりと始まり、その両方が混在する今だからこその面白さ。安定して盤石なようで、どこか模索しているような、そこはかとない寄る辺なさをはらんだ実にスリリリングな一夜だった。次なるは追加公演のZEPP TOKYO、怒濤の10days。籠城型の本領発揮だ。

取材・文◎本間夕子
撮影◎田中和子



■偉大なる軌跡をたどるベストにして世界デビュー盤
『SEX BLOOD ROCK N’ ROLL』
2013年9月25日(水)日本発売
【初回限定盤A(CD+Blu-ray)】UICV-9036 ¥5,800
デジパック仕様スリーブ付 / ジャケット写真ステッカー封入 / VAMPS CHANCE応募シリアルナンバー封入(全商品共通)
・SHM-CD:全13曲収録、曲順未定

【初回限定盤B(CD+GOODS)】UICV-9037 ¥10,500
完全生産限定10,000セット / シリアルナンバー刻印 / VAMPS CHANCE応募シリアルナンバー封入(全商品共通)
・SHM-CD:全13曲収録、曲順未定
・GOODS:Tシャツ、トートバッグ、マフラータオル、リストバンド、4点封入

【通常盤(CD)】UICV-6660 ¥3,100
VAMPS CHANCE応募シリアルナンバー封入(全商品共通)
全13曲収録、曲順未定
※上記CDは全て高音質再生CDを採用しております。
<3タイトル共通SHM-CD収録予定曲>
●DEVIL SIDE
●REDRUM
●REVOLUTION (REMIX予定)
●THE PAST
●VAMPIRE DEPRESSION
●SWEET DREAMS
●Life On Mars?
●HUNTING (REMIX予定)
●LOVE ADDICT
●ANGEL TRIP
●MEMORIES
●MY FIRST LAST
●SEX BLOOD ROCK N’ ROLL

<VAMPS LIVE 2013>
■東京 ZEPP DIVERCITY TOKYO -7Days-
6月28日(金)ZEPP DIVERCITY TOKYO
6月29日(土)ZEPP DIVERCITY TOKYO
7月01日(月)ZEPP DIVERCITY TOKYO
7月02日(火)ZEPP DIVERCITY TOKYO
7月04日(木)ZEPP DIVERCITY TOKYO
7月06日(土)ZEPP DIVERCITY TOKYO
7月07日(日)ZEPP DIVERCITY TOKYO
[問]ディスクガレージ 050-5533-0888
■名古屋 ZEPP NAGOYA -5Days-
7月10日(水)ZEPP NAGOYA
7月11日(木)ZEPP NAGOYA
7月13日(土)ZEPP NAGOYA
7月14日(日)ZEPP NAGOYA
7月16日(火)ZEPP NAGOYA
[問]サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
■大阪 ZEPP NAMBA -7Days-
7月19日(金)ZEPP NAMBA
7月20日(土)ZEPP NAMBA
7月22日(月)ZEPP NAMBA
7月23日(火)ZEPP NAMBA
7月25日(木)ZEPP NAMBA
7月26日(金)ZEPP NAMBA
7月28日(日)ZEPP NAMBA
[問]キョードーインフォメーション 06-7732-8888
■福岡 ZEPP FUKUOKA -2Days-
8月31日(土)ZEPP FUKUOKA
9月01日(日)ZEPP FUKUOKA
[問]キョードー西日本 092-714-0159
■札幌 ZEPP SAPPORO -2Days-
9月22日(日)ZEPP SAPPORO
9月23日(月・祝)ZEPP SAPPORO
[問]問い合せ:マウントアライブ 011-211-5600
開場 18:00 / 開演 19:06(全日程)

<VAMPS LIVE 2013>追加公演
■東京 ZEPP TOKYO(全日程)
9月04日(水)*VAMPADDICT ONLY
9月05日(木)*VAMPADDICT ONLY
9月07日(土)*BEAUTY AND THE BEAST
9月08日(日)*UNDER 20 ONLY
9月10日(火)
9月11日(水)
9月13日(金)*VAMPADDICT ONLY
9月14日(土)
9月17日(火)
9月18日(水)
*VAMPADDICT ONLYはオフィシャルファンクラブVAMPADDICT限定公演
*BEAUTY AND THE BEASTは男性と女性のフロアを分けた公演
*UNDER 20 ONLYは公演日に20歳未満の方を対象とした公演

◆VAMPS 2013年海外公演
9.28[土]バルセロナ(スペイン)@APOLO
10.1[火]パリ(フランス)@Olympia
10.3[木]ベルリン(ドイツ)@KESSELHAUS
10.7[月]ロンドン(イギリス)@O2 Academy Islington

◆VAMPS オフィシャルサイト
◆VAMPS レーベルサイト
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