【Kawaii girl Japan/ライブレポート】ジャンルの壁を超えた、アニサマ2日目。“俺たちは親友だ!”

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アニサマ2日目のトップバッターを務めたのは、angelaとZweiによるロック・コラボレーション。ヴォーカル&弦楽器の2人組という共通点を持つ両者が、「バリバリ最強NO.1」という曲名通り豪快な歌声と演奏を轟かせ、atsukoとAyumuがマイクを交わし合う傍ら、angelaギター・KATSUとZweiベース・Megが愛器のネックを交錯させる様は、実にスリリング。“アニサマ2日目行くぜ!”と号令かけて、ワイルドにステージの幕を開ける。

◆<Animelo Summer Live 2013 -FLAG NINE-> 2日目ライブ写真












 まずはダンサーを引き連れた男女ユニットfripSideが、トランシーなシンセ・プレイと弾けるヴォーカルで近未来感満点に迫り、ラッパーmotsuも迎えて2年ぶりのアニサマ帰還を祝うと、ロリータ服に王冠と弾帯を装着した上坂すみれが、高々とライフルを掲げてせり上がり。ロシアに尋常ならざる愛を注ぐ彼女のこと、背後のモニターにはロシア語にマトリョーシカが飛び交い、手にしたAKライフルも当然ロシア製だ。そして“アニサマに来てしまいました〜!”と初出場の喜びを全身で表す彼女に応え、客席は瞬く間にウルトラレッド一色に! 詞世界も曲展開も急進的かつエキセントリックなデビュー曲「七つの海よりキミの海」で、“むろみ! やめて!”と拳を突き出し、総員大合唱して、キュートにしてハチャメチャ破天荒なキャラクターを強烈に印象付けた。

 カニの着ぐるみを頭に被って、ひたすらポップに跳ねた制服姿の3人組・あいう♥らぶ、11人で細かいフォーメーションをこなしながら初々しさ香らせるアフィリア・サーガの女性陣に続いては、ニコニコ動画出身のGeroがパンチの利いたハスキーヴォイスでエモーショナルに殴り込み。Zweiもガールズ・ユニットとは思えない雄々しさで“アニサマわっしょい!”と盛り上げて、アニサマ出演という念願を叶えた中島愛に繋ぐと、デビューから5年分の想いを籠めた新曲バラード「ありがとう」で涙ぐむ彼女に、大きな感動の輪が広がる。と、雑誌「KERA」モデルとしても活躍中の春奈るなが登場。ヨーロッパ風の街並みと青空をバックに「Overfly」を低音からしっかりとスケール大きく、アッパーチューン「アイヲウタエ」も左右の花道を往きながらじっくり歌い上げて、“歌うこと”に対する真摯な姿勢を示した。モノトーンのシックな衣装にツインテールというヴィジュアルも、ストリングスを利かせた楽曲にベストマッチ。音楽/ファッション両面での訴求力の高さを、大舞台でガッチリ証明してくれた。

 ここで、場内は一気に昭和へタイムワープ。往年のアニソンシンガー・山本正之が七森中☆ごらく部の4人と共に「逆転イッパツマン」を、さらにアフィリア・サーガを呼び込んで「ヤッターマン」を披露。女子たちのコーラスを受け、“俺たちは親友だ! そしてロックンロールだ!”という山本の叫びに、時を経ても消えることのない“アニソン”の力を感じ取ることが出来た。続いて、キッズダンサーズを引き連れ“アニサマは心のお陽様です!”と南国調スカ・チューンで会場を揺らしたT-Pistonz+KMC、さらにOLDCODEXと、男性アーティストが立つ続けに舞台へ。ソロで出演した2005年から8年前ぶりにアニサマに戻ってきた鈴木達央ことTa_2(Vo)の後ろで、ペインター・YORKE.がキャンバスを色で埋めながらシャウトし、絵筆を持ったまま花道に飛び出すというOLDCODEXの斬新すぎるパフォーマンスには、まったく度胆を抜かれるばかりだった。一転、アイドルマスターミリオンスターズの6人が花道に広がると、パッと華やかな空気が広がり、オーディエンスの掛け声と合いの手が場内を満たすという、これだけの振り幅が味わえるフェスもアニサマくらいだろう。

 前半戦の最後を飾ったのは栗林みな実だ。GRANRODEOのギター・e-ZUKAとサポートベース・瀧田イサムを従えてのステージは、さすがアニサマ皆勤賞の3人によるものだけあって、硬軟自在の素晴らしい安定感! ダンサーを交えて軽快に贈る「STRAIGHT JET」、ギターソロ入りでアグレッシヴに攻める「Doubt the World」、青空を背にアッパーに駆け上がる「ZERO!!」と、メリハリある巧みな展開で楽しませた。休憩を挟んでの一番手・angelaも負けてはいない。デビュー曲を含むメドレー形式で、彼ら特有の壮大な世界観のみならず、タオルを振っては合唱、ジャンプ、ウエーブと、巨大アリーナを活かした強力な一体感を提示。さすが“10年前はココから25メートル先のけやき広場で路上ライヴしてました”と語るベテランの底力は伊達じゃない。

 また、七森中☆ごらく部はミニの着物を羽織って和太鼓を叩き、ゆるふわなパフォーマンスで2万5千人にアピール。対照的に、男性ロック・ユニットたるサイキックラバーはアニメ/特撮ソングで攻めて、「特捜戦隊デカレンジャー」ではT-Pistonz+KMCまで乱入し、サイキックラバー特有のメタリックなアプローチを、ウルトラオレンジに染まった客席がいっそう燃え立たせる。これが2度目のアニサマ出演となる藍井エイルも、シルバーと青を基調にした衣装でサイバーなムードを醸し、パワフルに突き抜けるヴォーカルで場を圧倒。シンフォニックな「AURORA」では、モニターに曲名通りの光景が映し出されて、楽曲世界と見事なシンクロを為す。“もっともっと盛り上がっていきましょう!”という言葉を現実のものとすべく、「INNOCENCE」でセンターの花道へ飛び出した彼女は、その力強い歌声でオーディエンスをグイグイと牽引。ドッ!と沸騰させて、実力派の本領を発揮した。

 そして、遂に本日のシークレットゲストが現れる。耳慣れぬSEが鳴り、人々がざわめく中でモニターに大写しになったのは、なんと土屋アンナ! セクシーな仕草と表情で「rose」を聴かせ、“どーも、土屋アンナです。すごい人! 盛り上がってる? じゃ、次の曲、盛り上がっていくぜ!”と「Switch On!」に到るや、花道をセンターから右へ、左へと、長い髪を振り乱しながら駆け回る。その気負いのない自然体はジャンルの壁を1ミリも感じさせず、まさしく貫禄たっぷり。どこに行っても揺るぐことのない“土屋アンナ”というスタイルを強烈に刻み付けた。同じく、LiSAも独自のキャラクターを存分に発揮。「crossing field」で手足を振り上げて“アニサマ、そんなもんじゃないよね?”と挑発したかと思いきや、“私のこと待っててくれた? ホントに?”と小悪魔に変貌するのだからたまらない。“ずっと後ろから見てたから、みんなが最初から腕上げてたの知ってるよ。でも、こんなもんじゃないよね?”と、甘えん坊なのかドSなのかわからないMC後の「träumerei」では、エモーショナルに歌をぶつけて汗飛び散らせ、「Crow Song」ではオーディエンスと掛け合った最後に“バイち!”とニッコリ。パッショネイトなステージングと聴き手を包み込むように転がる甘い歌声のミクスチャーに、すっかり魅了されてしまった。

 ヒートアップし続ける本日の大トリは、もちろんGRANRODEOだ。モニターにGRマークが輝き、タンゴ調のSEに伴われてセンターステージにせり上がってきた二人は、フォーマルな黒スーツという粋なスタイル! アンニュイなムードそのままに「偏愛の輪舞曲」を届け、デジタリックに妖しい「DARK SHAME」でも、KISHOW(Vo)がアンニュイな風情でモニターに足をかけて、とてつもなくセクシーな色香を振りまく。対するe-ZUKAが“ギターアイドルマスターミリオンスターズ、e-ZUKA役のe-ZUKAです!”と安定のスベリをカマすのも、もはやGRANRODEOのお家芸で、すぐにKISHOWが“ここから先の臨界点突破を見たい。まだイケますか!?”とアジテート。容赦なく火の玉があがる舞台で二人が左右に展開し、ダイナミックに魅せた「Can Do」、“一人残らず「IGPX!」って叫ぶまで帰しません!”と声を煽った「Go For It!」と、一気にアクセル全開にする。その爆発力、そしてロック魂たるや“熱い!”の一言。来年1月5日に同じさいたまスーパーアリーナで行われるワンマンの成功を、しかと確信することができた。

 初日同様、アンコールは「The Galaxy Express 999」を出演者全員で合唱。“みんな超あったかくてサイコーでした!”という土屋アンナの言葉が、このアニサマというイベントを的確に言い表していただろう。ジャンルも、性別も、年齢も、すべての壁を超えて心を通わせ、共に楽しむことができるシンボル――それが“アニソン”なのだ。

●text by 清水素子
●photo by (C)Animelo Summer Live 2013/MAGES.

◆Animelo Summer Live 2013 -FLAG NINE- オフィシャルサイト
◆Kawaii girl Japan
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