ドロリとした体液のような15曲、大森靖子『絶対少女』で「全ての女子を肯定したいと思った」

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大森靖子の2ndアルバム『絶対少女』が2013年12月11日にリリースとなる。事務所もレーベルも無所属のまま渋谷クアトロワンマンを満員にし、<TOKYO IDOL FESTIVAL2013>にも出演を果たした大森靖子の、渾身の2枚目となるフル・アルバムだ。

◆大森靖子画像

「すべての女子を肯定したいと思った」と大森靖子が語る『絶対少女』の15曲は、『FRIDAY』の連載でも繰り広げられる彼女の鋭い言語感覚が存分に発揮され、自由に心に突き刺さる言葉が飛び交っている。モーニング娘。の道重さゆみを賛美した「ミッドナイト清純異性交遊」、タンポポのカバー「I &YOU&I&YOU&I」など、重度のハロヲタを自認する彼女らしい楽曲も収録されている。

『絶対少女』は、カーネーションの直枝政広がプロデュースを担い、ゲストにソウル・フラワー・ユニオンの奥野真哉(Key)、レピッシュのtatsu(B)、久下恵生(Dr)、梅津和時(Sax)、オワリカラのカメダタク(programming)、おとぎ話の前越啓輔(Dr)、タカ吉田(B)、山本哲也(Key)が参加という、プレイヤー陣も大森靖子の世界に華を添える。エンジニアは近藤祥昭(Gok Sound)と原真人で、15曲中13曲はアナログ・レコーディングを敢行したようだ。

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2013年3月に発売した「魔法が使えないなら死にたい」の制作意図は、私の世代の人間が持つ「全ての芸術に対するコンプレックスの浄化」を目標としたものでした。きゃりーぱみゅぱみゅの台頭により、「携帯デコ世代だし、選んで切って貼るしかできない」と卑屈になっていた創造力の無さとネタ切れ感を逆手にとった発想というか、やっとこういうことが認められる時代になったんだなーって思ったんです。だからわたしも全部やればいーじゃんと。で、それが意外にすんなりと受け入れられて、ツアーファイナルの渋谷クアトロをレーベル無所属でひとりで満員にしたというニュースもあり、今年はいろんな大人が私にボーナスステージを用意してくれたんです。アイドルではないのにTokyo Idol Fes2013に出演させてもらったり、週刊誌フライデーで連載をさせてもらったり、大好きなハロプロのことを話すだけの仕事とか、とにかく無双モードで楽しすぎる日々を過ごす中で、次アルバムを作るぞってなったとき、何したい?ってなって、前作で全ての芸術を敬意をもって踏み台にさせていただいたのですが、今作はそんなアーティスト然としたフィールドの話ではなく、とにかく全ての女子を肯定したいと思いました。わたしはずっと普通の女の子になりたかった、だから私は全員の女の子になろうと思いました。欲張りなんです。でもうたの中ではいつも、ひとを殺すことも愛することも、簡単に叶うんで。で、そういう内向きなものを作るとなると、繊細な音でとらなきゃいけないと思い、カーネーションの直枝政広さんにプロデュースをお願いしました。やりたいことが矢継ぎ早に増え、それを一つ一つ直枝さんが大事にしてくれました。あと毎日おうちに迎えにきてくれて王子様かと思いました。情けない話ですが人に大切にされてはじめて自分の大切さがちょっとわかって、だから勿論今すごく、自信があるんです。今の大森靖子を聴いてほしいです。

2013年10月9日 おおもりせいこ

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たましいを込めて物作るってのは、ライブでギター壊すことでしか決着つかない時のように、寂しかったり痛いものなんです。歌手は一生、そんな思いを記したノートを開きっぱなしで生きなければならないんで。だから作業は妥協なし、安易に終わらせてたまるかとも思うわけ。でも、大森靖子には奇跡的なファースト・テイクしかないからね、ほんと言うことなしだよ。

そもそも2013年の総まとめ的に、弾き語りを最高の音で録音するのがぼくの仕事だと思っていたんで、予算を見つつ、アナログで最高の録音ができるスタジオを押さえたんだ。「音数増やして」って言われたのはその後。頭も切り替えないとならないし、とにかく真っ白な地図にもうひとつの線をひきはじめて、アルバムの未来図を描いたんだ。キャッチーなアイデアを提案したり、ノイズぶちかましたりね。

でもね、じつはコードも歌詞も、曲のサイズだって彼女の弾き語りのデモ・テープからほぼ変えていないんです。このとてつもない歌の純度を活かすことがぼくの使命なんだと思ったし。テクノ化して加速する「ミッドナイト清純異性交遊」だって大森靖子が最初にデモで提示した構成とコードをだいたい残したしね。じつはそれがプロデュースなんですよ。だって作られたアイドルなんてそこら辺にいっぱいいるじゃない? しかも大森靖子は可愛いだけじゃないからさ。全世界のあらゆる女の子の声を自分でエディットして作曲して、まっすぐに届けるのが彼女の宿命なんだと思うし。だからその歌を勝手に濁らせたり、曖昧にしたくないんです。そのかわり、ぼくはぼくなりに愛情やサウンドに面白味をたっぷり込めてます。みんなに愛される大森靖子であって欲しいと、心からそう思うわけ。最高だよ。ぼくの頭の中ではこれはゴールドディスクだからね。

プロデュース 直枝政広

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大森靖子『絶対少女』
2013年12月11日
PINK-004 2500円(税込)
1.絶対彼女
2.ミッドナイト清純異性交遊
3.エンドレスダンス
4.あまい
5.Over The Party
6.少女3号
7.プリクラにて
8.PS
9.hayatochiri
10.W
11.展覧会の絵
12.青い部屋
13.あれそれ
14.君と映画
15.I &YOU&I&YOU&I

Produced by 直枝政広
Recorded by 近藤祥昭(Gok Sound)、原真人

◆大森靖子オフィシャルサイト
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