【ライヴレポート】森広隆、リラックスしたライヴ<JAM ADDICT>にアンジェラ・アキがゲストで登場

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秋にしては気温の低い、そして時折激しく降りつける雨の中、南青山MANDALAへ。2001年メジャー・デビュー、そして現在はインディーズに移行、勢力的な活動を展開するシンガー・ソングライター、森広隆のライヴ<JAM ADDICT>を観るためだ。

この日、シークレット・ゲスト有り、と告知されていたが、ステージに現れるまでは誰が登場するのか明かされず、それもまた楽しみのひとつであった。

18時の開演時間を少し過ぎた頃、満員の場内が暗転。森が笑顔で現れ、村石雅行(Drs)、紺野光広(Bs)、河内肇(Key)という錚々たるメンツのバンドメンバーが定位置につく。

軽快なハネたビートの「愛のBeat」でこの日のライブがスタート。軽い挨拶を挟み「ゼロ地点」。この「ゼロ地点」、非常にキメが多く、難易度の高いナンバーであるが、森始めバンドメンバーは伸び伸びとこの曲をプレイする。森もボーカル、そして手にしたストラトキャスターでソロを披露。とにかくステージが近いこの会場の雰囲気、そして鳴っている「音」が相まって、本当に心地良いライヴ空間を生み出している。

この曲が終わったところで森が挨拶し、同時に企画<JAM ADDICT>の趣旨を語る。彼が好きなアーティストを招き、お互いの曲を一緒に演奏し、ジャム・セッションする──より自由な、ミュージシャンな部分を前面に出して遊んでしまおう、という企画である、と話した後、“紹介していいですか?皆様拍手でお迎え下さい。アンジェラ・アキ!”とこの日のシークレット・ゲストを紹介。名前がコールされると同時に場内が大歓声に包まれる。

ファンの勘なのか、アンジェラが出演する、と確信を持っていたお客さんもいたようで、立ち上がって大興奮だ。機材の合間を縫うようにしてアンジェラ・アキが笑顔でステージに登場。Tシャツにロング・スカート、スニーカー姿だ。“こんばんは、アンジェラ・アキです!”と自己紹介。バンドメンバーを務めている日本屈指のドラマー、村石雅行氏がアンジェラ・アキのバンドメンバーでもあり、一緒に森のライヴを観に行ったのがきっかけで、とこの日の経緯が明らかにされる。アンジェラはデビュー前にMANDALAに出演した経験があるそうで、誰も彼女の存在を知らない中で演奏した想い出を懐かしげに話す。

リラックスした笑顔を見せながら、アンジェラがピアノで弾き出したのはヒットソング「サクラ色」。まるでPAを通さず、生の声が聴こえてくるかのような状態で聴くこの曲は、音楽的に至福の時間であった。続いて演奏された「乙女心」では、森がワウ・ギターでアンジェラとセッション。これもまた素晴らしいセッションで、歌心に溢れた森のギターがアンジェラのボーカルと美しく絡み、アンサンブルをなしていた。さらにバンドでTHE BEATLESのカヴァーナンバー「Come Together」をお互いがボーカルを取る形でプレイ。ジョン・レノンのボーカルがオリジナルであるこの曲を、アンジェラと森がおのおのの歌い方で、呼吸で表現する、まさにセッションの醍醐味である。

その編成のまま、森のナンバー「Pebama」、ファンカデリックもかくやというナンバー「Freaky Boogie」をプレイ。“変則的な編成でやってみます。……White Stripesみたいな(笑)”とアンジェラ、「大袈裟に愛してる」をアンジェラのボーカル、ピアノと村石のDrsのみでプレイ。アンジェラのボーカル、ピアノ、村石のドラムのみで完結した素晴らしい演奏を披露。もちろん、バンドセットで聴くのも最高なのだが、最小限の音数でこれだけの世界観が広がるというのは本当に素晴らしい事だと思う。

続いてアンジェラのナンバー「Santa Fe’」をバンド編成で披露。森も素晴らしいギター・ソロを披露。いよいよ終盤戦、森のナンバー「My☆Girl」では河内(Key)がアナログシンセを持ってオーディエンスの中に乱入、オーディエンス、バンドメンバー、アンジェラ、森、そしてローディーまで巻き込んだロング・ソロで会場を沸かす。ミラーボールが美しい放射線を描き、村石の強烈なドラムピックアップから四つ打ちのダンスビートへ。アンジェラのナンバー「MUSIC」。“ディスコからゴスペルに行こう!女子はこのメロディーを歌って!”とアンジェラ、女性、男性それぞれ違うパートをオーディエンスに歌わせ、会場を一体化させる。誰も歌ってない人は見当たらないぐらい、会場全体にコーラスが響く。ひょっとしたら、今日この場にいる時点で、オーディエンスもセッションに参加しているのかも知れない。“今日は本当にありがとうございました!”と最新アルバム『いいんです』より森のナンバー「おいしいパン」で本編終了。


盛大なアンコールに呼び戻され、ステージに現れた森とアンジェラ、バンドメンバーが再度登場。椎名林檎のカヴァー「丸の内サディスティック」を披露。そして畳みかけるかのように「Funk Redemption」を演奏、アンコールのクライマックスを迎えた。最後は1人でステージに残った森が「いいんです」をギターの弾き語り。ステージを降りたアンジェラ、そしてバンドメンバーがその弾き語りを客席の端でこっそり見守っていたのが印象的であった。

この<JAM ADDICT>は11月、12月も連続開催されるとのこと。ぜひ楽しみにしていただきたい。

取材・文●林 拓一朗/FIX
撮影●大花真史

2013/10/20 南青山MANDALA
JAM ADDICT~BLACK GLASSES ON TASTY BREAD~
森広隆 シークレット・ゲスト:アンジェラ・アキ

Album『いいんです』
MORI-0001 ¥3,000(tax in)
1.愛のBeat
2.I Got My Passport
3.ひとりじゃないさ
4.君への言葉
5.おいしいパン
6.Burnin' Heart
7.Tail
8.Lovely Days
9.キラキラ
10.いいんです

<JAM ADDICT ~TONKOTSU BROTHERS~>
11月13日(水) 下北沢 440
出演:伊藤祥平 / 森広隆

<JAM ADDICT ~CONDENSED GROOVE~>
12月5日(木) 東京キネマ倶楽部
森 広隆、シークレットゲスト
チケット発売 2013年10月27日(日)
[問]ディスクガレージ 050-5533-0888(平日12:00~19:00)

◆森広隆 オフィシャルサイト
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