【ライヴレポート】PERSONZ、「必ず武道館をゲットします!」夢と勇気をプレゼントした24年ぶりの渋谷公会堂ライヴ

ツイート

台風直撃で公演の延期も心配されていた当日。開演1時間前の16時。渋谷のスクランブル交差点で空を見上げると、青空が顔をのぞかせていた。

◆PERSONZ@渋谷公会堂~拡大画像~

結成30周年を目前に“DREAMERS ONLY SPECIAL”と題して、日本武道館へと向かうプロジェクトを始動させて、精力的な活動を行なっているPERSONZ。10月26日(土)、24年ぶりの渋谷公会堂ワンマン公演はソールドアウト! 1991年以来の武道館に再び立つという目標を掲げての夢の途中の記念すべきライヴだ。

たくさんのDREAMERSたちが集結した渋谷公会堂。17時をまわると、まだ客電がついているにも関わらず、自然発生的に拍手と声援が起こり、ライヴ中の注意事項を告げるアナウンスが会場に響く。多くの人が誰の声だか気づいていたのだろうが、それはPERSONZのドラマー藤田勉。「ここまでドラムの藤田がご案内してまいりました」という声に大盛り上がり。

今日のライヴの音源を会場で購入し、お持ち帰りできることや(「LIVE to GO」のダウンロードサービス)、カメラを12台投入し、年内にライヴDVDとしても発売されることなどが報告される。影アナが終了すると、「早く」とばかりにファンから手拍子が。いかにこの日を待っていたかが伝わってくる。

ほどなく場内が暗くなり、ショーの始まりにふさわしいロマンティックなSEとともにいく筋ものスポットライトがステージや客席を照らし出し、大歓声の中、メンバーが登場。オープニングはPERSONZが1993年に発表した8枚目のシングル「FUTURE STAR」だ。ブルーと黒を基調にしたスパンコールの華やかな衣装に帽子のJILLがくるくる回りながら、“信じることをやめないで”、“まだ見ぬ夢を 捜し続けて”と歌うナンバー。続けて、歯切れのいいビートと切ないメロディが絡みあう「REMEMBER」。

「台風に負けず、地震(当日の夜中の2時に東北、関東地方で津波をともなう地震が)にも負けず、戻ってまいりました。今日は楽しい日にしましょう! すでに汗」

そうJILLが笑い、披露された「Special Sparklin’ Hearts」では渡邉貢が前に出て、ベースソロを響かせ、本田毅がギターソロでキュンとさせる。温かい空気が会場に満ちていく。

「楽屋で待っているときにホール特有の感じでみんなの声が響いてきてウルウルしてました。でも、みなさんとの約束の武道館まで涙は流さないと誓ったので汗です! 武道館を決めて、早3年」と、2013年1月に赤坂BLITZで行なった再始動計画第1弾ライヴで、渋谷公会堂でライヴをやることを宣言してしまったことに触れ、「秋ぐらいにここでやるって言ったら、夢が叶ってしまいました。いつまでもあきらめない。いつか、まためぐり会える……そういうことを信じて…NEVER SAY GOODBYE」

ミドルバラード「SAYONARAは言わない」でしっとりさせたあとは深紅のヴェルヴェットの幕が、キラキラのラメに輝くゴージャスな背景に変わり、1989年にオリコンチャートの初登場1位を記録したアルバム『DREAMERS ONLY』の収録曲「Plastic Beauty」へと。藤田のドラミング、渡邉のスラップベースが冴えるこの曲で、JILLはステージに置かれた椅子に座ってショッキングピンクの衣装と帽子をまとって、プラスティックガールに早変わり。モデルのように歩き、ポージングしながら歌う彼女が華やかな服を次々に脱ぎ捨てていくエンディングに“ウォーッ!!”という声があがる。ちなみに、こんな演出をするのは1991年の<PRECIOUS TOUR>ぶりだとか。

ヒット曲や代表曲が次々に届けられるライヴはまったく飽きさせることなく進んでいく。JILLのまぶしいぐらいのオーラ、艶を増したヴォーカルに驚かされながら──。そして、客電がつき、PERSONZ初の試み。

「これからの3曲は着席してもらいたいと思います。きっと座ってPERSONZを聴くとまた違います。昔だったら、こんなことできなかったね」

本田毅がアコースティックギターに持ちかえ、JILLが赤いタンバリンを叩きながら披露されたのは「PRECIOUS LOVE」のアイリッシュヴァージョン。「一緒に歌って」と客席にマイクを向ける。続いて、スパンコール付きのキラキラ光る三日月を持って歌われたのは「月の輝く夜に」。このセクションでは、世界を襲った戦争や災害のことに話が及んだ。湾岸戦争が勃発したときに何かができないかと思って「PRECIOUS LOVE」を作ったこと、アメリカで同時多発テロが起こる中、不安な気持ちを抱えながら、もっと強く歌おうと思ったこと、それから10年後に東日本を津波が襲い、痛みの中、ツアーに出たことについて触れ、「歌い続けることで、どこかでみなさんの人生の何かが変わるかもしれない。奇跡と希望の歌です」という言葉のあとに演奏された「SINGIN’」は、この日のライヴのハイライトのひとつだったと思う。うちひしがれそうなときも、扉を開けて前に歩き出していくというPERSONZの、そして歌い手、JILLのアティテュードがひしひしと伝わる力強い曲──。人生には光だけじゃなく、陰もあるからこそ、彼女は夢を見続けること、あきらめないことを歌い続けるのかもしれない。

「カモーン! スタンドアップ!」とJILLが叫び、本田と渡邉がジャンプしながらプレイした「VENUSの憂鬱」では男性ファンからの太い歓声も上がり、空気がいっきに解き放たれていった。そして、PERSONZ初の試み第2弾。

「ホントに楽しいです! 結成29年。ここ最近、止まらずにツアーをやって来ました。今日もみんなが会場に入る前、ステージから2階の客席まで全部の場所を歩いてみて“こういうふうに見えるんだな”って感きわまってしまいました。まだまだ曲があるんです。19枚アルバムがありますから」

そして、披露されたのは何とPERSONZ初のメドレー。「CAN’T STOP LOVE」「MARQUEE MOONを聞きながら」「Lucky Star」「MAYBEE CRAZEE-I LOVE YOU-」「Fallin Angel~嘆きの天使」「Dreamers」の大ヒット曲たちがたて続けに演奏され、客席も跳ねて、コブシを上げたり、一緒に歌ったりとテンションマックス。

JILLが「もっとハッピーになりたいですか?」と「BE HAPPY」になだれこむと、熱いファンのリアクションに触発されたかのように、バンドの演奏がどんどん1つになっていく。藤田のマーチングドラムが痛快なこの曲では本田と渡邉がドラム台の左右にのぼって、プレイする場面も。

イントロに歓声が上がった「TOKIO’S GLORIOUS」では大コール&レスポンス。1階を右チームと左チームに分けて、渡邉と本田がそれぞれ、コーラス部分を歌って煽り、藤田は2階席を担当し、最後はJILLが全員と1つに──。感動の本編ラストは7色の光がステージを照らした大ヒット曲「7 COLORS」。みんなの心に虹をかけるハッピーエンディングとなった。


全員がステージを去るやいなや、大アンコール。最初に出てきたJILLが感謝の言葉を述べ、メンバーを呼びこみ、1人1人が挨拶。「もし、ミュージシャンになっていなかったら?」という彼女からの質問に、それぞれ、「本に関わる仕事」「サラリーマン」「役所の受付」という答えが返ってきたのも、何だか、らしくて会場からも笑いがもれつつ、JILLは違う人生を蹴って全員が今に至るまで楽器一筋と紹介。

そして「震災があっても、ツアーを続けていたときに目標を持とうと思いました。そんなときに3年後、日本武道館に行ってみたいと思ったんです」とライヴを続けてきたバンド人生を振り返り、「もっとショーを続けよう」と、「THE SHOW MUST GO ON」を演奏。“幕は降りてない”、“途切れない夢”“夢の続きを捜して”と歌うこの曲が、今のPERSONZの想いそのままのように響いてきた。

3曲を演奏したあとのダブルアンコールは「来年の6月から30周年がスタートします。1年以上かけますが、必ず武道館をゲットします! ぜひ、来てください! 一緒に行こうよ!」と呼びかけての「DEAR FRIENDS」。

明るくなった客席に銀テープが降り注ぎ、みんなの歌う声が渋谷公会堂に響きわたった。JILLは平均年齢50代のバンドだけど、と言っていたけれど、ガラスのジュエリーにだって魔法をかけてダイアモンドにしてしまうようなPERSONZの音楽は今も変わらず、いや、前以上に深みと輝き、揺るぎない強さを増している。その姿は、多くの人たちに未来へと向かう勇気を与えたことだろう。

19時47分終演。それでもアンコールの声は鳴りやまなかった。

取材・文●山本弘子
撮影●田辺佳子

<DREAMERS ONLY SPECIAL 2013 STAGE03 : EXTRA LIVE SAPPORO>
11月16日(土) 札幌 PENNY LANE 24
http://www.mountalive.com/schedule/more.php?no=721
[問]MountAlive 電話番号:011-211-5600?平日(11:00~14:00 / 15:00~18:00)

<DREAMERS ONLY SPECIAL 2014?【30周年おめでとう!幕開け新春特別企画ツアー!】>
PERSONZ 完全着席ライブ(全席指定のオールシッティングライブ)
◆大阪Music Club JANUS 【MOONLIGHT SERENADE】
大阪市中央区東心斎橋2-4-30-5F  
2014年1月10日(金) 開場18:00 開演19:00
[問]Music Club JANUS 06-6214-7255

◆大阪Music Club JANUS 【SPARKLING DAYDREAM】
大阪市中央区東心斎橋2-4-30-5F
2014年1月11日(土) 開場14:00 開演15:00
[問]Music Club JANUS 06-6214-7255

◆神戸チキンジョージ 【GALAXY WALTZ】
兵庫県神戸市中央区下山手通2-17-2-B1F
2014年1月12日(日)開場16:00 開演17:00
[問]神戸チキンジョージ 078-332-0146

◆名古屋FITS ALL 【STARLIGHT?NOCTURNE】
名古屋市中区大須2-10-43 3F
2014年1月17日(金)開場 18:30 開演19:00 
[問]名古屋E.L.L .052-201-5004

◆名古屋E.L.L .【ROMANTIC A LA MODE】
名古屋市中区大須2-10-43 1F
2014年1月18日(土)開場 16:30 開演17:00
[問]名古屋E.L.L .052-201-5004
上記チケットの一般発売は11月8日より各プレイガイドで発売開始。
詳細は各ライブハウスまでお問い合わせください。

◆パーソンズオフィシャルホームページ
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス