【インタビュー】SUGIZO、ソロツアーに向けて──「細胞や魂が震える音楽を生み出していきたい」

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12月からスタートするソロツアー<SUGIZO TOUR 2013 THRIVE TO REALIZE>は2013年のソロ活動の集大成。LUNA SEAのアルバムのレコーディング、舞台『フランケンシュタイン』の音楽監督と、多忙を究めるSUGIZOにスタジオ作業の合間を縫ってインタビュー。究極の浄化作用をもたらすソロの音楽のこと、復活後のLUNA SEAについて今、感じている変化など、話は多岐にわたった。

■台詞や場面からインスピレーションを得て
■“これだ!”っていう音楽に変換するのはやりがいがある

──あい変わらず多忙な日々だと思いますが、現在は舞台音楽を制作中ですか?

SUGIZO:そうですね。『フランケンシュタイン』(東山紀之×坂本昌行主演の舞台)の音楽の制作中で。

──音楽監督を手がけることになったいきさつは?

SUGIZO:プロデューサーが昨年、音楽を手がけた舞台『7DOOR~青ひげ公の城~』(自身も主演)の時と同じ方で、ゴシックな世界観がSUGIZO的だから、是非、って今回もお話をいただいたんです。俺自身、ゴシックホラーが好きなこともあるし、世界的に知られている『フランケンシュタイン』の音楽が創れるなんて、これほど光栄なことはないって──。原作はメアリー・シェリーによる小説で、ポリス・カーロフ主演の映画(1931年)や、(フランシス・フォード・)コッポラがプロデュースしてロバート・デ・ニーロ主演で制作された映画(1994年)も、もともと好きだったんです。英国で上演された舞台も素晴らしかったらしいし、その日本版の舞台音楽を手がけさせてもらえるなんて、「俺でいいのか?」って感じでしたね。ちょうど、LUNA SEAのアルバムの制作時期と重なっていたので、レコーディング作業をしながら、舞台の曲のモチーフを生んでいった感じです。

──「フランケンシュタイン」の音楽はゴシック色が強い?

SUGIZO:ダークではありますね。フランケンシュタインっていうクリーチャーの風貌や行動が恐怖を感じさせるかもしれないけど、基本は悲しい話じゃないですか。最も重要な部分はビクター・フランケンシュタインによって生み出されたクリーチャーの孤独や悲しみ、怪物を創り出してしまったビクターの後悔の念だったりすると思うので、愛し方がわからない人たちの孤独な叫びのイメージの音楽ですね。

──切ない音楽なんですね。舞台の曲を創るときと、バンドやソロの曲を創るときとの手法の違いは?

SUGIZO:ソロとバンドでは曲の生まれ方は、そんなに大きな違いはないんですよね。生のバンドサウンドなのか、プログラミングメインのダンス方向の音楽なのかという、音楽的手法の違いです。サウンドトラックの場合は全く別で、最初にアイディアの断片がどんどん生まれてくるんです。メロディがポンと浮かんでくる場合もあるし、ギターを触っているとフレーズが次々に降ってくる場合もある。スケッチの断片を貯めていく作業から始まって、そこから広がっていって、ときにはオーケストレーションになったり……。スタイルにはルールがないので自由ですね。台本と監督や演出家のイメージが、1つのキーとなって曲を生み出していく。一方、バンドの場合は一緒に演奏するメンバーが重要なんです。彼らと楽曲を奏でたときに、いかにグッとくるか、ほかのメンバーがいかにカッコよく表現できるかどうかが大事。

──なるほど。音楽を表現する場が広がってきてますね。

SUGIZO:作曲家として成長できてますね。監督や演出家は、音楽とは別の分野の方たちなので、例えば“淋しくて悲しいんだけど、滑稽で怒っている感じ”っていうふうに曲のイメージを伝えてくれるときもあるんですけど、その発想が面白いし、台詞や場面からインスピレーションを得て“これだ!”っていう形の音楽に変換するのは、やりがいがあります。

──映画のサウンドトラックにも活かされそうですね。

SUGIZO:映画のサントラをやりたいんですよね。でも、舞台はごまかしがきかないから面白いですよ。そういう意味では、自分たちのライヴと同じです。

──先ほど、LUNA SEAのレコーディングの話が出ましたが、11月13日にリリースされるシングル「乱」についても、少し予告してもらえますか?


▲「乱」
SUGIZO:「乱」はポーンとメロディから生まれてきたんです。復活後のシングルのタイトル曲はバンドサウンドが前に出たアップテンポの曲が多かったけれど、今回は情熱的でありながら、もう少し歌そのものに焦点を当てたかったので、RYUICHIが伸びやかに熱く歌えることが重要でした。いい意味で'90年代っぽいメロディというか、懐かしさがあるっていう。だけど、楽器隊は裏で炎をあげているイメージ。

──この世界を見据えてのLUNA SEAらしいメッセージの曲でもありますよね。

SUGIZO:たぶん、世の中の動きに自然と反応してるのだと思うんです。キャッチーな恋愛の曲にもできたかもしれないけど、不穏な時代の中で、はじけるような音楽にはできないですよね。またC/Wの「ECHO」もいいんですよ。真矢が原曲を生み、INORANが主導して形にしていった曲なんですけど、俺とINORANのギターの役割がいつもと逆になっているので、そこも楽しみにしていてほしいですね。

──復活後のシングルに収録されている曲は、誰が書いた曲なのか、いい意味でわからなくなっている気がします。SUGIZOさんが感じるLUNA SEAの変化とは? そして変わらないところとは?

SUGIZO:変化したことのほうが多いです。もう10年以上アルバムを創っていないわけで、その中でメンバーの人間性も生活スタイルも時間と共に自然と変わっているから、今の自分たちの在り方が自ずと出てきているというか。昔のようにお互いを縛り合う必要もないし、各自が立派にいちアーティストとして活動しているので、そんな優秀な5人が集まって一緒にLUNA SEAという音楽を生み出している感覚ですね。

─中には、ずっと続けてきて、在り方が変化しないバンドもいると思うんですよね。

SUGIZO:そうですね。ウチらは一度、終幕しているし、波瀾万丈なので、あらゆることを経験してLUNA SEAに帰ってきた感がありますから。ずっと続けてきたバンドが変わらないことも素晴らしいことだと思うし、ウチらみたいに、もう一度、スタートラインに立つのもステキなこと。それぞれ評価や実績を得ていても、結局、自分たちにはロックバンドっていう居場所が必要だったんですね。で、そこにこだわるなら、LUNA SEA以外の場所はないんですよ。

──5人で曲を形にするクリエイティヴな作業、そこで生まれるカタルシスはやっぱり特別なものがあるんでしょうね。

SUGIZO:ロックバンドって単純にカッコいいしね。自分も10代のときにそこに憧れて始まってますから。

──LUNA SEAの新曲にも、ロックバンドのロマンが感じられます。

SUGIZO:パッションと美しさと官能。俺はギターで官能的なノイズを出したいんです。

──激しさと甘さが同居しているような。

SUGIZO:甘い蜜みたいなんだけど、実は毒を持っているような。媚薬でもあるとうか。

◆インタビュー続きへ
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