ヤマハから「MOTIF XF」のサウンドを継承、シーケンサー&オーディオインターフェイスを内蔵し音楽制作にフォーカスしたシンセサイザー「MOXF」登場

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ヤマハは、シンセサイザーの新製品として、ヤマハ ミュージック・プロダクション・シンセサイザー「MOXF6」(エムオーエックスエフ シックス)「MOXF8」(エムオーエックスエフ エイト)を11月20日より発売する。

◆シンセサイザー「MOXF」~拡大画像~

「MOXF」シリーズは、最新のフラッグシップシンセサイザー「MOTIF XF」の高品位なサウンドを継承した、音楽制作のためのシンセサイザー。61鍵のセミウェイテッド鍵盤採用の「MOXF6」、88鍵のGHS鍵盤採用の「MOXF8」をラインナップする。

フラッグシップシンセサイザー「MOTIF XF」同等のサウンドエンジンと音色波形を受け継ぎ、さまざまな音楽シーンで使える最新の多彩なサウンドを搭載。市場からの要望が大きかったフラッシュメモリー(別売)による音色波形拡張機能も搭載する。また、シンプルな操作で演奏の録音や編集ができるシーケンサーを装備するほか、DAWソフトウェア「Cubase」とのシームレスな音楽制作環境を構築できる機能も強化。本体のみでのスピーディーな制作からPCと組み合わせた高度な制作まで、幅広い音楽制作スタイルに対応する。


▲左がこれまでのラインナップ、右がMOXF後のラインナップ。MOXFは、前モデルのMOXよりも音楽制作にシフト。低価格で軽量なMXがライブ向けなので、より違いが際立つラインナップとなる。

音源は、リアルなピアノ音色やエレクトリックピアノ音色に加え、シンセサイザー、管弦楽器、ドラムの音色など、最新のフラッグシップシンセサイザー「MOTIF XF」の高品位でバリエーション豊かな波形をすべて収録。音色互換なので、ステージ用は「MOTIF XF」、持ち運びや家庭での制作用は「MOXF」といった使い分けにも対応可能だ。また、XA(エクスパンデッド・アーティキュレーション)機能を搭載し、レガートやトリルなどの生楽器独特の奏法を鍵盤で実現したり、シンセ系の音色の新たな演奏表現を作り出すことが可能。エフェクトにもVCM(Virtual Circuitry Modeling)エフェクトやマスターエフェクト、マスターEQなど多彩なシステムも「MOTIF XF」同等のものを継承する。

さらに、フラッシュメモリーエクスパンションモジュール「FL512M」「FL1024M」(別売)にも対応。これらを搭載すれば、音色データと波形サンプルをパッケージにした音色拡張ライブラリを読み込むことで好みに応じて音色を追加可能。読み込んだデータは、電源を切っても保持しておくことができる。無料の音色拡張ライブラリ「Inspiration In A Flash」「CP1 Piano」が用意されるのも注目だ(「MOXF」の製品ページよりダウンロード可能)。

曲のスケッチやフレーズのメモなど手軽な記録から本格的な曲制作まで手軽に実現できるシーケンサーも内蔵する。1トラックごとに実際に演奏しながら録音するリアルタイム録音機能に加え、手弾きに合わないフレーズや機械的なフレーズなどを録音したいときに便利なステップ録音機能を搭載。また、パフォーマンスモードで[REC]ボタンを押すだけでパフォーマンスを直接ソング/パターンに録音可能なのもポイント。アルペジオを駆使したアンサンブル演奏もそのまま録音できる。PCなしで、シンプルに録音したいという向きにはぴったりだ。


使いやすいユーザーインターフェースも特徴の1つ。16個のナンバーボタンで目的の音色をダイレクトに選択可能。さまざまな楽器ごとに分類されたボイスまたはパフォーマンスは、カテゴリーサーチ機能で簡単に呼び出せる。さらに、鍵盤の領域を4つに分け、まるで4つのMIDIキーボードがあるかのように演奏できる「マスターモード」や、気に入ったボイスからそのままパフォーマンスを作成できる「パフォーマンスクリエーター」機能も搭載する。

充実した入出力も魅力。ステレオのA/D INPUT [L]/[R]端子を搭載しており、マイクやギター、オーディオ機器などを接続、入力音声をボイス/パフォーマンス/ソング/パターンモードのA/Dインプットパートとして鳴らすことが可能。ボリューム、パン、エフェクトなどの設定をし、他パートとミックスした上で出力するので、ミキサーがなくても、1台で外部音声と合わせた演奏ができる。また、A/D INPUT [L]/[R]端子からの入力音声と本体内蔵エフェクトを利用してボコーダーサウンドを作ることも可能だ。さらに、オーディオ/MIDI信号を扱えるUSB端子を搭載。コンピューターのオーディオインターフェースとして活用できるのも見逃せない。

音楽制作でうれしいのが、内蔵シーケンサーに加え、Steinberg社製DAWソフトウェア「Cubase AI」(ダウンロード版)の付属。パネル上の「AI KNOB」で「Cubase」上の任意のパラメーターをストレスなくコントロールしたり、ソフトシンセの操作を手軽にコントロールしたりなど、ソフトウェアとハードウェアが融合したシームレスな音楽制作環境を簡単に構築可能だ。付属の「Cubase AI」は、最新の「Cubase AI 7」。「VOCALOID Editor for Cubase NEO」と「VOCALOID3」対応歌声ライブラリ(いずれも別売)を追加すれば、「VOCALOID」を使った楽曲制作も手軽に楽しむことができる。

オプションとして専用ソフトケース(MOXF6用6,300円、MOXF8用 9,975円)、専用ハードケース(MOXF6用31,500円、MOXF8用 63,000円)が用意される。

10月29日に開催された発表会では、ヤマハシンセサイザーのラインナップにおけるターゲットの棲み分けについて説明された。上級者、プロフェッショナル向けの「MOTIF XF」、ライブ演奏向けの気軽に持ち運べるエントリーモデルの「MX」に対し、今回の「MOXF」はより音楽制作にフォーカス。音楽制作を志向するすべてのキーボーディストに向けた製品であることがアピールされた。音楽制作においては、入り口はハードウェアシーケンサーでシンプルに使い、作り込みはコンピューターで行うという発展性のあるシステムが組める、用途に合わせて選べる点などもあわせて強調された。


▲MOXF6、MOXF8の演奏を披露したソノダバンドなどで活躍する園田涼。さまざまな音色を駆使したデモ曲は必聴。

発表会のゲストにはソノダバンドなどで活躍する園田涼が登場、さまざまな音色での演奏を披露した。アコースティック・ピアノの音色は「音にクセがない、きれいに生のピアノがサンプリングされているので、弾いた時の音色の変化やダイナミクスがバンドの中でも見えてくるので非常に気持ちがいい」、エレクトリック・ピアノについては「いい意味で音が硬質なのでファンキーだったりハードな音楽で刻んでも音が立ってきて、音色もいいし、リズム的なアクセントにもなりやすい音色なので使いやすい」「いろんな曲想にフィットしてくれる」、音色変化がキモのクラビネットは「ファンクミュージックはギターが強烈なので、それに張り合える音」とコメント。鍵盤については「キーボード1台でやる現場でもピアノが弾ける」「(シンセ鍵盤なので)軽いのは軽いんですが、ちゃんとひっかかりがあるので、どうダイナミクスをコントロールするかがつかめる」「調整ができる弾きやすい鍵盤」と評価。音色を重ねるレイヤーや鍵盤の左右で音色を分けるスプリットなどがカンタンに設定できるパフォーマンスクリエイターの便利さもアピール。さらにフラッシュメモリーにロードした無償配布の「CP1 Piano」音色については、「この価格帯で(この音が)弾けて、自由に選べるのはものすごくお得」とした。最後に「MOXF」のデモ曲として収録されている楽曲の演奏を披露。「生楽器がきれいに出るシンセなのでそれを前面に」出したという楽曲は、「シンセサイザーで曲を作る!ということを音色にインスパイヤされて」作ったと紹介された。

◆MOXF6
価格:オープン(想定実売価格 100,000円前後)
◆MOXF8
価格:オープン(想定実売価格 150,000円前後)
発売日:2013年11月20日

◆MOXFシリーズ 製品詳細ページ
◆ヤマハ
◆BARKS 楽器チャンネル
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