【インタビュー】藍井エイルが語るアニソンシンガーとしてのこだわり

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デビュー3年目を迎え、日本音楽の認知向上と市場開拓を目指す、一般社団法人日本レコード協会(RIAJ)の事業「J-Music LAB」の海外戦略アーティストに選ばれるなど、大活躍の女性シンガー・藍井エイル。アニメ「Fate/Zero」や「ソードアート・オンライン」、「キルラキル」など、大人気作品の世界観を歌にのせ、多くの人に届けてきた彼女が2014年1月1日の元旦に6thシングル「虹の音」を発売する。

◆藍井エイル 画像

そんな彼女にまだ語られてない「虹の音」のカップリング曲やデビューから今までを振り返りつつ、今後についても語ってもらった。

■もっともっと成長して行きたいなと、貪欲になって動いています

──2011年11月19日にリリースしたデビュー曲「MEMORIA」から3年目に突入されたと思うのですが、この2年間、歌手になって歌に対する想いで変わっていった部分はありますか?

藍井:どんどん貪欲になって、どんどん悔しい気持ちが増えていってる感じがします。レコーディングの時は、必ず自分が納得するまでやっているのですが、やはり月日が経つと「もっとこうすれば良くなったんじゃないか」と思う瞬間があります。ライブもそうなんですけれども、そう思わなかったらそこで停滞していることになるのでは、と感じていて、そうならないためにも「もっとこういう表現がしたい!」といった気持ちが強くなり、貪欲に、そして悔しい気持ちが日々増えていっていると思います。

──そういった悔しい気持ちを何か行動に移したりしているのですか?

藍井:そうですね。例えば、私が出ているライブ映像は必ず撮ってもらい、その映像を何度も何度も見て確認し、どこが悪かったのかを反省点としてノートに書き出したりしていますね。何度も何度も見るのを、1日でするのではなくて1ヶ月おいてからもう1度見て見たり、次のライブ前に何度も見たりすると、「何であの時これができなかったんだろうな」とか「本当はこうじゃなかったよな」というのが見えてきた時に、またそこから反省点が増えるんですよね。そこでまたノートに書き出したりして…。あとライブ以外ですとCDでもリリースしてから月日が経って聴くと「ここの表現こうしちゃったんだ…悔しいな」「もっとこうすれば良かった」と感じたりします。でもその時は100%の力を振り絞って作った作品なので、その時は絶対に後悔しないようにしていますし、だからもっともっと成長して行きたいなと、貪欲になって動いています。

──そうした常に成長していこうと、全力で取り組んでいる歌手というお仕事に就きたいと思った瞬間は何歳頃ですか?

藍井エイル:2、3歳の頃ですかね。字があまり読めていないのですが、音で覚えて、歌詞にどんな意味が込められているのだとかよく分からないで歌っていました。そんな中、親戚が集まってみんなでカラオケに行くことが多かったのですが、その時に初めて人前で、大好きなセーラームーンや親の影響なのですが、美川憲一さんの「さそり座の女」や門倉有希さんの「ノラ」を歌いましたね。歌を歌うこと自体は小さい時から好きだったのですが、それは皆で歌うような合唱ではなく、自分がマイクを持ってリバーブがある中で、しかも人前でソロで歌うことが好きで、その経験をカラオケでした時に「なんて楽しいんだろう」と思いました。その日をきっかけに、日に日に歌手や音楽ということを仕事にしたいと思い始めて、中学に入り「曲を作りたい」「女の子にキャーキャー言われたい」と思ってギターをいじってみたり、高校ではバンドを組んだりしました。ただその時はボーカルが既にいらっしゃったので、ギターから始まって、その後、ボーカルが脱退したのでギターボーカルになり、ボーカル一筋になっていきました。バンドオーディションなども何度か挑戦はしたんですが、なかなか上手く行かず、歌手になれないので「もう向いてないのかも」と思い、その道を一旦諦めてしまいました。歌手になるというのはすごく少ない確率なので、もっと現実的に考えようと思い、看護師の道を目指そうと思いました。たぶん、何で看護師に?と思うかもしれないのですが、そもそも何で歌手になりたかったというと「歌うことが好き」というのもあるのですが、自分の歌で少しでも誰かの心の中を救ったり、軽くしたいと思っており、そうしたことができる仕事をしたいと考えて、歌手は諦めて看護師という道を選びました。ただ、看護師の道を進む中で、やはり音楽から離れたくなくて…。その強い思いから、動画サイトに投稿したところ今に至りました。ちなみに今の名前である藍井エイルの「エイル」というのは、元々は「Eir」で、北欧神話の治療の女神「Eir」という登場人物から付けました。その女神は肉体だけでなく精神の治療も得意としていたんですが、私の思う「人の心を軽くできたら」という思いと重なっていたので。

──なるほど。そして動画サイトに投稿されたのを作曲家の安田史生さんに見出されたんですね。

藍井:そうなんです。そこから安田さんの持っているデモを歌ったりだとか、中川翔子さんの「涙の種、笑顔の花」という楽曲を安田さんにディレクションをしていただきながら歌の練習をしていました。そうした中で安田さんが「リスアニ!という音楽情報誌に出てみようよ」と言ったことをきっかけにデビューまで至りました。そしてデビューする時の話なのですが、最初、口元を隠していて、その理由がミステリアスなアーティストというものに凄く憧れていたことからそうしました。私、性格的にミステリアスな部分がかなり少ないんです。

──あっけらかんとした感じなんですかね?

藍井:そうですね(笑)。ジャケ写では「キリッ」とした感じでうつっているのですが、性格がめちゃくちゃ明るくて、会う人に「思っていたのと全然違う」とよく言われるくらいミステリアス感が無くて(笑)。だからこそ、そういうものに憧れて、始めは口元を隠すことでミステリアス感が出るのではないかと思いやってみたりしました。

──そんなあっけらかんとした性格の藍井さんが歌う楽曲について、割と「戦う」といったテーマを持つものが多いと思うのですが、新たなテーマを持った曲を歌ってみたいなというのはありますか?

藍井:藍井エイルの大きなテーマとして、「誰かの心の中を少しでも救い、軽くできたら」という願いを込めていつも歌っているのですが、いつも戦っている曲においては「どんな暗闇の中でも光を目指し、掴もうとする力」だったりそういう力強さをテーマの中に歌っています。それって、もっと簡単に言うと「生きることにしがみつく」ことだと思っていて、このテーマは大好きなので、このまま歌い続けたいです。新しいテーマということですが、昔、歌手のCoccoさんをよく聞いていた時期があり、Coccoさんって凄いダークなことを歌詞に書くじゃないですか?でも、気持ちがふさぎ込んだり、泣いていることを我慢していた時にCoccoさんのダークな曲を聴くことによって、それが優しさに感じた瞬間があったんですよ。泣くことができて。Coccoさんの音楽が自分の中にそういう泣き場や空間を作ってくださった感じがしていて、だから今後は凄くダークなものでもどんどん触れてみたいなと思っています。そうした中で、5thシングルの「シリウス」のカップリングで「クロイウタ」という楽曲を歌わせていただいたのですが、藍井エイルの中でも最もダークな曲になっていて、こうした楽曲に触れることができ、歌の幅が広がった感じがして、とても嬉しいなと思います。

──クロイウタは何度も聞いていると、いつ始まって終わったのか分からないというか。2番辺りからラスボスのテーマっぽい感じもありますし。今までのシングルA面とは違った感じの曲で、PS3用ソフト「ドラッグ オン ドラグーン3」らしい曲で印象的でした。

藍井:ゲーム音楽って世界観がめちゃくちゃ強いものが多いなと思っていたのですが、クロイウタも世界観が凄い強くて、初めて経験であるウィスパーボイスにも挑戦でき、すごい楽しかったです。ライブで歌うのはとても緊張しますけど、楽しみだなと思います。

──バラード系の曲やダークな曲も少しずつ歌っていって、今後、ワンマンライブの構成も面白くなりますね。

藍井:そうですね。これからさらにバラエティに富んだ見せ方ができるなと思っています。

──2014年1月1日に発売されるバラード楽曲「虹の音」のカップリング曲についてですが、「ソードアート・オンライン」のEDで声優の戸松遥さんが歌われていた「ユメセカイ」ですよね?こちらカバーされるに当たってどう思われました?

藍井:私、「ユメセカイ」がめちゃくちゃ好きで、実は海外のライブで春奈るなちゃんとドイツでカバーさせていただいたのですが、メロディーが心に響き、歌詞も優しい感じだったりして、iPhoneにも入れてるくらい好きです(笑)。なので、ユメセカイをカバーさせていただけると聞いた時は凄い嬉しかったのですが、やはりカバーということでとても緊張しています。自分なりに歌い方だったりだとか、どういう表現にしていこうかなど、ボーカルシートを作り試行錯誤しました。曲としてはアレンジが結構変わり、ちょっとラテン調でパーカッシブな感じになっており、オーソドックスではないので、皆様に聞いてもらうのは楽しみなんですが、ちょっと怖い部分もあったりします。


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