【ライヴレポート:詳細】VAMPS主宰<HALLOWEEN PARTY 2013>、神戸二日目に「すげぇ、また伝説やっちゃった」

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10月20日、神戸ワールド記念ホールにて開催二日目を迎えたVAMPS主宰のハロウィン・イベント<HALLOWEEN PARTY 2013>は初日同様、全席ソールド・アウトの7500人を動員した。その速報レポートおよびphoto-galleryに続いて、神戸二日目の詳細レポートをお届けしたい。

◆<HALLOWEEN PARTY 2013>神戸二日目 画像

▲DAIGO
▲MUCC
▲HALLOWEEN COLLECTION
▲Acid Black Halloween
▲VAMPS
▲HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA
主宰のVAMPSを筆頭に、2013年はソロ・アーティストとして参戦のDAIGOという2本柱に加え、Acid Black Cherryのyasu率いる<HALLOWEEN PARTY 2013>だけのスペシャル・バンドAcid Black Halloweenと、L'Arc~en~Cielと所属事務所を同じくするMUCCが顔を揃えた神戸公演2日目は、全5公演中でもっともロック色の強い、ある意味、もっとも血の濃いラインナップと言えるかもしれない。そのためか、会場にもよりコアかつヘヴィな“ハロウィン・ジャンキー(=ファン)”たちが大勢集まったように思える。結果、初日の初々しさとはまた異なる、ステージと客席がお互いに踏み込み合うような、ひときわ熱のこもったライヴが展開された。

ステージの幕が開いた途端、日本中に大フィーバーを引き起こしたNHKの連続テレビ小説『あまちゃん』のテーマソングが陽気に流れ出し、オーディエンスにまさかと思う暇も与えず、「じぇじぇじぇ~!」とDAIGOが飛び出してきた。

「今日はオラのこと、DAIGOちゃんって呼んでください!」

“北の海女”と書かれた手ぬぐいを頭に巻き、絣半纏に赤い帯を締め、白の短い袴の腰の位置には網の袋を下げた完璧な海女スタイルでそう叫ぶ姿はまさしく“ロック界のあまちゃんこと、DAIGOちゃん”。バンド・メンバーもお揃いで、しかもこれが意外に似合っているからたまらない。四方八方から押し寄せる歓声を掻き分けるようにランウェイをダッシュし、メイン・ステージの端から端まで軽やかに駆ける瑞々しいはじけっぷりは、あまちゃんのそれにも引けを取らないとさえ思わせた。

「今日はトップバッターとして盛り上げていかなきゃならないんで、ぜひDAIGOの時間も楽しんでいってください。よろしく!」と、最初の1曲「無限∞REBIRTH」を歌いあげ、改めてそう挨拶すると、まだ“DAIGO”としての持ち曲が2曲しかないということで、「10年前にデビューしたDAIGO☆STARDUST時代の曲を」と「SUPER JOY」を披露。DAIGO曰く、当時はチャート初登場130位だったらしいが、どっしりとビートを利かせたノリのいいロック・サウンドは今、聴いても充分、耳に訴えてくるものがある。サビではオーディエンスもめいっぱいに腕を伸ばし、リズムに合わせて手のひらを大きく右に左にと振っては楽曲と一体化。「10年前には想像できなかった光景なので、ひとりで感無量です!」と目を輝かせるDAIGOが印象的だった。

ポンキッキのキャラクター、いわば本家ムックとの共演で幕を開けるはMUCCのステージ。道化師メイクのメンバーに続いて、マイクを握ったムックが登場すれば誰だってそれが逹瑯だと思い込んで疑わないだろう。朗々と低音ヴォイスを響かせてステージ狭しと新曲「World's End」を走り歌う赤いモジャモジャの勇姿はオーディエンスの目を惹きつけるに不足なく、ゆえにサビでステージ袖からひときわ派手なピエロがやってきたときの場内のどよめきは尋常じゃなかった。まったくまんまとしてやられたものだ。しかし初日のセッション飛び入り時の映像を活用した瞬間移動ワザといい、人を食ったトリッキーな演出は実に彼ららしい。逹瑯と連れ立ってランウェイを進み、追いかけてきたミヤにはエアギターで応戦とムックもさすがの身体能力を発揮。1曲丸々パフォーマンスし、「Trick or Treat! お菓子をくれなきゃいたずらするぞ~」と道すがら、YUKKEとハグして去るムックに惜しみない拍手が送られる。粋なオープニングに客席は大喜びだが、しかし彼らの本領が剥き出しにされるのはここからだった。逹瑯の雄叫び一発、ハードに歪むアンサンブル。戯言など一切入り込む余地のない「Mr.Liar」が容赦なくオーディエンスに襲いかかる。ゴリゴリと迫る音の圧、なんと殺傷力の高いことか。本気で振り切れればピエロはもはや道化でなくなるのだとまざまざと思い知らされる。曲と曲の間にさりげなく、頭にかぶったとんがり帽子をピンと立て直す逹瑯の仕草でさえ、不敵にして様になっているからすごい。

「去年ね、個人で“HALLOWEEN PARTY”のセッションに出させてもらいまして、いろんなものを見て、ちょっとこれは仮装じゃ勝てへんぞ、ということで、本物を呼んだほうがいいんじゃないかと。ムックさん、ありがとうございます! 一応、5歳児なんで、もしも登場時間が遅くなったらダメかもしれないとちょっとヒヤヒヤしましたけど」

そんなMCで場を和ませつつも、再び演奏が始まれば怒濤に次ぐ怒濤。疾走する「ニルヴァーナ」の哀愁、炸裂するSATOちのドラムにミヤの重いギター・リフとYUKKEのアップライト・ベースがダンサブルにグルーヴし、逹瑯が吹くハープの音色が狂騒を加速させた「ファズ」、そしてラストはライヴの定番「蘭鋳」と息もつかせぬ勢いでとことん畳み掛ける。スタンディング・ブロックはもはやぎゅう詰めながら、それでも果敢に身を乗り出し、猛然とヘッドバンギングして応えるオーディエンスの姿に、「神戸、座れる? 座れねぇな! 見た感じ無理そうな気がする。すげぇな、こんだけぎゅうぎゅうなの」と思わず逹瑯も苦笑い。いつもならば観客を座らせ“3、2、1”の合図でジャンプする場面だが「あんまりやらないことなんだけどね」と急遽、立ったままで跳ぶことに変更。次の瞬間、会場を埋め尽くした7500人が一斉にはじけた。

ギターにHIRO(Libraian/La'cryma Christi)とLeda (ex. DELUHI)、ドラムにShinya(DIR EN GREY)、ベースに正体不明の男(後にVAMPSのサポートベーシストJu-kenだと明かされる)とそうそうたる顔ぶれにして、Ju-kenを除いては全員が女装で登場したAcid Black Halloween。それだけでも眼福すぎる眺めだが、そこに金髪ゴスロリ美少女に扮したyasu(Acid Black Cherry)が姿を現わすや、神戸ワールド記念ホールに激震が走った。噴き上がる悲鳴、歓声、嬌声をなぎ倒すかのように「神戸! 飛ばしていくぞ!」とシャウトする不敵なハイトーンは、しかしyasu(Acid Black Cherry)そのもの。女装であることなどはなからお構いなし、ミニ丈のドレスから伸びた細い足があられもなく大きく開かれるたびにドキッとさせられ、実に心臓に悪い。ランウェイにずかずかと乗り込んでくる感じや長い髪を躊躇なく振り乱す様に、いつになくときめいてしまうのはギャップ萌えというヤツだろうか。これぞ仮装の醍醐味だ。
 
「神戸のみなさん、こんばんは! スタンド、元気かい? アリーナ、元気ですか! Acid Black Halloweenです! やってきました、“HALLOWEEN PARTY 2013”。たった2曲でレ○プされたみたいになってるんですけども(笑)」

言葉通りのあまりの乱れ具合に大ウケするオーディエンス。あちこちで起こる爆笑と拍手に「笑うな、ボケ! こっちもちょっと今、予想外じゃ!」と悪態をつくyasu(Acid Black Cherry)だが、それがまた爆笑を誘う。「今回はAcid Black Cherryかと思いきや、Acid Black Halloweenということで。何が違うかといえばハロウィン仕様ですよ。なので、今日はいろんなバンドの方が参加してくれてます」とメンバーをひとりずつ紹介すると、「ひとり、いかつい男がいますが、今日はやっぱりオマエらの叫び声に犯されたいと思います! そんなんじゃ全然濡れない! もっともっとHな声、聴かせてくれよ!」といっそう激しく客席を煽り、興奮を頂点にまで引き上げるyasu(Acid Black Cherry)。Acid Black Cherryの鉄板チューンを矢継ぎ早に浴びせかけ、前半以上の暴れっぷりで乱れに乱れる艶姿が狂騒に拍車をかけた。

熱狂のライヴ・アクトを締めくくるのはもちろんVAMPSだ。馬車からARIMATSU、JIN、Ju-ken、K.A.Zと順に降り立つ彼らのメイクに一瞬、会場中が息を呑んだ。没落貴族にドラッグ・クイーン、執事に貴公子、とそれぞれにまとう衣装は中世ヨーロッパを彷彿させてゴシックだが、メイクは全員がメキシカン・スカル。スカルでありながらポップにデザインされているから、かえって不気味さが増して見える。どよめきをものともせず、ランウェイからトーチの灯が揺れるメイン・ステージの幕の向こうへと姿を消す4人。演奏とともに改めて幕が開くと、今度はステージの中央から黒のロング・ドレス姿のHYDEが扇子で顔を覆い隠しつつ、「RUMBLE~HALLOWEEN Ver.~」を歌いながらランウェイへと歩み出てきた。艶かしくも緩やかに上昇曲線を描くメロディがサビに切り替わったその瞬間、HYDEのメイクが露になり、同時にその立ち姿がみるみると天井に伸びてゆく。スカートの裾を長く長くたなびかせ、ランウェイの先端にそびえるHYDEツリー。昨日が落下ならば今日は上昇のイリュージョンだ。しかしワイヤーで吊り上げられることはあろうが、まさか上に伸びるとは。驚きの演出に沸き立つオーディエンス、それを足元に睥睨して超然としたHYDEの佇まいのコントラストがいい。

「ハッピー・ハロウィン! 今日はね、ちょっとゴスってみたのよ。みんなでおドクロになろうかと思って。いちばん好きなのはJINさん。毎回、裏切りません(笑)」

HYDEの言葉に、ひとりだけ白黒反転したJINのメイクに客席の視線が集中、ドッと笑いが起こる。しかもドラッグ・クイーンなのだから最強だ。しかしJINならずとも全員がここまで極端なメイクでくるとは想像もしなかった。ゴス×スカルはハロウィンにおいても、VAMPSにとってもこの上ない組み合わせではあるが、HYDEにしろK.A.Zにしろ、なにせ表情どころか元の顔がまるでわからないのだ。なのに彼らに寄せられる歓声は衰えるどころか、爆発的に膨れ上がって留まるところを知らない。持ち前の端麗な容姿をも凌ぐ計り知れないその魅力につくづく感服してしまう。それにしたってこれほどに生命力溢れた骸骨もそういないのではないか。「HALLOWEEN PARTY~JAZZ Ver.~」から「GLAMOROUS SKY」、「MIDNIGHT CELEBRATION」と後半戦もジェットコースターのごとく一気に駆け抜け、トリを飾る。

HYDEがコンダクターとなりHALLOWEEN JUNKY ORCHESTRAを指揮する「Penalty Waltz」から、この日のセッション・タイムもスタートした。出演アーティストたちをはじめ、昨日に引き続き『ジョジョの奇妙な冒険』の空条承太郎に仮装したシドの明希、赤ずきんちゃんの分島花音も参加、オールスターが一堂に介したステージは豪華のひと言に尽きる。「Rhythm Game」では、こちらも赤ずきんに扮したAnisが登場。ただし分島が“赤ずきんちゃん”ならば、Anisは“赤ずきん様”らしい。HYDEにK.A.Z、yasuとDAIGOにMUCCの4人、さらにAcid Black HalloweenからShinya、明希と分島という選抜メンバーで行なわれた「Rhythm Game」は今日も波乱含み。「失敗する人はミュージシャンと名乗ってはいけないと思います」とyasu(Acid Black Cherry)が息巻けば、DAIGOも「土下座ですね」と追従、「DAIGO、俺が永久に終わらせない」「yasuさん、それは俗にいうオールナイト・ロングってことですね」とさらにかぶせて、しかしその舌の根も乾かぬうちにDAIGOが最初の罰ゲームを喰らう羽目に。きれいな土下座を決めるDAIGOに「さすがあまちゃんと半沢直樹を独り占め」とMCのやまだひさし氏が即座に絶妙なツッコミを入れ、場を盛り上げる。その後、逹瑯に続き、yasu(Acid Black Cherry)までもが罰ゲーム。yasu(Acid Black Cherry)のモノマネ“福山雅治氏からの中尾彬氏”はかなり貴重だろう。ついには全員アウトという前代未聞の事態にまで。そんなセッション・タイムのクライマックスはやはりD'ERLANGERのkyoとHYDEとがコラボレーションして歌うD'ERLANGERのカバー「LA VIE EN ROSE」だった。逹瑯もマイクを取って3人で歌をリレー、MUCCの演奏が朗々と鳴り渡る。ミヤと向かい合っては笑顔を交わし、明希にマイクを差し出して歌を誘うkyoの、貫禄のステージングに惚れ惚れと見つめるオーディエンス。歌い終えたHYDEは「すげぇ、また伝説やっちゃった」と無邪気に声を弾ませた。

神戸ワールド記念ホールが一体となって声を響かせた「HALLOWEEN PARTY」で2日間の神戸公演は終幕。しかし、まだパーティーは続く。次は6日後、会場を幕張メッセに移して、魅惑の夜が繰り広げられる。

取材・文◎本間夕子
撮影◎緒車寿一/田中和子

■<HALLOWEEN PARTY 2013>
2013.10.20 (Sun) 神戸ワールド記念ホールSET LIST
【DAIGO】
M1:無限∞REBIRTH
M2:SUPER JOY
M3:いつも抱きしめて
M4:SUMMER PARTY
【MUCC】
M1:World’s End
M2:Mr.Liar
M3:G.G
M4:ニルヴァーナ
M5:ファズ
M6:蘭鋳
【Acid Black Halloween】
M1:1954 LOVE/HATE
M2:少女の祈り
M3:罪と罰~神様のアリバイ~
M4:SPELL MAGIC
【VAMPS】
M1:RUMBLE ~HALLOWEEN Ver.~
M2:TROUBLE
M3:DEVIL SIDE
M4:REPLAY
M5:HALLOWEEN PARTY ~HARD CORE Ver.~
M6:GLAMOROUS SKY
M7:MIDNIGHT CELEBRATION
【HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA】
M1:Penalty Waltz
M2:Rhythm Game
M3:LA VIE EN ROSE (D’ERLANGER)
M4:HALLOWEEN PARTY
※HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA
VAMPS / DAIGO / MUCC / Acid Black Halloween(yasu(Acid Black Cherry)、Shinya(DIR EN GREY)、HIRO(Libraian/La'cryma Christi))、Leda(ex.DELUHI) / kyo(D'ERLANGER) /明希(シド) / 分島花音 / Anis

◆<HALLOWEEN PARTY 2013>BARKS特設サイト
◆HALLOWEEN PARTY 2013 特設サイト
◆HALLOWEEN PARTY 2013 オフィシャルサイト
◆VAMPS オフィシャルサイト
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