【インタビュー】片桐舞子（MAY'S）「一人の女子としての生き方や世界観をフォーカス出来たら良いなぁと思ってタイトルも『Solo』にしました」

■ソロはもっと楽しんでやって良いんだなって思いました
■良い意味でMAY'Sとバランスがとりやすくなったというか

──なるほど。チャレンジもたくさんしていますね。一番大きなチャレンジはどの曲でしたか？

片桐：一曲目の「Deeper and Deeper」ですかね。

──ピアノと歌だけですものね。

片桐：はい。この曲はエグいメロディラインをしているので。

──すごい低音から始まります。

片桐：そうなんです。声のレンジを目一杯使いたくて。メロディもどんどん転調していく作りになっていますし、シンガーとしてはかなり歌い上げ甲斐のある曲。頭の低音の部分は、自分の声の中で使ってみたかった部分ですし、最後のあたりのフェイクはレコーディングしながらみんなが盛り上がってきちゃって、「このぐらいまで行ってほしい」ってなったので、「じゃあ、そのぐらいまでやっちゃおう！」って、レコーディングしながらあのキーまでどんどん行っちゃったんです。そういう化学反応がたくさん出た曲なので、すごく気に入っています。

──ピアノと歌だけっていう、ここまでシンプルな曲はMAY'Sでもなかなかないですものね。

片桐：そうですね。割と正統派なバラードが多かったりするし、ピアノ一本にしても、ここまでエモーショナルにどんどんメロディが展開していく曲はないかも。ソロならではの曲になったなと思います。作り方も面白かったんですが、坂詰美紗子ちゃんに土台になるコード進行とピアノの雰囲気を作ってもらって、そこからあとの作業では、このクレジットにある三人全員がフルのメロディを考えているんです。それを全部ミックスして作ったっていう。自分だったら思いつかないメロディラインっていうのはすごく勉強になりましたし、面白かった。

──「Deeper and Deeper」自体は、すごく切ない歌詞ですね。

片桐：はい。世知辛い恋愛をしている人に、自分の環境にはめ込んで聴いてもらえたらって思います。叶わないとわかっていても、それでも好きでいてしまう恋をした人しかわからないと思うんですが、そういう恋って周りに何を言われても止められなかったりするじゃないですか。もがいている結果がどうじゃなく、その中にまさに居るっていう曲でも良いのかなって。MAY'Sだと結論だったり、未来の希望を提示してあげたくなっちゃうんですけど、あえてソロではそれを提示しないというか。もっとその瞬間、瞬間の部分を切り取れたらなって、あえてそういう風に書いたりしました。

──いまそういう恋愛をしていない人でも古傷をえぐられるような感じですよね。「Anytime,Anywhere～恋い焦がれてたあの頃～」なんかも。きっと「そんなこともあったなぁ」って気持ちになると思います。「TOKYO BLUE」のようにワガママも言わずに良い子のまま別れるとか、「Ex-Boyfriend」のように、元カレに対して「踏み台にしてあげる」って憎まれ口を叩いたり、「わかるわかる！」って思うような曲ばかりで。

片桐：この作品って、作る前はさんざん自分と向き合っているんですが、自分を表現したというよりも、自分が誰かにこう言ってもらえたらラクなのになっていう作品になったと思うんです。誰かが世間的にこういうことを大々的に言ってくれて、それを自分が聞けたらどんなにラクなんだろうっていう気持ちが強いというか。

──「Beautiful」なんて特にそうかも。

片桐：この曲は、どん底に疲れて、たまにどうしようもなく誰かに褒めて欲しいときってあるじゃないですか。一言「頑張ったね」って言ってほしいとか、なんでこんなに頑張ってるのに誰も何も言ってくれないんだろうって思うことってあると思うんです。そういうときって、化粧しながら、「頑張れ！頑張れ！大丈夫！」って自分に言ってるときって私もたくさんあって。ただ着飾っているだけが綺麗なんじゃなく、「頑張っているあなたが綺麗だよ」って言われたら嬉しい。それを言ってもらっているように感じてほしいという気持ちで書いているので。この曲以外にも、全体的に、誰かがこういうこと言ってくれたらいいなっていうことが多いです。

──すごくわかります。そんな中には「V.I.P」のような遊び心満載な曲もありますし。

片桐：そう。ちょっと挑戦的な女の子ですよね。エッジの効いた曲も入れたいなぁということで。この曲は、「Deeper and Deeper」でも一緒に作曲そしてくれたSHIKATAくんが中心になって作ったんですが、「こういう曲がやりたいんだけどなんかない？」って相談しながら作ってもらった曲で、遊び心が満載ですね。言葉遊びをふんだんに混ぜつつ、「女の子だってこれくらい出来るさ」っていう。女子みんなでワイワイ聴いてもらえば。

──今度ソロ作品を作るならこうしたいなとか、そういう思いも出て来ましたか？

片桐：そうですね。もっとこう出来たんじゃないかとか、そういう気持ちは出て来ました。MAY'Sとしてソロをやることがプラスなのかどうかって不安な部分もあったし、最初は固く考えていたけど、もっと楽しんでやって良いんだなって思いました。MAY'Sで出来ないことをソロでやっておけば、MAY'Sでは好き勝手にMAY'Sらしいことが出来るし、良い意味でバランスがとりやすくなったというか。もっともっと楽しんで、ソロとしての2ndアルバムも作ってみたいなと思いました。

──河井さんも同時にソロ作品『Aozora』をリリースするんですよね。気になってました？

片桐：お互い、気になりつつも自分のことで精一杯という感じでした(笑)。だいたいが出来上がるまで、お互いがどんな曲を作っているのか知らなかったんです。作品作りの後半でやっと初めてお互いの曲を聴いて、「おぉ?！」って感じで。すごくかっこ良かった。この人はこんなことも出来たのか!?って。彼の場合はトラックメーカーとしての引き出しが多いので、MAY'Sをやっている中でも、「まだこんな部分を隠していたのか！」って思う瞬間も多いんです。だからユニットとして楽しくやれているし、MAY'Sをやっててフラストレーションを感じないんです。ソロ作品は、さらに器用な人だなぁと思ったし、じゃあ、MAY'Sでどんなことをやろうかっていうのが楽しみになるようなソロ作品でした。

──結成10周年でターニングポイントになったソロ活動だったわけですね。

片桐：本当に。これからが楽しみだし、ワクワクしちゃいますね。来年はソロのライヴもやりますし、同時にMAY'Sのアルバムも作っているので、年明けは怒濤のような活動を繰り広げていくので、皆さんにも楽しんでもらえたら良いなぁと思います。

取材・文●大橋美貴子


『Solo』
2013/12/4発売
KICS-1996　￥1,800(tax in)
1.Deeper and Deeper
2.Anytime, Anywhere ～恋焦がれてたあの頃～
3.TOKYO BLUE
4.V．I．P
5.Ex-Boyfriend
6.Beautiful
7.True Love Story ～Luv behind the melody remix～

☆片桐舞子ソロLIVE
＜片桐舞子 Premium "Solo" Live ～TOKYO BLUE NIGHT～＞
2014年2月15日（土）目黒Blue Alley Japan

＜TOWER RECORDS SENDAI PARCO 5th Anniversary vol.2「SURESHOT!next」＞
12月6日（金）仙台darwin
【出演】片桐舞子（MAY'S）/TEE/平井大/SENDIAN（仙台）

☆MAY'S LIVE
＜X'mas Special Live SING SING SING!!! 2013＞
12月23日（月・祝）恵比寿ガーデンホール［東京］

＜第10回 都市型アートイベント『sebone(せぼね) LIVE 2014』新芸術文化ホールオープン記念ライブ＞
2014年2月16日(日)豊橋市立芸術文化交流施設"穂の国とよはし芸術劇場"
【出演】MAY'S / ハジ→　Opening Act：AV169

★MAY'S：New Album 2014年3月5日発売決定
★MAY'S：MAY'S Tour 2014 開催決定
2014年3月15日（土）～2014年4月29日（火・祝）

◆MAY'S オフィシャルサイト
◆片桐舞子特設ソロサイト