【短期集中連載】アヲイ「終奏物語」[vol.9]

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2013年6月2日、渋谷O-WESTでのツアーファイナル公演にて2014年1月12日にLIQUIDROOM edisuでのワンマン公演を発表したアヲイ。2013年10月20日に5th Mini Album 「終わりのメロディ」をリリースした彼らが行うリリースツアー<終奏>のファイナル公演に相応しい大舞台だ。そんなアヲイの内部を短期集中連載としてフィクション、ノンフィクションを交え、メンバーが執筆した小説をみなさんにお伝えしていく。第9回目はギターの慎だ。


 ◆  ◆  ◆

♪いーまー、そらをまうー、こなゆきぃをー、あつめよおぉー

そう、冬の名曲「冬のファンタジー」の一節である。

「冬のファンタジー」といえば、日本のポップスデュオ、カズンの3枚目のシングル。1995年10月16日発売。
サッポロビール「冬物語」CMソング。
カズン最大のヒットシングルであり、唯一オリコンチャートトップ10入りを果たしたシングルである。
ノンクレジットであるが、コーラスに槇原敬之が参加している。槇原も1991年に「冬がはじまるよ」で同じく「冬物語」のCMソングに起用されたことがある。

でお馴染みのそんな「冬のファンタジー」のサビのハモりパートをフワフワと口ずさみながら街を歩いている男がいた。


街はすっかりクリスマス一色。

ついこの前までハロウィンのカボチャやらゴーストやらで街が賑わっていたのが嘘のように、厳かな装飾、でもどうしても滲み出てしまっている。

「……嫌いだな…」

男は誰に向ける訳でもなく、自分自身に言い聞かせるかのように、いや、本当のところは何の意味もなかったのかもしれないが、そう呟いた。


そう、この街の煌きは、クリスマスそのものを祝うための装飾ではない。

「ない」と言い切ってしまうと多少乱暴な気がするから(キリシタンの人たちに怒られないように)柔らかく言おう。

クリスマスに便乗した年末商戦の客寄せが「ほとんど」だ。

そんな本質を失ったイベントばかりの世界に男は嫌気がさしていたのだろうか。

「…幸福の形は人それぞれ……でもこれじゃ物足りない…俺は……」

男はまた、自分に言い聞かせるように呟いた。

或いはただ気を紛らわせるためだったかもしれない。


揺るぎない自分の世界の中に生きているのか、偏屈者なのか、男はブツブツブツブツと一人で呟きながら歩いていた。

そしてその向かう先は。



―――忘年会。



年末と言えば忘年会。

忘年会と言えば二次会のカラオケ。

「冬のファンタジー」なら、年配者も若者も知っている人は多いだろうし、曲に変な嫌味もなく誰も文句を言わないだろう。

それに加えて意中のあの子とデュエットまでできるかもしれない。

これが男の算段であった。


「…何か忘れているような…俺はタオル工場で働いていて今年も無事に仕事納めを終えたが、もっと大事な何かがあったような……」



そう彼こそがオトギだった。

物販の怨霊の呪いで地獄へ落ちたかと思われたオトギは、みんなでリキッドルームの成功を目指していた「あの世界」とは違う、全く別の並行世界へ送り込まれてしまっていたのである。


一方「あの世界」では、オトギを失ってしまった残されたメンバーはそれでも何とかライブをやり切り、Ustreamのアヲイチャンネルで行われるバーチャル打ち上げの準備をしていた。

その場所は偶然にもカラオケボックス。

冬と言えばとか懐かしいとかワイワイ言いながら、誰からともなく「冬のファンタジー」を口ずさみ始めた。

偶然にも並行世界のカラオケボックスで女子社員が「冬のファンタジー」を歌っているのと時を同じくして。



―――こっちの世界
慎、翔。、サキ、Ryo「♪ふたりだけの~」


―――あっちの世界
女子社員「♪ふたりだけの~」

オトギがハモろうとマイクを握る。



全員「♪物語が輝き出すよ~」



辺り一面光に包まれた。



そして気付けばオトギはアヲイメンバーのいるカラオケボックスでマイクを握っていた。

そう、彼は帰ってきたのだ。



物語が輝き出した。

2013.10.23 5th Mini Album 「終わりのメロディ」 リリース
【初回限定盤A-type】
CD( 全5 曲)+DVD(PV) 2 枚組 ¥2,940-(tax in) BRA-028
【初回限定盤B-type】
CD( 全5 曲)+DVD 2 枚組 ¥2,940-(tax in) BRA-029
【通常盤】 CD 全6 曲 2,310-(tax in) BRA-030

アヲイ5th Mini Album 「終わりのメロディ」Release TOUR<終奏>
10 月30 日( 水) OSAKA BIG CAT
11 月01 日( 金) 名古屋Electric Lady Land
11 月02 日( 土) HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-3
11 月05 日( 火) 高田馬場AREA
11 月15 日( 金) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
11 月17 日( 日) 柏PALOOZA
11 月23 日( 土) 秋田 Club SWINDLE
11 月24 日( 日) 盛岡Club Change
11 月26 日( 火) 青森Quarter
11 月28 日( 木) 仙台MACANA
11 月29 日( 金) 郡山CLUB♯9
11 月30 日( 土) 山形ミュージック昭和Session
12 月06 日( 金) 博多DRUM SON
12 月08 日( 日) 岡山CRAZYMAMA 2nd ROOM
12 月10 日( 火) 神戸VARIT.
12 月13 日( 金) OSAKA MUSE
12 月27 日( 金) 高田馬場AREA

TOUR FINAL ONEMAN
2014年1月12日(日) LIQUIDROOM
開場 16:00 / 開演 17:00 前売 3,990円(D別) / 4,500円(D別)
チケット一般発売:10/26(土)


◆アヲイオフィシャルサイト
◆BARKS ヴィジュアル系・V-RCOKチャンネル「VARKS」
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