第71回ゴールデングローブ賞にて最多7部門ノミネートを受けている映画『アメリカン・ハッスル』だが、このサントラのリリースが決定となった。

◆映画『アメリカン・ハッスル』予告編

『アメリカン・ハッスル』は、1970年代後半に実際に起った汚職スキャンダル「アブスキャム事件」を基にしたもので、天才詐欺師と政治家たちとの騙し騙される駆け引きを痛快かつユーモアたっぷりに描いたエンタテインメント作品だ。そしてその時代を彩る音楽がひときわ素晴らしい。

デヴィッド・O・ラッセル監督が手掛けた作品を見ていると、選曲の良さもさることながら、音楽がシーンの雰囲気や登場人物の心の動きに寄り添って映画に溶け込むように作用していることがよく分かる。『アメリカン・ハッスル』においても、物語の舞台になった1970年代のヒット曲の数々が猥雑でパワフルな人間ドラマを盛り上げていくのだ。

冒頭のスティーリー・ダン「ダーティー・ワーク」から始まり、デューク・エリントンの「ジープズ・ブルース」、ディスコで盛り上がるシーンではドナ・サマー「アイ・フィール・ラヴ」にのって踊るシーンから、酒場でトム・ジョーンズ「デライラ」を合唱するシーンへと繋がっていく流れは音楽的ともいえる編集の巧みさが光っている。

そしてカジノで登場人物が一堂に会するシーンも音楽が際立っている。カジノで流れる美しいバラードはエルトン・ジョン「黄昏のレンガ路」。金まみれのショウビズ界に対する決別を歌った歌詞だと言われているこの曲が、ゴージャスに着飾った男女が欲望渦巻くカジノへと向かうシーンで流れるというのも皮肉めいている。

一方、カジノのトイレで一人の男を巡って喧嘩した女たちが傷つき泣きじゃくるシーンでは、「傷ついた心をいやすにはどうしたらいいの」とその心情を現すかのように、ビージーズの初の全米1位曲「傷心の日々」が流れる。この曲には「敗者が勝者になる見込みはあるかい?」というフレーズがあるが、それはこの映画のテーマともいえるものだ。

そして爆笑させられるのが、ポール・マッカートニー&ウィングス「死ぬのは奴らだ」を歌いながら、ジェニファー・ローレンスが家の掃除をしながら踊りまくるシーン。このシーンは映画における音楽の効果が最大に発揮されたシーンのひとつ。ちなみにポールはこの曲が流れるシーンを知って驚きつつも曲の使用を快諾したとか。

様々な名曲が流れるなかで、1970年代にもっともアメリカでトップ40入りのヒット曲を放ったバンド、エレクトリック・ライト・オーケストラ(ELO)の「10538序曲」と「ロング・ブラック・ロード」が使われている。劇中のクライマックスとラストで二度使われているが、この曲はELOが2001年に発表した『ズーム』の日本盤にボーナス・トラックとして収録されていた曲だ。ジェフ・リンは、さらに映画のために未発表曲「ストリーム・オブ・スターズ」を提供しており、映画のエンドロールで聴くことができる。

今回もラッセルの選曲センスが光るサントラとなっているが、1970年代ポップスのなかでもメロウな曲が印象的に使われているのが特徴だ。成功を夢見て悪戦苦闘しながらも失敗してしまう登場人物たちの哀しみが曲とともに浮かび上がり、監督の手腕が光るところだ。

『アメリカン・ハッスル』サウンドトラック
1月15日配信開始
1「ジープス・ブルース」Duke Ellington
2「黄昏のレンガ路」Elton John
3「ホワイト・ラビット」(Arabic Version)Mayssa Karaa
4「10538序曲」E.L.O
5「死ぬのは奴らだ」Wings
6「傷心の日々」Bee Gees
7「アイ・フィール・ラヴ」Donna Summer
8「ドント・リーヴ・ミー・ディス・ウェイ」Harold Melvin & The Blue Notes
9「デライラ」Tom Jones
10「アイヴ・ガット・ユア・ナンバー」Jack Jones
11「ロング・ブラック・ロード」(E.L.O)
12「名前のない馬」America
13「ストリーム・オブ・スターズ」Jeff Lynne
14「リヴ・トゥ・リヴ」Chris Stills
15「アーヴィン・モンタージュ」Danny Elfman

映画『アメリカン・ハッスル』
奴らは生き抜くために、ウソをつく。ラスト一秒まで騙しあう 最後に笑うのは誰だ!
『ザ・ファイター』でアカデミー賞6部門、『世界にひとつのプレイブック』ではアカデミー賞8部門と、2作連続で作品賞・監督賞にノミネートされたデヴィッド・O・ラッセル監督の最新作。1970年代後半に実際に起った汚職スキャンダル「アブスキャム事件」を基に、FBI捜査官に捜査協力を依頼された天才詐欺師がオトリ捜査で政治家たちに仕掛け、騙し騙される駆け引きを痛快かつユーモアたっぷりに描いたエンタテインメント。クリスチャン・ベイル(ダークナイト)、ブラッドリー・クーパー(世界にひとつのプレイブック)、エイミー・アダムス(魔法にかけられて)、ジェレミー・レナー(アベンジャーズ)、ジェニファー・ローレンス(世界にひとつのプレイブック)と、オスカー常連の豪華キャストが集結。70年代のクラッシックでグラマラスなファッションを着こなし、アッと驚く変貌っぷりを披露している。さらに音楽もヒット曲を多用し、当時の雰囲気を盛り上げる。あの手この手で仕掛ける巧妙なハッスル(詐欺)に最後まで目が離せない。

汚職政治家を捕まえるため、FBI捜査官が協力を依頼したのは―天才詐欺師。全世界が驚いた、ウソのような実話。完全犯罪を続けてきた天才詐欺師アーヴィン・ローゼンファルド(クリスチャン・ベイル)と、そのビジネス・パートナーにして愛人のシドニー(エイミー・アダムス)。遂に逮捕された二人は、イカれたFBI捜査官リッチー(ブラッドリー・クーパー)に、自由の身と引き換えに捜査協力を強いられる。それは偽のアラブの大富豪を使って、アトランティック・シティのカジノの利権に群がる政治家とマフィアを罠にハメるという危険な作戦だった。ターゲットはカーマイン市長(ジェレミー・レナー)。しかし、アーヴィンの妻ロザリン(ジェニファー・ローレンス)が、アーヴィンとシドニーへの嫉妬から捜査をブチ壊す動きを見せるが―。最後の1秒まで騙し合う5人。果たして、逃げ切れるのは誰だ。
監督:デヴィッド・O・ラッセル
脚本:デヴィッド・O・ラッセル エリック・ウォーレン・シンガー
出演:クリスチャン・ベイル ブラッドリー・クーパー ジェレミー・レナー エイミー・アダムス ジェニファー・ローレンス ロバート・デ・ニーロ
提供:ファントム・フィルム/ハピネット
配給:ファントム・フィルム
(C)2013CTMG american-hustle.jp
1月31日(金)TOHOシネマズみゆき座他ロードショー