遥か遠くまで意識を飛ばされるような極上の恍惚感。ロックとダンスミュージックのハイレベルな融合。この快楽とすべてがリセットされるような感覚はSUGIZOの音楽でしか味わえない。あらためて、そう思わせてくれたのが、約1年ぶりのツアー<SUGIZO TOUR 2013 THRIVE TO REALIZE>のファイナル公演、12月29日にSHIBUYA-AXで行なわれたライヴだった。

◆<SUGIZO TOUR 2013 THRIVE TO REALIZE> 12月29日 SHIBUYA-AX公演 画像

この日のオープニングアクトはDIR EN GREYのヴォーカル、京の新プロジェクト、sukekiyo。謎のヴェールに包まれていたバンドが刺激的な初パフォーマンスを披露し、セットチェンジのあと暗転。パーカッショニストのよしうらけんじとプログラマー/キーボーディストのMaZDA、最後に大歓声の中、SUGIZOが両手を広げてステージセンターに。

幕開けはSGZのライヴには欠かせない曲といってもいい「MESSIAH」だ。サイケデリックなトランスグルーヴ、SUGIZOのギターのタイム感、一音に込められた魂に早くも昇天しそうになるオーディエンス。銀河系にトリップした錯覚に陥る映像が楽曲の世界を増幅させる。長年の付き合いのメンバーとは言え、トリオ編成で、このスケール感のあるサウンドを出せること自体が驚異だ。

そして核のない世界への願いがこめられた「NO MORE NUKES PLAY THE GUITAR」では、野生のリズムとデジタルビートが融合する高揚感に身体を持っていかれ、雄弁なギターがそのメッセージを伝えて、AXを揺らす。

「東京! お待たせしました。今日はアゲアゲで最後まで突っ走っていきましょう! よろしく!」

ステージにはLEDのパネルが何枚も設置され、SUGIZOのライヴ表現における重要メンバーであるZAKROCKによる映像と音楽のコラボレーションが、想像力をかきたてる。「NEO COSMOSCAPE」では、ギターを肩にかけたまま、SUGIZOがパーカッションを叩き、よしうらけんじがセンターでジャンベを打ち鳴らすパフォーマンスが繰り広げられ、イントロで歓声が上がった「ARK MOON」はロマンティストSUGIZOの真骨頂。バックに海に浮かぶ月が映し出され、甘美な旋律、コーラス、ビートがあいまってたゆたう波の中へといざなってくれるグルーヴィーなナンバーだ。センシティブなプレイからダイナミックなカッティングへと刻々と変化していくギターワークは、まるで自然の営みのよう……。

音楽が起こすミラクルと無限の可能性――。SUGIZOのライヴは見るたびに新たな発見があり、そのときどきの自分の心を映し出す装置のように自由自在に形を変えていくが、今回のライヴの特色のひとつはさまざまなゲストがそのステージをさらにショーアップさせたことだ。

「FATIMA」からギターをヴァイオリンに持ち変えた「FATIMA QUEEN」の2曲では純白の衣装をまとったダンサーMary chochoが登場し、音の中で舞い、ひとつひとつのフレーズに反応するかのような美しく激しいダンスを披露。SUGIZOが奏でるエレクトリック・ヴァイオリンと対峙するように見せたシアトリカルなパフォーマンスは中盤の見せ場だったし、後半に進むにつれて、男性ファンが絶叫するほどにテンションを上げていった本編ラストナンバー「DOーFUNK DANCE」ではクラブイベントで共演したことがキッカケで意気投合したという武田真治がサプライズゲストで出演。熱いファンクビートの中で踊りながらサックスを吹き、SUGIZOと背中合わせでトリッキーなプレイを響かせる展開に場内の熱気が上昇する一方! 目の前で繰り広げられる贅沢なジャムセッションに惜しみない拍手と歓声が注がれた。

さらにアンコールでもスペシャルゲストが招かれた。

「みんな、まだイケますか? もうひと暴れしましょうか? 高校時代からの俺の親友を紹介します」

登場したのはMaZDAの別名義プロジェクト、SiNE6にSUGIZOと共に参加しているヴォーカリスト、tezyaで、ECLIPSE Vに持ちかえたSUGIZOとゴシックなトランス・ラウドロック・チューン「BLACK OUT」を披露すると、大、大歓声。

「2013年ももうすぐ終わろうとしていますが、いろいろありましたね。まずは某バンドの13年ぶりのアルバムが出ました。良かったでしょ? 2014年は結成25周年なので突っ走ろうと思ってます」とLUNA SEAのことに触れ、話は数ヶ月前に家族同然だった親友が亡くなったことに及んだ。

インディーズ時代からチラシの写真を撮ってくれたり、デモテープの制作を手伝ってくれたかけがえのない友人を失うのが怖かったこと、生きることについて考えたこと。何のフィルターもかけず素直な想いを伝えるその姿が胸を打った。

「天国に行ったhideさんや親友たちと遊びたいなと思うこともあるけど、しっかりと生き抜いたあとにみんなが待ってくれていると思ったら、張り合いがあるんじゃないかって。生きることのゴールは、いつかあちら側に行くこと。そのときにいかに納得して息を引き取るのかということを考えた1年でした。彼が亡くなったのがアルバム『A WILL』の制作の後半のことで、2013年は最も大事なものを失くして、最も大事な音が生まれたんです。最後の曲は彼やhideさんやこの曲を歌ってくれたbice、他、亡くなったすべての友人たちの命に捧げたいと思います。ありがとうございました」

ヴァイオリンを手にとり、最後に贈られたナンバーは、すべての魂を慈しむように鳴らされた「Rest in Peace&Fly Away」。

感謝の言葉を伝え、3人がステージを去ったあともSUGIZOを呼ぶ声は鳴りやまなかった。

文◎山本弘子 写真◎田辺佳子



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