【ライブレポート】アヲイ、新しい第一歩を踏み出した<終奏>

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2013年10月20日に5th Mini Album 「終わりのメロディ」をリリースした彼らが行うリリースツアー<終奏>のファイナル公演が2014年1月12日にLIQUIDROOM edisuで行われた。想いの丈を込めた彼らの熱いライヴの模様をお伝えする。

5枚目のミニアルバム『終わりのメロディ』のリリースを記念して開催された全国ツアー<終奏>のファイナル、恵比寿リキッドルーム。果たして、オトギ、慎、翔、サキ、Ryoはこの公演で何を終わらせようというのか。

「準備はいいか!! 全部出してくれよ!!」空爆を想起させるオープニングSEの中、オトギが叫んだ。フロアには一斉に何百という拳が上がる。そこを目がけて「絶望の太陽」から5人の絨毯爆撃が始まった。吹き荒れるヘッドバンギングの嵐。続く「メランコリィ」ではRyoのキック4つ打ちに呼応したオーディエンスのジャンプがリキッドルームに地響きを起し、それを今度は「abelcain」の重戦車のようなドラムが押し潰して行く。次々に剥がれ落ちる装甲、装備。「ロシアンルーレット・シンドローム」でオトギが見せたパフォーマンスには、眉間に突きつけられた銃口からいつ弾丸が放たれるか判らない恐怖と狂気が宿っている。呪い唄のように響く「Siva」のメロディ。そこから立ち上がったサキの速射砲のようなベースは着衣がボロボロになりそうなぐらい激しく、「哀しい歌」の慎のリフは皮膚を切り裂いてしまいそうなほど鋭い。

虚栄や華飾の鎧をすべて剥ぎ取られ、醜い姿を曝け出して行くオーディエンス達。床に転げのたうち回りながら「heaven」を絶叫するオトギはその象徴だ。嫉妬、自虐、憎悪、孤独。ステージはもちろんフロアにもありとあらゆる負の感情が渦巻いている。そこに再びサイレンが鳴り響いた。焼け野原と化した大地に救いを求めるかのように必死に手を伸ばしながら「雨と煙」を歌うオトギ。もしかしたらあのサイレンは敗戦の合図だったのかもしれない。鎮魂と再生への祈りが込められた「勿忘草」は、万感の思いを乗せて空高く吸い込まれて行った。「盛り上がってるかい? このリキッドルーム、もしかしたらでけぇ会場かもしれないけど、関係ないやろ。俺らはな、どこに立っておっても100%でアヲイや。そやからここから自分の全部を出し切ってくれるか? いいか~い!!」

それでも5人の攻撃は止まなかった。「blind」ではスリリングにドライヴするビートに乗って翔が最前線に踊り出し、もっと本性を曝け出せとオーディエンスを煽る。湧き上がる「calling」の大合唱。ステージとフロアの間で壮絶なバトルが繰り広げられる。しかし、その空気は前半とは明らかに違うものだった。生涯を悔い、死を望むことなかれ、人間よ。呼んでいる声に向かえば、辿り着く、あの場所に。今ここで勃きているのは死ではなく生への戦いだ。フロアではオーディエンスが自分を縛り付けている目に見えない鎖を断ち切ろうと「バタフライ」のリズムに合わせてグルグルと体を回転させる。その真っただ中へと突っ込んで行くオトギ。カウンターの上に立ちトラメガで「鈴虫」を激唱する彼も、そんな彼を両手を広げて迎え入れるオーディエンスも、慎も、翔も、サキも、Ryoも、その表情は誇りに満ちている。

「見せてくれ、リキッド!!」その眩いばかりの景色を目に焼き付けようとオトギが叫んで始まった本編ラストの「レクイエム」は、改めて光を取り戻したアヲイとそのファンの勝利の凱歌として高らかに鳴り響いていた。

アンコールでは「rainy baby」と、終演後この日の来場者全員に無料配布された「幸福論」が届けられた後、原因不明のハウリングをスタッフが解消する間に(実はオトギのトラメガがハウっていた)メンバーの本音を聞くことが出来た。

オトギ「今日のライブがアヲイ初のライブDVDになります。こんな顔してるのとか、裸になってギャーいってるのが、ついに世の中に出てします(笑)」
翔「だいたいモザイクかかるよ、きっと(笑)」
オトギ「地上波無理やからね、俺ら。アンダーグラウンドブラックロックやから(笑)。先に告知しなかったのは、言ったらみんな格好つけちゃうかなと思って」
翔「なめんなよ。カメラ撮ってるからって、ちょっと演奏がんばった方がいいかなとか思ったことないわ。バ~やってウェ~てやるのが俺らやから。ヴィジュアル系、狭いけどいろいろあるやん? 今こんなんが流行ってます、みたいな。そんなん面倒くさいわ」
オトギ「俺らは別に演奏もうまくないし、特別なスター性があるわけでもアイドル性があるわけでもないし、俺らのこと好きって言ったら周りのヤツから“なんでそんなん好きなんや?”とか言われて嫌な思いしてるヤツもおるかもしれん。でも俺らは、それでも胸を張ってアヲイのことが好きなんやって言ってくれるお前らが世の中のどんな人間よりもマジで大切で大好きです。だからいつまでも俺らに向かってその真っ直ぐな気持ちをぶつけて来てくれ。ぶつけて来てくれたら俺らは諦めることなくいつまでも歌い続けるから。いいか!!」

その約束を永遠のものへと変えた「ゆびきり」。アンダーグラウンドブラックロックのアンセムとも言える「screaming idol」。そして、なぜ俺達は歌うのか、なぜ楽器を鳴らすのか、その答えを封じ込めた「コトダマ」で、アヲイ初のリキッドルームワンマンは終了した。すべての迷いや煩悩を断ち切り、信じる道へと新しい第一歩を踏み出したオトギ、慎、翔、サキ、Ryo。このライブで彼らが終わらせたかったのは、ファンが無意識のうちに身に纏ってしまっていた、真っ直ぐな気持ちを遮る鎧に他ならなかった。


取材・文●加藤祐介
写真●江隈麗志


2013.10.23 5th Mini Album 「終わりのメロディ」 リリース
【初回限定盤A-type】
CD( 全5 曲)+DVD(PV) 2 枚組 ¥2,940-(tax in) BRA-028
【初回限定盤B-type】
CD( 全5 曲)+DVD 2 枚組 ¥2,940-(tax in) BRA-029
【通常盤】 CD 全6 曲 2,310-(tax in) BRA-030

◆アヲイオフィシャルサイト
◆BARKS ヴィジュアル系・V-RCOKチャンネル「VARKS」
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