【インタビュー】バロック「2人体制でバロックとして活動すると決めたからこそ、もうみんなの前で隠し事はしたくない」

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2014年、怜(vo)と圭(g)という2人の新体制で本格的に活動していくことを宣言したバロックが、2月5日(水)、新横浜NEW SIDE BEACHにて全国ツアー<SYMMETRIA>を開幕。サポートメンバーにおなじみのササブチヒロシ(ds)、辺見“Emiri"直義(manipulator)に加えて、人時(b)を迎え、パフォーマンスもサウンドもバロック史上もっともロック感を押し出したパフォーマンスを披露し、場内を熱狂させていった。

今回のツアーは、2人体制になったバロックがバロッカーたち(=ファン)と至近距離で向き合い、改めてお互いの絆を確認したいという気持ちから、あえて小さなライブハウスをセレクトした。

「2人体制でバロックとして活動すると決めたからこそ、もうみんなの前で隠し事はしたくない──」

ツアー初日が終わった直後、怜と圭が復活後のバロックにいったい何が起こっていたのか。これまでどこにも語られていなかった万作のこと、晃のこと、さらには2人体制のバロックについて、これまでいえなかった思いを語り尽くした。

メンバーの意思を越えたところで、なにがあっても“進化"をやめない。そんな運命に導かれるバロック。その凛々しい姿を現在開催中のツアーでぜひ確認してみて欲しい。

■最低限のルールさえも逸脱した突然の申し出だったから
■その時点で“脱退"とはいえなかったんです


──現在開催中のツアーからバロックは新体制での活動がスタートした訳ですが。なぜ、2人になってしまったんですかね。

圭:まず一昨年?

怜:もう2年前か。

圭:そこで万ちゃん(万作・b)が失踪しまして。

──それで6月から始まる<TOURバロック現象 第3現象 激しいライブハウスツアー>というツアー・タイトルを急遽<TOUR バロック現象 第3現象 激しいライブハウスツアー~ばんさくをさがせ~>に変更して、みなさんからの目撃情報まで集めた。

圭:そう。

怜:ツアー中も俺らはいつ帰って来てもいいような体制をとっていて。だって、辞める原因はまったくなかったからね。ひょっこり戻ってくるんじゃないかとずっと思ってたの。

──それでベーシスト不在のままツアー決行。

圭:でも結局来なくて。

──いなくなった原因は分かったんですか?

圭:万ちゃんのプライベート、女性問題としかいいようがない(笑)。それで、もうバンドをやる意思はないと。本人承諾の上で第3者から事務所との契約を解除したいという申し出が来たんですよ。そのときにはっきりこれをみんなに伝えるべきなのかも考えたんです。これがね、自分たちも納得できるようなちゃんとした理由なら伝えられたと思うんですけど。バンドとか音楽とはまったく関係ないことが原因で。しかも、まだ事務所やレコード会社との契約があるなか、バロックとしてはその後もツアー、ナイトメアとの2マン、ワーナーからデビューすること、NHKホール<TOUR バロック現象 第4現象>までスケジュールも決まってた。俺らとして守らなきゃいけない最低限のルールさえも逸脱したところでの突然の申し出だったから、その時点で“脱退"とはいえなかったんです。

怜:俺らはいいたくても。

──それで、バンドは3人体制で活動していくようになる。3人体制になってからのバンド内はどうだったんですか?

圭:当然なんだけど、バンドはメンバーが減れば一人の負担は大きくなっていく。それで、ぶつかり合うことも増えていって。

怜:そうだね。俺らはワーナーからアルバム『ノンフィクション』を出す前にシングルを2枚リリースするというのがすでに決まってたんだけど。それが「キズナ」と「たとえば君と僕」。

圭:アルバムを見越しての曲出しが始まったら。バロックは晃君と俺が作曲者、それで怜が作詞っていう体制でやってたんだけど。そういところで、俺が晃君に対して不満が出てきたんですよ。

──どういうことですか?

圭:具体的にいうと、俺はPro-Toolsを使って曲を形にして出すんだけど、晃君は完全に昔のやり方で。スタジオにコードを持ってきて、そこでドラム叩いてもらって、怜が歌ってボーカルのメロディ作ってというみんなで作っていくというやり方だから、すごい時間がかかるんですよ。さらにそれを俺が1回持ち帰って、ドラムを打ち込んで曲を整理して形にしていくんですけど。

怜:シーケンスとかも圭が入れてね。

圭:バロック中期からはそんな感じで曲を作ってて。それは、正直4人だったからよかったの。

怜:そうだね。

圭:3人になるとリズム隊は完全にサポートになるから、こっちが作り込まなきゃいけない。しかも、ここからワーナーとのやり取りが始まったから、まず曲のデモを提出しなきゃいけない。制作時間がタイトになればなるほど「キズナ」も「たとえば君と僕」のときもそうだったんだけど、俺の曲しか残らなくなるという問題が出てきて。

──時間に余裕が無いと晃さんの曲作りのやり方だと間にあわないと。

圭:そう。だから、俺は晃君に「いま(曲作り)のやり方変えないと」って提案したの。俺が感じてた不満はその1点につきるんだ。万ちゃんも晃君も元々がアナログ人間だからさ。例えば晃君のギターのフレーズ1本確認するのにも俺がスタジオにいなきゃいけなかったりすると、俺は自分の曲を作る時間がどんどん削られて。家に帰ったら自分の曲も作りつつも、さらに晃君の曲のシーケンスも入れなきゃとか。そういうことでどんどん俺はストレスが溜まっていって。一昨年の12月、忘年会の場で大げんかしちゃったんですよ。

──誰と?

圭:俺と晃君が。それで、取っ組み合いのケンカになって。それ以来、晃君がいなくなったの。

──えぇーー!

圭:喧嘩した内容はいま話したことだったんだけど。その後、マネージャーとかは電話して連絡とれてて。俺も「ごめんね、悪かった」ってメールを送った。その時点ではいなくなるなんて思わないからさ。万ちゃんのこともあった後だから……変な話、安心してたの。

──まさか同じことはやらないだろうって。

圭:そう。だから、年明けにインストアイベントがあったから、そのときに話し合えばいいやと思ってたの。そしたら、その日に来なくて。「これはヤバい」と思って、万ちゃんのときと同じように家に行ったらいなくて。じゃあ実家にいるんじゃないかってことで。

怜:そのときちょうどインストアがあって、俺はイベントを続行して、圭が松山の実家に行ったんだけど、いなくて。

圭:喧嘩したことで怒ってるんなら、まずそれを謝らなきゃなと思ったから俺は反省文書いて。その上でバロック続けるのかどうかを確認したくて何度も実家に行ったんだけど、会えなくて。

怜:書類が事務所に届いたんだよ。

圭:万ちゃんのときと一緒。本人と俺らが会えてないのも同じ。それが去年の1月頃。

怜:で、俺らは本当は1月にアルバムを作らなきゃいけなかったんだけど。

圭:その時期に「これは2人になるかもしれない。どうしよう」と思ったらすげぇ情けなくなって。そうさせてしまった俺も情けないし、バロックというバンド自体も情けなく思えてきて。なんなんだと……。復活するのものすごい労力をかけ復活したのに。バロック復活は自分のなかでは人生の一大プロジェクトだった。そこにかける気持ちとしてはね。みんなそういう思いだと思ってたし。だから、最初にいなくなったヤツに対してはいまだに頭にきてるよ。半端な気持ちで始めた訳じゃないからこそ、残された俺たちは完全に捨てられたって気持ちしか。

怜:残ってないからね。

圭:バロックはその程度のものだったのって。この気持ちは今後も残り続けると思う。ファンのみんなは、今日話したことを受け止めてどう感じるかは分からないけど。でも、これが真実だから。ファンもそうだろうけど、自分たちも信じられないんだよ。マジで。

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