【インタビュー】倉木麻衣、15周年YEAR第一弾は映画『魔女の宅急便』主題歌「タイトルがふっと浮かんだんですよ。今これが言いたいんだなと」

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■何回も同じ曲を歌っていくうちに、原点を忘れてしまったり
■楽しくなくなってしまったり、スランプに陥ってしまって

──え。何があったんですか。

倉木:果たしてこの歌い方でいいのか?とか、こういう歌声でいいのかな?とか、メンタル的に落ちてしまった時期があって…一回今の環境を離れようと思って、伊勢神宮に行って、自分を見つめ直して帰って来て。帰りの新幹線の中で、目覚めるというか、自分に喝を入れるような歌を作りたいなと思って、出来上がったのが「Wake me up」なんです。そのあとに『魔女の宅急便』の主題歌のお話をいただいたんですけど、お話をいただく前に“Wake me up”というテーマはありました。『魔女の宅急便』の中で、主人公のキキちゃんが魔法の力を失って、飛べなくなるシーンがあるんですよね。そのストーリーが今の自分にすごくリンクして、まさに自分の思いがストレートに出た1曲になったなと思います。

──その、メンタル的に落ちてしまった時期って、2013年のツアー前ですか。

倉木:前ですね。ということはもう、一昨年になると思います。

──それはデビューから今までの15年間で、時々あったことですか。それとも今回は、特に大きかった?

倉木:大きかったんです。15周年を目の前にして、30歳を迎えて、変わろうとしている自分がいて。新たな自分に向けて、20代にはいろんな楽曲にトライしてきたんですけど、もっと違う自分が出せるんじゃないか?って、深く考えすぎちゃったんだと思います。ライブって、今までの曲を繰り返し歌っていくじゃないですか? 何回も同じ曲を歌っていくうちに、原点を忘れてしまったり、楽しくなくなってしまったり、スランプに陥ってしまって。歌とメンタルはすごくリンクするところがあるので、モチベーションを上げるためにすごく悩んで、一回今の環境を離れてみようと思って、伊勢神宮や、お寺にも行きましたし、イギリスに留学したのもそのひとつでしたね。

──そして、「Wake me up」というテーマが……。

倉木:タイトルがふっと浮かんだんですよ。今これが言いたいんだな、という思いが頭の中をずーっと回っていて、すごく不思議な体験でした。“おりてくる”とか、そういうことは今まであんまりなかったんですけど、その時は「Wake me up」という曲を作りたい!って思ったんですね。そこから、今までにない新しいサウンドにチャレンジしてみたいと思って、たくさんある楽曲を聴いて、選んで、あたためていたんです。そこで『魔女の宅急便』のお話をいただいて、それとこの楽曲がすごくリンクして、これで行こうと決めました。

──2013年のツアーでは、“再生”という大きなテーマを掲げていました。それも、今の話とつながりますよね。

倉木:そうですね。『“RE:”プロジェクト』というテーマで、いろんなものを再生していこうということだったんですけど、自分自身も再生していこうということでした。ライブは自分の気持ちのセラピーじゃないですけど、あらためて歌に対する情熱をすごく感じられたツアーでもありました。みんなで共感することによって感動する気持ちが、ライブの空間で起きているなという感覚がすごくあるんですよ。震災が起きてから、よりそれを強く感じます。音楽を通じて“一人じゃない”という気持ちになって、みんながつながっていくという実感がすごくあります。そこから私も、歌詞をよりシンプルに書くようになって、今回の「Wake me up」も、みんなと共感してつながっていける歌が作れたらいいなと思って書いた歌詞です。

──本当にシンプルですよね。言葉に出してみようよ、君の心の叫びを、と。

倉木:“Wake me up”と繰り返すことによって、思いを呼び起こすという感じの曲です。サウンドって、そういう力がありますよね。そこに気持ちを乗せてモチベーションを高めていく、そういう曲じゃないかなと思います。この曲を歌う時には私も、自分がはばたいていくような、心を解放している感覚がありますね。なので、歌い方も軽い感じなんですよ。“自由にはばたかせて”って、曲がそういうふうに言ってきたので、自分もそれに乗って気持ちを解放した、という感じです。

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