【インタビュー】Salley「押し付けがましくなり過ぎず、ただ優しい感じでもなく、見返りを求めていないわけでもないという、微妙なニュアンスを出すのが難しくて」

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洋楽経由の爽快なギターロック、せつないアイリッシュ・トラッド、日本の風土に似合う叙情的なポップス、それらの要素をセンスよくまとめあげた心地よいサウンド。昨年デビューした新人の中でも、頭ひとつ抜けた実力派ポップ・ユニット、Salleyのサード・シングル「あたしをみつけて」は、そんな彼らのイメージを軽やかにくつがえす、ソフトでメロウなミディアム・バラードだ。ヴォーカル・うららのふんわりと柔らかい声で歌われるのは、無償の愛と、わがままな束縛との間で揺れ動く、女性ならではのリアルな恋愛心理。テレビ朝日系木曜ミステリー『科捜研の女』主題歌として幅広い層の支持を受けている「あたしをみつけて」は、Salleyが次のステップに向かう分岐点になるであろう、大切な曲だ。

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■曲のテンション感と声のキャラクターがすごく合っていて
■うららに初めて歌ってもらった時にはすごくうれしかった



▲「あたしをみつけて」初回盤

▲「あたしをみつけて」通常盤

▲「あたしをみつけて」期間限定盤
──「あ、変わった」と思ったんですよ、「あたしをみつけて」を聴いた時に。歌詞の言葉選びも、より普遍的というか、いろんな世代の人に届くようになっていると思うし、メロディもとてもピュアで装飾のないバラードで、今までのSalleyの曲にはなかったものだし。順番に聞いていきますけど、そもそもこの曲はTVドラマの主題歌用に作られたもの?

うらら:いえ、この曲はけっこう古くて、Salleyの曲としてのナンバリングは04です。その頃はまだ何も考えずに作れているというか、自然に生まれるべくして生まれてきたという感じの曲。ただ、歌詞はあとから書き直しました。今までリリースした曲があった上で、ここはこうしたほうがもっと広く伝わるとか、自分だけの世界で終わらないように、とか。

──やっぱり、そういう心の動きが。

うらら:ありました。サビは変わってないんですけど、ほかの部分でもうちょっとドラマティックにできるかな?とか。

──上口くん、曲ができた時のエピソードというと?

上口:この曲は、いきなり降ってきた感じなんです。まだSalleyとしての曲が少なかったので、とりあえず「うららにこんな曲を歌ってほしい」というものを、興味本位というか、そういう感じで作っていたんですよ。こんなミディアム・バラードを、どういう感じで歌ってくれるのかな?と。結果、曲のテンション感と声のキャラクターがすごく合っていて、初めてスタジオで歌ってもらった時にはすごくうれしかった。

──これは本当に、きれいなメロディ。特別難しいコード進行とか癖があるわけでもなく、いつかどこかで聴いたことがあるような、ノスタルジックな感じもあって。

上口:僕はGRAPEVINEがすごく好きで、ギターを弾きながら作っていた時には、GRAPEVINEっぽいなと思ってたんですよ。

──言われてみれば、どこか、通じるものがある気がする。独特の、漂うようなメロディラインが。

上口:作ってたのは、冬ぐらいだっけ?

うらら:秋から冬にかけて。

上口:肌寒い時期で、その温度感とすごく合ってるなと。♪ラララのメロディラインとコードの段階で、「これはひょっとして」という手応えはありました。自分のやりたい音楽性も保ちつつ、うららが歌ったらどうなるんだろう?という興味も満たしつつ。

──うららさん、曲の第一印象は。

うらら:私にぴったりのやつ来た!と思いました。もともとこういう曲を歌ってきていたので、どっちかというと、ロック・サウンドの中でアップテンポの曲を歌うほうが苦手分野だったんですよ。それは上口くんと出会ってから開いた新境地、みたいな感じだったので。こっちのほうが「私のやつ来た!」という感じでした。

──聴いてる側から言うと、逆なんですよね。Salleyはまずアップテンポの曲があって、3枚目のシングルでバラードが来たから「新境地来た!」みたいな(笑)。

うらら:そうなんですよね(笑)。でも実はこういう曲のほうが、自分に似合うと思っていたので。この曲が来た時に、何かを伝えたいとかそういうことじゃなくて、「歌を書きたい」という気持ちがすごく強くて、恋愛ものにしたんです。せっかくきれいなメロディだから、「いらんこと、言わんとこ」みたいな(笑)。耳ざわりの良い音楽にしたいなという気持ちが強かったです。

──最初から、恋愛ソングにしようと。

うらら:はい。テーマ的には、昔からずっと考えてきたことで、友達と恋愛話をしていると、「女の人って本当に素直じゃないな」という思いがあって。

──あはは。自分で言う(笑)。

うらら:人にもよるんですけど、女の人はやっぱりプライドが高いので。「こうしてあげたい」という思いを、本当に優しい気持ちで思ってるけど、それに対する見返りが何もなかった時に、ついつい「こうしてあげてるのに」とか、「こんなに好きなのに」とか、のにのに言っちゃう人がけっこういっぱいいるなと思ってたんですよ。

──のにのに(笑)。

うらら:自分も学生の頃、そうだったりして。「こっちはこんなに会いたいのに」とか。でもそれって、会ってほしいから可愛く甘えてるわけじゃなくて、本当に優しくしたいから優しくしてるだけで。その行動に嘘はなくて、見返りを求めてはいないんだけど、でも見返りがないと凹むという…。でも、それって見返りを求めてやってるんでしょ? って言われるのも違うし。と、いう微妙な部分を、真実としてちゃんと歌にしたかったので。歌詞の中でずっと「守ってあげる」とか「包んであげる」とか、優しい気持ちを歌っているのに、結局最後の歌詞は、だから「あたしをみつけて」で終わるんですよ。

──うーん。なるほど。

うらら:それを裏と表と言っちゃうと、違うんですよね、どっちも本当なので。そこを表現したいというのがテーマだったんです。で、この曲が来た時にサビが一番最初にパッと浮かんで、そこからあとを色づけしていったという感じです。

──悩まずに、最後までするすると。

うらら:最初は悩まなかったんですけど、あとから、出だしの言葉は何がいいかとか、何パターンも書いて、ディレクターと相談して、かなり大変でした。終電の時間を気にしながら、ああでもないこうでもないって(笑)。押し付けがましくなり過ぎず、ただ優しい感じでもなく、見返りを求めていないわけでもないという、微妙なニュアンスを出すのが難しくて。

上口:そういう意味合いがあったんだということを、インタビューを通じて気づき始めました(笑)。僕的にというか、男性的にというか、個人的には「この男性の人はうらやましいな。こんなに思ってくれる人がいるなんて」と思ってたんですけど。うららの話を横で聞いてると、そういう思いが感じ取れるんだという発見がありました。僕は、うららが言った「歌を書きたい」という姿勢はすごくいいなと思っていて、聴く人によって作品の形が変わってくるというか、あまり説明的ではない感じの歌詞がいいと思ってるんですよ。

──細かいけど、「あたし」ですよね、「わたし」じゃなくて。これは何か意味が?

うらら:女子特有の、ねちっこさみたいなものを出したくて(笑)。「わたし」だと敬語でも使いますけど、「あたし」だと口語だから、女子っぽさを出したかったというのはありますね。曲によって、あたしとわたしを使い分けてたりするんですけど、少女っぽい、子供っぽい雰囲気がある時は「あたし」推し、みたいな。全部ひらがなにしてるのも、そういう感じです。

──さらに細かいですけど(笑)。サビの“♪My darling”で、フェイクっぽく、音譜をながーく伸ばして歌うところ。あれって、もともとああいうメロディだった?

うらら:どうだっただろう? もうちょっと、言葉がはまるようなメロディだった気がする。それを無理矢理、「ここ、darlingにしちゃえ」って思った記憶があるので。最初は、ちょっと違ったかもしれない。違いましたっけ?

上口:いや、もはやその時のメロディラインを覚えていない(笑)。「こういう歌いまわしにしてくれ」という指定はしなかったと思うんですけど。

──なんでここにこだわるかというと、カラオケ心をものすごくそそるんです。すっごく歌いたい。だーりぃぃぃーん、って歌いたい(笑)。おいしい節回しだと思います。

うらら:正直、そこに入れる言葉がなかったんだと思うんですけど(笑)。「ダーリンで行っちゃえ!」みたいな。

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