【ライブレポート】ジェイク・バグ、サプライズに次ぐサプライズ

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ジェイク・バグが2月21日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでパフォーマンスした。ジェイクのギグを観るのはこれで5度目。毎回「これがベスト」と思うが、この夜はレベルが違った。

◆ジェイク・バグ画像

UKの名門コンサート・ホール、ロイヤル・アルバート・ホールでのパフォーマンスとなるとどのアーティストも力が入るので、なにか特別なものになるだろうとは予測できたが、想像以上にサプライズが多かった。まずは、オープニング・アクトがまさかの本人。スーツまでいかなかったものの、ホワイト・シャツにタキシード・ジャケットというこれまで見たことがないフォーマルな姿(2つ目のサプライズ)で登場し、アコースティック・ギター1本でフォーク系の曲をパフォーマンスした。

サポートもヘッドラインも自分だとキャラによっては“俺、俺”になりかねないが、こうしたことによって2ndアルバム『Shangri La』リリース後の最新ツアーを観ていて唯一馴染めなかった点が解消された。リック・ルービンをプロデューサーに迎えた新作でロック色がさらに濃くなったため、フォーク系とエレクトリック・ギターをフィーチャーした曲が代わる代わるプレイされると、どちらの演奏もいいのだが、その度に雰囲気がガラッと変わりショウが分割されたかのような、スムーズに流れていないような印象を受けた。それが今回、はっきり分けられたことで、しっとりとしたアコースティック・パフォーマンスを中断されることなく思いっきり堪能できた。ちなみに、彼が大好きなボブ・ディランも1966年、同じ会場で同じこと(セットをアコースティックとエレクトリックの2つに分ける)をしたそうだ。

インターバル後、いつものTシャツ姿で行われたヘッドライン・パフォーマンスでは、バンドと一緒にギター・ドリヴンな演奏を展開。さらなるサプライズも用意されていた。まず、バンド編成。いつもの3ピースにキーボードと2ndギターが加わっていた。これにより当然のこと、音に広がりと厚みが増し、同じトラックでもこれまでのライブとは違うサウンドを聴くことができた。

そして、シンプルを信条としているようなジェイクのギグで、ゲストが3組も登場。いつもと違うカラーが加わった。1人目は、若手でこれほどまでにディープなソウルとブルージーな歌声を持つシンガーはいないマイケル・キワヌカ。キワヌカのリード・ボーカルのもと、彼のトラック「Worry Walks Beside Me」と「Tell Me A Tale」がプレイされた。「Tell Me A Tale」はジェイクのお気に入りの1つなのだろう。以前、新聞社が主催したセッションでカバーしたことがある。この夜は先輩に敬意を表してか、バッキングに専念した。

そして終盤で、この日最大のハイライトとなったジョニー・マーとのコラボ、世代を超えたギター・ヒーロー2人の競演が実現した。マーは「Kingpin」と「Slumville Sunrise」でリード・ギターをプレイ。彼の鋭いギターとジェイクのヴォーカルは相性抜群で、曲の良さがさらに引き立った。UKロック・ファンには夢のようなひと時。是非とも来年のNMEアワーズで、ミュージック・モーメント・オブ・ザ・イヤーの候補に挙げてもらいたい。

また「Broken」では高校生10人を含んだ16人のコーラス隊と共演し、曲のスケールがアップ。ラストでは、マーとキワヌカが再度登場しジェイク、バック・バンドをあわせ総勢4人のギタリストによる、まさに稲妻「Lightning Bolt」が会場を直撃した。

短期間にもかかわらず回を重ねるごとに進化しているジェイク・バグ。4月の来日ツアーではどんなパフォーマンスを観せてくれるのだろう。何であれ、それはまた「今回がベスト!」なギグなのだろう。

<ALBERT SESSIONS: JAKE BUGG>のセットリストは以下の通り。
●アコースティック・パフォーマンス
「Fire」
「Friends」
「Someone Told Me」
「Country Song」
「Saffron」
「Pine Trees」
「Strange Creatures」
「Death Letter Blues」(サン・ハウスのカバー)
「A Song About Love」

●ヘッドライン・パフォーマンス
「There's Beast And We All Feed It」
「Trouble Town」
「Seen It All」
「Me And You」
「Storm Passes Away」
「Worry Walks Beside Me」(with マイケル・キワヌカ)
「Tell Me A Tale」(with マイケル・キワヌカ)
「Two Fingers」
「Messed Up Kids」
「Kitchen Table」
「Slide」
「Simple Pleasures」
「Taste It」
「All Your Reasons」
「Kingpin」(with ジョニー・マー)
「Slumville Sunrise」(with ジョニー・マー)
アンコール
「Broken」(with 合唱団)
「Lightning Bolt」(with ジョニー・マー&マイケル・キワヌカ)

ジェイク・バグは4月、横浜BAY HALL(26日)、大阪ZEPP NAMBA(28日)、名古屋DIAMOND HALL(29日)、東京ZEPP TOKYO(30日)でプレイする。

Ako Suzuki, London
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