オーストラリアでのツアー日程を終え、まもなく日本上陸を果たすことになるアリス・イン・チェインズ。単独での来日公演は、実に1993年の初来日時以来。すでにファンの期待感も極限に近いところまで高まりつつあるはずで、3月9日の横浜・BAY HALLでの公演チケットは完売に近付いているという。そして、そんなさなか、このバンドのベーシストであるマイク・アイネズがメールを通じての独占インタビューに応じてくれた。2013年6月に日本でも発売されている最新作『ザ・デヴィル・プット・ダイナソーズ・ヒア』(全米アルバムチャート2位を記録)に関することから、彼自身の日本に対する思いまで、丁寧に綴られたその言葉をノーカットでお届けすることにしよう。

◆アリス・イン・チェインズ画像

――最新アルバムの発売からすでに10ヵ月ほどが経過しています。リリース以降はずっとツアーの日々が続いているわけですが、たくさんのオーディエンスの前で新しい曲たちを演奏してきたことで、アルバム自体の感じ方というのもあなた自身のなかで変わってきているのではないでしょうか?

マイク・アイネズ:アルバム作りというのはいつも退屈で疲れるものだよ(笑)。とても長い時間がかかるものだしね。まず最初に、頭のなかにアイデアが浮かぶ。で、指と声を使ってそのアイデアをどうやってカタチにすべきか、いろいろと試していくんだ。輪をどんどん重ねながら広げていくみたいにしてね。それをデモに落として、さらに作り込みながら育てたら、今度はそれを次の段階の人たち(マネージャーやプロデューサー、友達など)に聴かせる。そして、さらにスタジオでの作業が続いていく。そのなかで、そうしたアイデアのうちのいくつかは削除されていき、他のいくつかは俺たちがクールだと実感できるような曲へと変化していく。次はそれをレコード会社やマーケティング担当の人間に提示していき、そうしたプロセスを経たうえで、その楽曲たちはようやく世に出て行くことになる。だから正式なリリースに漕ぎ着ける頃には、俺たちはもうヘトヘトになっているんだ(笑)。なにしろ何ヵ月もかけて、曲を作る作業を続けてきたわけだからね。太陽の光を見ることもあまりないような、スタジオに缶詰めの毎日。とても普通の生活ではないよね(笑)。

ただ、それでも、まず俺たち自身がその曲たちを気に入っているかぎり、すでにそれは俺たちにとって成功だといえるんだ。もちろん、他の人たちもそれを気に入ってくれればなお嬉しい。でも、そういった曲たちをライブで演奏するというのは、また違った意味での成功だと思っている。つまりそれは、改めてその曲たちに惚れなおすような瞬間だといえるからね。自分たちが作り出したものが生を受けて、実際の姿を示す局面なんだ。だから、ライヴで演奏する機会というのが、本当の意味での楽曲のテストということになる。「ステージで曲の内包するものが表現できているか? 他の曲たちとうまく融合されているか?」という試験なのさ。

だから、君たちファンと俺たちの双方が満足できるコンサートを作り上げるというミッションを、俺たち自身と楽曲たちが一緒に負っている感じなんだ。なんて言ったらいいのかな。ある意味、自分たちと楽曲たちとが団結しながら努力しているというか。実際、ツアーに出るというのは、俺にとってはレコーディングよりもずっと満足感が得られることなんだ。俺自身、これまでの24年間、ツアーの生活に身を置いてきたけども、家から遠く離れたさまざまな場所を旅しながら自分たちの曲を演奏するというのは、今も相変わらず大好きなことだよ。

――『ザ・デヴィル・プット・ダイナソーズ・ヒア』というアルバム・タイトルはとてもミステリアスですが、我々日本人には少しばかり意味の分かりにくいところがあります。少しばかりこの表題の意味について、ヒントをいただけないでしょうか?

マイク:このタイトルは、アメリカにいるような、宗教に過剰なまでにのめりこんでいる人たちへの揶揄みたいなものなんだ。そういう人たちは、「人間の信仰心を試すために“悪魔が恐竜の骨を地球に残した”なんてことを言うんだ。地球はまだ生まれてからたった数千年しか経ってないからといって、カーボン・デーティング(放射性炭素年代測定法)や科学的事実といったものをまったく無視して、そういうことを言う。俺自身、実はとても信心深い家系の出身で、両親の曽祖父が揃って牧師だったんだ。そういったことも、何かしら今現在の俺に影響しているだろうとは思う。ただ、だからといって、俺たちは本気で宗教をからかっているわけではないんだ。それ以上に、恐怖や脅迫観念に動かされている狂信的な人たちのことを言っているんだよ。俺たちにはそういう人たちが、滑稽に感じられるからね。

それはさておき、俺は小さい頃、ものすごく恐竜が好きだったんだ! 悪魔もね!(笑)だから個人的には、このアルバムの宣伝やアートワークを決めるプロセスがとても楽しかった。このアルバムのデザインに関連した面白い絵を使った、新しいペダルとか、ピックとか、いろんなグッズを目にしながらえらく興奮しているんだ!

――故レイン・ステイリーの後任としてウィリアム・デュヴァールを迎えてバンドが復活を遂げたのは2005年のこと。今では8年以上も活動を共にしているわけで、彼との関係性やケミストリーといったものも当時とは比べものにならないほど強力なものになっているはずですよね?

マイク:ウィリアムと一緒にやり始めた当初の頃のショウと、今の俺たちとの最大の違いは、バンドとして一緒に経験を重ねてきたってことだね。俺たち3人から彼に対して、そして世界中のファンから彼に対して寄せられる敬意は、まさに彼自身の努力の賜物だと思う。きっとそれは彼にとって生半可なことではなかったと思うし、彼が毎晩のライブでやってきたことは、とても勇気を要するものだったはずだ。彼はとにかく毎晩、力いっぱい歌っている。しかも彼は、素晴らしいギタリストでもある。このバンドが再結成してからというもの、毎回のツアーで俺たちは自分自身について新しい何かを学んでこられたと思う。ただ、結局のところ、俺たちはただ単に素晴らしいバンドになろうとしているだけのことなんだ。しかも必死にね。俺たちは努力家だから!

――アリス・イン・チェインズが初めて日本にやって来たのは1993年のことです。あなた自身には他の機会もあったわけですが、この国についてはどのような印象を?

マイク:俺自身が、君たちの素晴らしい国に初めて訪れたのは、1990年のこと。オジー・オズボーンのバンドの一員としてだった。武道館とか、いろんな大会場で公演をしたよ。その後、1993年にアリス・イン・チェインズとして日本を訪れ、さらに1995年と1998年にはふたたびオジーと一緒に行った。俺はいつでも日本が大好きなんだ。俺自身にとってのお気に入りの国のひとつだよ。君たちはいつも俺たちを温かく迎えてくれるしね。本当に感謝しているよ。

――さて、今回は2006年のフェス出演時以来の来日ということになりますし、新旧さまざまなファンが、新曲も往年の曲も聴きたがっているはずだと思うんです。ファンはどのようなショウを期待していたらいいでしょう? 特別なセットリストを組む可能性もあるんでしょうか?

マイク:俺たち自身にもまだ、その夜に何をプレイするのかわかっていないんだ。俺たちはいつも、セットリストに関しては自由なんだよね。ただ、今度の日本公演も当然ながら、新しい曲と古い曲がミックスされた感じにはなるはずだよ。なにしろ俺たちは曲をたくさん持っているからね(笑)。

――最後に日本のファンへのメッセージを。あなた自身、彼らに何を期待していますか?

マイク:俺はファンに対して特定の何かを“期待”したりはしないよ。俺たちにとっては、とにかくみんなの前で演奏できることが、ただただ幸せなんだ。俺たちは世界中を旅して、自分たちの音楽をプレイできる状態にある。そんな素晴らしい人生に恵まれていて、本当に光栄だよ。しかもそれは、みんなと共有されているものだと思う。君たちは聴きたい曲を耳にして楽しみ、俺たちはその曲たちを演奏することで喜びを得ているわけだからね。だから俺たちは、そんな君たちのためにツアーをしているんだ。ファンのみんなが、俺たちと一緒にアリス・イン・チェインズの音楽を楽しむ…。そんな瞬間のためみんなが俺たちのライヴに足を運んでくれるのは、本当に光栄なことだと思っているよ。俺たちはいつもとても真剣だし、自分たちに挑戦し続けているし、自分たち自身にも敬意を抱いている。そして日本は、本当に俺たちの心のなかで特別な存在なんだ。

こうしてマイクがこちらからの質問に応えてくれたのは、彼らがオーストラリアに滞在中のこと。現在、招聘元のクリエイティブマンでは、ツイッター上にて、今回の来日公演で聴きたい曲のアンケートなども行なっており、その結果もおそらくマイクの言う“自由なセットリスト”に反映されることになるに違いない。

そして、ここでもうひとつ重要な緊急情報を。なんと、3月9日の横浜、10日の東京公演当日に、アリス・イン・チェインズの面々と直接対面できる機会が設けられることになったのだ!このミート&グリートへの応募要領は、下記の通り。

●応募期限:3月6日(木)23:59まで
●募集人数:3月9日(日)横浜BAY HALL、3月10日(月)新木場STUDIO COAST公演、各1組2名(計2組4名)。
●参加条件:参加希望日の公演チケットをお持ちの方、またはこれから購入される方(当日、チケットをお持ちでない方はご参加いただけません)。また、ミート&グリート開催は各公演の開場時間前を予定しておりますので、早い時間帯に参加可能な方に限ります。
●応募方法:system@creativeman.co.jp までメールにてご応募ください。その際、(1)氏名、(2)携帯電話番号、(3)メールアドレス、(4)参加希望の日程、(5)バンドへのメッセージをかならず明記のこと。
●当選の発表は当選者ご自身への連絡をもってかえさせていただきます。
●当選の連絡は3月7日(金)に実施します。

デビュー当時からアリス・イン・チェインズの音楽に魅了され続けてきた者のひとりとして、とにかくこの機会に、彼らのライブに触れることをおすすめしたい。そして、貴重なミート&グリートにも是非、応募してみて欲しい。ステージ上の怪物たちに遭遇できるその日まで、もうほんのわずか。ともにその轟音の魔力に酔いしれようではないか!

文:増田勇一

<ALICE IN CHAINS来日公演>
3月9日(日)横浜・BAY HALL(開場17時/開演18時)
3月10日(月)東京・新木場STUDIO COAST(開場18時/開演19時)




◆ALICE IN CHAINS来日公演オフィシャルサイト