【インタビュー】PENICILLIN、3年ぶりのオリジナルアルバム完成「今も3人で遊んでいる感覚で曲を作っているのかもしれない」

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■ダリに「瑠璃色の微粒子的仮説」っていうタイトルの絵画があって
■アルバムができたのも、神の摂理(プロヴィデンス)かもしれない──千聖

──その呼吸感が出ているアルバムでもありますよね。22年間、培ってきたあうんの呼吸が。

千聖:記憶はなくても呼吸でできちゃう(笑)。いい意味でクセのあるアルバムができたかなって。

──クセっていうのはアクとは違うんですか?

千聖:アクでもあるし、新鮮味もある。このアルバムを聴いて、“これこそ、Theペニシリンだ”って思う人もいるだろうけど、俺らからすると面白い新しい感覚のものができたなって。今回、曲のタイトルも日本語が多いから、アルバムのタイトルも日本語がいいんじゃないって。ライヴで発表したとき、どよめきが起こったぐらい。

HAKUEI:変にザワついてましたね。終演後に映像で『瑠璃色のプロヴィデンス』って発表したんだけど。

──アルバムのタイトルの由来も教えてください。

千聖:ダリに「瑠璃色の微粒子的仮説」っていうタイトルの絵画があってそれがすごいカッコ良かったんで、そんなイメージは?ってメンバーに相談して、ヒントにさせてもらった。瑠璃色って、すごくキレイなブルーなので。

HAKUEI:自然界にあまり存在しない色だったらしいんですよね。青い薔薇も不可能だって言われていたし、天然塗料でも、昔はホントに貴重だったらしくて、“瑠璃色の地球”って例えられるぐらい神秘的な色で、響きも美しいし、いいかなって。“プロヴィデンス”には“神の摂理”っていう意味があるんですけど、絵画やクラシック音楽の作品みたいなタイトルにしたかったから、その2つを組み合わせてね。

千聖:22年間、バンドを続けてきたのも、このタイミングでこんなアルバムができたのも、全部、神の摂理(プロヴィデンス)かもしれないしね。

O-JIRO:さっきHAKUEIさんも言ってたけど、僕は今回、ストレートでムダがなくてキャッチーなアルバムになったと思います。変拍子とか、わざとノリを崩していくような曲も少ないし、今までのPENICILLINのアルバムと比べるとそんなに速い曲は入ってないんだけど、ライヴで身体が自然と動くようなテンポの曲が多いというか。

千聖:「快感∞フィクション」のイントロのドラムとかスゴイけどね。家で曲、作りながらデモ用のドラム打ち込んでる時、JIROさん大変だろうなと思ったけど、きっと、やってくれるだろうと。

O-JIRO:限界まで何度も叩きました(笑)。でも、今回、速い曲でもしっかり聴かせられるというか。

HAKUEI:テンポが速ければ激しいっていうモノでもないからね。音の積み重ねで疾走感がちゃんと出せているのは、今までいろいろやってきたからこそだと思うんですよね。

千聖:俺はバラードを含め、全体的にいい意味で尖りまくってるアルバムだと思うんだけどね。

──そうですね。バラードで始まり、バラードで終るアルバムなんだけど、PENICILLINが歌モノになったっていう作品ではなくてバンドの勢いやダイナミックさ、華やかさは変わらない。ただ、歌だけじゃなくて、楽器ひとつひとつも立っているというかフレーズも歌ってる感じがするんですよね。

O-JIRO:そういうことは考えたかもしれないですね。音がしっかり聴こえるフレーズだったり、アレンジだったりとか。

HAKUEI:だから、斬新なものを作ろうって気負ったわけじゃないんですよね。攻めるところは攻めて、シンプルなところはシンプルに。曲の流れに逆らわなかったというか。

千聖:今までのPENICILLINと比べるとかなり違うアプローチの曲もあるんだけど、違和感なく聴けるというか、聴きやすいのかもしれない。

HAKUEI:そう。リズムパターンが途中で3拍子になったり、サビでマーチになる曲もあるんだけど、曲をいかに際立たせるかっていう以外に邪念がなかったから、そういう意味でストレートなんだと思う。

千聖:そうだね。新しいことはいっぱいやってて、個人的には「ファンタスティック・ファンタジー」のリフがすごく気に入ってるし、最後の曲「優しい声」のギターソロも含め今までにないフレーズを弾いてるんだけど、自分が作った曲じゃないからこそ刺激を受けて思いつくというか、引き出されるものがあるんだよね。あらためて、バンドなんだなって。

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