【インタビュー】藤田麻衣子「心の叫びみたいなものを吐き出して分かち合う歌を書きたいなと思って」

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藤田麻衣子が7年のインディーズでの活動を経て、3月26日にシングル「涙が止まらないのは」でついにメジャーデビューを果たす。タイトル曲は、彼女の真骨頂とも言える恋愛ソング。友達以上、恋人未満。相手の気持ちが知りたいけど、それを聞いたらどうなってしまうのか……そんな不安な女心を繊細に綴ったこの楽曲は、女性からの共感必至だろう。その他、2013年10月に行われた日本武道館でのフリーライヴで初披露され、その時の大合唱も収録された「つぼみ」など、ターニングポイントにふさわしい作品となっている。

◆藤田麻衣子~拡大画像~

■過去の自分を振り返ると人の意見を聞くのも恐れていたくらい
■でも、これからは色んな人の意見を取り入れて助けてもらわないと


 ▲「涙が止まらないのは」初回限定盤
 ▲「涙が止まらないのは」通常盤
──メジャーデビューというのは夢としてありましたか?

藤田麻衣子(以下、藤田):ずっと音楽をやってるとメジャーデビューってゴールではないから。そこがゴールになっちゃうと、メジャーでリリースした途端に夢が終わっちゃいますからね。メジャーデビューしてみたいという気持ちもありましたけど、自分の活動をすることに精一杯だったというのが続いて、気付いたら7年経っていたという感じなんです。それこそ縁もあるから、今回、お話が来たときは、自分の中ではすごく良いタイミングだなって感じたんですよ。

──今がメジャーデビューのタイミングに良いと感じた理由は?

藤田:7年間やってきて、はじめの頃は人よりも恐がりで、自分の色を変えたくないとか、まずは納得行く作品をとにかく出したい……みたいなことが徹底的にあったんですよ。何もかも自分が目を通さなければ気が済まないって感じでしたし。今も頑固と言えば頑固なんですが、過去の自分を振り返ると、人の意見を聞くのも恐れていたくらい、はねのけてしまっていたんですね。そういう状態の時に合う環境って、なかったと思うんです。でも、少しずつお客さんもファンの方も増えて来ていたから、「これでいいんだ!」って信じてやってきたら、3回目の渋谷公会堂のライヴをやった時に、チケットがやっとソールドアウトしたんですね。その時に、「何もかも自分が目を通さなければ気が済まない」って、こだわりすぎていたら、渋谷公会堂が限界だなって思ったんですよ。

──それがきっかけで何かが藤田さんの中で変わった?

藤田:はい。それまでは自分が信じたやり方で、どこまででもやって見せるっていう気持ちがあったんだけど、まだまだ大きくなりたいって思ったときに、これからは色んな人の意見を取り入れたり、もっともっと助けてもらわないとならないなって。改めてスタッフの必要性や大切さにも気付いたんです。

──なるほど。

藤田:その次の年にどこでやるかって話になった時、渋谷公会堂もソールドしたし、「次はNHKホールでやりたいです」って自分からお願いしたんですよ。その辺りから責任感もより出て来ました。NHKホールが終わったあとに、「日本武道館を押さえたんだけど、無料ライヴをやってみる?」っていう話になって。2013年は色んな話が舞い込んでバタバタしてたんですけど、それをやり切ったあと、ビクターの方から「うちからメジャーで出しませんか?」という話があったんです。私自身、ずっと内側を向いて来た。でも外を向いたタイミングだったので。お客さんのことは大好きだから、お客さんは見てたのに、なんか視野が狭かったんですよね。ずっと頑固にやってきたから。それが、外を向いたとたんにメジャーの話が来たからまったく迷いがなかったですね。「今な気がする」みたいな感じで嬉しかったです。

──一歩ずつここまで来たんですね。

藤田:そうですね。メジャーデビューは新しいスタートで、チャンスをいただけたことに感謝してます。しかも、この前、ちょうど30歳になったんですよ。私は20歳の時に、20代からの夢は音楽だ!みたいな感じで、勢いで名古屋から上京して、そこから10年でメジャーデビューなので、それもすごくキリが良くて。

──そのメジャー、第一弾の楽曲「涙が止まらないのは」は、本当に藤田麻衣子らしい曲ですよね。女性ならこんな経験あるんじゃないかなっていう、なかなか気持ちをはっきり伝えてくれない男性とのままならない恋愛模様。裏切らないですね。

藤田:まだメジャーデビューが決まる前には、2曲目の「つぼみ」を次のシングルにしたいと思ってたんです。「つぼみ」は、武道館ライヴ前に、せっかく武道館でライヴをするならそこで新曲をやりたいと思って書いた曲です。でも、いざメジャーが決まって、「どうしよう」ってなったときに、「つぼみ」って応援ソングだから、確かに大事なんだけど、藤田麻衣子は恋の歌がいいって思ったんです。それで「タイトル曲には恋の歌を書きます」って書いたのがこれなんです。今回は節目を迎える一作品目になるわけですから、ある人から見たら、これが藤田麻衣子の一枚目になるかもしれない。そう考えたときに、ただ恋の歌を作ると言っても、それだけじゃなく、今、一番嘆きたいことはなんだろう?って考えて。

──嘆きたいこと?(笑)

藤田:「なんでこうなの!?」っていう吐き出したい気持ち。今までの歌もそういうものが多かったから。「今幸せ」っていう歌もあったり、「悲しいの!」っていう歌も唄って来たけど、心の叫びみたいなものを吐き出して分かち合うっていうことを今までしてきたので、そういう歌を書きたいなと思って。

──で、「今、一番嘆きたいこと」が、なかなかはっきりしてくれない男性への気持ちだったわけですね。

藤田:周りの人と話していても、「最近の男の人ははっきりしない」みたいな話で盛り上がったりもするんですよね。自分自身、よく思うことなんですけど、男の人って、「言葉にしなくてもわかるでしょ?」って、曖昧にしたがるところあるじゃないですか。「わかるでしょ?」って言われても、「わからんわ!」って感じでしょ?

──うんうん。

藤田:女の人は言葉にしてほしいし、何回でも言ってほしい。常にそこが食い違ってると思うから、そこを熱く言いたいなと。曖昧なのはイヤだっ!て。

──男の人は責任取りたくないんでしょうね。本当にこういう状態にいる人ってとてつもなく多い。わかりあえない男女の微妙な距離感を描くのが上手ですね。

藤田:男の人と女の人って、たぶんずっとわかりあえないから、本当にこの人が最高だって思ってても、何かしら不満はあるだろうし。私はそれって良いことだと思っていて。年中、何かしら不満があるんですよ(笑)。だから、戦おうと思うし、改善しようと努力する。恋愛って、不満があるから文句言って喧嘩して、より好きだって実感して、一人で空回ってるみたいなところってあるじゃないですか。でも、不満がなかったら、人生つまらないのかなって。安定は良いことだけど、その中に不満があることで、原動力になるので。……私って、不満を探すのが好きなのかな……?(笑)

──そこから美しい歌になっていきますからね(笑)。この歌詞に描かれている人も、どういうつもりなのか、気があるそぶりはしていますが、決定的なことは言ってないわけですよね。藤田さん自身のセルフライナーノーツが資料に書いてありますが、「好きじゃないなら振ってほしい」って伝えたことがあるって。この言葉が全部物語っているくらい、この男性は残酷な人ですよね。

藤田:うん。私、責任とらない人、嫌いなんですよ(笑)。今が良ければいいなんて、こっちは何を光にして付き合っていけばいいの?って思っちゃうから。男の人にはどこかで決めて欲しいですよね。

──例えば、もう彼女がいるならそう言って欲しいですし、こっちの立場を明確にして欲しいってことですよね?

藤田:そう。それはそれで覚悟が出来るから。答えが出るようにしてほしい。女性は答えを欲しがりますから。

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