2014年9月にメジャーデビュー15周年を迎えるポルノグラフィティは、それに先駆け2013年11月にシングルベスト盤『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary“ALL TIME SINGLES”』をリリース、同年12月には全国11ヵ所全16公演のアリーナツアー<13thライヴサーキット“ラヴ・E・メール・フロム・1999”>をスタートさせた。

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開演前の会場を行き交う人たちには笑顔が溢れていて、あぁ、みんながこのアニバーサリーを祝う為にこの場所へやってきたのだなと感じてしまう。ここでは3月2日の横浜アリーナ公演をレポートしたい。

席に着くとまず、ステージ前方に設置された光るキューブ状の物体が目に入った。よく見ると、今回のツアーのキャラクター、その名も“キューブ教官”の黄色い顔が映し出されている。しばらく眺めているとキューブ教官が過去のツアーで登場した別のキャラクターの顔に次々と切り替わり、それによって開演が間もなくだと予感した客席が少しざわつく。

やがて照明が一気に消えると歓声が沸き起こり、ステージ左右の大きなモニターには「アポロ」のオルゴールバージョンをBGMに、デビューからこれまでの彼らの歩みをイラストでまとめたオープニング映像が流れた。「サウダージ」のミリオンヒット、ポカリスエットのCMソングを担当したこと、各地をライヴツアーで訪れたこと、そしてアラフォーを迎えたメンバーたち(ここでメンバーの目が大きくなったプリクラ風の写真が映ると会場は爆笑)など──。

するとキューブがゆっくりと上昇、ここで新藤晴一(G)、岡野昭仁(Vo)の順にメンバーが登場し、さらに大きな歓声と拍手が起こる。バックスクリーンが“まだまだまだまだ……”という無数の文字で埋め尽くされた後に“青春だーっ”という大きな文字が目に飛び込んだ。同時に「青春花道」のイントロが鳴り響き、横浜アリーナは一瞬で熱気に包まれる。晴一が頭上で大きく手拍子をして会場を煽ると、観客もそれに応え、ライヴのオープニングからして早くも最高潮の盛り上がり。

続いて、会場中がサビで同じ踊りをするのが恒例の「ミュージック・アワー」の間奏では、昭仁が「生ポルノを観るのが初めての人~!」「ベテランの人~!」と大きく呼びかける。客席はその問いに大きく手を振り答えるのだが、ライヴ初参加のお客さんが意外と多いことに驚いた。いや、新旧のヒットソングを散りばめた豪華なセットリストのステージを観られる今回のツアーは、昔からのファンが楽しめるのはもちろん、ポルノ初体験者の入門編としてもぴったりかもしれない。

「こんばんは。元気ですか? わしらがポルノグラフィティじゃ!」

最初のMCで昭仁がいつもの挨拶をした後、「横浜初日も盛り上がったけど、今日も負けてないですね。素晴らしい! 今日も全力でぶっ飛ばしたいと思います。どないでしょうか?」と、話を振られた晴一の「横浜アリーナでのライヴは毎回特別なものなので、今夜もそんなライヴにしたいと思います!」という言葉に、この日のステージが素晴らしいものになるであろう期待が膨らみ、胸が高鳴る。

今回、ツアー開始前にシングル以外で聴きたい曲についての投票をおこなった結果、200曲ほどのオリジナル楽曲すべてに票が隈なく入ったという。「ポルノグラフィティの音楽を隅々まで愛してもらっているようで嬉しい」と昭仁。支持が高かった「ルーズ」や投票第1位となった「夕陽と星空と僕」を丁寧な演奏と歌で届けてくれた。

白く柔らかな光に包まれ、晴一のアコースティックギターの音色も昭仁の歌声も優しく響いた「愛が呼ぶほうへ」の後のMCではソチオリンピックについても語られる一幕も。「サボテン」「音のない森」など初期シングルが披露された後には「今日はみなさんとこの時間をたっぷり楽しみたい、そしてできる限りの曲を聴いていただきたいなと思います」という昭仁の短い言葉に続いて、さまざまな曲を繋ぐメドレーを披露した。

メドレーの「Love,too Death,too」では動かずにはいられないといった様子で、昭仁は左右の花道へと進み、晴一はステージ前方でギターをかき鳴らす。また、ポルノグラフィティのライヴの“儀式”ともいうべきコール&レスポンスを行なうことによって、まるで会場全体が“ここからラストまで一気に走り抜けよう!”とスイッチが入ったかのように躍動。続く「幸せについて本気出して考えてみた」では力強いパフォーマンスで惹きこむステージ側と、それに負けじと渾身の力で応える客席側、双方ともがラストへ向かいスタートダッシュしたような熱を感じた。さらに「アゲハ蝶」では会場中がリズムに合わせて大きく手拍子をし、ラララの大合唱で全員がひとつになる。

「15年前の1999年9月、メジャーデビューを迎える僕たちは大いなる夢を抱いてました。その当時と今を比べると、どこか現実的で打算的になってる自分がいると気が付いた。それでいいはずがない。君たちの心を貫くような音楽を、君たちの人生を変えてしまうぐらいの音楽を、この音楽シーンをぶち壊してしまうぐらいの音楽を君らに届けることを夢見てこれからも進んでいきたいと思う。わしらの遠吠え、まだまだ聴いてくれるか?」

「Let’s go to the answer」の冒頭では昭仁がこう語りかけた。2005年リリースのアルバム『THUMPx』に収録されているこの楽曲は彼の作詞作曲によるもので、30代に突入した当時の決意表明だ。10年近く経った今なお、変わらず昭仁の胸にあり続ける想いなのだと感じた。

「メリッサ」、「ハネウマライダー」と盛り上がり必至のキラーチューンで息もつかせぬ勢いでたたみかけると、今度は晴一が客席へ静かに語りかけた。

「アニバーサリーってバンドだけじゃなくて、みんなひとりひとりが今ここに辿り着いたという意味では毎年が大切なアニバーサリーじゃないかと。今に届くまで俺たちもみんなも突っ走ってきた。日本の流行歌は前を向けとか諦めるなとか夢を捨てるなとか歌うけど、もちろんそうありたいけど、ここに来るまでにそうとばかり言えないこともあって。そんな時は突っ走ってきたぶん、振り返れば自分の後ろには大切な過去がある。たまには大切な過去に身を委ねてちょっと休んで、またその過去たちに背中を押されて、俺たちでいうと数々の曲に背中を押されて、また次の一歩、その次の一歩と進めたらいいなと思う15年目です」

そんな言葉の後に「ひとひら」が演奏された。こちらは晴一による作詞作曲ナンバーで、シングルベスト盤に収録されている唯一の新曲だ。いろんな過去を積み重ねて今の自分がある。だからどんな過去だって、自分で大事に抱えてこれからの未来に進んでいこうというメッセージに聴こえるものだった。

そして場内が暗転。ステージ上方にとどまっていたキューブが、最新シングルから過去へと巻き戻すようにジャケット写真を映しながら下降していき、完全にステージに着地したところでメジャーデビューシングルのジャケットが映った。ライトに照らされてキューブの上に立っているふたり。もちろん曲は「アポロ」だ。メジャーシーンでのポルノの歴史が始まった大事な1曲だが、ここでしんみりと感慨深くひたっていられるはずがなく、最後の最後まで観客たちは体を動かして楽しんでいた。演奏が終わり、再びキューブが上昇したそこには、旗とともにふたりがステージに立っている。その顔は、まるで月面へ初めて着陸した宇宙飛行士のように、やっとここまで辿り着いたぞと少し誇らしげな表情に見えた。

ほどなくアンコールに応えて登場したメンバーたちに、また大きな拍手が起こる。昭仁はデビュー当時ライヴでよく演奏していた「マシンガントーク」で当時と同じく全力のモンキーダンスを見せ、ブルースの名曲「Sweet Home Chicago」を“スウィートホーム、ヨコハマ”と歌い、アンコールのラストは定番の「ジレンマ」で、バンドも観客も最後の力をすべて振り絞るかのように飛び跳ねていた。

ステージを後にする直前、ふたりが生声で最後の挨拶をする。晴一が「またここでやりたいわ~!」、昭仁が「最高の1日だったよ~!」と大声で言うと、この日いちばんの大きな歓声と拍手のなか、ふたりは深々とおじぎをしたのだった。

セットリストも演出も豪華な内容で魅せられた濃密な3時間だった。特に印象的だったのが、終盤で昭仁と晴一がそれぞれ語った先述の言葉だ。それは彼らがずっと持ち続けているファンへの想いなのだと感じた。15年をここまで進んでこられたひとつの理由は、そこでみんなが寄り添ってくれていたから。ふたりが何度も「ありがとう」と告げるたび、そのひと言ひと言にファンへの感謝や愛情が込められているのが伝わってくる。それと同時に、“自分たちはまだまだ進んでいくんだ、だからこれからも一緒についてきてくれたら嬉しいんだけど……”と笑顔で語りかけているようでもあった。ポルノグラフィティに付いていった先の世界で、彼らがどのような景色を見せてくれるのか、本当に楽しみでならない。

取材・文◎大井美和



■<13thライヴサーキット“ラヴ・E・メール・フロム・1999”>
2014年3月2日@横浜アリーナSET LIST
【OPENING映像】
1.青春花道
2.ミュージック・アワー
3.オレ、天使
4.ヒトリノ夜
<MC>
5.エピキュリアン
6.サウダージ
7.東京デスティニー
<MC>
8.ルーズ
9.愛が呼ぶほうへ
<MC>
10.瞬く星の下で
11.サボテン
12.ラック ~SE
13.音のない森
14.夕陽と星空と僕
<Short MC>
15.「メドレー」
Mugen ~ 君は100% ~ ギフト ~ あなたがここにいたら ~ Love,too Death,too ~ Before Century ~ 幸せについて本気で考えてみた ~ Mugen ~ SE
<Short MC>
16.アゲハ蝶
17.Let’s go to the answer
18.メリッサ
19.ハネウマライダー
<MC>
20.ひとひら
【映像(キューブ君)】
21.アポロ ~SE
【ENCORE】
<MC>
22.マシンガントーク
<MC>
23.Sweet Home Chicago
24.ジレンマ

■<神戸・横浜ロマンスポルノ>開催決定!!!
2014年9月13日(土)ほっともっとフィールド神戸
2014年9月20日(土)横浜スタジアム
2014年9月21日(日)横浜スタジアム
・メジャーデビュー15周年を迎える9月に!大きな野外スタジアムで!“神戸・横浜ロマンスポルノ”3days、開催決定。
・スタジアム公演はメジャーデビュー10周年に開催した横浜スタジアム公演以来、約5年ぶり!!
・15年の集大成とも言えるLIVEが届けられた<13thライヴサーキット “ラヴ・E・メール・フロム・1999”>から、さらにパワーアップし、新たな16年目へと踏み出す彼らのステージに注目。


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