【倉木麻衣×BARKS連載対談】第一回(幼少期~1999年)「今振り返ると、みんなはバイトや部活に打ち込んでいたんですけど、自分は部活もやりつつデモテープを作って」

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1999年12月8日。当時17歳になったばかり、まったく無名の少女が「Love, Day After Tomorrow」でデビューを飾った時、その後にどんな未来が待ち受けているのかを予言できた人はいなかっただろう。いきなりのミリオン・セールス突破、連続トップ10入りの記録、1stアルバム『delicious way』は350万枚セールスと、神秘的なヴェールを身にまといつつ、輝かしい軌跡を積み重ねた最初の数年間。一学生として大学生活を送りながら、本格的なライブ活動に取り組み、メディアの露出も増えて徐々に生身の姿を見せ始めた時期。そして近年ではソーシャル・ワークにも積極的に取り組み、発言し行動するアーティストとして新たな一面も開花させて、倉木麻衣は2014年の12月にデビュー15周年を迎える。

◆倉木麻衣 画像

BARKSでは、激動の15年間を振り返って倉木麻衣の新たなヒストリーの決定版を作るべく、彼女にとって初となる超ロング・インタビューを敢行。聞き手としてBARKS編集長の烏丸哲也、デビュー当時から彼女を熟知するディレクター西室斗紀子、そして倉木麻衣の鼎談の形を取ることで、よりリアルな当時の逸話を引き出す試みにトライした。あの日、あの時、倉木麻衣は何を思い、何を目指して、ここまで歩んできたかを探るライフ・ヒストリー。1年間にわたる超大型企画、ご期待ください。

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【連載対談第一回:幼少期~1999年 <倉木麻衣の音楽的基盤、そしてデビューへ>】

■小学生になると、一緒にカラオケに行く友達もいて
■「すごいね」ってほめられるると、ますます歌が好きになりまして

烏丸:長い時間になりますが、よろしくお願いしますね。

倉木:こちらこそ、よろしくお願いします。振り返りながら、思い出しながらになると思うんですけど……。

西室:私は、思い出し係として同席させていただきます(笑)。細かいことは、本人はあんまり覚えてないかもしれないので。

倉木:いつも、いっぱいいっぱいだったので(笑)。

烏丸:まず、小さい頃はどんな性格の子供で、どんなきっかけで歌手を目指したんですか?

倉木:子供の頃は、うちにいるよりも外に出て木に登ったり、公園に行って虫を捕ったり、男の子っぽいアクティブな性格だったんですね。兄がひとりいるんですが、一緒によく外で遊んでいました。それで4歳の頃に母親が、どういうわけか「ピアノを習ってみないか?」と言い出しまして。

烏丸:虫捕りのほうが好きなのに?

倉木:そうなんですけど(笑)。それで音楽スクールに入ってエレクトーンを弾き始めたんですけど、そこで「音楽はすごく楽しいな」と思ったんですね。虫を捕ってた女の子が(笑)。

烏丸:それは大きいですね。小さい頃に習い事をすると、“無理矢理やらされていた”と思う人も往々にしていますけど、倉木さんは嫌ではなかった。

倉木:はい。音が出て、自分でその音を奏でるということがすごく楽しくて。母親が作った衣装を作って発表会に出たり、そういうこともすごく楽しかったですし。

烏丸:そもそもお母さんは、なぜ音楽をやらせようと思ったんですかね?

倉木:うちの家族は、祖父と祖母が音楽好きで、マライア・キャリーとかマイケル・ジャクソンとか、洋楽が特に好きだったんです。それで、うちにカラオケ・セットというものがありまして。

烏丸:ああ、昔の、カセットを入れるタイプの……。

倉木:そうです。それを親戚が集まった時に、祖父をはじめ、みんなで披露したりして。そういう背景もあって、母親が薦めたんだと思います。最初は“ピアノって何だろう?”という感じだったんですけど、映画の主題歌やアニメの主題歌から入って、それで歌いながら弾くことが好きになって。

烏丸:それは小学校の時ですよね。

倉木:その頃は、学校から帰って来て、宿題をやるよりもまず歌いたい!という気持ちでした。小学生になると、一緒にカラオケに行く友達もいて、そこでうまく歌うと「すごいね」ってほめられるんですよ。それで、ますます歌が好きになりまして。

烏丸:倉木麻衣の最初のオーディエンスはクラスメイトだった。

倉木:そうですね(笑)。それで音楽の授業も好きになって。自分を音に乗せて表現するのが、好きだったんでしょうね。そこから中学校に上がって、本格的に、マライア・キャリーとマイケル・ジャクソンのDVDを見た瞬間に、「こんなに人を感動させる歌手になりたい」と思ったのがきっかけで、歌手になろうと決めたんです。

烏丸:当時の中学生って、周りではどんな音楽が流行っていた時代ですか。

倉木:アニメソングが多かったですね。「ドラえもん」の曲とか。あとはSMAPさん、DREAMS COME TRUEさん、久保田利伸さんとか。

烏丸:そういう時に、中学生の女の子がマライア・キャリーが好きとか、あんまりいないですよね。

倉木:そうなんです。洋楽を聴いてる友達はなかなかいなくて、話のギャップはありました。でも、うちは家族がみんな洋楽を聴いていたし、車に乗る時にかけたりしていたので、普通だったんです。それで、そこからR&Bというものに特に興味が湧いてきたんですね。初めて自分のお小遣いで買ったCDは、ホイットニー・ヒューストンのアルバム『そよ風の贈りもの』でした。

烏丸:うーん、やっぱり、ちょっと変わったお子さんですよね。

倉木:そうですか(笑)。

烏丸:だって、一般の人に比べると、すでにマニアックな気質ですよ。

倉木:それでちょっと、自分の中に閉じこもっていくようになるんですけど……(笑)。

◆インタビュー(2)へ
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