【ライブレポート】感嘆と爆笑、異色の鋭才ピアノ・ガイズの絶品エンターテインメント・ショー

ポスト

YouTubeの総動画再生回数が3億9100万回を超える異色の鋭才“オジサン”クリエイター・グループ、ピアノ・ガイズが、4月16日、ロンドンのShepherd's Bush Empireでパフォーマンスを行った。

◆ピアノ・ガイズ画像

ジョン・シュミット(ピアノ)、スティーヴン・シャープ・ネルソン(チェロ)、ポール・アンダーソン(映像クリエイター)、アル・ファン・デル・ピーク(音楽プロデューサー)から成るピアノ・ガイズは、2011年にアメリカのユタ州で結成。ピアノとチェロによる、ポップ・ソングや映画のテーマソングにクラシックの曲を融合した秀逸のカバーと、ユーモアやサプライズに溢れた美しい映像をドッキング。YouTubeで公開されるやいなや瞬く間に話題となり、2012年秋にセルフ・タイトルのアルバム『The Piano Guys』でメジャー・デビューを果たした。その後リリースされた2枚も含み、3枚のアルバム全てが全米のクラシック・アルバム・チャートおよびニュー・エイジ・アルバム・チャートで1位に輝いている。

大好評だった北米ツアーに続く初のヨーロッパ・ツアーは、英国ではロンドンとマンチェスターで2公演が開かれ、どちらもソールドアウト。ロンドンの会場には小学生から年配の方々まで幅広い年代のファンが訪れた。

グランド・ピアノとチェロの後ろに2つの大型スクリーンが設置されたステージに登場したジョンとスティーヴンは、グスターヴ・ホルストの『惑星 - 木星』をミックスしたアデルの「Rolling In Deep」でこの夜のパフォーマンスをスタート。卓越した演奏と美しいアレンジで、即座にオーディエンスを魅了した。

この後もコールドプレイの「Paradise」、デヴィッド・ゲッタの「Titanium」、クリスティーナ・ペリーの「A Thousand Years」、エルヴィス・プレスリーの「Can't Help Falling In Love」などお馴染みのポップ・ソングや映画『カンフー・パンダ』や『アナと雪の女王』『ロード・オブ・ザ・リング』のテーマ曲を数々演奏。日々の喧噪を忘れさせてくれる優美で贅沢なひと時をプレゼントしてくれた。ポップとクラシックを融合するだけでなく、テイラー・スウィフトの「Love Story」とコールドプレイの「Viva La Vida」といった2曲のポップ・ソングをミックスしクラシックの小品に創り上げてしまう、そのセンスはお見事だった。

また、ジョンは「All Of Me」「Waterfall」といったオリジナル・ソングもプレイし、ピアニストとしてだけでなく作曲家としての才腕も振るい、スティーヴは3本のチェロとドラム・キック・パッドを駆使し、魔法使いのようなサプライズに満ちた色とりどりのテクニックを披露した。中でもこの夜のハイライトとなったのが、ワン・ダイレクションの「What Makes You Beautiful」。ピアノ・ガイズの4人全員がステージに上がり、鍵盤や弦、フレームなどピアノのあらゆるパーツを使った斬新な演奏に会場は大興奮となった。

そして、彼らのショウの魅力の1つが、そのトーク。「ロマンチックなひと時を求めて来たのなら、ごめん!」と言うとおり、まるでコメディアンのような掛け合いや仕草が散りばめられ、会場は最初から最後まで笑いに包まれていた。演奏のほうは予想していたが、トークもこれほどとは…。音楽に感嘆しトークに大笑いする、最高のエンターテインメント・ショーだった。

ピアノ・ガイズは、映画『アナと雪の女王』の主題歌「レット・イット・ゴー」で日本デビュー。4月9日にiTunesで配信されるとすぐに、iTunesクラシック・チャートの1位を獲得。現在もトップをキープしている。

Ako Suzuki, London




この記事をポスト

この記事の関連情報