DIR EN GREYの京を首謀者とする新バンド、sukekiyoの1stアルバム『IMMORTALIS』が話題を集めている。その状況についてより正確に言うならば、このバンドと作品にまつわる情報が届き始めた瞬間から膨張し続けてきた興味や好奇心、さまざまな種類の関心が、同作のリリースと同時に興奮として純化され、最初のピークとでもいうべき地点へと到達しているといったところだろうか。今回は、そのsukekiyoのメンバー5人が一堂に会した状態でのロング・インタビューをお届けする。取材が行われたのは、4月中旬のある日のこと。この顔合わせ、このシチュエーションでしか飛び出すことがないはずの、さまざまな言葉をお楽しみいただきたい。あなたにとっての、ひとつの純粋な娯楽として。

◆sukekiyo~拡大画像~

■レールを定めて「ここに行く!」となってしまうと面白くない
■「なんかすごいもんを作ろうよ」みたいな感じでありたかった(京)


――今現在はアルバムのリリースを待っている状態。率直なところ、どんな気分ですか?

京:1年前ぐらいからいろいろと計画してきて……。結果、今回は計画してたことがほぼ全部カタチになったんですよね。それって、あんまりないことじゃないですか。それが自分でも楽しいというのもあるし、徐々に情報とかがアップされていくなかでリリースを待ってるファンの人とかも、ちょっと楽しかったんじゃないのかなって。ある種のワクワク感というのを提供できたんじゃないかと思うし。今は、ようやくその実態を明らかにできるというのが単純に嬉しいです。

――受け手側からすると、sukekiyoはかなり謎めいた始まり方をしていたわけですよ。当初は誰が参加しているのかもわからなかった。メンバーの皆さんはそういった期間、どんな気持ちで待っていたんでしょうか?

匠:僕個人は、今回のことに関わってきた時間軸も長かったわけですけど……とにかくドキドキして待ってました。「何が起こるんだろう?」って。当事者でもあるからわかっていて当然のはずなのにわからない、みたいな。しかも作品はこうして完成しましたけど、それを表現するライヴという場が待ち構えてるわけじゃないですか。そこで改めて「とんでもないものを作ってしまったな!」みたいな感覚でもある。実際そういう作品だと思うし、それをちゃんとライヴで表現しなくちゃな、というプレッシャーもちょっとある。だから今は、“準備の準備”がようやく終わったかな、みたいな感じで。

UTA:うん。確かに“準備の準備”という感覚ではありますね。

匠:いい意味で、まだライヴがどうなるか想像しきれない部分があるという感じなんで。

YUCHI:2013年末にやった2本のライヴというのも、曲数的にもそんなにやってないですし。実際にはあの時点でもう全曲が出揃った状態にあったんですけど、敢えて雰囲気モノというか、そういう曲ばかりメインに選んだところもあったので。

――意識的に全貌をわかりにくくした部分というのもあったわけですよね?

YUCHI:結果的にはそういうことになりますね。だから今、自分たちでもまだライヴでどんなふうになるかわからない曲というのが多々あるし。

UTA:すごくいい緊張感のなかにいるんですけど、同時にすごく不思議な感覚でもあって。今まで味わったことのない感覚なんですよ。正直に言っちゃうと、実は全然緊張してないんです(笑)。初ライヴのときも実はそんなに緊張しなくて……。

――もちろん事態を軽く見てるわけじゃないんですよね?(笑)

UTA:いや、もちろんそんなことはなく(笑)。なんかね、このバンド自体の空気感のせいだと思うんですよ。この不思議な感覚というのは。

YUCHI:ああ、うん。なんかわかる気がする。

UTA:当然、京さんの存在が大きいわけなんですけど、なんか、空気がふんわりしてるんですよ(笑)。だから妙に気張らずに済んでるというか。本当は気張らなきゃいけないはずなんだけど、むしろ自然でいられているんです。みんなもすごくそういう感じの空気だし、しかもちゃんとそこで締めてくれる匠さんという人もいるし。

未架:確かにそういう空気はあるかもしれないですね。常にジャムってるというか、音を出してるとき以外もセッションしてるような感覚があるんですよ。あれこれとやり取りしながら、その時々の空気感をお互いに感じられてるというか、リアルタイム感みたいなものがすごくある。これから先も、ちょっと今まで自分のなかで体験したことのない感じになっていくのかなって思いますね。

――みなさん言葉は違いますけど“未体験な感覚”を味わっているという点では共通しているようですね。実際、新しいバンドを始めるときって目標やテーマから設定することが多々あると思うんですけど、sukekiyoの場合は“いつまでにこれを達成するんだ”みたいなレールを敷かない状態で始まったところがあるわけですか?

京:なんかレールを定めて「ここに行く!」となってしまうと、面白くないなと思って。漠然と、「なんかすごいもんを作ろうよ」みたいな感じでありたかったんです。それこそ各々に粘土かなんか渡して、「さあ、何ができるんだろうね?」みたいな。そこで自分の想像してた以上のものができると「すごいもんができたね。良かったね」となるじゃないですか。なんかそんな感じに近いんです。初めから「こういうすごいものを作るんだ」みたいな意識ではなく、むしろなんかラクにいこうよ、みたいな。

未架:なんかいろいろ、いい意味で京さんが委ねてくれるんですよ。イメージとかヒントはときおりポイントを押さえながら投げかけてくれる。そのときの京さんのモードみたいなものを、そのたびに提示してくれるんです。だからふわっとした感じではあっても、もちろん気が抜けたような感じというわけではないし、それぞれのスキル的な部分とか引き出しみたいなものは高めていかないと面白いものはできないはずだから、そこでの緊張感というのはあるんですけど……。でもなんか、すごく自由というか、好きなようにやりながらワクワクできるというか。

――ふわっとしている状態。つまり、着地点を敢えて限定せずにいるということですね?

京:うん。やっぱりそこは、感覚的なものでありたいから。

――感覚的な部分ばかりを重視していると収拾がつかなくなることもあるはずだと思うし、むしろ設計図があったほうがわかりやすいこともあるはず。作品をカタチにしていくうえで、“これは本当にまとまるんだろうか?”というような不安が頭をもたげたことは?

UTA:いや、このメンバーだからそれはないです。やっぱり役割がそれぞれきっちりあるんで、それを各々が不思議に果たしてるというか。だから、困ったら誰かに投げようって素直に思えますし。だからこの先もこのまま困んないんだろうなと思っていて。

YUCHI:うん。不安はないですね。原曲ができた段階で、京さんがすごく的確にいろいろと提示をしてくれるんで。そこから自分がどうしたらいいのかとか、もっとこうしてみようかとか、そういった部分がイメージしやすかったですね、このアルバム制作においては。だから、曖昧なようでいて、実は与えてもらった道筋みたいなものを自分は歩いてたのかなって今は思えてるところがあって。

匠:僕は、そのふわっとした部分に救われたところがあって。元々、何もかもきっちりと作りたいほうなんですね。自分自身を追い込むタイプというか、そこで「もっと自分を出せるはずなのに」ってもがくようなところが僕にはあるんです。でも、そんなときにも京さんが助けてくれたりとか。UTAさんの「大丈夫っすよ、それで」みたいな一言でさーっと不安が消えて自由になれたり(笑)。そういうことが何度もあったので。だからもう、「これはもう好きにやったろう!」みたいな。

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