【インタビュー】菊池桃子、デビュー30周年記念新録ベストアルバム完成「いまだに鍵盤は自分の生活の中にあるんです」

ツイート

1980年代にオリコン1位を獲得する大ヒット曲を次々に放った菊池桃子が、デビュー30周年を記念して、当時の楽曲をリアレンジ、新たにレコーディングした23年ぶりとなるアルバム『青春ラブレター~30th Celebration Best~』を4月30日にリリースする。

◆『青春ラブレター~30th Celebration Best~』メドレー動画

同アルバムの最後に収録されているのは唯一の新曲「青春ラブレター」だ。これは少年時代に菊池桃子のファンクラブに入っていたという筋金入りの桃子フリーク、つんくと鈴木おさむが書きおろしたナンバーで、デビュー曲「青春のいじわる」のアンサーソングとなるもの。そして、アルバムを聴いて驚くのは菊池桃子の奇跡的といっていいほど、年齢を超越したピュアなボーカルにある。まさに永遠のアイドル、ここに在りなのである。そんな彼女に、アルバムについての想い、多忙だった10代の頃の思い出、滅多に語られることがなかった音楽ルーツについて話を聞いた。

   ◆   ◆   ◆

【第一部 当時の思い出と音楽ルーツを振り返るインタビュー】

■初めて耳でコピーしたのが小学校3年生のときに聴いた
■イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」だったと思います

──デビュー30周年記念の新録アルバム『青春ラブレター~30th Celebration Best~』を聴かせていただいて、菊池桃子さんのピュアな歌声に癒されました。まず、23年ぶりにアルバムをリリースすることになったいきさつから教えてください。

菊池:約1年前に事務所のスタッフから「来年は30周年だからアルバムを作ろう。コンサートもしよう」とお話をいただいたときは“えーっ?”って驚いたのが正直なところですね。でも、自分にとって節目の年だし、なにか記念行事みたいなものを行なうことは大切な気がして、実現したら嬉しいなと思っていました。今年は特別な気持ちになっていますね。

──菊池さん自身は歌に対して、どんな想いを抱かれてたんですか? 例えば、また歌手活動をいつか再開したいとか。

菊池:私自身は2012年から大学(戸板女子短期大学)に研究室を持って授業をしたりしています。最近は歌うことよりも講演や講義をする機会が増えていまして、そちらのほうの活動に熱中していました。ですから、正直、歌うことは頭の片隅にもありませんでした。

──じゃあ、そろそろデビュー30周年だなっていうことも?

菊池:ふふ。(笑)全然、考えてなかったです。

──はは(笑)。初回生産限定盤のボーナストラックに収録されている「“Momoko’sスペシャルトーク”」で、最初にアルバムの話を聞いたときはワクワクする気持ちと怖い気持ちの両方があったとコメントされてますが、怖いというのは?

菊池:久しぶりに歌って、自分の声がみなさんをガッカリさせないかなって。時が経って声も変わっているかもしれないし、歌う声って、ナレーションをするときの声ともお芝居をするときの声とも違うので、昔と同じようにできるかな?と思っていました。ただ、ファンのみなさんからアイドル時代の曲を今の声で聴きたいというリクエストはいただいていたので。新曲ばかり入ったアルバムよりも、懐かしかったり思い入れのある曲をもう1度、聴きたいって。もちろん、鈴木雅之さんとデュエット(1993年発表「渋谷で5時」/2008年発表「恋のフライトタイム~12pm~」)させていただいたときに自分の声は確かめてはいましたけど、15~16歳でレコーディングした曲を歌うとなると、違いが出てきそうで、みなさんが求めているものと違ったらどうしようと、ちょっと怖かったですね。で、本番前に練習させていただいて、自分の声を聞いたら、“あれ? あんまり変わってないな”って(笑)。

──そこで初めてホッとされたんですね。

菊池:ホッとしたのと同時にいろいろ試したくなり、ディレクターと話をしながら歌入れをしました。レコーディングは楽しかったですね。

──アルバムには’80年代の大ヒット曲がたくさん収録されているので、当時の思い出についても少しお聞きしたいのですが、忙しくて遊ぶ時間も寝る時間もなかったのでは?

菊池:そうですね。自分自身、覚えていないところがあるぐらい、いろいろな場所に行って歌いましたね。でも、親との約束で高校にもちゃんと通っていました。

──芸能活動と学校生活の両立は大変ですよね。

菊池:スカウトされたとき、芸能界という未知の世界に進むことを親は心配していて、「若いうちだけなんだから、勉強はちゃんとしなさい」と言われていました。だから、芸能活動のせいで成績が悪くなったと言われるのがイヤでムキになって勉強していました。忙しいのに高2のときは普通コースではなく、進学コースに進んだりとか。

──だったら、友達と遊ぶ時間がなおさら少ないですね。

菊池:ただ、遊ぶ時間が少なかった分、行った場所とかをものすごく覚えていますね。学校の帰りにみんなでファミレスに行ったこととか友達の家に遊びに行ったこととか、お祭りに行ったことだったり。今、私の子供は中学生と高校生なんですけど、ゆっくり過ごせる放課後がいっぱいあって、逆に自分の場合はそういう有意義な時間がたまにしかなかったから1つ1つが大切な思い出として残っているのかもしれないですね。

──ちなみに当時はどんな音楽を聴かれてたんですか?

菊池:クラシックピアノが好きなんです。もともと私、5歳の頃からピアノを習ってたんですけど、レッスンの前に先生と音当てクイズをやるのが楽しくて。

──音当てクイズというと?

菊池:先生がピアノを単音で鳴らして、“ド”とか“ファ”とか言い当てるんですけど、それができるようになると“♯”や“♭”の音も出てくるようになって、次は和音になって最大で6つぐらいの音を当てるという訓練を受けていました。だから、子供の頃から外で流れている音楽が気に入ると、一生懸命に覚えて家に帰って“確か、こうだったな”ってピアノで弾いてましたね。初めて耳でコピーしたのが小学校3年生のときに聴いたイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」だったと思います。

──始まりは洋楽だったんですね。

菊池:洋楽も日本の音楽もマイナーコードの響きがすごく好きです。クラシックでいうと短調の曲は心に染みてきてムキになって練習してましたね。童謡だと「小さい秋みつけた」「ドナドナ」など、憂いのあるメロディが好きでした。いろいろな曲を聴いて覚えてピアノで弾いて楽しむというのが私の遊びでして。あと、適当に指を動かして弾いていると、その日の気分の曲ができるじゃないですか。それも楽しくて、いまだに鍵盤は自分の生活の中にあるんです。

──無意識にオリジナルも作っていたんですか?

菊池:オリジナルと呼べるものでもないのですが(笑)。私、一番最初に作曲したのが幼稚園児のときなんです。その曲は親が今も覚えていてくれて、私自身も、今も冗談のように弾くんですけど、考えてみたらそれが自分の原点なのかなと思います。

──その曲は貴重です! 聴いてみたい。

菊池:いやー(笑)、CMソングみたいに短い曲なんですけどね。

◆インタビュー(2)へ
この記事をツイート

この記事の関連情報