【インタビュー】菊池桃子、デビュー30周年記念新録ベストアルバム完成「いまだに鍵盤は自分の生活の中にあるんです」

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■当時の音楽スタッフは「大人になったときに、“アイドルの曲だから
■恥ずかしくて聴けない”って思うような曲は作らない」と言っていたんです

──でも、今のお話を聞いていたら、菊池桃子さんのヒット曲に切ないラブソングが多い理由に納得です。

菊池:切ない曲、大好きですね。作曲家の林哲司先生に作っていただいたメロディラインがすごく好きです。今回のアルバムでは新曲「青春ラブレター」をつんくさんに作っていただいたんですけど、イントロが流れたとき“わー、切なくて、このコード進行好きだな”って嬉しかったです。

──鈴木おさむさん作詞、つんくさん作曲の「青春ラブレター」は甘酸っぱくてキュンとする曲に仕上がってますもんね。お二人に曲制作を頼んだいきさつというのは?

菊池:おさむさんもつんくさんも、私のデビュー当時からファンクラブに入って応援してくださっていたということは聞いていたんですけど、今回、スタッフを通じてぜひ協力したいと言ってくださって……。少年の頃、ファンクラブに入っていた方たちだから、絶対に当時からのファンの方の気持ちを裏切らない曲を作ってくださるだろうって。“私よりもわかっているでしょ”という想いがあったので、なんて力強いサポートなのだろうと思いましたね。すでにラジオなどで流れていますけど、予想どおりデビュー当時からのファンの方たちが喜んでくださってるみたいで、本当に人にも恵まれてありがたいです。

──菊池さんはお二人にとって、今も憧れの存在なんでしょうね。

菊池:つんくさんと初めてお会いしたのは対談だったんですけど、誰と対談するのかご存知なかったみたいで、私が来たときには「青春のキレイな思い出なので、会わないほうがいいと思ってたのに」とおっしゃってたんです(笑)。だから、お二人ともあまり私に会いたくないみたいで……。でも、おさむさんはコンサートの演出も手がけてくださるので、その壁をとりはずしたいと思っています(笑)。

──すごいコラボレーションですね。新曲「青春ラブレター」は、デビュー曲「青春のいじわる」(1984年発表)のアンサーソングとして書きおろされた曲でもあり、これまでのヒット曲のフレーズが歌詞に盛りこまれていますね。

菊池:そうですね。過去に歌った言葉がたくさん入っているので照れくさいかなと思いましたけど、ストーリーとして成り立っていて。つんくさんの切ないメロディのどこにどういう言葉を乗せたらキレイに響くか計算したみたいに作られているんですね。例えば、“あのためらいからの続き”というフレーズが出てきますけど、「青春のいじわる」にも“ためらい”という言葉が出てくるんですね。私自身、声に出したときにすごく好きな言葉なんです。それらのフレーズが、自分が一番聴いてもらいたい高さの音で入ってくるのにも驚きましたね。

──さすがですね。ところで、アルバムの選曲はどのように決めていったのですか?

菊池:長い間、応援してくださる方たちがいらっしゃるので、その方たちが聴きたい曲って何だろう?とみんなで探しました。もちろん、アルバムの曲でももう1回歌いたい曲はたくさんありますけど、やっぱり、シングルが中心になってくるのかなって。

──「青春のいじわる」に始まって、「雪にかいたLOVE LETTER」、「卒業 -GRADUATION-」、「BOYのテーマ」、「もう逢えないかもしれない」、「夏色片想い」などオリコン1位を獲得したヒット曲を今の菊池さんのアプローチで歌われているアルバムで、オーガニックなサウンドになっているのもボーカルと共に癒される要素でした。

菊池:みなさんが私を評価していただくとき、よく“やさしさ”という言葉を使ってくださるんですね。日常生活では子供にガミガミ言ったりするので、あくまでイメージなのかもしれないですけど(笑)。もし、そこが支持していただいている要素の1つなのだとしたら、アルバムのトーン全体をやわらかくしようっていうのは思ってましたね。スパイシーなものもたまにはいいけど、長く愛してもらうためには“やさしさ”をテーマにするのがベストなんじゃないかなって。

──そして、曲がまったく色あせてないですよね。

菊池:ありがとうございます。私の曲にはたびたび“青春”という言葉が出てきますけど、当時の音楽スタッフはよく「菊池桃子のCDを買ってくれるのは10代の少年少女だけど、みんなが大人になったときに、アイドルの曲だから恥ずかしくて聴けないって思うような曲は作らない」と言っていたんですね。「他のアイドルと比べるな。比べると控えめに感じるから」って(笑)。そんなふうに作っていった曲なので、青春という言葉も今も照れずに歌えるのだと思います。

──では、5月に品川ステラボールで行なわれる30周年記念コンサートはどうなりそうですか?

菊池:今の私がアイドル時代の楽曲を歌うことになりそうなので、観に来ていただくみなさんとタイムスリップしたいなと思っています。応援してくださった方も、私と同年代になっていて、お仕事があったり、家庭があったり、大人だからこその悩みも抱えていらっしゃると思うんです。10代の頃はまだ社会にも出ていなくて、希望も情熱もあるし、体力もあって、やたら元気だったと思うんですけど、その時代を私自身も含めて思い出せるような元気が出るコンサートにしたいですね。

──5月24日と5月25日の夜公演は即日ソールドアウトして、25日の昼の追加公演が決まったんですよね。

菊池:はい。私自身は久しぶりの単独コンサートなので“チケット買ってくれる人、いるのかな”って心配だったんです。みなさんにお越しいただけるって聞いてすごく嬉しかったし、最高のプレゼントができるようにしっかり内容を練りたいと思っています。鈴木おさむさんのアイディアを聞いてビックリしているんですよ。たぶん、オープニングからみなさんを驚かせることになるんじゃないかなって。

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