【インタビュー】BREAKERZのAKIHIDE、フルアルバム年間3枚発表の驚異「今回は雨がコンセプトのエレキギターによるインストを追究した」

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BREAKERZのギタリストAKIHIDEが5月14日、ソロアルバム第三弾となる『RAIN STORY』をリリースする。2013年6月に全曲ボーカル&ギターを務めた1stソロアルバム『Amber』を発表、2013年10月にアコースティックインストゥルメンタル2ndソロアルバム『Lapis Lazuli』を発表するなど、この1年間に3枚のフルアルバムをリリースするスピードには目覚ましいものがあるが、驚くべきは、止まるところを知らないAKIHIDEの表現欲求の高さだ。

◆「RAIN MAN」ミュージックビデオShort Ver.

リリースされる『RAIN STORY』は、“雨”をテーマにしたコンセプトアルバムに仕上がった。エレキギターとピアノを中心としたサウンドで雨の日の情景を綴り、曲から連想されるイメージをイラストと言葉からなるブックレットにしたためた。“雨”という雫から誕生した大河のようなひとつの物語=アルバムを、そのストーリーとサウンドから解き明かすロングインタビューをお届けしたい。AKIHIDEというアーティストの無尽蔵な創造力の源がわかるはずだ。

■人間が生まれてから死ぬまでの間に味わう8個の苦しみ
■そのひとつひとつを照らし合わせた物語に楽曲をリンクさせました

▲<AKIHIDE 1st Live Tour 2013“Amber”>
──『Amber』、そして『Lapis Lazuli』に続くソロアルバム第三弾『RAIN STORY』は、雨をコンセプトにした作品ですが。

AKIHIDE:三作目のアルバム制作に入る前に、2014年6月にツアーをすることがすでに決まっていたんです。『Amber』の一連のリリースやツアーが終了した段階で、またライブハウスを廻りたいと思ってツアーを組んだんですけど、6月=梅雨時のツアーですよね。実は<AKIHIDE 1st Live Tour 2013“Amber”>(2013年6月開催)のときがピンポイントで台風が来たりして、結構大雨だったんです。その前からAKIHIDEは雨男なんじゃないかという話が、よく出ていて……(笑)。だったら、もう雨男としてツアーを廻ろうと。それが、アルバム制作の入口となりました(笑)。

──創作の題材は、いろんなところにありますね(笑)。

AKIHIDE:本当に(笑)。雨のツアーから“RAIN MAN”というワードが出てきて、同時にヴィジュアルイメージも浮かんで。それを踏まえて最初に作ったのが「RAIN MAN」という楽曲です。シングルという手段もあったんですが、雨をテーマにしたものとなると、大きなひとつの作品として提示することで、より伝わるものがあるんじゃないかなと思って。それで“RAIN STORY”を描いたアルバムを作ることにしました。

──いい着想を得ましたね。ギターとピアノをフィーチャーしたインスト作品ということも特徴になっています。

AKIHIDE:『Amber』は歌もの、『Lapis Lazuli』はアコギを主体としたインストアルバムで。今回はエレキギターによるインストを追究しようというのが、まずありました。『Lapis Lazuli』を作ったときに、インストをファンの人たちがどう受け止めてくれるか不安もあったんですね。でも、実際にリリースしてみると、すごく温かく迎えてくれて、ライブも楽しんでもらえた。それがひとつの自信になったんです。今の自分を素直に出すことが、お客さんに対する誠意かなと。今回はそういう部分を押し出した曲を作ることが多かったですし、そのためにジャズの勉強もしました。

──ピアノというのは?

AKIHIDE:最近はピアノをフィーチャーした音楽を聴くことが多くて。ピアノトリオとかを聴いていると、ロックなギターがここに入ったらカッコいいだろうなと思うんですよ。それを僕なりに作れるなと。

──「RAIN MAN」以外にもアルバムのキーになった曲はありましたか?

AKIHIDE:当初「RAIN MAN」をシングルリリースしようかなと思ったときに、カップリング用に作ったのが「LIGHTNING QUARTZ」と「BLUE BIRD BALLAD」だったんです。この2曲もピアノをフィーチャーしてるんですけど、自分的にカップリングで終わらせるのはもったいないと思えるくらい好きになって(笑)。この3曲が全10曲のアルバムへ導いた気がしますね。

──創作意欲をかき立てられたんですね。「LIGHTNING QUARTZ」と「BLUE BIRD BALLAD」は、どんな風に作ったのでしょう?

AKIHIDE:「LIGHTNING QUARTZ」はリフありきでした。ピアノでカッコいいリフを作ってギターに置き換えたり、逆にギターで作ったものをピアノに置き換えたりしながらベーシックを作って、そのうえでギターで歌うというアプローチを採ることにしました。僕はテクニカルなギタリストではないので、できることは歌の代わりにメロディーを弾くことかなと。「BLUE BIRD BALLAD」は、以前自分で作ったジャズ風ラインのピアノのコードがあって、それに合わせてギターを弾いて遊んでいたのが発展して曲になりました。ギタリスト的に非常に楽しいというか、自分のギターに酔いながら作った曲です(笑)。

──『RAIN STORY』収録曲は聴いていると様々な情景が浮かんでくるものが揃っていますが、その辺りについてはどう捉えていますか?

AKIHIDE:元々、想像力を高めてくれるインスト曲が好きだというのがまずありました。それに今作は、ブックレットに描いた絵本がひとつの軸になっているんです。空から降ってきた雨が地上に降りて、8個の物語を通って、最後に虹の橋で帰っていくというものです。自分で考えたそのストーリーをブックレットにまとめているんですね。音と、少しの言葉と、絵があることで、聴いてくれた人により深く音楽を感じていただける気がして。ある意味チャレンジですね。

──8個の物語というのは?

AKIHIDE:仏教用語でいう“四苦八苦”という言葉があるじゃないですか。仏教では、人間が生まれてから死ぬまでの間に味わう8個の苦しみを説いているんです。それに一個一個照らし合わせた物語を考えて、楽曲をリンクさせました。だから、サウンドトラック的な感じもあるし、逆にいえば音があるから、ブックレットの絵も活きる。そういう風に、相互関係が成り立っているんです。

──なるほど。AKIHIDEさんならではのアートワークを活かした手法と言えますね。

AKIHIDE:ブックレットは単体でも成り立つようなものにしたいという思いがありました。今回の画は、一見描いたもののように感じるけど、実は写真でもあって。まず絵を紙に貼って、それを切って、いくつか重ねることで遠近感が出るじゃないですか、それを撮影してるんですね。元となる絵は、最初に僕がそれぞれの物語を表すラフを作ってそれを土台に描いてもらったものなんですが、どういう風に遠近感を出すかを話し合いながら撮影したから、ちょっと不思議な感じになっていると思うんですよね。音楽も含めて、ソロに関しては人間味を追究したいという想いがあるので、ブックレットはできるだけ手作業を活かした温かみのあるものにしました。

◆インタビュー(2)へ
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