【インタビュー】若尾圭介、ボストン響オーボエ奏者が奏でるオールフレンチ・プログラム

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■休暇のフランスでオーボエも一切吹かず毎日のんびりとしてたんです
■そうしたら「あなた、CD作ったら?」って妻が提案してきたんです


 ▲『若尾圭介 in パリ~フランス・オーボエ作品集~』
──4月9日には久々のアルバム『若尾圭介~フランス・オーボエ作品集~』がリリースされましたね。素晴らしかったです。オーボエの響きって、なんでこんなに心を落ち着かせてくれるんだろうっていうのも改めて感じました。何度ループしても飽きない。この作品はパリで発案されて、パリで録音したそうですが、作ることになったいきさつを伺いたいんですが。

若尾:ボストン交響楽団は20年在籍すると、1年の休みがもらえる権利が得られるんです。2人だけ選ばれるんですが、その休みを僕がもらって家族で二ヶ月半、フランスに行くことにしたんです。とにかくフランスでのんびりしたかったんです。サンジェルマン・デ・プレのファステンバーグ広場にあるアパートを借りて、素晴らしい毎日でした。今までのバカンスではそこがナンバーワンですね。街を歩いたり、カフェでコーヒーを飲んだり、オーボエも一切吹かず、毎日のんびりとしてたんです。そうしたら、うちの妻が、「あなた、よくこれだけのんびりしてられるわね。あなたのそんな姿を見たのは初めて」って言うんです。9月からボストンに戻るのに、大丈夫なの?って(笑)。それで、「あなた、CD作ったら?」って妻が提案してきたんです。

──なるほど(笑)。そこからいろんなことがスタートしたんですね。

若尾:そう(笑)。でも、その時点で、もうひと月もオーボエを吹いてなかったんですよ。録音する前に、一回、人前で演奏しなければということで、コシノジュンコさんに電話をして、フランス駐在大使の晩餐会での演奏会をセットアップしていただいて。あとは僕はクリスチャンなので教会に行ってたんです。その教会でも吹かせてもらいました。

──それで楽曲もフランス人作曲家のものに統一したんですね。

若尾:はい。そもそもプーランクのトリオっていうのを録音したかったんです。ファゴットでこのアルバムに参加してくれたマルク・トレネルは、22歳でパリ管弦楽団に入ってるんです。僕は日本でスーパーワールドオーケストラというのを10年やってたんですが、その時に彼と出会って、僕のほうが一回り上だから、すごくかわいがってたんです。彼がパリにいるから一緒にやろうと声をかけて。で、ピアノの広瀬悦子さんが協力してくれることになって。僕はCDを作るのが大好きなんですよ。

──今後の夢はありますか?

若尾:僕の最初のCDは36歳の時に作ったエッシェンバッハさんとの作品だったんです。僕は彼から受け継いだものがすごく心に残っているんですね。音楽やってて良かったって、彼と会うたびに思います。今まで7回くらい共演しているけど、指揮者としても凄いけど、ピアニストとしても世界最高。彼は子供たちのためのモーツアルトとベートーベンのソナタ集を出しているんですが、彼って、生い立ちも複雑で苦労をした方だから、人の痛みにすごく寄り添うんです。だから、次の夢は、「ララバイ」……子守唄っていうタイトルで、彼と一緒に、聴いた人が元気になれるような作品を作りたい。彼のようにはなれないのはわかっているけど、僕の音楽の行き着く先として、彼のような人がいるというのは幸せですね。

取材・文●大橋美貴子

『若尾圭介 in パリ~フランス・オーボエ作品集~』
WPCS-12677 ¥2600+税
1. 劇音楽「パリザティス」-第2幕より「ナイチンゲールとばら」
2. 美しき夕べ
3. ノクターン
4. オーボエとピアノのためのソナタ 第1楽章:「悲歌」
5. オーボエとピアノのためのソナタ 第2楽章:「スケルツォ」
6. オーボエとピアノのためのソナタ 第3楽章:「嘆き」
7. 愛の小径
8. ソナチネ 第1楽章:中庸に
9. ソナチネ 第2楽章:メヌエットの動きで
10. ソナチネ 第3楽章:活き活きと
11. オーボエ、ファゴット、ピアノのための三重奏曲 第1楽章:プレスト
12. オーボエ、ファゴット、ピアノのための三重奏曲 第2楽章:アンダンテ
13. オーボエ、ファゴット、ピアノのための三重奏曲 第3楽章:ロンド

<公演スケジュール>
6月12日(木)北九州 響ホール 室内楽コンサート
共演:パスカル・モラゲス(クラリネット)、宮武きみえ(ピアノ)
6月13日(金)大阪音楽大学 ミレニアムホール
~パスカル・モラゲス(クラリネット)ジョイント・リサイタル~
共演:広瀬悦子(ピアノ)
6月14日(土)久保惣美術館
~パスカル・モラゲス(クラリネット)ジョイント・リサイタル~共演:広瀬悦子(ピアノ)

◆若尾圭介 オフィシャルサイト
◆ワーナーミュージック・ジャパン
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