2014年、デビュー10周年を迎え、ベスト盤『KX』リリースに、ライブハウスツアー<K10>、夏には<908 FESTIVAL>開催とアニバーサリーイヤーならではのエンタテインメント企画が目白押しのKREVA。この10年、既にポピュラーミュージックと対等なところまで日本に浸透したヒップホップを彼は第一線で牽引し続けてきた。そんな彼だけれども、まだまだこの世の中には「KREVAという名前は知っているけれど、CDを聴いたことがない」という“ふわっと層”(KREVA命名)がたくさんいるという。今回のインタビューはそんな方々にぜひ読んでいただきたい。KREVAのベスト盤を手にとって、このインタビューを読めば、きっとあなたもKREVAの魅力にはまるはずだから。

◆KREVA 画像


▲『KX』【初回限定盤】
■“今までKREVAという名前は知っていたけど曲は知らない”という層に買って欲しいアルバム

──BARKSインタビューは今年初! ということで、まずはこれから聞かなくちゃという質問がありまして。BARKS恒例の年始企画の絵馬。KREVAさんにも書いて頂いたわけですが。そこに書かれていたフレーズが「また売れたい」と。

KREVA:フフフ。また売れたいなと。

──“また”っていうところに、フムフムと。

KREVA:よくライブとかで「俺は売れたい」って言っているんですけど、なかには「いや、売れたじゃん!」ってつっこんでる人もいると思うんです。

──ええ、ええ。そうなんですよ。

KREVA:実際、『愛・自分博』(2ndアルバム)でオリコン1位も獲ったし。それを考えると正確に伝えたほうがいいなと思って、“また売れたい”ということにしたんです。

──その“また”を盛り上げていくのにもってこいの時期がやってきましたね。今年KREVAさんはデビュー10周年! それを記念して現在まさに“隠れKREVAファン撲滅キャンペーン”なるものを開催中だそうで。

KREVA:はははっ(笑)。そうそう!

──KREVAという名前は知っているんだけど、CDを買ったことがないという“ふわっと層”に、ぜひともKREVAを届けたいということで。

KREVA:まさにそうなんです。

──こういうキャンペーンのネーミング、さらには今回10周年を記念して発売するベストアルバムの『KX(ケイテン)』というタイトル付けにしても、リリック同様言葉のセンスのよさをとても感じるわけですよ。例えば今回の『KX』のネーミングは、どんなところからひらめいていったんですか?

KREVA:最初、ライブハウスツアーの<K10>を先に決めなきゃいけなくて。どうしようかなって思っていたとき、スタッフからもあまりいいアイデアが出てこなかったんですよ。それがちょうどソチオリンピック前ぐらいかな? スキージャンプの“K点”って言葉もよく聞いていたし。(サッカーの)本田選手がミランに移籍して、背番号が10番に決まったというのもニュースで話題になっていて。本田選手の名前は圭佑だからKの10番。

──はいはいはい!

KREVA:それで自分はKREVA10周年でK10。こんなのでいいかな、ぐらいの感じでまず<K10>を決めたんです。あと、一番のポイントはグッズになりやすいってこと。最近はそういうことも考えてタイトルも決めています。それで、アルバムのタイトルもスタッフの中ではK10でいこうって話になっていたんですけど、俺はこれにまだまだいろんな意味を持たせられるなと思って。スニーカー好きだったら(NIKE)エアジョーダン10の10はX。ゲーム好きならファイナルファンタジー10もXですよね?

──確かに! どちらもXを使いますね。

KREVA:それで、アルバムは記号っぽくすることで、よりいろんな意味を持たせられるなと思ったんで『KX』にしました。


▲『KX』【予約限定生産盤】
──よくこんなに次々とアイデアがひらめきますよね? そこんところの頭のなかの構造を知りたいんですけど(笑)。

KREVA:大事なのは、“最初にスタッフにいっぱいアイデア出してもらったけれどもイマイチだった”。そこの過程がすごく大事なんですよ。

──イマイチなアイデアだったのに?

KREVA:そう。自分で考えてやるトライ&エラーだけじゃダメで。いろんなところからたくさん出てきたもののなかから“コレは違うコレは違う”ってジャッジする作業ができると、すっとシンプルなところにたどり着けるんですよね。いきなり『KX』へは行きづらかったと思う。至るまでにいろんなエラーがあったからこそ出てきた。例えが合っているのか分からないですけど、ラブレターをば~っと書く。どれぐらい好きかとか、自分の事もちょっとアピールしといたほうがいいかとか書いてみる→長過ぎる→違う→また書いてみる。っていろいろやった結果、最終的にすごい奇麗な字で“好きです”とだけ書こうと。そういう感じでシンプルなところへたどり着くでしょ?

──うわ~…すごい納得です、いまの(笑)。

KREVA:だから、この裏にスタッフが出してくれたんだけど“コレは違う”というたくさんのエラーがあった。だからこそ、たどり着いたタイトルなんで。決して俺一人の力でたどり着いたタイトルではないです。

──なるほど!

KREVA:それはタイトルに限ったことではなくて、ライブのセットリストとかもそう。自分の考えだけだと、自分には天の邪鬼な部分があるので、例えば今回もベスト盤作りましょうってなったとき、自分はこれは最高にカッコいいのができたぞって思っていても、ライブではそんなに盛り上がらない曲集になっちゃいがちなんですよ(苦笑)。それじゃダメだと思うんです。ふわっと層に届けるためには。

──はい。そこ、とても重要ですね。

KREVA:ファンに向けて“俺はこれがいいと思ってました集”ならそれでいいんですけど、このベストアルバムは“今までKREVAという名前は知っていたけど曲は知らない”という層に買って欲しいアルバムだから、周りの意見がむしろ大事だなと思っていました。だから、周りに提示してもらって、その最終ジャッジを自分がしてきたという感じで作ったんです。


▲『KX』【通常盤】
──なるほど。そういうふわっと層にどうしても届けたいのがCD2枚組の<通常盤>。

KREVA:この2枚を聴いておけばライブはほぼ楽しめると思います。

──注目なのはここに新曲2曲が収録されていること。この新曲についてちょっと聞かせて下さい。まずは【CD-1】の1曲目に収録された「全速力 feat.三浦大知」。4つ打ちものの華やかなダンストラックなんだけれども、ビートはストップ&ゴー。イケイケだけじゃない、止まることも重要なんだというメッセージがトラックからビシバシ伝わってきました。

KREVA:うん、ナイスキャッチ!

──ナイスキャッチいただきました~(笑)。

KREVA:止まる大事さ、まさにそれが言いたかった。「この10年振り返ってどうですか?」っていろいろ聞かれたんですけども、楽しかった思い出はもちろんあります。だけどそれよりも、ふわっと層以上に下手したら俺のことを知らないような人がいる現場でライブをして、悔しい思いをしたこととかが残ってるんですよ。トライ&エラーでいう“エラー”のほうが記憶に残っているというのがあったんで、その大事さが伝わればいいなと思いました。でも、エラーがあってからのトライで成功をつかんだところは間違いなくあるので。“エラーというのは失敗ではなくて大事な経験”、それがいいたかったんですよね。

──エラーの先に成功という光があることも、トラックのイントロ部分のピューンって流れる効果音とかトラックが物語ってますもんね。

KREVA:その感受性をこのCDに封入して配りたい(笑)。

──ありがとうございます。次に【CD-2】のラストに収録された「Revolution」。こちらはシンプルなのに、じわじわくる系なんですよ。

KREVA:まさに。これはシンプルでじわじわくるというのをチョイスしてるので。

──これもナイスキャッチ?

KREVA:はい、2つ目のナイスキャッチ(笑)。まずベスト盤の曲順をみんなでどうするか話していて、前回のベスト盤(『クレバのベスト盤』)が時代をさかのぼっていくというやり方のものだったので、そこを踏襲してやろうと。それを新曲で挟もうということになったんです。となると【CD-2】はデビュー曲(「希望の炎」)の後が新曲になる。「希望の炎」はものすごくシンプルな曲なので、その後に「全速力」のような派手な曲がくるのはアルバムとして考えられないなと思って、ここにはシンプルかつしっかりメッセージのあるものを入れたいなと思ってこのトラックをチョイスし、この歌詞になりました。

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