SCANDALが6月28日および29日、横浜アリーナにて<SCANDAL ARENA LIVE 2014 「FESTIVAL」>を開催した。ガールズバンドとして実に23年ぶりとなる横浜アリーナ2DAYS開催が発表されるや否や大きな話題となった同公演は、2日間で計2万3000人を動員し、大成功を収めたことは速報レポートのとおり。その詳細レポートを新たに到着したたっぷりの写真とお伝えするとともに、彼女たちがあの場所で何を伝え、何を成そうとしていたのか改めて検証してみたいと思う。

◆SCANDAL 拡大画像

ファンタジックでワクワク感を誘うカウントダウン映像が“10”から“0”を映し出し、華やかに花火を打ち上げてFESTIVALの幕が開いた。ライブの滑り出しを決定づける大事な1曲目に彼女たちが選択したのは、なんと古坂大魔王と共作した陽気なヒップホップ・チューン「SCANDAL IN THE HOUSE」だった。バンドスタイルではない展開にいい意味で完全に裏切られた形となったが、それもまた痛快なもの。ステージ上に設けられた3本の花道を、流行のネオンカラーを散りばめたポップなステージ衣装に身を包んだ彼女たち練り歩く。ハンドマイクを手に4人がラップを歌い継ぐ様はとても楽しそうで、ライブ初披露とはとても思えないほどにハマっていた。ノリのよいビート感と女性ならではの柔らかで心弾むフロウ、そしてとびっきりの笑顔に引っ張られるように、観客のテンションも急上昇。腕を前後に大きく振ったり、ジャンプしてSCANDALが放つ熱量に応えていた。

続いて、HARUNAの「横アリ、行くぜー!」の号令と共に、「会わないつもりの、元気でね」へ。「横アリ、揺らして行こうぜ」とHARUNAがさらに煽ると、会場も“オイ!オイ!”の大声援で応戦。アタック感の強いパワフルなRINAのドラムやMAMIのエッジーなギター、TOMOMIの滑らかなベースラインがひとつになると、彼女たちの本領発揮。ここから、ガールズロックバンドの本気スイッチをバチンと切り替えた音が聞こえた気がした。それにしても上身ごろにあれだけ段々のフリルを装飾しながらグルーヴィなフレーズを弾くベーシストや、ペチコートを幾重にも重ねたミニスカートからすらりとした脚を伸ばしてキックを踏み、巨大なパフスリーブから伸びた腕でスネアやシンバルを豪快に叩くドラマーは、きっと世界中を探してもそうそう見つからないはず。こんな個性も、唯一無二のスタイルも、彼女たちがこの大舞台に辿り着いた1つの要因になっているのではないか。

この日のステージは、WOWOWで全国へ生中継されていたこともあり、HARUNAが「テレビを観てる人たちにも、このすごい熱気を伝えましょう!」と観客を盛り立てる。5曲目の「OVER DRIVE」は中田ヤスタカとのコラボによる挑戦曲。歌心溢れるテクノポップと、パワフルなバンドサウンドとの友好的な融合を実現させただけでなく、それをシングルとして違和感なく鳴らせるSCANDALというバンドの可能性を押し広げた楽曲でもある。そんなチャレンジングなナンバーを笑顔で軽々と歌ったかと思えば、デビュー曲「DOLL」へ何のてらいもなく飛び込んで行けるのがSCANDALの強み。「あの頃は未熟だったから、勢いのある曲しか出来なかった」と、以前の取材で当時を笑い話のように振り返ったことがあったが、確かな演奏力を身につけて、なお初期衝動のような瑞々しさやパンキッシュな荒削り感は失われていない。だからこそ、その勢いに乗せられるように観客は手にしたタオルを渾身の力で振り回せるのだ。

RINAのパワフルなドラムで始まった「STANDARD」は、ライブで演奏することを想定して4人が共作したもの。歌っていたかと思えば突然叫んでみたり、ハードかつヘヴィなサウンドでカッコよく決めたりもする予測不可能なこの曲には、溢れんばかりの音楽的遊び心を謳歌するかのような自由でロックな精神が息づいている。すなわちそれは、SCANDALがこの日みせようとしていた「FESTIVAL」にふさわしい。この曲を持って前半戦は終演となり、4人はバックステージへと姿を消した。

インタールードの映像を挟み、後半戦は雰囲気をがらりと変えた。というのも、まるで夜会に出かけるようなドレッシーな衣装で4人がステージへ現れたのだ。情熱的な赤いドレスのHARUNA、淡いブルーのロングドレスでおしとやかなムードのTOMOMI、深いロイヤルブルーと黒で大人っぽく決めたRINA、チャイナドレスを思わせるオフホワイトのタイトなトップスとメタリックなパンツを合わせたセクシー&マニッシュなMAMI。ゴージャスな統一感を醸し出しながらも、それぞれのキャラクターもしっかりと浮き彫りになった衣装は、4人にとても似合っていた。このこだわりに満ちた衣装は1万人以上ものオーディエンスを視覚でも楽しませたいという、メンバー4人の心意気に他ならない。でなければ、お世辞にも演奏に向いてるとは決して言えないドレスを敢えて選ぶ理由はないだろう。

そんなレディーたちが、T.M.Revolutionとのスプリットシングルで聴かせたパワフルなロックチューン「Runners high」や、激しく歪んだギターが痛快な「LOVE SURVIVE」を豪快に轟かせるのだからたまらない。ホットなリズムとトーチの炎に包まれた「EVERYBODY SAY YEAH!」では、「みんなの声を聞かせて! 横浜、そんなんじゃ足りないよ。もっと行こうぜ!」とHARUNAが扇情的に呼びかけ、それに応えるオーディエンスが負けじと、より高くジャンプしたり拳を突き上げる。続く「下弦の月」では、浮遊感溢れる幻想的なMAMIのギターが会場の空気をがらりと入れ替えた。すると、それまで情熱的に見えた炎は、一瞬にして揺らめくかがり火となり、ガーリーなTOMOMIの歌声に温かみを添えていく。大げさな仕掛けや特攻を連発するわけではなかったが、多彩な楽曲群と受け手のイマジネーションに訴える演出は五感を十分に刺激してくれた。

後半のMCタイムでは、HARUNAの肩に大きく盛られた球体の羽飾りに話題が集中。デコラティブで大きな羽飾りを“友達”になぞって、「今日はお友達を連れてきました(笑)」とHARUNAが紹介すると、「誰? 何言ってるの?」と3人がとぼける。そんないつも通りのゆるいトークから、いつしか2014年で25周年を迎える横浜アリーナの思い出に話題が移り、今度はRINAが想いの丈を語りはじめた。

「デビュー間もない頃、イベントでここに立たせてもらいました。私たちは、メインステージでのアクトが入れ替えるセットチェンジの合間にサブステージでやらせてもらったんですけど、それでもすごくうれしくて。こうして、ワンマンができるなんて本当にうれしいです」

そうなのだ。何の苦労も知らずに彼女たちがここまで辿り着いたわけではない。結成から8年、デビューから6年という道程を彼女たちが休むことなくひらすら全力で走り続けてきたことは、ファンもご存じのとおりのことだと思う。だからこそ、この場に立てる重みも喜びもひとしおなのだ。「6年経って、楽曲数が100曲を超えました! こつこつと家で1人書いた曲が、みんなとこうして一緒に楽しめるライブが大好き」とRINAが語れば、「横浜アリーナ50周年でもワンマンをやれるバンドでいたい」とHARUNAが未来を語った。この“少なくともあと25年続けます宣言”に温かな拍手が贈られ、その余韻のまま「ビターチョコレート」と「ハルカ」と、ゆったりと心地よいテンポナンバーを2曲続けた。HARUNAの表情豊かな歌声が横浜アリーナを包むように響き渡る。

ここからはギアをトップに入れ直して怒濤の終盤へ。MAMIが往年のロックレジェンドよろしく腕を大きく振り回してギターを奏でるパフォーマンスが様になっていた「Rainy」は、最新シングル「Departure」のカップリング曲でSCANDALのロックな攻撃性を具現化した疾走感あふれるナンバーだ。インディーズ時代の楽曲「スペースレンジャー」では、“騒いで楽しんで”という歌詞をHARUNAが「騒いで!横浜」と歌うと、オーディエンスは連続ジャンプでその言葉に応えた。

疾走するロックチューンで畳み掛けた後、「今日は本当にありがとう」と礼を述べ、本編最後に選んだのは出会いと別れを歌った「Departure」だった。亀田誠治プロデュースによるシンプルで骨太なサウンドが心に響くこのナンバーは、変則的なリズムやめくるめく大胆な展開はない。しかしだからこそ歌がしっかりと届く。「勢い任せではない少し大人な楽曲なので、今の私たちだから歌えるんだと思う」とインタビューで語ってくれた彼女たちの言葉が思い出された。第二部とでも呼ぶべき後半は、衣装も選曲も演奏力も含め、成長し続けている今のSCANDALを物語っていたようで力強く感動的なものとなった。

4人がバックステージへと消えるとすぐさま、アンコールの声がこだました。まだまだお楽しみは終わらない。両手を大きく広げたHARUNAは「こうやっていっぱい横アリを感じておきたい」と感慨深げ。RINAは「本当にバンドって楽しい」と彼女らしいストレートな言葉で思いを伝えた。普段はおっとりした雰囲気のMAMIは「終わりたくないなぁ~」と名残惜しそうにつぶやき、TOMOMIは「これだけ味方が居てくれたら、何でもできそうな気がするね」と柔らかな持ち味そのままの言葉で横浜アリーナに立つ喜びを表現した。つまりそこに居たのは、いつのも4人の女の子たち。実際には緊張感やプレッシャーは相当なものがあっただろうが、この大舞台に気負うことなく立ててしまう彼女たちのステージ度胸に改めて驚かされた。自然体、それでいて着実にステップアップを続けるSCANDALの魅力がそこにある。

「この夏、たくさんの人に届けたい曲です」と紹介したのは、爽やかさとウォーム感を併せ持つ「夜明けの流星群」だ。今夏公開の劇場版『ポケットモンスター』テーマ曲として書き下ろされたこの楽曲は、シンプルで力強いバンドサウンドに乗せてHARUNAとTOMOMIのツインボーカルの魅力を再確認させてくれる。MAMIのメロディアスなギターソロは美しく、会場にその柔らかな音色が響き渡った。

「もっと弾けようぜ! 笑顔になろうぜ」と、オーラスを前にHARUNAが呼びかけるとラストナンバー「太陽と君が描くSTORY」へ。キャッチーでノリのよいサマーチューンが1万超のタオルを旋回させ、ステージ上の4人は笑顔いっぱいに歌い、奏で切った。大きな記念碑的なライブでは特別ゲストや大掛かりなストリングス隊などを招くことも少なくないが、この日のSCANDALは最後まで4人を貫いたことが印象に残る。結果、この横浜アリーナ2DAYSは最初から最後まで4人のパワーだけで成し遂げたものとなった。

全てを奏で終えると、HARUNAがメンバーを代表して「めちゃくちゃ楽しかったぞー! また一緒に来ようね」と客席に呼びかけた。「観に来てください」ではなく「来ようね」という言葉に、記録を打ち立てるような人気バンドになった今も、ファンと同じ歩幅で歩み続けるSCANDALというバンドの本質があるように感じられた。終演直後、少しばかり言葉を交わすチャンスがあったが、メンバーは「楽しかったけど、反省点も見えた」とすぐさまその先を見据えていた。ポップでキャッチーな存在感を武器に、バンドとロックへの愛情を深め続けながら、これからも彼女たちは、もっともっとすごい景色を見せ続けてくれるに違いない。

取材・文◎橘川有子 撮影◎WATAROCK

■<SCANDAL ARENA LIVE 2014 「FESTIVAL」>
6月28日&29日@横浜アリーナ セットリスト
01.SCANDAL IN THE HOUSE   ※初披露
02.会わないつもりの、元気でね
03.SCANDAL BABY
MC
04.サティスファクション
05.OVER DRIVE
06.DOLL
07.STANDARD
映像
08.Runners high
09.LOVE SURVIVE
10.EVERYBODY SAY YEAH!
11.下弦の月
MC
12.ビターチョコレート
13.ハルカ
14.Rainy
15.太陽スキャンダラス
16.スペースレンジャー
17.涙よ光れ
MC
18.Departure
ENCORE
EN1.夜明けの流星群
EN2.太陽と君が描くSTORY



■<SCANDAL 東阪10DAYS LIVE!! 「急に来てもらってゴメン。~新曲やるから聴いてよ~」>
9月14日(日) 赤坂BLITZ 開場17:00 / 開演18:00
9月15日(月) 赤坂BLITZ 開場16:00 / 開演17:00
9月17日(水) 赤坂BLITZ 開場18:00 / 開演19:00
9月18日(木) 赤坂BLITZ 開場18:00 / 開演19:00
9月19日(金) 赤坂BLITZ 開場18:00 / 開演19:00
料金(税込):4500円+ドリンク代
[問]ホットスタッフプロモーション 03-5720-9999
9月23日(火) 堂島リバーフォーラム 開場18:00 / 開演19:00
9月24日(水) 堂島リバーフォーラム 開場18:00 / 開演19:00
9月26日(金) 堂島リバーフォーラム 開場18:00 / 開演19:00
9月27日(土) 堂島リバーフォーラム 開場16:00 / 開演17:00
9月28日(日) 堂島リバーフォーラム 開場16:00 / 開演17:00
料金(税込):4500円
[問]SOUND CREATOR 06-6357-4400

■19thシングル「夜明けの流星群」
2014年7月16日(水)リリース
映画『ポケモン・ザ・ムービーXY 「破壊の繭とディアンシー」』主題歌
【完全生産限定盤】ESCL 4240 \864(税込)
ポケモン描き下ろし絵柄ジャケット!
<特典>
購入者全員に「メガディアンシー&ピカチュウ」B2オリジナルポスター
ポケモン映画オリジナル ニンテンドー3DS LL 『破壊の繭とディアンシー』 バージョン応募はがき
<収録タイトル>
1.夜明けの流星群
2.ポケモン盤スペシャルソング(仮)
3.夜明けの流星群(Instrumental)
4.ポケモン盤スペシャルソング(仮)(Instrumental)
【初回生産限定盤A(CD+DVD)】ESCL 4241-4242 \1,550(税込)
<DVD内容>
2014年5月2日~10日に開催された「急に来てゴメン。in北」レアライブ密着映像収録予定。
<収録タイトル>
1.夜明けの流星群
2.Your song
3.夜明けの流星群( Instrumental)
【初回生産限定盤B(CD+DVD)】ESCL 4243-4244 \1,550(税込)
<DVD内容>
2014年5月2日~10日に開催された「急に来てゴメン。in北」レアライブ密着映像収録予定。
<収録タイトル>
1.夜明けの流星群
2.Your song
3.夜明けの流星群( Instrumental)
【通常盤(初回仕様限定盤)】ESCL 4245 \1,050(税込)
<初仕様>
大人気フォトブックレット「別冊・SCANDAL」封入
<収録タイトル>
1.夜明けの流星群
2.Your song
3.夜明けの流星群( Instrumental)

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