【インタビュー】Kalafina、初のベスト盤完成「3人で積み上げるハーモニーの厚さを」

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■“情熱的でエネルギーの象徴といえる=赤”
■“癒やしや人々を引きつける要素を持つ=青”だと思った

▲『THE BEST “Red”』初回生産限定盤
▲『THE BEST “Red”』通常盤
──ベストアルバムでもその圧倒的なコーラスワークを聴くことができます。結成当初から3人でコーラスの研究をされていましたか?

Wakana:まず、『空の境界』全7作の主題歌を歌うとため、梶浦さんによって立ち上げられた音楽プロジェクトだったので、1年目はまったくライブを視野に入れてなかったんですね。初期の頃はレコーディングがすべてでしたから。2年目にライブをするようになってから、3人ですごく研究をするようになりました。そこは6年半かけてやってきましたけど、今でも悩むところはたくさんあります。ライブって生もので一瞬のことなので、その時間の中ですべてを見せることは不可能に近いかもしれないですけど、それを可能にしたいという思いの中で日々ハーモニーを練習しています。1人ひとりの声を積み上げていくのはもちろん、1人ひとりの声がまったく異なるからこそ面白いものがあると思うんです。そこに生まれる厚さをいかにして伝えるか。

Keiko:でも、はじめは悩んだよね。みんなリズム感もタイム感が全然違いますから。それに、2声や4声という偶数だと意外とつられないんですけど、奇数の3声ってつられやすいんですよ。そういうのもやってみて気付きました。実際に生で歌うまで気付かないくらい難しさを感じなかったんものが、3人で一緒に歌ってみて“ありゃりゃ!?”となって(笑)。

Hikaru:そう。“こんなにも!?”って(笑)。

Keiko:今ではいろいろな方に「ブレないし、つられないですね」とか言っていただけますけど、「いや、最初はつられましたよ」って(笑)。たぶんそれを克服できたのは、こんなに一緒にいる女子グループあるのか!?っていうくらい毎日のように一緒にいるからだと思います。

──呼吸が合うようになったということですか?

Keiko:そう。お互い、何を食べたかとか、昨日何をしていたかとか、いろんなことを知った上で「よし、歌うぞ」ってならないと、呼吸も合わないんですよ。

Wakana:そうなると、言ったことがすぐに歌に反映させられるんです。たとえば「昨日ここちょっと違ってたからこうするね」ということが、すぐにライブで反映できるスピード感は、一緒にいるからこそですね。

──Kalafinaとして、ライブから学んだものが多いということですね。

Wakana:はい。レコーディングでもライブを考えるようになりました。最新曲の「heavenly blue」はライブの曲だなと思っていて。私たちのライブのバンドさんはレコーディングも参加されている方たちなので、レコーディングで歌いながらライブをイメージしやすいんです。梶浦さんも「曲がライブ寄りになってきた」とおっしゃっていたので、ライブ感を考えた楽曲構成にもなっていると思います。

Keiko:それが強くなってきたのは3rdアルバムくらいからですね。

Hikaru:梶浦さんがKalafinaのライブを見てくださって、そこから感じたことを曲にダイレクトに反映してくださったのが3rdアルバムからで。生バンドの感じとかが曲作りにも影響してきたとおっしゃっていて、それは私達自身もうれしいことでした。

──それは、梶浦さんがライブの中にみなさんの成長を感じとったということですよね。

Wakana:求められることが増えたんですね。「この子たちはできないからこれしかさせられない」ではなくて、「ここに来てほしい」というものをいつも提示してくれる。そこに行きたい、という思いを叶えるためには上を目指さないと出来ない。だからすごく厳しいです、音楽面に対しては。だからこそ梶浦さんには毎回ライブには絶対来てくださいっていう感じで、燃え上がるんです。

──音楽的にクラシックの要素が盛り込まれていると思うのですが、そうした梶浦さんの表現に応えるために取り組んでいることはありますか?

Wakana:私は声楽を習った時期があったので、その幅を広げたいと思っています。クラシック的な要素というのはすごく高音で求められますし、それは私の役割だなと思うので、クラシックの声の出し方を強化したりしています。その分私は中低音域が弱いので、今でも研究していますね。

Hikaru:私は梶浦さんの曲を歌うまでは、クラシックを歌ったことはなかったですし、ほとんどR&Bばかり聴いていたんです。梶浦さんは曲の幅が広いので、たくさんの声色を使わせてもらっていて。クラシカルな声も、幼い声も、ロックな声も。その曲に合わせて一番声が変わった感が出るのが私の声だと思っているので、そこは意識していますね。

Keiko:1stアルバムはKalafinaデビューからの集大成のようなアルバムで、2ndアルバムからは音楽性の幅をより広げていこうというコンセプトがありました。ですから、梶浦さんが培ってきた音楽のルーツが、ニュアンスとしていろいろな所に入ったアルバムになっているんです。オペラみたいな曲があったりテクノサウンドを採り入れた曲があったり。それらをKalafinaとして梶浦さんと一緒に作ってきたという感じがあって。特に初期の頃は、梶浦さんと“実際に歌ってみたらどうなるんだろう”という試行錯誤を繰り返して歌い続けてきたからこそ、Kalafinaの今が出来上がったと思うんです。今でも常に勉強しながら、その中からKalafinaの表現が生まれれば、という姿勢で取り組んでいます。

──ではベストアルバムについてうかがいます。まず、『THE BEST “Red”』と『THE BEST “Blue”』にはそれぞれどんなコンセプトがあるんですか?

Wakana:基本的には2枚とも同じコンセプトで作られています。私たちの音楽は聴いてくださる方によっていろいろな感じ方があると思うんですが、自分たちがやってきた音楽を色で表現するなら、“情熱的でエネルギーの象徴といえる=赤”、“癒やしや人々を引きつける要素を持つ=青”だと思ったので“Red”“Blue”と表現しました。ただし各アルバムに入っている選曲は、敢えてこの色に準じずに、バランスよく選曲しました。

Keiko:2つでひとつの作品だと思いますし、情熱的な楽曲と癒し的な楽曲とをどういうバランスで入れようかという分け方をしたんです。タイトルをどうしようかと思ったときに、そこに色を当てはめたということです。

Wakana:ですから、もちろん2枚一緒に聴いていただきたいんですけど、知ってる曲が入っているほうだけ先に聴いていただいても全然かまいません。そこからKalafinaの今のすべてであるライブにつながってくれたらと。CDを聴いてぜひライブを観に来ていただきたい。

──『THE BEST “Red”』の「oblivious」「音楽」「consolation」あたりは、ライブ向きの激しい曲が続きますね。

Hikaru:ライブでも定番曲の「音楽」が入っているので、シングル曲だけを聴いている方にとっては新鮮味のある曲たちかもしれないですね。

Keiko:既存曲だけで組んでいるので、アルバムを作る以上に曲順が難しいんですね。全曲が濃いので。なので、曲順にするとライブっぽいのかも。

──『THE BEST “Red”』冒頭の「prelude」はライブのSEのような感じもあります。

Keiko:“Red”の幕開けというか、ライブでいえばoverture(序曲)です。ライブで私たちの入場のときに流れるような楽曲をレコーディングした感じですね。この曲はインストではなくて、静かに、遠いところに造語が入ってます。

Wakana:この曲は6月26日のライブで入場曲としてお披露目しました。声は時としてBGM的な音色になるというのは、梶浦さんの特徴のひとつで。楽器が主役になる楽曲もすごく多いんです。例えば弦がメインになるメロディだったり。そこに入る声も弦のメロディと一緒だったり。梶浦さんはどんな音もメロディに変えるというか。それは冷静に考えると不思議だなと思います。

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