【インタビュー】クリスティーナ・ペリー「“ヒューマン”な自分を見せたかったのよ。」

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7月23日に発売されたクリスティーナ・ペリーのニュー・アルバム『ヘッド・オア・ハート』は、制作に一年以上をかけて取り組んだ渾身の作品だ。ありったけの愛情を注ぎ、すべての自分を書き表して、クリスティーナ・ペリーの無防備な魅力に満ち溢れている。このインタビューはそんなクリスティーナ・ペリーに向けた、日本初のオフィシャルインタビューだ。

◆クリスティーナ・ペリー画像

――今日は日本のためにお時間を頂いてありがとうございます。

クリスティーナ・ペリー:こちらこそ!日本からのインタビューは今回が初めてだから、すごく興奮しているわ。

――今まで、仕事でもプライベートでも日本に来たことはありますか?

クリスティーナ・ペリー:いいえ。でもとっても行きたいの。やりたいことのリストに入っているわ。日本のカルチャーは素晴らしいと思うし、行ける日を楽しみに待っている。来年になるか、今年実現するか分からないけど。

――来日する機会があった場合、どんなことをしてみたいですか? 行ってみたい場所などありますか?

クリスティーナ・ペリー:そうね。お寿司が大好きだから、私のおなかは、日本に行ったらすごくハッピーになると思うわ(笑)。お魚ばかり食べて。ほかにもやっぱりカルチャーに興味があるし、例えば写真で見る日本はいつも素敵に見えるから、実際にこの目で確認したいの。

――好きな日本人アーティスト、知っている日本人アーティストがいれば、教えて頂けますか?

クリスティーナ・ペリー:う~ん、ごめんなさい。すぐに思いつく人がいないわ。

――思えば4年前の6月30日に『アメリカン・ダンスアイドル』に「愛のかけら~Jar of Hearts~」がフィーチャーされて、あなたの人生が変わったわけですが、毎年何らかの形でお祝いしているんですか?

クリスティーナ・ペリー:もちろんよ。私の人生において新しい始まりだったわけだし、あれ以来毎年やっていることがあるの。まずは、あの一連の出来事に関わっていた6人の一番重要な人たち、私の夢を現実にしてくれた人たちに、お花とシャンパンを贈っているわ。その6人というのは、番組の振付師に曲を聴かせた私の親友。その振付師。番組で使う音楽の選曲を担当している人。あとは私のマネジメントのスタッフね。でも本来なら、私の人生を変えてくれた世界中の人たち全員にお花を贈りたいところよ。「愛のかけら~Jar of Hearts~」が一気に22万ダウンロードを記録したことで、私の人生は一変してしまったわけだから、22万人全員を探し出したいわ。まあ、それはできないから、とりあえずファンのみんなに毎年「ありがとう」とメッセージを発信するの。今もやっぱりこの日は私の人生において最もマジカルな日だし、私を信じてくれた人たちに心から感謝している。あとは、そうね、たぶんワッフル・ブラウニー・サンデーとか、何か甘いものを食べに行くつもり。だって6月30日は私の誕生日だから。私のアーティストとしての誕生日ね。

――すでに新作を発表してからツアーを開始していますよね。ステージで歌ってみて、アルバムについて新しく発見したことはありますか?

クリスティーナ・ペリー:ええ。私は今回、1年と78日間をアルバム制作に費やして、その後100日間にわたってプロモーションをしてきたの。つまり、2013年11月から2014年3月くらいまでインタビューを受けたりラジオ局を周ったりテレビの番組に出たりして、アルバムについて話すことに疲れちゃったのよ。あ、もちろんそういう意味じゃなくて、今日はたくさん喋るわよ(笑)。でもプロモーションをしながら私は、「あ~あ、そろそろこれらの曲をプレイしたいなあ」って思っていた。その時点ではまだ一度も新曲をステージで歌っていなかったから。そんなわけで今回のツアーは、私にとってすごくスペシャルだったの。今後いったいどれくらい長くツアーをすることになるのか定かじゃないんだけど、私はアルバムの収録曲に、初めてステージ上で新たな命を吹き込むことができた。そもそも、曲を書くこと、レコーディングすること、ライブで歌うことは、それぞれ全く違っていて、ステージで歌った時にどんな気分になるのか全く見当がつかなかった。今回のツアーをやるまで分からなかったの。でもこうして歌ってみて、改めてこれらの曲と恋に落ちたわ。そして今も、このアルバムを愛していると胸を張って言える。私は意図的に時間をたっぷりかけて作ったの。アルバムに収めた全ての曲に愛情を感じたかったから。1曲でも「う~ん、ちょっと…」なんて感じる曲は入れたくなかった。全部に同じだけの愛情を抱けるように心がけたし、そういう曲をライブで歌うと、本当にエモーショナルになってしまう。中には気分をアゲてくれる曲もあるし、中にはすごく無防備に感じさせる曲もあるし、どれも、書いた瞬間の自分を思い出させてくれる。「Human」は特にそうね。「Human」を歌うと、いつも同じ気分を抱くわ。本当に本能に訴えかけるの。ステージで歌いながら、書いた時にどういう状況にあったか、克明に思い浮かぶのよ。でも、だからこそオーディエンスは私に共感してくれるんだと思う。私を信じてくれるんだと思う。ライブをやって、適当になんとなく歌うなんてことはやっちゃいけない。少なくとも今回の私は、曲ごとにその世界に思い切って飛び込んで歌ったし、すごくハッピーだわ。本当にうまく行ったの。どれだけパーフェクトなツアーだったか、言葉では言い表せないくらいに。ずっしりと手応えを得たから、残りのツアーが楽しみだわ。

――「Human」の話がでましたが、今回、数ある曲の中からこの曲をファースト・シングルにしようと思った理由は何ですか?

クリスティーナ・ペリー:シングルについてはかなり悩んだわ。私はなんでも考え込んでしまうタイプで、得てして考え過ぎなの(笑)。数日間、数週間、ひとつのことに悩んでしまうのよ。でも「Human」に関しては面白いことに、当初は、アルバムに収録されるかどうかも分からなかった。というのも、あまりにもパーソナルな曲だったから。私は15歳の時から曲を書き続けていて、いわば日記みたいなもの。バスに乗っている時、ホテルにいる時、どこにいても書いているし、自分に起きたことは全て曲に綴ってきた。でもその中には、純粋に私だけのために書いた曲っていうのもあるのよ。何かが起きて、気分を転換したくなったら、曲を書くことによってすっきりして乗り越えられる。私は常にそうやって、いいことも悪いことも消化してきた。「Human」を書いた時の私は、本当に感情的に取り乱していたの。ピアノの前に座って、泣いていて、本当にドラマティックだった。つまり、曲を書かずにはいられない状況にあったのよ。実際この曲を書き上げて、少し気分が楽になった。前に進むためには、この曲を書くしかなかったの。で、当時新曲を聴いていたのは親しい友人と家族だけだったんだけど、みんなこの曲に反応を見せたわ。それに私自身も、「愛のかけら~」と重なる部分があるなって思っていた。車の中であの曲を聴いた親友が涙を流していた光景が思い出されたの。それで「ああ、そうなんだ!」って悟った。そういう反応を引き出すとは予想してなかったの。「Human」がそういう曲なんだってことに気付いていなかった。あまりにもパーソナル過ぎると感じていて。でもみんなの反応を見て、「そっか、私の曲ってこういうものなんだ!この曲をアルバムに入れないでどうするのよ!みんなが泣いて当然じゃない!私って人を泣かせちゃうのよ!」って気付いたの(笑)。そんな感じでアルバムに入れることを決めたんだけど、シングルを選ぶ段階で改めていろんなことを考慮したわ。ほら、このアルバムはサウンド面で前作とかなり差があるでしょ。たくさんエレクトロニックなプログラミングを使っているし、よりアップビートでもある。だから、聴き手をギョっとさせたくなかったのね。分かるでしょ?特に私のハードコアなファンには、ネガティブな意味のショックを与えたくなかった。ポジティブなショックならいいんだけど。聴き手を新しいサウンドにゆっくりと慣らしてあげるべきなのよ。そういう橋渡し的な意味で、「Human」は最適なファースト・シングルだった。かなりプログラミングが使われているんだけど、同時に私らしいメロディに貫かれていて、ボーカルのスタイルもすごく私らしい。だからこの曲を出発点にすれば、自然にみんなを次のレベルに連れていってあげられると思ったの。

――「Human」が使用された「Dancing With The Stars」のAmy Purdyの回がとても感動的で話題になっていましたが、ご覧になっていかがでしたか?

クリスティーナ・ペリー:号泣しちゃったわ。私ったら、自分の曲で自分を泣かせてしまったの(笑)。でもそれがまさに、音楽のパワーでありマジックなのよね。だって「Human」を書いた当時、まさか誰か別の人の人生のストーリーに完全にシンクロして、ひとりの女性を慰めてあげられるとは、思ってもみなかったから。その後私はあの番組のフィナーレに出演して、エイミーと(ダンスのパートナーの)デレックに会って、長い間話をしたわ。私の曲にあんな風に新たな命を吹き込んでくれた彼女は、私にとって大切な存在だし、エイミーにああいう形で感情の捌け口を与えた私は彼女にとって大切な存在であり、本当に美しい体験だった。ダンス番組って、そういうところが素晴らしいと思う。だって、もし時間を遡って、まだウェイトレスとして働いていた4年前の私――といっても人間としてあまり変わっていなくて、今も当時と同じくらい私はダサいんだけど(笑)――を訪ねて、ダンス・リアリティ番組がきっかけで人生が変わるんだって教えてあげたとしても、絶対に信じなかったでしょうから。「まさか!」って。人間って自分の人生がどんな風に変わるのか決して予測できないわけだから、何かオファーされたら常に「イエス」と言うべきなのよ。もしもあの時に「ノー」と言っていたら、私は今も相変わらずウェイトレスをしていたでしょうから。自分が果たして運命とか宿命とかってものを信じているのかどうか、よく分からないんだけど、自分の音楽がダンス・リアリティ番組にはそぐわないからって断っていたら、人生で一番マジカルな事件を体験できなかったのは間違いないわ。

――アルバム『Head or Heart』は前作に続き全米チャート初登場4位という素晴らしい結果でしたが、その功績を実感することはありますか?

クリスティーナ・ペリー:う~ん、っていうか、私はあまりチャート成績とかは気にしないの。幾つか理由があるんだけど、そもそも私はすごくセンシティヴで普通の感覚の人間だから、セールスのことをあれこれ考えたら、頭がおかしくなっちゃうと思うのよ(笑)。圧倒されてしまうと思う。それに、大勢の人に、いわゆるセカンド・アルバムのプレッシャーの話をされたりして、「もうダメ!」って思った。そういう恐れを抱いて曲を書くことなんか私にはできないし、みんなそれぞれ対処法が違うはず。中には毎回ゴールを定めたり、「私はベストを目指す!」と言い聞かせてアルバムを作る人もいるんでしょうけど、私はただ、自分が愛せるアルバムを作りたかった。それに、最終的には手放さなくちゃいけないってことも分かっていたの。ほら、ファースト・アルバムもそうで、曲作りも楽しんだし、レコーディングも楽しんだけど、リリースして世界に送り出したら、もう私だけのものじゃなくなる。それを邪魔しちゃいけないのよ。だから、アルバムがどう受け止められるか私には操作できないし、みんながどう感じるか、どう反応するか、果たして自分の想いが伝わるのかどうか、見当がつかなかった。と同時に、私には自分の価値を数字で判断するなんてことはできない。結果的に1位だろうと4位だろうと100位だろうと、私が私であることに変わりはないでしょ? だから4位になって満足しているかと言えば、もちろん素晴らしいことだと感じているわ。でも4位になる必要性があったのかと問われたら、答えはノーね。私は音楽作りを楽しんでいて、それを競争だとは思っていない。今後も長い間音楽を作り続けたいから。

――あなたが言ったようにサウンドの方向性が大きく変わりましたが、当初からどんなアルバムにしたいかはっきり分かっていたんですか?

クリスティーナ・ペリー:いいえ。今回のプロセスは…シンプルとは決して言えないんだけど、ちゃんと順序を追って作り上げたの。ごくノーマルな順番で。というのも、前作は逆方向に進行したから。まずシングル曲があって、それからレコード会社と契約して、ミュージック・ビデオを撮影して、30日間でアルバムを完成させなくちゃいけなくて……全てが同時進行したような感じだったわよね。だから計画性もなかったし、順序もめちゃくちゃだった。そんなわけで今回は少なくとも、一歩一歩順序を追って作りたかったの。で、2012年10月23日にセカンド・アルバムに向けた曲作りを開始して、まず「Trust」を書き上げたのを覚えているわ。アルバムのオープニング曲であり、あの曲から全てが始まったの。だってタイトルは『Head or Heart』にしなくちゃって、すぐに閃いたから。そしてテーマも決まった。まるで贈り物を授かった気分だったわ。と同時に、真実を伝えたいと心に決めていたの。だから私は自分の様々な体験を題材にして、“頭”の曲と“心”の曲を書いて行った。次のプロセスは選曲ね。6か月間かけて書いた曲の中から13曲をピックアップし、続いてプロデューサー選んだんだけど、これは成り行きに任せようと思った。レーベルからは「最低10人と組んでみるべき」と言われたんだけど、ファーストは1人のプロデューサーと作ったから、いきなり10人と言われても困るし「じゃあその間を取りましょう」って提案したの。そんな中で手始めに、1曲だけ試しにやってみるつもりでコラボしたのがジェイク・ゴスリングだった。プロデューサー選びって難しいもので、例えばその人と会ってお茶をしてみて、気に入ったとしても、実際にスタジオでウマが合うかどうかは分からないのよね。だからとにかくやってみて決めようと思って、運任せでロンドンに行って、ジェイクと1曲レコーディングしたのよ。そうしたら、自分が探していたものが見つかったという手応えを得たの。その「探していたもの」がいったい何なのか説明できないんだけど、私はマネージャーとレーベルに連絡して、「このままロンドンに残るわ」と宣言した。結局、夏中ロンドンに滞在して、全13曲のうち9曲をジェイクとレコーディングした。そしてLAで残りの曲をレコーディングしたんだけど、それをどういう音にするべきか私には分かっていたの。ジェイクとふたりでアルバムの方向性をすでに確立していたから。そんなわけで、本当にランダムだったわ。

――今回、唯一の客演を迎えた曲が「Be My Forever feat. Ed Sheeran」でしたが、この曲を作ることになったきっかけを教えて頂けますか?やっぱりジェイクあってこそ実現したコラボなんでしょうか?

クリスティーナ・ペリー:エドのことは実は以前から知っていたの。最初に会ったのが2011年のBRIT賞授賞式で、以来数回会っていたんだけど、ジェイクと今回コラボしたことで、多くの時間を一緒に過ごして、親しい友人になることができたわ。だって、ジェイクの家族はエドの家族みたいなものなの。エドのファースト・アルバムもジェイクのスタジオで録音されたし、エドはジェイクの子供の名付け親で、今ではその子供たちが私になついてくれて…そう、みんなでファミリーになれた気がする。だからジェイクと私が「Be My Forever」で歌ってくれないかってエドに頼んだ時も、「もちろん!」って引き受けてくれた。でも、ジェイクと組んでいなかったとしても私はエドに打診していたでしょうね。あの曲を書き上げた時からエドに一緒に歌って欲しいと思っていたから。こうして客演が実現したのは、ジェイクの存在と無関係じゃないかもしれないけど。

――客演を迎えた曲がシングルになるケースも多いですが、敢えてシングルにしなかった理由などあるのでしょうか?以前、インタビューで「今回のようなハッピーな曲は似合わないから抵抗があった」と仰っていましたが。

クリスティーナ・ペリー:ええ、そうなのよ。今回のツアーでも毎晩この曲を歌ったんだけど、一応歌う前にオーディエンスに警告したの。「念のために言っておくけど、これは私が書いた中で一番ハッピーな曲だから、ビックリしないでね。行くわよ!」って。散々笑いをとったわ。でも本当に一番ハッピーな曲なのよね。特にシングルに関してはメランコリックな曲で貫いていたし。それに比べて「Be My Forever」はアップビートなラブソングで、ロマンティックでもあるし、結婚式に使う人もいるらしいの。一方の「愛のかけら~」は悲しみに暮れている曲で、「Human」は自分を許すことについて歌っていて、「Be My Forever」はシングル曲しか知らない人にはショックだったに違いないわ。私にとっても、こんなにハッピーな曲が生まれたことは驚きだった。書き上げた時、「まさか!ありえない!」って思った。素晴らしい曲だし、歌っていて楽しいけど、私には合わないんじゃないかなって。だってそうでしょ? 確か、この曲を一緒に書いたジェイミー・スコットにそう言った覚えがあるわ。彼は「そんなことないよ。これもやっぱり君の曲じゃないか」って言ってくれて、私自身が納得できるまで、そうやって説得してもらう必要があった。でも同時に、今回のアルバムではソングライターとして、ほかにもすごく幅広い感情を網羅しているのよ。前作は絶望の哀しいアルバムだった。今こうして振り返ってみると分かるんだけど、完全なる失恋アルバムだったの。だって収録曲はどれも、ひとりの特定の男性に関する曲だったわけだから。その点、今回は全然違って、男性とは関係ない曲が4つあるし、それらは私自身に関する曲であり「自分を愛そう」と訴えているのよね。ほかにものすごくハッピーな曲が2曲あるし、とにかくソングライターとしてすごく自分に誇りを感じているわ。要するに、ソングライターとしての私の視野が広くなったの。前作を作った時は23歳だったけど、今は27歳で、成長してハッピーな曲も書けるようになった。基本的に、気持ちが動転している時のほうが曲は書きやすいのよ。気分的にダウンしている時のほうが。多分ソングライターやアーティストたちはみんな賛成してくれるでしょうけど、そういう感情のほうが表現しやすい。なのに、あんなに純粋にハッピーな瞬間を曲に捉えられるなんてね! 友人たちもみんなあの曲に喜んでくれたわ。アーティスト自身に、書いた時の気持ちを鮮やかに思い出させてくれて、かつ、聴き手を微笑ますことができるっていうのは、最高の曲だと思う。ライブをやっていても、それが実感できる瞬間って最高よね。

――先程タイトルについて、「Trust」を書いて閃いたとおっしゃっていましたが、もう少しくこのテーマについて教えて頂けますか?なぜ今このテーマを取り上げたんだと思いますか?

クリスティーナ・ペリー:そうね、何が起きたかと言うと、私はここにきて初めてこの疑問と向き合ったのよ。それまでは正直言って、頭と心の葛藤に気付いていなかった。だって私は…考えてみたら、幼稚園に通っていた時からボーイフレンドがいたから、4歳から26歳までの間、立ち止まって考えたことがなかったの。常に誰かと恋愛関係にあって、ひとつ恋が終わるとすぐ次に移行するっていう具合に、シングルだった時期がないのよ。だからいつも、「ああ、こういうもんなんだな」って思って受け入れていた。でもここにきて初めてそれがストップして、私は人生で初めてこう悟ったの。もしかしたら私がいつも恋愛に手こずるのは、選ぶ相手のせいじゃなくて自分に原因があるんじゃないかって。それって私にとって、パーソナルな意味ですごく大きな啓示みたいなもので、衝撃だった。その瞬間、全てが止まった気がした。まるで曲が終わった時みたいに。そんな閃きを得た瞬間に、このアルバムが始まったのよ。以来私はシングルのままで、自分が気付いたことを実際にテストしてはいないから、それが正しいのかどうか分からない。周囲の人たちにも「で、あなたどうするつもりなの?」って言われるんだけど、「当分は恋愛はやめておくわ」って答えている。アルバムにありったけの愛情とエネルギーを注いで、それをリリースして、しばらく恋愛はお休みして、学ぶことに徹するんだって決めたの。世界を旅して、みんなにこの疑問を投げかけて、オーディエンスと話して、ジャーナリストたちと話して、友達や家族と話して、今年一杯は、自分を信じることができるようになるまでベストを尽くそうって。自分を信じることができるようになったら、多分“頭”の声と“心”の声のどちらかを選ぶ必要はなくなると思うの。その時にはふたつの声が一致するはずだから。でもこれまでの私はいつも、どっちか片方だけを見ていたのよね。ふたつは一致していなかった。それってあんまりいいことじゃないのよ。そうじゃなくて、調和を目指したい。っていうか、「当然そうじゃない!それが正しいんだ!」ってようやく気付いたの。まだ実践できてないから何とも言えないんだけど。

――今回、ジャケット写真では何も身に着けない素の姿がとても印象的でしたが、こちらのコンセプトを教えていただけますか?

クリスティーナ・ペリー:今回のジャケットに関しては、まさに素を目指していたの。今回は全てのビジュアルのコンセプトを私自身が考えたわ。どうしたいかすごくクリアに見えていたから。だから、“裸”になりたかった。見ての通りに。ただ私の場合は、“裸”になることの通常の理由とはかけ離れた理由があった。裸ってもちろんセクシーにも見せられるわけだけど、同時に無防備さも表現できるでしょ? 当初は何人かの人に「あらやだ、あなたショックを与えようとしているわけ?」って言われたんだけど、私の思惑はそういうものじゃなかった。だって表情を見てくれれば分かると思うけど、「あ~ら、そこのカレ、どう?」とは言ってないでしょ?(笑)私の表情は困惑を表している。「どうしよう? 何が起きているのか分からない!」って。すごくエモーショナルよね。私はとにかく、素で率直でシンプルで、そして“ヒューマン”な自分を見せたかったのよ。そんな意図を込めたジャケットなの。

――最後に日本のファンへメッセージをお願いします。

クリスティーナ・ペリー:まずは、あなたたちの国に、こうして私のセカンド・アルバムを迎えてもらえることになって、感謝の気持ちで一杯です。そして、みんなと会える日を楽しみにしています!

『ヘッド・オア・ハート』
7月23日発売
WPCR-15814 / \1.980+税
01.Trust トラスト
02.Burning Gold バーニング・ゴールド
03.Be My Forever feat. Ed Sheeran ビー・マイ・フォーエバー feat. エド・シーラン
04.Human ヒューマン  *1stシングル
05.One Night ワン・ナイト
06.I Don't Wanna Break アイ・ドント・ワナ・ブレイク
07.Sea Of Lovers シー・オブ・ラバーズ
08.The Words ザ・ワーズ
09.Lonely Child ロンリー・チャイルド
10.Run ラン
11.Butterfly バタフライ
12.Shot Me In The Heart ショット・ミー・イン・ザ・ハート
13.I Believe アイ・ビリーブ
14.Human (Passion Pit Remix)  ヒューマン(パッション・ピット・リミックス) *
15.Human (EDX Festival Radio Edit) ヒューマン(EDX フェスティバル・ラジオ・エディット)*日本盤ボーナス・トラック

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