【インタビュー】高崎晃 vs マーティ・フリードマン、出会い~ギター~音作り~そして未来への15,000文字超ロング対談

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■プライムはネックがボディーに対して3度傾いてたりボディー・トップの1弦側が少しだけ薄くなっている(高崎)
■PRSの一番いいところは絶対に裏切らないところ。チューニングがいいしイントネーションも一貫性がある(マーティ)


――昔からそうですけど、高崎さんのプレイはコピー心をくすぐります。

高崎:簡単やからじゃないですか(笑)。

マーティ:ええっ? 簡単ではないですよ(笑)。

高崎:分かりやすいというか、シンプルというか。ビギナーにも“これ、ちょっと練習したら弾けるんじゃないかな”と思わせるようなもので、なおかつカッコいいギターを弾きたいと思ってて。それは、今でも変わらない。

――高崎さんのギターを聴いて、気づくとコピーしていたという話をよく聞きます。

高崎:そして、気がつけばキラー・ギター買っている…みたいな?(笑) そのラインが一番素晴らしいんですよ(笑)。

マーティ:ハハハ!!(笑)

――そういうプレイヤーは各国にいると思います。『ザ・サン・ウィル・ライズ・アゲイン~撃魂霊刀~』に収録されている「ザ・メタル・マン」や「ザ・ベスト」などでは、ローゲインのビンテージ・トーンでギター・ソロを弾くという一面も見せていますね。

高崎:そう。あの辺は、俺の新しい側面かな。ずっと、速弾きとシンプルかつ豪快に“グァーッ!”といく感じが中心やったと思うけど、もうちょっと柔らかみのあるプレイも最近は出てくるようになって。そういう方向で、さらに浮遊感があるものにしたくてディレイを使ったりとか。ああいうプレイが、今後は少し増えるかもしれない。

――ここに来て、さらに新たな顔を見せるというのはワクワクしますよね。あのビンテージ・トーンはシングルコイル・ピックアップで出したんですか?

高崎:いや、キラーのプライムを使ってる。センター・ポジションにして、ギターのボリュームを半分くらいまで落としたりとか。そういうことをいろいろやって、イメージしている音を出した。だから、いつでもボリュームがフルテンというわけではないよね。弾きながらボリュームの調整はすごくしているよ。

――ギターのボリュームをいじると、表現力がさらに高まりますよね。それぞれ現在メインにしているギターのことも話していただけますか。

高崎:俺はキラー・ギターという自分のブランドを'80年代半ばに立ちあげて。それからは、もうずっとキラーのプライムを使ってる。あとは、たまにESPのランダムスターを使うこともあるね。プライムは、自分の好みやアイディアが沢山盛り込まれていて。たとえば、ネックがボディーに対して3度傾いた状態でセットされていたりとか。ボディー・トップの1弦側が少しだけ薄くなっているんだ。だから普通に持っただけでガットギターを弾いてるときみたいに、若干指板が下向きになる。指板はちょっと見にくくなるけど、そのほうが左手が楽な状態で弾けるから。こういうギターは、見たことないでしょう?

マーティ:ないです。でも、理に叶っていますよね。

高崎:そう。それに、ブリッジの高さをストラトのオールドとかと同じくらいにしたくて、フロイドローズを落とし込んでセットしてる。ランダムスターは普通のセットアップでブリッジが結構高いから、最初にプライムを作ったときに、こういう仕様にしてもらったんだ。俺の場合はブリッジが低いほうが、より柔軟に右手を使えるから。フレーズによって右手のフォームを微妙に変えたり、自然と変わったりするんだけど、そういうときに違和感がないんだよね。

マーティ:面白い。ちょっと弾かせてもらっていいですか?

高崎:いいよ(ギターを渡す)。

マーティ:(弾きながら)……全然違いが分からない。

高崎:アハハ(笑)。マーティの弾き方やと分からないかもね。あとは、俺はトライアングル・シェイプのネックが好きで、プライムは10フレットくらいまでがトライアングルになってて、そこから上はUシェイプになっている。ロー・ポジションは、'58年頃のストラトに近い感じのシェイプだね。

――ピックアップは、セイモアダンカンですね。


高崎:そう。ダンカンはピッキングのニュアンスがちゃんと出てくるのと、レスポンスが速いところが良いなと思って。もう、ずっとダンカンを使ってる。マーティは、PRS(ポール・リード・スミス)のギターを使っているんだよね?

マーティ:PRSで、自分のモデルを作ってもらいました。PRSの一番いいところは、絶対に裏切らないところ。チューニングがいいし、イントネーションも一貫性があって。弾いていると、ちゃんとした楽器を触っていることをいつも感じる。ただ、PRSは音も見た目も、メタルにはあまりふさわしくないですよね。得意としているのが、別のジャンルというか。メタリックということに関しては、高崎さんのプライムには絶対に勝てない。でも、このピックアップを入れたら、結構良い感じになりました。

高崎:そのピックアップはどこの?

マーティ:EMGです。最新モデルで、パッシヴっぽく見えるけど、アクティヴなんです。レコーディングのときに、いろいろピックアップを使わせてもらって、これを弾いたときに“抜群じゃん!”と思って。ライブでは、レコーディングよりも、さらに良い感じでした。とても自然で、レスポールとマーシャルを組み合わせたような音がする。

――ビンテージPAFをイメージしたアクティブ・ピックアップなんですよね。

高崎:へぇ、そうなんや。(PRSのボディーを指差しながら)マーティ、これはなんなん?

マーティ:これは、元々はボリューム・ノブが着いていたんですけど、僕の弾き方だと邪魔になるので外してもらいました。僕は昔から弾いてるときに邪魔になるヤツがあると、必ず取るようにしているんです。

高崎:たしかに、そこにボリュームがあると、マーティの弾き方だと邪魔だろうね。

――PRSのギターの中で、このデザインを選んだ理由は?

マーティ:PRSの中では、一番ロック感のあるデザインだから。PRSは、プライムみたいなギターは作らないんですよね。でも、今後は変わるかもしれないです。ここに来て、ヘビィロックやハード系から新しいギタリストから生まれていて、最近はPRSもヘビィロックのミュージシャンをモニターしている。僕はPRSのクオリティーは世界一だと思っていて、ヘビィロックの分野も追究したら絶対他のブランドに負けないギターを作ると思うんですよ。だから、デザインも含めて、そういうモデルを作ってくれることを期待しています。

高崎:マーティやったら、オーダーすればすぐに出来るんちゃうの?

マーティ:最初は、そうしようと思ったんです。でも、僕が使うギターはマーティ・フリードマン・モデルという位置づけになるから、市販する必要があるんですね。1本だけあれば良いというわけにはいかない。そうするとPRSの工場の中に新しいラインを作ることになるから、2年くらい掛かるらしいんですよ。そういう話を聞いて、とにかくすぐにPRSを使いたかったから、レギュラー・モデルをベースにしたオリジナル・モデルを作ってもらうことにしました。でも、この形もすごく好きです。タキシードみたいな雰囲気があって、ギターを持って写真を撮ったときに、どんなシチュエーションでもハズレがないのも良いなと思っています。


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