【インタビュー】HAPPY、20歳の多面的1stアルバム完成「未完成感はずっと持っていたい」

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HAPPYが8月6日、1stアルバム『HELLO』をリリースする。収録された全10曲は彼らの代表曲に加え、6曲の新録曲を収録した1stアルバムにしてベストと言えるものだ。<SUMMER SONIC 2013>出演以降は<ROCK IN JAPAN>や<JOIN ALIVE>などの大型フェスへの出演が決定しているほか、USツアーも成功させるなど、注目度という面では突出したロックバンドであることは誰もが認めるところだろう。

◆「Magic」ミュージックビデオ

が、特筆すべきはその音楽性に尽きる。60年代や70年代のサイケデリックをはじめロックやポップ、カントリーやハウスを下地に、現代的なアプローチによる味付けなど、そのテイストは変幻自在に鮮やか。ギタリストもベーシストも曲によってはシンセを演奏するほか、シンセ奏者もボーカルを取るツインスタイルなど、楽曲に対する自由なアプローチも実に見事だ。アルバム全体に流れる開放的な空気感が、そのまま今のバンドの状態を象徴するような20歳の5ピースによるロングインタビューをお届けしたい。

■バンドの音楽性を絞るひな形みたいなものがないから
■やりたいことがどんどんやれるんですよ

▲Alec(Vo&G)
──まずはバンドのプロフィールからお願いできますか。

Bob:もともと僕とAlecとRicが小学校時代からの幼馴染みで、中学でSyuと知り合ったんですね。それぞれが楽器をやり始めたんですけど、最初にAlecとSyuがバンドを組んで、それと別に僕とRicがバンドを組んで。その後、AlecとSyuのバンドのドラムが抜けて、「ドラムを叩いてもらえませんか?」と電話がかかってきたんですよ。僕が高3のときのことなんですけど、そのときはまだ先輩後輩関係で、僕がひとつ上だから敬語で話すみたいな感じでね(笑)。ライブを手伝って以降、一緒にバンドをやるようになって、そこにRicも加入しました。

Ric:ドアーズのDVDを見て、オルガンを入れたくなったんだよね?

一同:そうそう(笑)。

Bob:2012年の4月くらいに4人で初めてデモ音源を作ったんですけど、その物販スタッフをChew(G&Syn)にやってもらうことにしたんです。Chewとは高校時代からの知り合いで、よくライブに来てくれていたから。ただ、サングラス姿でタバコを吸いながら物販ブースに居るっていう(笑)。

Syu:「誰も買いに来んで、これだと」みたいな(笑)。

Alec:客から苦情が来たもんな。「あの人、誰ですか?」って(笑)。

Bob:で、その自分たちのデモ音源を聴いたときにもうひとつ音がほしいなということになって。いつもメンバーと一緒にいて、高松とか東京に遠征するときも着いてきてくれたChewをメンバーにすることに。ただ、そのときはまだChewはギターを弾けなかったんです(笑)。

──えっ、本当に?

Chew:「メンバーになるのはいいけど、俺なにもできんで」と言いましたから(笑)。

Syu:そこから、俺らのスパルタ教育が始まりました。「とりあえず指の動き練習しろ」と。僕ら4人にじっと見られながら、Chewはひたすら練習しているんですよ(笑)。

Chew:そうやってギターを弾くようになって、1週間後にライブに出てましたからね。しかも、最初からギターとシンセの両方で(笑)。

▲Ric(Vo&Syn)
──Chewさん、やりますね。では、その5人のバンド名“HAPPY”に込めた想いは?

Bob:高校時代は“JUNK FOOD”というバンド名だったけど、全員バンド名に納得がいってなかったから、変えようという話になったんです。ちょうどその頃に、友達のバンドのライブをみんなで観に行ったら、そこのメンバーに「お前ら、めっちゃハッピーなヤツらやな」と言われて。「バンド名、HAPPYでいいやん。めっちゃいい名前やん」と、そいつがHAPPYをやたらと推してくるんですよ(笑)。「ありかもな」とは言いつつも、帰りの電車で「HAPPYって、あり得へんやろう」みたいな(笑)。

Syu:最初は、完全になしだった(笑)。

Ric:「あいつ本気で言うたんかな、大丈夫か?」みたいな(笑)。

Bob:でも、よく考えたらHAPPYというバンド名は聞いたことがないし、シンプルだけどインパクトがあるし、いいんちゃうかという話になって。

──いい名前だと思います。それぞれの音楽的なバックボーンも教えていただけますか。

Alec:僕らは音楽を共有しているんですよ。メンバーの誰かがカッコいいアーティストを見つけると、それを5人で聴いて、みんな好きになるということが多い。だから、好きなアーティストは共通しているんですね。特にビートルズは全員が大好きで。こんなにポップなのにサイケなんや…というところに、めっちゃ惹かれました。

Bob:ドアーズと出会った頃から、めっちゃサイケにハマッていって。’60年代後期のサイケデリック・ミュージックをみんなで聴き漁ったんです。そういう中でビートルズも聴いて、すごく良いなと。

Alec:あとはマイケル・ジャクソンとかピンク・フロイドも全員が好きで、僕はアニマル・コレクティブとかも。

Syu:僕はゴリラズも大好き。でも、ジャンルとかに関係なく、良いなと思うものなら何でも聴きますね。

──ということは、プレイヤーとして特定のアーティストに入れ込んで、徹底的にコピーしたりは?

一同:ないですね。

Chew:この人のギターが聴きたいから…みたいに、プレイヤー主体で音楽を聴くことはないよな?

一同:ない。

Alec:そういうメンバーが揃っているから、バンドの音楽性を絞ることもない。HAPPYの核になるひな形みたいなものがないから、やりたいことがどんどんやれるんですよ。

──たしかに、8月6日にリリースされる1stアルバム『HELLO』は様々なタイプの楽曲が収録されていて、HAPPYの幅広さが分かります。

Alec:1stアルバムらしい作品にしたいというのがあって。今まで僕らがやってきたことと現在の姿を詰め込んで、聴きごたえのあるアルバムにしたいと思って制作に入りました。あっさりというよりは、こってりな作品を目指したし、イメージしていた通りのアルバムになったと思っています。

Chew:『HELLO』にはいろんな曲が入っているけど、僕らはどれも好きなんですよ。どの曲にも思い入れがあるし、どの曲も聴いてほしい。

◆インタビュー(2)へ
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