【ライヴレポート】MUCC、氣志團を迎えた<ARMAGEDDON>で「やきもち焼かせてくれるじゃねぇか!」

ツイート

MUCCが2014年3月より、全55本におよぶライヴプロジェクト<SIX NINE WARS –ぼくらの七ヶ月間戦争->を開催中だ。七ヶ月間連続で毎月異なる全6種類のツアーを各9公演ずつ行なっていくこのプロジェクトは、8月から毎公演ごとにビッグネームを迎えた2マンツアー<Episode 6.「ARMAGEDDON」>へ突入。その第2夜が8月9日、新木場STUDIO COASTで幕を開けた。

◆MUCC×氣志團 拡大画像

日本列島に台風が急接近しつつあるこの日の対バン相手は氣志團だ。綾小路 翔の言葉を借りれば、「アルマゲドンでございます。最後決戦でございます。人類滅亡の日といっても過言ではございません。今日は天気もアルマゲドン模様でございます。今夜にふさわしくね。晴れてたら逆にイヤじゃね。台風来てくれなきゃこっちも困っちゃうでしょ。だってアルマゲドンだぜ!」。そして客席は終始、逆巻く荒波のようにカオスな様相を呈した。

MUCCと氣志團は、1997年結成の同期バンドだ。2012年2月にBARKS企画『-異種格闘技対談-Ring』で逹瑯と綾小路 翔が対談した経緯はあるものの、これまでの対バン経験はなし。ついに同じステージにて初のガチンコ対決となる。

定刻通りの17時に場内が暗転すると、場内が赤い照明に包まれた。SEはお馴染み「BE MY BABY」。メンバーの登場にオーディエンスから自然発生的な手拍子が沸き起こった。するとギターのアルペジオが高らかに鳴り響き、徐々に場内の熱気を高めていくかのようなオープニングナンバー「房総スカイライン・ファントム」へ。このギターインストを序曲にして、性急なギターリフに導かれる「ゴッド・スピード・ユー!」で場内が爆発。西園寺 瞳と星グランマニエによるテクニカルなツインギターのソロリレーや、ベーシスト白鳥松竹梅のオブリフレーズをはじめ各プレイヤーの見せ場も満載な「キラ キラ!」など、序盤3曲はメンバーの放つ存在感の大きさはもとより、バンドとしての確かな技量に圧倒された。

冒頭に記した言葉に続いて、「俺たちと、お前らと、MUCCと。死ぬには最高の日じゃね」とキメた翔ヤンのMCは今日もキレッキレ。「MUCCとは同期の17年目です。そんな我々を支えてきてくれたのが、ここにいるKISSES(氣志團ファン)。今日は……全部で8人くらいはいるかな。ありがとな。心細かっただろ。ふがいない俺たちだけど、やっとひとつだけ、恩返しのようなことができました!」

という自虐ギャグに続いて演奏されたナンバーは、フジテレビ月9ドラマ「極悪がんぼ」主題歌の「喧嘩上等」だった。氣志團の弟分にしてバックダンサーも務める微熱DANJIを交えた総勢9人によるパフォーマンスは壮観にして迫力十分。“WOW!OH!”のコーラスとキメの振り付けで会場を一体にする。また、「SUPER BOY FRIEND」ではステージと客席にイロトリドリのペンライトが鮮やかに揺れた。同曲はディスコビートと80年代歌謡曲風アレンジに乗って、スクールメイツばりのフォーメーションにオタ芸やマイケル・ジャクソンの「スリラー」的要素を加えたパフォーマンスが華やかすぎる。

「MUCCのスケジュール見たら、あれはもうバカが入れるスケジュールだね(笑)。自殺行為にも等しいスケジュールの入れ方。ホント尋常じゃないです。MUCCとは同じ時期からスタートして、活動範囲も近かったし、共通のお友達もいっぱいいるんです。だけど、なかなか一緒に演ることがなくて。同級生バンドとして今後もMUCCと面白おかしく暮らしていければ、そんなふうに思っております。対バンとして呼んでもらえたことが、ホントに嬉しいです」

と2回目のMCで語った翔ヤンだが、実はこのMCの間にも、とにかく爆笑トークが目白押し。その多くが放送ならば“ピー”が入る時事ネタ盛り沢山なのでここでは割愛させていただくが、その抱腹絶倒のMCはぜひともライヴ会場で堪能してほしい。また、この後のMUCCのステージで逹瑯が語ったことだが、<Episode 6.「ARMAGEDDON」>のタイムスケジュールは氣志團とMUCCがそれぞれ70分ずつの演奏時間であることが事前告知されている。逹瑯曰く「楽屋にセットリストが貼ってあるんだけど、“氣志團……8曲!? これは今日のライヴは時間が巻くかもしれないな”と思ったら、「いや、むしろ押すかもしれないらしいです」と言われた(笑)」というほど、翔ヤンのトークが止まらない。卓越した話術や演出はもちろん、前述したとおりのメンバー個々の高度な演奏力、そして楽曲クオリティの高さを含め、エンターティナーなバンド氣志團の魅力を会場の夢烏(ムッカー:MUCCファン)も改めて痛感したはずだ。

「愛 羅 武 勇」「SUPERSTAR」と畳みかけた怒濤の後半は、いよいよラストナンバーの「One Night Carnival」へ。ここで、第2夜、最大のサプライズがあった。同曲のサビでは演奏を止めて、客席のみのシンガロングパートが用意されていたのだが、「みなさんに歌っていただけなかったら、この先ここから立ち退きません。みんなMUCCに会いたいでしょ。もし歌ってくれなかったら、今夜、ミヤくんのお家のポストの中に……」といった脅迫まがいの提案で、客席を大爆笑に巻き込んでの大合唱が沸き起こる。そして、「よく出来た! ならば呼ぼう! キミたちが命を救ったこの人を! ミヤくん!!」。

短ラン+ボンタン姿にギターを下げたミヤはステージに登場するなり、翔ヤンと熱い抱擁。「いけるか!?」との絶叫に続いて、ギターを弾くかと思えば、まさかの同曲振り付けパフォーマンスを披露した。実はこれ、ミヤから氣志團に対するサプライズでもあった。リハーサルではギター演奏に終始していたミヤだが、そのクールなキャラクターに反した本番パフォーマンスに場内からは悲鳴にも近い嬌声が上がり、氣志團メンバーも思わず笑顔。ラストは全員でヒムロックポーズもバッチリとキメて、完璧なサプライズに場内も大喝采のステージが終了した。

「どうもありがとう! この後はお待ちかねのMUCCだ! アルマゲドンだぞ! ぶっ壊れるまで盛り上がろうぜ!」との翔ヤンの挨拶が、最高の状態でMUCCのステージへつなげる。

そして、MUCCのステージはこの夜も極上のキレ味をまといながら、暴力的にして華やかなステージを展開していった。<Episode 5.「THE END OF THE WORLD」>の新木場STUDIO COAST公演にて「このハコはMUCCと相性がいい」と語っていたが、その言葉の本意はサウンドの分離感と音抜けの良さにある。荘厳なシンセサイザーによるSEが流れるなか、メンバーがステージ上に登場すると同時に、MUCCによるステージの幕が開いた。

「新木場。やるぞ!」

との逹瑯のひと言に煽られるように、客席は序盤からハイテンション状態。抜群のバンドサウンドは一曲目から全開だ。MCも短めに「G.G.」「謡声」といったお馴染みのナンバーが圧倒的な迫力で繰り出された。とりわけ、「お前ら今日、めちゃめちゃ声出てるじゃん。いいな。温まってんじゃん!」との逹瑯MCに続いて披露された「WateR」はコール&レスポンスも序章に加えられ、数段スケールアップした印象。ミヤの鋭いギターワーク、そこに絡むYUKKEの重厚なスラップとSATOちのスクエアなドラムが、STUDIO COASTをダンスフロアとして高めることに一役かっている。

「すごかったね、氣志團。同じ土俵では闘えないね(笑)。めちゃめちゃ勉強になるし。たぎるし。やっぱ、2マンの対バンGIGシリーズ<極東ROCK'N'ROLL HIGH SCHOOL>をやってる百戦錬磨なバンドだけあって、すげえなと思いました。ありがとうございます! ま、うちのリーダー(ミヤ)もすごいことになってましたけどね。リハでも楽屋でもあんなパフォーマンス練習してなかったから。ビックリしたよ(笑)。ホントに今回の<Episode 6.「ARMAGEDDON」>はいろいろな事が起きると思う」と、氣志團への感謝と、この先の<Episode 6.「ARMAGEDDON」>への予感を覗かせながらライヴは中盤戦へ。

ヘヴィにしてソリッドな表情豊かなギターサウンド、直線的な鋭さと曲線的なグルーヴを併せ持つ骨太なリズム隊、そして逹瑯のテンション高い狂気と華が同居したボーカルは相変わらずで、個々のプレイヤーとしての技量の高さは今さら説明の必要もないが、それ以上にこの日はバンドとしてのまとまりがずば抜けていた。「ニルヴァーナ」のような音の広がりと奥行きの深さを堪能できるナンバーから、「自演奴」のようなサウンドの一体感を高めるナンバーまで、それぞれのパートがクリアながらも独特のグルーヴに溢れた演奏で、徹底的に生身の躍動感に貫かれていたのだ。そして、後半戦の前のMCでは再び、逹瑯曰く「すべり知らず」な氣志團の話題に。

「<Episode 6.「ARMAGEDDON」>のキャスティングとか考えているときに、ホントに氣志團に出てもらいたいなって。いつまで経っても<極東ROCK'N'ROLL HIGH SCHOOL>や<氣志團万博>のオファーが来ないからね(笑)。もうこっちから誘ってやろうって、翔ヤンにメールしてね。現在も<極東ROCK'N'ROLL HIGH SCHOOL>のツアー中で、忙しいところに出てくれて感謝しています。あんまりダラダラしゃべってても笑いも取れないので、曲に行こうかと(笑)」

後半戦では、[Alexandros]との第1夜にはなかった「Hallelujah」ほか、中盤でも「Tell Me」が披露されるなど、この日は最新アルバム収録曲が演奏されたことも特色となっていた。これら新曲に充満する熱量の高さは、第1夜でレポートしたように、長年愛し続けてきた楽曲のなかに入っても同次元のものとして昇華されている。むしろ、こうしたナンバーにこそ現在のMUCCが持つタフな側面が露わになるようで、実に興味深い新境地を垣間見ることができた。

ラストでは「「One Night Carnival」さ、上手に歌いやがってよ。やきもち焼かせてくれるじゃねぇか!」との逹瑯の言葉に客席から大歓声が上がる。「うちらはうちらのやり方でひとつになろうか! 最高に暴力的で、最高にパワフルで、最高に愛に溢れたカタチを見せてやろうぜ!」

このMCがこの日のライヴのすべてを物語っていたような気がしてならない。氣志團は氣志團のやり方でピリオドの向こうへ、MUCCはMUCCのやり方で世界の終わりを始めた。両者ともがそれぞれのやり方で限界を超えていくような、そんな印象深い一夜となった。なお、余談だがこの日のライヴは逹瑯の言葉の通り、終演予定時刻をもぶっ壊すアルマゲドンにふさわしいものとなっていたのだ。BARKSではステージ終了直後の逹瑯と綾小路 翔による対談取材を行っているほか、詳細レポートも後日掲載する予定だ。こちらもお楽しみに。

取材・文◎BARKS編集部 梶原靖夫 撮影◎釘野孝宏

<Episode 6.「ARMAGEDDON」>
2014年8月9日@新木場STUDIO COAST
氣志團セットリスト
SE「BE MY BABY」
01.房総スカイライン・ファントム
02.ゴッド・スピード・ユー!
03.キラ キラ!
MC
04.喧嘩上等
05.SUPER BOY FRIEND
MC
06.愛 羅 武 勇
07.SUPERSTAR
08.One Night Carnival
SE「Love Balladは歌えない」

MUCCセットリスト
※後日掲載予定


■<SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- Episode 6.「ARMAGEDDON」>毎公演異なるアーティストとの2マンTour
2014年8月06日(水) Zepp Nagoya VS [Alexandros]
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月09日(土) 新木場Studio Coast VS 氣志團
OPEN 16:00 START 17:00
2014年8月17日(日) 京都KBS HALL VS GRANRODEO
OPEN 16:00 START 17:00
2014年8月19日(火) Zepp Namba VS BUCK-TICK
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月20日(水) Zepp Namba VS シド
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月22日(金) 川崎CLUB CITTA' VS D'ERLANGER
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月24日(日) 大阪城野外音楽堂 VS ゴールデンボンバー
OPEN 16:00 START 17:00
2014年8月26日(火) Zepp DiverCity VS MICHAEL
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月28日(木) 恵比寿LIQUIDROOM VS geek sleep sheep
OPEN 17:30 START 18:30

■<SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- Final Episode「THE END」>
2014年9月23日(火・祝) 国立代々木競技場第一体育館
前売券¥5,569(税込) 当日券¥6,500(税込)
※全席指定、3歳以上のお子様はチケットが必要です。
チケット一般発売日:2014年8月2日(土)

◆SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- 特設サイト
◆チケット詳細&購入ページ
◆MUCC オフィシャルサイト
◆氣志團 オフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス