ザ・ローリング・ストーンズ、1981年ハンプトンでのライブ映像が奇跡のリリース

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2014年2~3月に8年ぶりの来日公演を大成功させ、その後、オーストラリア~ニュー・ジーランド・ツアーの一旦キャンセルというトラブルはあったものの、よりパワー・アップしてヨーロッパをまわり終えたザ・ローリング・ストーンズから、驚きのニュースが届いた。

なんと1981年12月18日、キース・リチャーズの38回目の誕生日に行われたアメリカ・ハンプトン・コロシアム公演の映像/音源のパッケージ化である。日本盤はワードレコーズより発売となるが、リリース日と内容は現在調整中で決まりしだい近日中に発表される。

すでにストーンズは、2011年10月に“Rolling Stones Archive”というサイトを立ち上げ、基本的には音源配信のみながら、1970年代から2000年代までのファン垂涎だったライブ音源を公式ブートレグとして、1年ほどの間に6タイトルほどリリースしてきた実績がある。

今回は映像版の言わばビジュアル・アーカイヴ・シリーズとも言えるものだ。シリーズ名は「アーカイヴ=保管記録」から「From The Vault=貴重品倉庫から」へと変更され、より強力な内容になることが暗示されている。選択するセットによってはCDやアナログ・ディスクも付属することになるという。今回のシリーズはストーンズの過去のライブ発掘シリーズの決定版になることは間違いない。

今回のシリーズは配信のみではなくパッケージ化されて一般発売される点も、多くのファンに歓迎されるものとなるはずだ。以前の公式ブートレグの内容の濃さは伝え聞いていても、ネット環境やクレジット・カードが必要なことや全て英語サイトであったこともあり、購入障壁の高さから入手できなかったファンも多かった。今回のパッケージでの登場は、大きなインパクトを持って登場することだろう。

1981年のハンプトン公演は、“Rolling Stones Archive”でもすでに音源が配信され、映像もマディ・ウォーターズ&ザ・ローリング・ストーンズ『ライブ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ』(2012年発売)にボーナス収録されていたのをはじめ、古くは『Video Rewind グレート・ビデオ・ヒット』(1984年発売)で、アンコールの「サティスファクション」演奏シーンの冒頭でキース・リチャーズがステージに昇ってきた観客を「ギターで殴る」有名な衝撃シーンが紹介されたりもしたが、映像全編が正式リリースされるのはもちろんこれが初めてだ。

この映像に撮られたコンサートが行なわれたのは1981年12月18日、場所はヴァージニア州ハンプトン・コロシアムという屋内会場だった。ハンプトン公演は、3年ぶりに行なわれていた大規模な北米ツアーの最終公演地で(翌日の同所での公演が最終公演)、ケーブルTVのペイ・パー・ビュー方式で全米に生中継されたコンサートでもあった。コンサートの生中継というのは、ストーンズにとってこれが初めてのことで、ペイ・パー・ビューの形で中継された初めてのロック・コンサートでもある。アメリカで同年8月に放送開始となったMTVと共に、新しい音楽メディアの時代の始まりを象徴するイベントだったのだ。

生中継はバック・ステージから始まっており、ステージを前に緊張するメンバーの姿がキッチリと捉えられてる点も貴重だ。同じツアーの様子を収めた劇場映画『ザ・ローリング・ストーンズ(Let's Spend The Night Together)』を手掛けたハル・アシュビーがここでも監督を務め、ミック・ジャガーやキースにギリギリまで寄る迫真のカメラ・ワークが凄い。音声ミックスは、当時のニュー・アルバム『刺青の男』のリミックスも担当し、すでに超売れっ子になりかけていたボブ・クリアマウンテンが担当し、まだモノラル放送だったケーブルTVの音に飽き足らない音楽ファンのために、ステレオ音声はFMで同時放送されるといった力の入った中継態勢も凄みを感じさせる。

そして何より、そのような状況に気合を目一杯入れて臨んだストーンズの面々のパフォーマンスに感服だ。ツアー終盤ということもあり演奏自体には余裕も感じられるが、当時としても異常ではないかと思わせるテンションの高さを感じさせる瞬間が随所に訪れる。回転ステージに乗って登場するなり得意の腰振り&指さしダンス2種を連続で披露し観客を煽りまくるミックは、さらに「ダイスをころがせ」でステージ上を転げ回り、上半身裸で暴れ回るキレキレぶり。ステージに突如現われた邪魔者を排除しようとする時のキースにはどこか狂気すら宿っているようにも見える。「ネイバーズ」で聴けるサポート陣も含めたメンバー全員でのハイ・スピードな疾走ぶりは、この年のストーンズならではだろう。

今のストーンズにも驚かされることは多いが、この時代の彼らのエッジの鋭さと切れ味は尋常じゃない。ミックもキースもまだ38歳だ。メンバー紹介ではこの日、ちょうどその38歳を迎えたキースを祝うシーンも収録されている。

音声はボブ・クリアマウンテンが2012年に新たにミックスし直したピカピカのサウンドで、見どころ、聴きどころ満載の150分だ。

文:寺田正典
編集:BARKS編集部

The Rolling Stones『From The Vault - Hampton Coliseum - Live In 1981』
収録予定曲
1.Under My Thumb
2.When The Whip Comes Down
3.Let's Spend The Night Together
4.Shattered
5.Neighbours
6.Black Limousine
7.Just My Imagination
8.Twenty Flight Rock
9.Going To A Go Go
10.Let Me Go
11.Time Is On My Side
12.Beast Of Burden
13.Waiting On A Friend
14.Let It Bleed
15.You Can't Always Get What You Want
16.Band Introductions
17.Happy Birthday Keith
18.Little T & A
19.Tumbling Dice
20.She's So Cold
21.Hang Fire
22.Miss You
23.Honky Tonk Women
24.Brown Sugar
25.Start Me Up
26.Jumping Jack Flash
27.(I Can't Get No)Satisfaction

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