【インタビュー】e☆イヤホン秋葉原店カスタムIEM専門店オープンにつき、どのカスタムがいいか訊いてみた

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8月22日、世界でも初となるカスタムIEM専門店「e☆イヤホン秋葉原店カスタムIEM専門店」が、秋葉原でオープンを迎えた。

◆「e☆イヤホン秋葉原店カスタムIEM専門店」画像

▲上段にはJH AUDIO、下段には1984EARS。
▲左棚にはアルティメット・イヤーズ、ノーブルオーディオ、カナルワークス…と並ぶ。
▲ヴィジョン・イヤーズ、エアオーディオ。試聴機が常駐しているのは日本ではここだけ。
▲下段にはAAW、センサフォニックス…
▲メンテナンスを考えて、乾燥機などもラインナップ。
▲UEパーソナル・リファレンス・モニターでサウンドをチューニングするために必要なパーソナル・リファレンス・チューニング・ボックス。
▲これがUEカスタムIEMシミュレーターとでも呼ぶべきデモマシン。簡単にUEの各サウンドが確認できる。
▲価格一覧表も店内に貼りだされていた。
「e☆イヤホン秋葉原店カスタムIEM専門店」では、つい先日新たにポーランドのlime ears(ライム・イヤーズ)の取り扱いも決定し、全15ブランドの各モデルがところ狭しと並んでいる。取扱機種のほとんどの試聴機が用意されており、直接サウンドを聞いて、オーダーするモデルをじっくりとセレクトすることができる、専門ショップの誕生だ。

なかでも、サウンド自体を自分好みにオーダーできるUltimate Earsが誇るUEパーソナル・リファレンス・モニターがいつでもオーダーできるのはこれまでに成し得なかった専門ショップならではの特筆点で、ここにはオーダーに必要なパーソナル・リファレンス・チューニング・ボックスが常設されている。

また店内で目を引いたのが、黒いボックスと繋がれたMacbookで、画面にはUltimate Earsの全カスタムIEMモデルが表示され、ラジオボタンで各モデルが選択できるようになっていた。黒いボックスに自分のプレイヤーをつなぎ曲を再生、専用の試聴機を耳にすると、なんとそこから出てくる音は、画面でセレクトされたUE各モデルのその音なのだ。UEカスタムIEMシミュレーターとでも呼ぶべきこれは、海外から到着したばかりのデモマシンのようだが、クリックひとつでUE4PROからUE18PRO、UEリファレンスモニターに至るまで、各サウンドを瞬時に聴き比べることができる大変良くできたアイテムだった。私はUE5PRO、UE11PRO、UE18PRO、UERM、UEPRMを所有しているのでそのサウンドの違いを熟知しているけれど、ここで聞けるそのサウンドは驚くほど各モデルの特徴を捉えており、雰囲気を伝えるというよりモデルそのものを再現している画期的なものだった。UEをオーダーするのであれば、機種選別に大きく役立つ最大の武器になることだろう。

現時点でも既に取り扱いモデルは100機種近くに及んでいるが、多くの人がどのモデルを選べばいいものか、大いに迷い、悩み、考えあぐねることだろう。わからないことの多いカスタムIEMだけに、専門家が常駐する専門ショップの誕生はとても心強いところだ。オープンを控え準備を整えているスタッフに話を聞いてみた。

──カスタム専門ショップを立ち上げる構想というのは以前からあったのですか?

e☆イヤホンスタッフ西亮太(以下西):カスタムIEMというのは、普通のイヤホン/ヘッドホン製品とは別種のものですから、本店舗とは切り離すという構想自体はある程度ありました。現実的には物件との出会いもありますよね。ちょうどいい広さの店になったと思います。

──世の中でカスタムIEMの認知が上がってきているという背景もありますよね。

西:それはもちろんあります。アーティストさんもエンドユーザーさんも、特にカスタムIEMというものに注目している方が増えてきているというタイミングですね。つい先日も、羽生結弦選手がご来店いただいたことも含め、アスリートの方やプロミュージシャンの方からも注目を受け、より浸透してきているところだと思います。

──今後、さらにカスタムIEMの人気は加速しそうですね。

西:メーカーが増えてきたというところも含めて、盛り上がっていくと思います。カスタムIEMを作るにはインプレッション(耳型)の採取が必要なわけですが、そのためにわざわざ別の場所に行かなくちゃいけないということを打開しなくてはいけないとも思っていましたので。カスタムIEMって、お金がかかる以前に非常に手間でしょう?

──それは、ご自身でも経験してきたことで?

西:我々も経験しましたし、お客さまをみてて「こうでいいはずがない」と思っていましたので。海外でしたらインプレッション採取って気軽なんですが、日本では法律の壁がありまして医療行為に当たりますから、まだ準備中ではありますが、我々のところで当日のうちにオーダーとともにインプレッション採取もできるような体制にしていく予定です。

──これだけいろんな機種があると皆さん迷われると思いますが、ぶっちゃけオススメのモデルはありますか?

西:そこはイヤホン/ヘッドホンと一緒だと思うんです。結局は、音を聞いてどういう音かをご自身で判断して決めるものなので。“視聴したものと完成品の音が違うかもしれない”というカスタムならではのリスクはあるんですけど、でもそれは全てのブランドに対して同じですから、あとは、音に関しては、我々がひとつひとつ聞いた記憶と知識でお伝えすることになります。ただ、試聴機がありますから、ご案内しつつ聞いてみましょう、という流れにできるのが一番の強みですね。

──それでもよくわからないという場合はどうしましょう。

西:自分で聞いたけど自信がないというお客様には、後押しだったり、より的確な適切なアドバイスだったり、その方にとっておそらくベストであろうものに対する最短距離を見つけてあげるお手伝いというのは、我々の最大の仕事だと思っています。例えば「これを聞いた。それに対してもっと○○がいい」という質問へのアンサーというのは我々に用意はありますから、そこのお手伝いはできることと思います。

──お店がオープンしたにあたって、これはお薦めしたい、これは見逃さないで!というポイントはありますか?

西:代理店をやっているという点もありますけど、アルティメット・イヤーズというメーカーは、カスタムIEMの歴史を語る上で絶対に外せないブランドですので、特にメーカーに思い入れやこだわりがない方であれば、まずはそういうブランドがあるんですよと、紹介の上で指標になるような位置付けでアルティメット・イヤーズの音を聞いてみていただきたいですね。

──そうですね。アルティメット・イヤーズはカスタムIEMの基本ですものね。

西:歴史の中での道標になるメーカーです。これがベストだというご案内は決していたしませんので、そこから広げていけばいいかなと思っています。あと、今回新規で取り扱うようになったヴィジョン・イヤーズ、エア・オーディオ、AAWの3ブランドは、素晴らしいブランドですよ。自信を持ってお薦めしたいという思いで今回取り扱うことになりましたので。

──特にAAWは安価でいいですね。

西:ふらっと店に入ってしまった方が、普通のカスタムIEMの価格を見て「うわ、高すぎ…」とドン引きされた時に、プライス的な切り札としてご案内できるのがAAWなんです。いままでは一番安くても「7万円です…」という世界だったので、「ふざけんなよ」「どんな商売やねん」と怒られることもあるんですよね(笑)。最後に値段を知って唖然とするという悲しいシーンもよくありましたので。AAWの場合、安いと言ってもモノが悪いのではなく、プライスゾーンの下の幅が広がったというところに、可能性を感じています。AAWにはとても期待していますよ。

──西さん個人的にオススメモデルはありますか?

西:FitEar MH334はよくお薦めします。高い金額帯のモデルは、色んな意味でハイクオリティーなものを要求されるわけですが、MH334はあらゆるユーザーを満足させられるクオリティがあるものですね。世界一とも言えるきれいなシェルですし、私はMH334は日本人好みの音なんじゃないかなと思ってまして、「アニソン聴くぜ」とか「ボーカルものをよく聞く」という方にオススメできます。私自信、意識せずとも「この人にはMH334がいいんじゃないかな?」と思うことがとても多いんです。高価ですけどね…。

──西さんは個人的には何を持っているんですか?

西:FitEar Private 333、FitEar MH334、UE18proの3つなので、社内でも雑魚クラスです(笑)。

──西さん自身が欲しいのは?

西:金額度外視でいうなら、絶対欲しいなと思うのはUEPRM(Ultimate Ears Personal Reference Monitors:UEパーソナル・リファレンス・モニター)ですね。

──どんなチューニングでオーダーします?

西:あれ、触るんですけどね…やればやるほど分かんなくなってきちゃって。欲張っちゃうんでしょうね。どの音もいい音に聞こえてきて…。タイムリミットを設けられるとシンドイんですけど、かといって延々やっちゃうので、15分とか30分くらいでどこかで区切りをつけてずばり決めちゃうのがいいのかなと思うんですけど…。いつか絶対欲しいですね。UE18proを持っているので、それとは違う音にしたいですよね。

「e☆イヤホン秋葉原店カスタムIEM専門店」の誕生は、カスタムIEMファンはもちろん、未来のカスタムIEMユーザーにとっても、記念すべき画期的な出来事だ。…が、何より店舗のスタッフが一番うきうきワクワクと、専門ショップで最先端のサウンドを扱い愛用者に満足を提供していく喜びに満ち溢れているようだ。3万円を切るものから20万円を優に超えるものまで、シンプルなカラーリングから芸術的なアートワークまで、カスタムIEMは最高の音楽環境と自己満足の世界をどこまでも広げてくれる魔性のワールドだ。気軽に視聴して、一気にその魅力の深みにとらわれてみるのも一興だ。

text by BARKS編集長 烏丸哲也

「e☆イヤホン秋葉原店カスタムIEM専門店」
取り扱いブランド
・Ultimate Ears
・Westone
・canal works
・JH Audio
・Sensaphonics
・FitEar
・Unique Melody
・Rooth
・1964 EARS
・NOBLE AUDIO
・VISION EARS
・AAW
・HEIR AUDI
・lime ears
2014年8月22日(金)~
営業時間:11:00~20:00
〒101-0021 東京都千代田区外神田4-6-7 カンダエイトビル1F
電話番号:03-3256-1701(店舗)
http://www.e-earphone.jp
※今回の店舗オープンに伴い、8月22日(金)~8月24日(日)の3日間にわたり、リアル店舗及びWeb店舗にて、オープンセールを実施。

◆BARKS カスタムIEM専門チャンネル
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