2014年8月9日。MUCCは新木場STUDEO COAST地で氣志團と闘った。これは、Episode6.『ARMAGEDDON』の第2弾を飾ったライヴである。

◆MUCC×氣志團 拡大画像

初日の対バン相手となった[Alexandros]は、各地のフェスから引っ張りだこのバンド。自分達の個性を曲げることなく、その絶対的な個性を貫き通す圧巻のライヴスタイルでどんなアウェー戦にも挑む彼らは、MUCCにも容赦なく自らの個性を突きつけた。そんな[Alexandros]を相手にMUCCもまた、現在のMUCCをありのままのスタイルを真っ直ぐぶつけた。素晴しく遠慮のないぶつかり合いとなった両者のガチンコな闘いは、七ヶ月におよぶ戦争を締めくくる最終章の初日に相応しいモノだった。

そして3日後。MUCCは、この最終戦争の対戦相手の中で、最もエンターテイメント性の高いバンドのひとつである氣志團と対戦したのである。

氣志團もまた、自らが主催する<極東ロックン・ロールハイスクール 第弐章>という対バンツアーの最中だった。この対バンツアーで彼らは、いわゆる導入部分に前説的な寸劇を用い、そこをライヴの始まりとする独創的なステージを展開してきた。この日も、ド頭からオーディエンスの心をガッツリと掴んで持っていくと思っていたが、しかし。この日の氣志團は、前説的寸劇を用いず、SEの「BE MY BABY」をバックに、何の仕掛けもなくステージに現れたのである。そして6人は、「房総スカイライン・ファントム」「ゴッド・スピード・ユー!」「キラ キラ!」を完璧な振りと徹底したフォーメーションで間髪入れずに届け、バンドとして真っ向勝負の挑戦状を叩き付けてきたのである。

氣志團も[Alexandros]と同じく、あらゆるジャンルのバンドとの対バンを経験してきている強者だ。彼ら氣志團が対バンに挑むときは、まず相手のバンドを研究しつくすところから始めると言う。対バン相手のファンも知らないようなマニアックなところまで徹底的に調査し、相手のファンはもちろん、そして対バン相手本人すらをも、心の底から楽しませることを第一に考え、常に“最高のオマケ”を目指しているのである。

故に、ときに誤解を受けることもあるだろう。彼らをよく知らない人達は、彼らのことを純粋なバンドとしてではなく、エンターテイメント集団だと思っている人たちも少なくはないはず。しかし。彼らはこの日、少なくともこの場に居たオーディエンスすべてに、“氣志團は最高にスキルの高いロックン・ロールバンドである”ということを改めて知らしめる結果を残すこととなったに違いない。

「オーライ!」──綾小路 翔

翔の声にKISSES(キッシーズ:氣志團ファン)は即座に応える。何パターンかの“オーライ”に大爆笑しながら、キッシーズに倣い、翔の声に応えていくムッカー夢烏(ムッカー:MUCCファン)たち。氣志團のパワーによって、両者の壁が消滅した瞬間でもあった。

「俺たちがオマエたちの運命の相手、氣志團です! ついにこの日がやってまいりました! 最終戦争です! いっぱいお洒落して遊びにきちゃうってどういうこと? のんきに来ちゃダメだからね。ARMAGEDDONだから。今日が最後の日で~す! ま。俺たちはいつも最後の日だと思って生きてるけどね。だって、こんな恰好してる人、最近いないでしょ? 本来20世紀で終わってる人達だからね」──綾小路 翔

自虐ネタを交えながら、一糸乱れぬさすがのテンポ感でトークを進める翔のMCに聞き入るオーディエンス。翔によれば、氣志團とMUCCは97年結成の同期なのだと言う。そして翔は、結成17年目・デビュー14年目にして初となる今、再ブレイクを狙っていると赤裸々な心境を告白。翔は、そこから、今年の4月からのクールでフジテレビ系列で放送されていた月9(月曜9時)ドラマ『極悪がんぼ』の主題歌であった「喧嘩上等」の振り付けへと話を繋げた。

この曲では、ダンス担当の早乙女光に加え、微熱DANJI(氣志團の弟分)も交え、80年代をリスペクトした華やかなステージを展開し、オーディエンスと共に大熱唱したのだった。その流れで届けられた赤、青、オレンジ、緑、紫のペンライトを持って躍って歌った「SUPER BOY FRIEND」でも最高のフォーメーションを魅せ、歌詞中に在る“俺がおまえの最後の男!”という、世の中の女子が必ず堕ちると言ってもいいキメ台詞でフロアを盛り上げた。

そして、なんといっても最高に盛り上がったのはラストに届けられた「One Night Carnival」だろう。この曲で彼らはMUCCのギターでありリーダーであるミヤをステージに呼び込んだ。短ラン・3タックボンタン姿でギターを持って現れたミヤ。短ランの中にはテッパンの赤T。これは、ミヤ本人が“絶対”と譲らなかったこだわりのアイテムだ。そして靴はグレーと黒のコンビのリーガル。これは、逹瑯がこの日ミヤが学ランを着るということを小耳に挟み、倉庫から引っ張り出して当日会場に持って来てミヤに勧めたアイテムでもあったのだ。

そのスタイルは、“中学の頃のリアルなミヤ”というだけに、まったく違和感がなく、むしろかなり似合っていた(笑)。照れる様子もなく、表情1つ変えず颯爽とステージに現れたミヤを中央に、さっそく「One Night Carnival」が始まった。と、そのとき! ナント、ギターで参加するはずだったミヤが、イントロで翔と光を左右に従えた状態で躍り始めたのである! 寡黙でクールな印象がデフォルトなミヤだけにフロアの夢烏たちは大きな歓声を上げた。そう。ミヤとはそういう男である。普段はニコリともせず、無骨で愛想の無い男なのだが、メンバー1笑顔がキュートな洒落の解る“ナイスガイ”なのだ。

これには、いつも相手を楽しませることを1番の目的としている氣志團もビックリ。もっと言うなれば、MUCCのメンバーもこの展開は聞かされていなかったと言うから驚きだ。ミヤは誰にも言わず、リハーサルのときも打ち合わせ通りギターで参加し、本番へと備えていたのだ。そして、誰にも気付かれないように、自分のiPhoneでこっそりと振りを再確認し、本番までに完璧に覚え込んだのだのである。この味方までをも欺く強かさ。これには翔も「完敗だった」とステージ直後に行われた“BARKS 逹瑯×綾小路 翔対談”でも話しているので、そちらもご覧いただきたい。翔をここまで言わしめるとは。ミヤ、アンタは相当な強者だ。

氣志團を挑発し、自らのステージに挑んだMUCCもまた、売られた喧嘩に本気で応えた最高のライヴを魅せた。

「新木場~!」──逹瑯

逹瑯のオドロオドロしくも挑発的な声が、集まったオーディエンスに火を点けた。メンバーももちろん、対バンとなるとオーディエンスも相手側のファンとの間に闘い意識が沸き上がるのだろう。互いに“いかに自分達が愛するバンドが素晴しいか”を、自らのノリで証明しようとしている気がしてならない。

そんな意識をさらに刺激していたように感じたのは、この日の「Mr.Liar」。ミヤ、YUKKE 、SATOちが放つヘヴィなサウンドの上に逹瑯のデス声が乗ると、オーディエンスは上半身を後ろにめいっぱい振りかぶり、大きく前に倒すといった力強いヘドバンがフロアを埋め尽くした。SATOちが叩き出すマーチングドラムにオーディエンスのクラップが絡んで始まる「G.G.」では、逹瑯が右足を高く上げながら激しく躍るというあまり見かけないパフォーマンスを魅せた。氣志團に感化されて出た自然な動きだったのだろう。その姿にムッカーたちも刺激されたのか、HiHiHiHiの声を上げながら、いつもよりも高いジャンプでタテノリを作った。

「おい! 新木場!! 茨城のヤンキーとも遊んでくれよ!」──ミヤ

最高の煽り文句でKISSESの心を鷲掴みにしたミヤ。さすが。わかっていらっしゃる。「よし。懐かしい曲いくぞ!」という逹瑯の言葉に続いて届けられたのは「謡声」。それは、名古屋で聴いた「謡声」とはまた少し違っていた。開放感が増した、ストレートなバンドサウンドで魅せる前向きな景色は、ここ最近のMUCCにはない景色だ。逹瑯の“懐かしい曲”というフレーズに、改めて時を遡ってみた。「謡声」がリリースされたのは2006年の8月23日のこと。もう今から8年も前のことになる。曲が古さを感じさせないこともあり、8年も前に放たれた曲だったということに驚いた。振り返れば、この頃のMUCCの音にはエレクトロな要素はいっさいなく、いまや“らしさ”という個性になりつつある「Mr.Liar」などで魅せるMUCCの要素もまだまだなかった頃である。だが、それらと同じセットリストで並んで届けられても違和感なく自然な流れで聴けるのは、「謡声」が、当時そこに詰め込まれた温度を変えず、“今のMUCC”として成長しているからなのだろう。まさに。“アンサンブル掻き鳴らすオレ達の衝動”は、進化しながら今もなお、がむしゃらにかき鳴らされているのである。“わがままにがむしゃらに笑う”ことを、彼らは忘れることなくずっと胸に持ち続けているのだ。

「『ARMAGEDDON』へようこそ。対バンだけど、1バンド70分もあるんだわ。普通のワンマンと変わらないからね。曲数もワンマンと変わらないくらいあるし。けどね、楽屋に貼ってあった氣志團のセットリスト見たら8曲だったの! だから、“氣志團、巻くかもしんないね”って話してたら、スタッフさんに、“いや。押すかもしれないです”って言われて、え? なんで? って思ったけど、ライヴ観たらその意味が解ったよ(笑)。でも、すごく勉強になった。さすが百戦錬磨。すげぇなと。すごいと言えば、ウチのリーダーもすごいことになってたけどね! っていうか、リハでも楽屋でもダンスの練習なんて1ミリもしてなかったからね! ビックリしたよ!」──逹瑯

と、ミヤが躍ったとき、楽屋で3人が大騒ぎしていた様子が想像出来る逹瑯の言葉に、オーディエンスは声をあげて笑った。彼らはこの日も9月10日にリリースを控えるシングル曲「故に、摩天楼」を披露し、後半戦へと繋げた。

「ウチのスーパーベーシスト! ヤンキーかどうか解んねぇけど、向こう側に連れてってくれっから!」とミヤ。このツアーでは、毎回このタームでミヤがYUKKEについて形容するのが恒例となってきているように思うが、個人的にこれもこのツアーの楽しみになっていたりする。そしてこの日の「YOU & I」でも、ミヤの言葉どおり、YUKKEがイントロのベースソロから、最高にハイな世界へと連れて行ってくれたのだった。

「おい、新木場! 「One Night Carnival」超デカイ声で歌いやがって、ヤキモチ焼かせてくれるじゃねぇか! 俺らも最高に愛の溢れた形を魅せてやろうぜ!」。“ヤキモチ焼かせてくれるじゃねぇか”とは。これまた女心の火を点ける台詞である。そんな逹瑯の言葉にムッカーたちはフロアに大きなサークルを4つ描いた。そして。始まった「MAD YACK」。その音の始まりと共に、オーディエンスはサークルの周りを全力ではしりまわった。天井から照明が低く下げられ圧迫された状況の中でオーディエンスが魅せてくれたのその情景は、いつも以上の力強さを感じさせてくるモノだった。

ラストは「蘭鋳」。この日も容赦なくオーディエンスを座らせると、SATOちのカウント4で一斉にジャンプするという、“お約束”でメンバーとオーディエンスが1つになった。逹瑯は、KISSESたちにジャンプのタイミングを教えていたMCの最中で、さりげなく“オーライ”を連呼した。逹瑯のヤツ、このくだりをどうしても真似したかったに違いない。ライヴ中盤のMCで、会場から“マネして!”コールがあったのだが、そこでは珍しくはにかんだ表情を浮かべて拒んでいた。しかし、そのはにかみは、やりたかったの裏返しだったことがここで証明されたのだ。

19時50分。MUCCと氣志團の最終戦争は幕を下ろした。MUCCはこの闘いで得た結果を、終着点である9月23日国立代々木競技場第一体育館にどのように持ち帰るのだろう?

取材・文◎武市尚子 撮影◎釘野孝宏

<Episode 6.「ARMAGEDDON」>
2014年8月9日@新木場STUDIO COAST
氣志團セットリスト
SE「BE MY BABY」
01.房総スカイライン・ファントム
02.ゴッド・スピード・ユー!
03.キラ キラ!
MC
04.喧嘩上等
05.SUPER BOY FRIEND
MC
06.愛 羅 武 勇
07.SUPERSTAR
08.One Night Carnival
SE「Love Balladは歌えない」

MUCCセットリスト
※後日掲載予定


■<SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- Episode 6.「ARMAGEDDON」>毎公演異なるアーティストとの2マンTour
2014年8月06日(水) Zepp Nagoya VS [Alexandros]
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月09日(土) 新木場Studio Coast VS 氣志團
OPEN 16:00 START 17:00
2014年8月17日(日) 京都KBS HALL VS GRANRODEO
OPEN 16:00 START 17:00
2014年8月19日(火) Zepp Namba VS BUCK-TICK
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月20日(水) Zepp Namba VS シド
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月22日(金) 川崎CLUB CITTA' VS D'ERLANGER
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月24日(日) 大阪城野外音楽堂 VS ゴールデンボンバー
OPEN 16:00 START 17:00
2014年8月26日(火) Zepp DiverCity VS MICHAEL
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月28日(木) 恵比寿LIQUIDROOM VS geek sleep sheep
OPEN 17:30 START 18:30

■<SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- Final Episode「THE END」>
2014年9月23日(火・祝) 国立代々木競技場第一体育館
前売券¥5,569(税込) 当日券¥6,500(税込)
※全席指定、3歳以上のお子様はチケットが必要です。
チケット一般発売日:2014年8月2日(土)

◆SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- 特設サイト
◆チケット詳細&購入ページ
◆MUCC オフィシャルサイト
◆氣志團 オフィシャルサイト