アニメ『たまこまーけっと』の牧野かんな役で一躍脚光を浴び、『お姉ちゃんが来た』の水原一香役、『中二病でも恋がしたい!戀』の七宮智音役とヒロインを演じてきたのが長妻樹里。つかみどころのない不思議っ子から活発な女の子まで、幅広い性格の子を印象付け演じてゆく表現力が高い評価を獲得。演技派としての支持もさることながら、彼女は准看護師の資格を持ち、実際に現場で働いてきた経験も持っている才女。演技力も含め、まさに"人を癒す力を備えている女性"だ。本人は、ここまでの道のりについて、こう語ってくれた。

◆長妻樹里画像

「看護師から、とつぜん声優になろうと決めたわけではなく、「声優になりたい夢」は、高校生の頃から持っていたことでした。わたしは北海道出身。心の中に「声優になりたい」という夢を抱きながら、それを友達にも家族にも一切話せずに、ずーっと心の中へ仕舞い込み続けてきました。その頃は、学校のボランティア・サークルに参加。独り暮らしのお年寄りの家を訪問してはお話をしたりなどの活動をしてきました。それもあって、両親も友達も、わたしは介護師か看護師のお仕事につくものだと思っていたようなんです。だからこそ、将来のことを考えなきゃいけない時期。わたしは、思い切って両親に「声優になりたいから、その勉強をしたい」と本心をぶつけました。ところが、両親は猛反対。わたしも何処か自信を持ちきれなかったことから、結局は、地元の看護学校へ進学。もちろん、看護のことも好きだから夢中で勉強もしたんですけど。それでも声優になる夢をあきらめきれず、就職と同時に上京。看護師として働きながら、同時にプロ・フィット声優養成所へ通い始め、そこで1年間勉強。無事、事務所へ所属することが出来ました」──長妻樹里

長妻樹里と言えば、先にも触れたように、アニメ『たまこまーけっと』の牧野かんな役で一躍脚光を浴び、『中二病でも恋がしたい!戀』でヒロインの七宮智音役を演じ、高い支持を得た声優だ。それらの作品は、彼女自身の「声優としての心構え」にも大きな影響を与えていった。

「一つの作品に深く関わることは、わたし自身もその作品の責任を背負うということ。同時に、その世界観をスタッフさんと一緒に作りあげてゆく中、いろんな想いも芽生えていくんです。しかも、作品を「好き」と言ってくださる方々が増えるにつれ、その気持ちに応えたい想いも、ものすごく強くなっていきます。『たまこまーけっと』の牧野かんな役は、まさに、わたしにとって初のレギュラー役。作品を支持してくださる方も多ければ、今年は劇場版『たまこラブストーリー』が上映になったように、長く支持され続けてもいる。そういう作品に出会えたのが本当に嬉しいんです。同じく、いまも反響が高いと言えば、『中二病でも恋がしたい!戀』の七宮智音役もそう。あそこまで感情を爆発させてゆくキャラクターを演じることがなかったせいか、七宮智音役を通してわたし自身の引き出しも広げてもらえました。今でも『中二病でも恋がしたい!戀』の話をすると、いろんな温かい言葉を投げかけてくださる方が多いのも嬉しいですね」──長妻樹里

▲初回限定盤
▲通常盤
紆余曲折を経ながらも、「声優になる」夢を現実に変え。しかも、数多くの魅力的な役柄を、彼女は自分の糧にしてきた。その長妻樹里が、トムス・ミュージックとZERO-Aの協力のもと、8月27日(水)に1stシングル「言えないアイスクリーム」を発売し、デビューを飾ることが決定した。

「言えないアイスクリーム」は、「好き」と言いたいけど言えず、想いを募らせてゆく女の子が主人公の歌。渦巻くアイスクリームのよう、好きな人に対しての妄想と切ない現実とをグルグル頭の中で巡らせてゆく様は、まさに「片想いしたときのワクワクと不安がジェットコースターのよう次々繰り返されてゆく感情」そのものだ。

「わたしが主人公の女の子に対して感じたのが、「すごくシャイな子」という印象なんです。「内緒話はやっぱりあなたには言えない」と心の中でつぶやくように、結局この子は「好き」という想いを言えずじまいなんですけど、彼女のような告白したいけど勇気がなくて出来ない気持ち、男女問わず「わかるー」ってなるんじゃないかなと思います。わたしがこの子と同じ立場だったら、やっぱしわたしも「言えない」と思います。わたしが「この歌で一番大切な心の部分」と思ったのが、「あなたのその右手ギュッとしてみたいな」から続く五行分の歌詞なんです。好きなんだけど、臆病だからやっぱり言えないという彼女の想いを、わたしはとくに大切に歌いました。「言えないアイスクリーム」は、恋する想いをいろいろと巡らせて、次々と恋心が変化してゆく様を感じながら聞いて欲しいなと思います」──長妻樹里

C/Wには、「嫌いになれるかな」を収録。好きな想いが募れば募るほどつらくなり、<嫌いになったら 忘れられるかな>と嘆いてゆく、こちらも片想いしている女の子の恋心を描写。切ない歌詞だけど、明るく弾けた楽曲に仕上がっている。

「一聴すると明るい歌のように聞こえるんですけど。「心の中は、想いを寄せる君のことでいっぱい過ぎて、とてもつらい」という、切なくも甘酸っぱい歌。彼女は心苦しいんだけど。でも「この気持ちは大切」と思っているように、それが本心なんですよね。「嫌いになれるかな」は、歌詞カードに( )のついた部分が記されています。そこの歌詞を、イベントやライブのときみなさんに歌って欲しいんです。そうすることで、みなさんとも心の距離を近く感じれるし、一緒に歌ってこそ、この歌が完成するとわたしは思っています」──長妻樹里

現在、長妻樹里は、ニッポン放送のアナウンサーである吉田尚記と一緒にTMSアニメ制作50周年×音泉10周年記念番組『マダ、ナイ、ラジヲ。』でラジオ番組のパーソナリティを担当中。この番組は、トムス・エンターテイメント(東京ムービー)作品の紹介や、その作品に出演していた声優さんたちを交え、50年間の歴史を振り返ってゆく内容。以前にも、古谷徹さんなど、アニメの歴史を担ってきた役者さんが登場し、当時のエピソードをいろいろと語っていた。

さらに10月12日(日)には、よみうりホールを舞台に、昼夜二公演のもと<トムスFes.>を開催。長妻樹里は、吉田尚記アナと共に、このイベントのパーソナリティとしても登壇することが決定した。「50周年を彩るイベントだけあって、参加される方々がすごく豪華なんです。きっと、メモリアルなステージになると想像出来るように、トムスさんの歴史を振り返りながら、様々なアニメ作品を通して新しい出会いや発見もしていけたらなと思います」と語るように、アニメの歴史を垣間見れる、とても貴重なイベントになりそうだ。

声優としてのキャリアは4年目。アーティストとしての活動は、これからが始まりのよう、今後、大きな飛躍を期待されている長妻樹里。最後に彼女は、こんな言葉を寄せてくれた。

「わたしたち人間は、月日と共に年齢を重ねていくわけですけど。作品の中に生き続けるキャラクターたちは、ずっとその世界の中の年齢のまま、これから50年後も100年後も生き続け、その時代ごとの人たちに夢を与えていくんだと思います。私たち声優は、その作品の中へ声の演技を通して遺伝子を残していく職業。そのお仕事に付けていることは、本当に光栄なこと。わたしも、この先10年後20年後に、こうやって歴史を振り返ったとき、そこを彩る一人になっていられたらそんな嬉しいことはないように、これからも頑張っていきます」──長妻樹里

まだまだ長妻樹里の歴史は、長い声優人生の中の第一章を記し続けている時期。そこへ、新たに加わったアーティストとしての活動が綴られることにより、その歴史に嬉しい厚みが加わっていくのも確か。長妻樹里という声優の歩みの本へ、今後、どんな嬉しい事実が書き加えられてゆくのか、共に彼女の成長を楽しみにしつつ、応援していただけたら幸いだ。

TEXT:長澤智典

「言えないアイスクリーム」
2014年8月27日発売
初回限定盤 CD+DVD POCE-9408 1,944円(税込)
通常盤 CD POCE-1411 1,296円(税込)
1.言えないアイスクリーム
2.嫌いになれるかな
3.言えないアイスクリーム(Instrumental)
4.嫌いになれるかな(Instrumental)
DVD
1.言えないアイスクリーム(Music Video)

◆長妻樹里オフィシャルサイト
◆トムス・エンタテインメント・オフィシャルサイト