【ライブレポート】flumpool、「僕らの大切な誇りであるキミたちに向けて」

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約4ヶ月にわたって全国各地を廻ったホールツアーを経ての<flumpool 5th Anniversary tour 2014『MOMENT』ARENA SPECIAL>。チケットは大阪公演も含め即日ソールドアウト。横浜アリーナ2DAYSの2日目となった8月10日は台風の影響で悪天候だったにも関わらず、客席はいちばん上までギッシリ。そしてライヴは、flumpoolの音楽に対する変わることのない熱い想い、オーディエンスひとりひとり真摯に向かいあうアティチュードがダイレクトに伝わってくるものだった。

◆flumpool 画像

大歓声の中、ステージが暗転し、スクリーンに映し出されたのは、“今、心から叫ぼう。この瞬間はみんな一緒さ”と歌う本ツアーのために制作されたミュージックビデオだった。

ワクワクする演出の中、メンバーが登場し、始まりの曲は阪井のギターリフがテンションを上げるアッパーなナンバー「覚醒アイデンティティ」だ。続いて、ハンドクラッピングで迎えられた「君に届け」。バンドサウンドに吉田翔平(本ツアーからサポートで参加)のヴァイオリンが心地よく絡み、山村が「たまらなく君が好きだ!」と叫ぶように歌うと客席から大歓声が。この季節にピッタリのアッパーチューンの「夏Dive」では山村が上手スロープへ阪井が下手へと走り、横浜アリーナの熱は上昇する。

「暑いね! みんなの熱気がすでにスゴイんですけど。今日は台風ですよ。思い返せばホールツアーの名古屋でも台風が来まして、今日みたいな大事な日にも来るってどういうことや?」

と笑わせた山村は、「こんな中、ホンマありがとうね。今、ニュースになってるスーパームーンって知ってますか?月がいちばん地球に近い距離で、しかも満月っていう。上見ても何も見えへんけど、何かと何かが引き合っているようなすごい力が働いてるそんな時期なんです。台風とか、いろいろあるけど、それでも今日はこうやって集まってくれたみんなと素晴らしい瞬間を過ごしたいと思ってます。一緒に楽しんでくれませんか!」と客席を煽る。このMCに「もちろん!!」と言わんばかりの声が上がり、flumpoolの世界にひきこんでいく。

演奏されるのは2014年5月にリリースされた2枚組の初のベスト『The Best 2008-2014 「MONUMENT」』収録曲たちが中心になっており、色褪せないメロディも歌詞も彼らが残してきたモニュメントでありながら、今のflumpool。ステージに宇宙の中にいるような光の粉が散りばめられた最新曲「ビリーバーズ・ハイ」はアリーナ中を力強く包みこんでしまうスケール感で鳴らされた。小倉の力強いドラミング、うねる尼川のベース、フックのあるフレーズで曲にキラめきと広がりを与える阪井のギター、明日へと自分の足で歩いていく意志を全力で歌う山村。ステージと客席の距離を消し去る演奏だ。その熱をクールダウンさせるようにピアノとヴァイオリンで始まったバラード「残像」は花火をイメージさせる映像と共に贈られた。

そして、阪井と山村のコンビによる爆笑トークではサブステージが用意されていることを発表し、場内大歓声。以前にサブステージに移動したら最前列に妹がいたというファミリートークで盛り上がり、「初めてライヴ見た人いる?」「ファンクラブ入ってる人は?」と問いかけ、阪井が「2014年、ファンクラブツアーやろうと思ってます」と宣言した。

全員がステージ下に降りて通路を歩き、サブステージに移動。最初に披露されたのは山村のアコギと歌で始まる「どんな未来にも愛はある」だった。メンバーが顔を見合わせて演奏するほっこりした雰囲気の中、「近いね」と客席を見渡し、「次はライヴ初披露。夏ということで、この曲を選んでみました」と「サマータイムブルース」をプレゼントする。演奏し終わったあと、「必死であんまり反応わからなかったけど、もっとノッてもいいのかな?」と笑う尼川のリアクションも素朴で、そんなところもflumpool。広い会場の中、少しでも近くに行きたいという彼らの想いも伝わってきたし、同時に物理的に距離が離れていてもすぐ、そばで演奏しているような錯覚を覚えさせるバンドだということも十分に伝わってきた。インディーズ時代からのナンバーでライヴのキラーチューンでもある「Hydrangea」で躍動感たっぷりの演奏を届け、再び、メインステージへと。

素晴らしいメロディとそれを増幅させる阪井のギターのフレーズにドキッとさせられる「花になれ」で再びアリーナを力強く包みこみ、“散りゆくとも一心不乱な桜になろう”と生命が輝く瞬間を歌う山村。ステージに無数の炎が上がった「強く儚く」も幻想的で、現在進行形のflumpoolを感じさせてくれた。

親密な空気感でのサブステージを挟んで行われた後半戦ではめくるめく演出とともに見せるナンバーが圧倒的な表現力によって次々と演奏された。その緩急の付け方も見事で、「Answer」ではストイックな世界観と疾走感が相まった映像がバンドを勢いづける。その後の山村のコールアンドレスポンスではスクリーンにオーディエンスの楽しむ表情が映し出され、まるで野外ライヴのような開放感。ラスベガス並みにギラギラのエンターティメントな照明と映像で見せたロックンロール「イイじゃない?」ではパーティ感が全開となった。

「5周年のアニバーサリーツアー。年を重ねるごとにみんなの笑顔が何よりもの喜びだと感じました、次の歌はどんなことがあろうと、この素敵な幸せがあるなら、この場所からこの音楽から逃げないと決意したときにできた曲です」

とあらためて感謝の言葉を述べた山村。本編最後のナンバーは大合唱になった「明日への賛歌」だ。天井からはflumpoolとオーディエンスの未来を祝福するように無数の白い風船が。山村は「何があっても負けない。だから一緒に戦ってこう。胸はっていこうぜ!」と叫んだ。

感動の拍手と声援に迎えられたアンコールでは幸せな空気が場内を充たす「Touch」が届けられ、「僕らの大切な誇りであるキミたちに向けて……」と、最後に「大切なものは君以外に見当たらなくて」が演奏された。

全員並んで深々と礼をし、「ホンマにあったかい気持ちになれました。ぜひ、家に帰ったら、その想いを家族や友達に伝えてください。それが俺たちの糧となります。5年間、本当にありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします」と山村。スロープを歩きながら、手を振って去りがたそうにしていた4人の姿が印象的だった。最後までステージに残った小倉は生声で挨拶。タオルを投げ、Tシャツを脱いで最高の笑顔を見せた。

取材・文◎山本弘子

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